近年、プログラミング入門者から注目を集めている、おすすめのプログラミング言語としてRustが挙げられます。

これは、C言語やC++の高速性と安全性を備えつつ、現代的なプログラミングスタイルを採用した、次世代のシステム言語です。

本記事では、Rustの特徴や利点、そしてどのような分野で活用されているのかを詳しく探っていきます。

これを学ぶことで、システムソフトウェアやWebアプリケーションなど、幅広い分野で活躍できるようになるでしょう。

|Rustとは

出典:https://www.rust-lang.org/ja

この言語は、新興のコーデディング手法であり、2006年に始動し、2015年にメジャーバージョン(バージョン1)が発表されました。

Mozillaが後援するオープンソースの言語で、初期にはMozillaに所属するグレイドン・ホアレ氏の個人的な取り組みでしたが、2009年からはMozilla自体が関与し、公式の取り組みとなりました。

この言語は、静的型付けと式ベースの特徴を持ち、手続き型・関数型プログラミングを組み合わせた柔軟性を持っています。

オブジェクト指向を直接サポートしないものの、制限付きで実装可能です。

Stack Overflow Developer Survey 2022では7年連続で「開発者が最も愛するプログラミング言語」に選ばれており、大手企業も採用する注目すべき言語の1つと言えます。

|Rustの特徴

では、この革新的な言語の特徴を、大きく3つに分けてご紹介しましょう。

処理スピードが速い

実行速度は、そのネイティブコンパイラ言語としての特性に由来しています。

本言語は、JavaやC#のような中間言語とは異なり、OSの中核やシステムプログラミング向けにデザインされた、ネイティブコンパイラ言語としての特性を持っています。

この言語のコンパイラはLLVM(Low Level Virtual Machine)ベースの仮想コンパイラプラットフォームに準拠しており、最終的にCPUで直接実行可能なバイナリを生成します。

この言語のコンパイラは、LLVM(Low Level Virtual Machine)ベースのソースコードからバイナリコードへの変換や最適化を行うための仕組みを採用し、結果としてCPUで直接実行できる形式のバイナリを生成します。

これは、実行時に中間言語を解釈することなく、CPUが直接実行可能な形式に既に変換されていることを指し、Javaのような中間言語の解釈とは異なり、実行時に即座にCPUで実行可能です。

このようなバイナリはコンパクトでありながら、Cに匹敵する、あるいはそれ以上の実行速度を実現します。

安全性が高い

Rustは他の言語と異なり、「所有権」と呼ばれるメモリ管理システムを持ち、高い安全性を提供します。

これは、「ボローチェッカー」と呼ばれる静的解析ツールを備えているためであり、コンパイル時にメモリ安全性を保証します。

たとえば、CやC++のような言語では、メモリの解放や配列の境界を超えた書き込みなどの潜在的な問題を作成者が厳密に管理する必要があります。

特に、メモリの多重解放はセキュリティ上の脅威となりますが、Rustでは「所有権」により一つのメモリに対する所有者が常に明確になるため、多重解放のリスクを排除します。

その結果、メモリリークやダングリングポインタといった問題を未然に防ぎます。

同時並行で処理が可能

Rustはマルチスレッドでの同時処理を可能にする大きな特徴を持っています。

これは、厳密な借用ルールにより、変数の同時借用に対する明確な規則が存在することを指しています。

たとえば、CやC++などの言語では、並列性の実現に伴うデータ競合やデッドロックの問題があります。

これに対処するためには、他の言語では複雑な手法や外部ライブラリが必要ですが、本言語では標準の開発ツールや組み込まれた機能が並行処理をサポートし、スレッドセーフを保証しています。

要するに、コンパイル時にこれらの問題を検出し、安全な並行処理を行うことができるのです。

そのため、並行処理の状況下で、信頼性と安全性を確保します。

|Rustの利用用途

この言語を活用したシステムやサービスは多岐に渡ります。

実際の利用用途としては、以下の分野が挙げられます。

Webアプリ開発

効率的で現実的な多くのWeb開発フレームワークが利用できることが特徴的で、Actix Web、Rocket、warpなどがその代表です。

これらのフレームワークは迅速かつ効率的に動作しており、WebアプリケーションやAPIサーバーのバックエンド開発に適しています。

特に、高い処理能力を持つため、アクセスが集中するWebサーバーで優れたパフォーマンスを発揮します。

Rustを活用すれば、効率的に高速かつ高性能なWebアプリケーションを開発することが可能であり、Web系エンジニアを目指す際にも有用です。

OS開発

Rustは低レベルな処理に適しており、オペレーティングシステム開発にも利用されます。

実際に、「Rust for Linux」というプロジェクトや、この言語を使用して構築されたOSである「Redox」など、既に本言語を活用したOS開発の実績があります。

従来はC言語やC++が主流でしたが、本言語の性能や安全性が評価され、将来的にはOS開発においても広く採用される可能性があります。

そのため、低レベル処理を要求されるOS開発において有望な選択肢と言えるでしょう。

ゲーム開発

高度な実行性能を持っているため、エンターテイメントソフトウェア開発にも適しています。

大規模なデータ処理や高負荷のソフトでもスムーズな動作を実現できます。

Rustコミュニティでもこれらに関する情報が豊富で、数多くのゲームエンジンも登場しています。

これにより、ゲーム開発者にとってRustの習得は有益です。

その高速性能は、他の幅広いソフトウェア開発において大きなメリットとなります。

フロントエンド開発

WebAssembly(Wasm)を利用して、フロントエンド開発も可能です。

これにより、より高速なWebページをJavaScriptと組み合わせて作成できます。

ただし、本言語によるフロントエンド開発はまだ主流ではなく、一部の開発で試される段階です。

よって、フロントエンド開発に興味がある場合は、その可能性や実現方法を調査することをおすすめします。

このアプローチは、より高速で効率的なWebページを実現する可能性を秘めています。

機械学習

この言語は高速な処理性能を持ち、機械学習分野でも優れた適用が可能です。

大量のデータからパターンを抽出し未知のデータを解析するもので、AIの一環です。

Rustの処理能力と高速性は計算量の多い機械学習に適していますが、Pythonなどと比べると機械学習向けのフレームワークやライブラリがまだ少ないのが現状です。

これからも新たなフレームワークの登場が予想されるため、機械学習でRustを活用する際には状況を見極める必要があります。

|Rustが活用されている事例

Rustの活用事例は以下の通りです。

Dropbox

DropboxはRustを利用し、ファイルストレージシステムの要となる複数のコンポーネントを再構築しています。

このプロジェクトは、データセンターの効率を高めることを目指し、この言語の優れた特性を活かしました。

今では、Dropboxの全ストレージにRustで再構築されたネットワークが採用されています。

この取り組みにより、高い効率性と信頼性を実現し、データセンターの運用における優位性を向上させました。

AWS

AWSにおいては、サーバーレスアーキテクチャを実現するための言語として活用されています。

AWSは、RustをLambdaと呼ばれるサーバーレスプログラム実行サービスに採用し、他の複数のサービスでも積極的に利用しています。

この採用は、プログラミング言語のトレンドを形成しており、AWSにおけるRustの有用性と影響力を示しています。

このようなトレンドを把握することが重要です。

Discord

Discordは、ゲーマー向けのチャットサービスとして知られ、基盤の一部である「Read States」サービスをGo言語から本言語へ再構築しました。

このサービスは、ユーザーのチャンネルメッセージの読み込みを追跡する役割を果たしています。

ユーザーのDiscord接続やメッセージの送受信など度々Read Statesサービスにアクセスするため、高い実行速度が必要です。

高速性に優れ、既存のGo言語に比べて実行速度が向上するため、Discordはこの性能を求めてRustを採用しました。

Firefox

Mozillaが開発するWebブラウザ「Firefox」でも重要な役割を果たしています。

こちらでは、本言語を利用して、レンダリングエンジン「Servo」の開発を進め、それと平行して言語自体の進化も推し進めてきました。

Firefox Quantumでは、従来の『Gecko』エンジンからRustで構築された『Servo』への置き換えが進んでいます。

この移行により高速性を強化し、ベンチマークテスト結果において、Chromeを上回るスコアを記録しています。

Azure

MicrosoftのクラウドプラットフォームであるAzureでは、この言語が一部のサービスの実装に使用されています。

具体的には、「Azure IoT Edge」というプロジェクトで採用され、クラウドからエッジデバイスへのコンピューティング機能の分散を担っています。

メモリの安全性がセキュリティデーモンの実装に適しており、この取り組みの中で活用されているのです。

Azureは世界的に利用されるクラウドサービスであり、Rustがその基盤の一部として利用されることは、言語の信頼性と実用性を示すものとなっています。

クックパッド

クックパッドでは、マイクロサービス化により複雑化したプッシュ通知の配信基盤を改善するために活用されています。

従来の散在したロジックを整理し、この言語を導入することで、安全性とマルチコアのパフォーマンスを活かした開発が可能になりました。

特にSRE(サイトリライアビリティエンジニアリング)チームがパフォーマンスや堅牢さを求める場面で活用し、高い安定性を持つシステムを構築しています。

|まとめ

本記事では、Rustの特徴や用途について解説しました。

この言語は高い安全性とパフォーマンスを兼ね備えた次世代のプログラミング言語です。

その厳格なルールにより、データ競合やメモリ安全性の問題を事前に防ぐことができます。並行処理や低レベルプログラミングからWeb開発、機械学習、ソフトウェア開発まで、幅広い用途に適しています。

これからのプログラミング入門者にとって、本言語は将来性のある言語であり、学ぶ価値は大きいでしょう。