最近、Unityに新しい料金制度Unity Runtime Feeが追加されました。

しかし、ユーザーからの批判を受け、修正案が提示されています。

「結局Unity Runtime Feeってどうなったの?」

と感じている方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、Unity Runtime Feeの、発表から見直しに至る経緯や修正ポイントについて詳しく解説していきます。

最後まで読めば、Unity Runtime Feeについて内容を理解でき、これからもUnityを利用すべきかどうか判断するヒントになります。

|Unity Runtime Feeとは?発表から見直しへ至る経緯

Unity Runtime Feeとは今年9月12日に発表されたUnityの新料金制度です。

この新しい料金制度は、Unityを使って開発したゲームが一定の基準に達した場合、これまでの料金に加えて、インストール数に応じた料金が発生するという内容でした。

この突然の値上げが2024年の1月1日から適用されるとの発表があり、ゲーム開発者から批判が殺到。

さまざまなゲーム開発企業が苦言を呈しUnityの利用を停止する旨を示唆するなど、大きな波紋が広がりました。

その間、Unityに対する脅迫事件や、経営陣によるインサイダー取引疑惑などの問題が噴出。

ついに、発表から6日後の9月18日、Unity側から謝罪と新料金制度変更の予定についてお知らせが出ます。

そして、9月23日、Unity Runtime Feeの大幅な改定案が発表され現在に至ります。

|Unity Runtime Feeの見直し3つのポイント

Unity Runtime Feeは発表当初からどのように変更されたのでしょうか?

変更された3つのポイントについて解説していきます。

Unity Runtime Feeが適応される対象

【Unity Runtime Fee発表当初】

プラン名対象ゲーム
Unity PersonalUnity Plus過去12ヶ月で得られた収益が20万ドル以上かつサービス継続期間中のインストール数が20万回以上
Unity ProUnity Enterprise過去12ヶ月で得られた収益が100万ドル以上かつサービス継続期間中のインストール数が100万回以上

【Unity Runtime Fee修正案】

プラン名対象ゲーム
Unity PersonalUnity PlusUnity Runtime Feeは発生しない
Unity ProUnity Enterprise過去12ヶ月で得られた収益が100万ドル以上かつサービス継続期間中のインストール数が100万回以上
※2024年以降にリリースされるLSTバージョン(長期サポート版)を用いて作られたゲームタイトルのみUnity Runtime Feeを適用。旧バージョンの状態からアップデートしなければ、Runtime Feeは発生しない。

これまでRuntime Feeが発生しない前提でゲームを開発・配信してきた開発側にとって、今回の騒動は寝耳に水。

Unity Runtime Feeの修正で、過去リリースされたゲームタイトルに、予期せぬ出費が発生する事態は回避できそうです。

Unity Runtime Feeが適用された場合の支払い金額

【Unity Runtime Fee発表当初】

プラン名金額
Unity PersonalUnity Plus1インストールごとに料金が発生
Unity ProUnity Enterprise1インストールごとに料金が発生

【Unity Runtime Fee修正案】

プラン名金額
Unity PersonalUnity PlusUnity Runtime Feeは発生しない
Unity ProUnity Enterprise「収益の2.5%」か「ゲームの新規ユーザー数(初回エンゲージメント数)に基づいて計算された金額」のうち、いずれか低い方

Unity Runtime Feeの発表当初は、ゲームがインストールされるごとに料金が発生するルールになっていました。

このような料金設定の場合、基本無料でプレイできるゲームは大打撃を受けます。

なぜなら、ゲームを遊んでくれるユーザーが増える度に赤字が出てしまうためです。

しかも、いわゆる「リセマラ(※)」を行うために、同じユーザーによって何度も再インストールが行われると、さらに赤字が大きくなります。

Unity Runtime Fee修正案は、このような懸念を払拭できる内容になっています。

※リセマラ:リセットマラソンの略。ゲーム開始時に付与される特典(ガチャ)で欲しいキャラクターやアイテムを入手するために、何度もゲームスタートとリセットを繰り返す行為。

Unity Runtime Feeの料金算出方法

Unity Runtime Fee発表当初Unity Runtime Fee修正案
Unity側がゲームのインストール数をカウントゲーム開発側がインストール数を自己申告

Unity Runtime Feeは発表当初、一定の条件に達したゲームタイトルについて、ゲームのインストールが行われるごとに料金が発生するというものでした。

しかし、そもそも、「本当に正確なインストール数をUnity側が測れるのか?」という疑問の声が一部から上がっていました。

また、全てのユーザーにおける最初のインストールと2回目以降のインストールを正確に見分けられるのかという懸念もあります。

Unity Runtime Feeの修正案では、インストール数について、ゲーム開発者側の自己申告制になったことでこの疑問は解消されました。

|Unity personal planも変更へ

今回の騒動が起こる中で、Unity Runtime Fee以外の見直しも行われました。

それが、Unity personal planの利用条件の変更です。

変更の内容は以下2点です。

  • Unity personal plan加入条件の緩和
  • スプラッシュスクリーンの「Made with Unity」の表示が任意になる

Unity personal plan加入条件の緩和

これまで、無料プランのUnity personal planを利用するには、「過去12ヶ月間の収益または資金調達が10万ドル未満である」という条件を満たす必要がありました。

しかし、今回提示された新しい方針によると、Unity personal planを利用できるユーザーの「過去12ヶ月間の収益または資金調達額の上限」が10万ドルから20万ドルに緩和されるようです。

「Made with Unity」の表示が任意へ変更

これまで、Unity personal planでは、スプラッシュスクリーンに「Made with Unity」を表示することが必須でした。しかし、今回の見直しで、「Made with Unity」の表示は任意に変更される予定です。

|まとめ:Unity Runtime Feeは大幅修正される予定

この記事では、Unityの新料金制度Unity Runtime Feeについて解説してきました。

Unity Runtime Feeは、発表された当初の形から大きく変更される予定です。

しかし、実質的な値上げであることには代わりがなく、さらに、今回Unity側が引き起こしてしまったさまざまなトラブルによって、ユーザーからの信頼が損なわれてしまいました。

Unity personal plan加入条件の緩和が行われる予定ではあるものの、信頼の回復は一朝一夕にはいかないでしょう。

今後、Unityがユーザーの信頼を回復し、さらなる発展を遂げられるかどうか、今後の展開に注目です。