メタバースという言葉が世に広まり数年が経過した現在、メタバースに関する意識はどのような状況にあるのでしょうか。
本記事では、電通が実施したメタバースに関する意識調査の内容を元に、現在の状況から今後の市場予測を解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|電通が「メタバースに関する意識調査2023」を実施
大手広告代理店である株式会社電通(以下:電通)は、日本国内の電通グループ横断でテクノロジーに関するプロジェクトを推進する「XRX STUDIO」を運営しています。
「XRX STUDIO」はXRテクノロジーを中心とした技術によって、社会課題を解決することを目的にしており、多様化する課題に対して様々なソリューションを提供しています。
そんな「XRX STUDIO」を主体として、全国の15〜59歳の2,000人を対象とした「メタバースに関する意識調査2023(以下:本調査)」が2023年9月に実施。
現在の日本におけるメタバース認知、理解、そして興味関心の現状が明らかとなりました。
それぞれのトピックスから調査内容を確認していきましょう。
メタバースに対する認知は増加、利用率は若年層ほど多い傾向に
「あなたは、メタバースをご存知ですか?」という質問に対して、本調査で「どのようなものか知っている」「見聞きしたことがある」の回答合計は82.1%にものぼりました。
この数値は過去、2022年の71%、2021年の18.6%と比較しても大きく伸長。
特に、2年前の2021年から4倍以上の増加は驚異的な伸長率といえるでしょう。
世代別では「40〜50代」が83.7%と最も高くなり、その後は「Z世代」の81.7%、「ミレニアル世代」の79.1%と続きます。
一方、利用経験率については18%に留まりました。
中でも、「Z世代」の利用率は39.9%と平均を大きく上回ることが明らかに。
認知度の高かった「40〜50代」では9%と低く、「ミレニアル世代」は18.3%と平均程度という数値に収まりました。
この結果は周囲にメタバースを一緒にプレイする人の有無、馴染みがあるか否かなどが影響していることが考えられるでしょう。
世代によってメタバースの使い方に違いが
メタバース利用者の中において、メタバースプラットフォームを1人で楽しむという回答は39.6%と最も多い結果となりました。
一方、「リアルで繋がっている友人」と「オンラインで繋がっている友人」との楽しみ方は、世代間で異なる傾向が明らかになっています。
まず、「Z世代」は「リアルで繋がっている友人」は37.9%と「オンラインで繋がっている友人」の28.4%と比較して9.5ポイント高くなりました。
一方、「40〜50代」では「リアルで繋がっている友人」が26.6%と「オンラインで繋がっている友人」の33%と比較して6.4ポイント低くなりました。
この結果から、若年層はリアルの友人とメタバースを楽しむ傾向が強い一方、「40〜50代」はオンラインでの友人と楽しむためにメタバースを使用することが多いといえるでしょう。
一方、「ミレニアル世代」ではその双方の差にそこまで大きな開きはなく、バランスの取れた利用が実現している傾向が見受けられます。
特筆すべきは「家族」との利用が36.4%と高い点ですが、これは小さな子供と楽しんでいる需要などが考えられるかもしれません。
リアルの延長としてのメタバース利用か、現実世界とは隔離された「サードプレイス」としてのメタバース利用か。
世代によってメタバースへ求めるものが異なり、その楽しみ方も多様化していることが伺える結果となりました。
応援するVTuberの有無とメタバースでの交流について
「バーチャルYouTuber」の略称である「VTuber」について、「好き/応援しているVTuberの有無」について質問。
全体平均としては「はい」と答えた割合は16.5%に留まった一方、「Z世代」では32.9%と平均を大きく上回りました。
また、「好き/応援しているVTuberがいる」と答えた層は、「交流型のメタバースプラットフォーム」の利用率が64.2%と高く、この数値は「Z世代」平均の39.9%を大きく上回ります。
VTuberの登場は2016年に登場した「キズナアイ」がきっかけと言われており、元々はキズナアイを指す言葉として使用されていました。
その後、2018年頃にかけてキズナアイの活動が急激に拡大したことで、現在に至るまで様々なVTuberが登場することになったのです。
2023年現在、YouTuberはようやく世間に浸透しつつありますが、VTuberは比較的新しいジャンルです。
そのため、どうしても若年層にファンが偏る傾向があることに加え、現実世界で気軽にVTuberの会話ができる人が見つかりにくいことは仕方ないといえるでしょう。
こうした状況を背景に、VTuberを応援する「Z世代」の多くが、交流型のメタバースプラットフォームを利用していることが考察できます。
今後時間が経過するにつれて、VTuber市場もさらに拡大していくことが考えられます。
この数年先には状況が大きく変化していることも十分考えられるため、今後の動向に注目すべきでしょう。
調査概要
本調査概要については以下の通りとなります。
- 対象エリア:日本全国
- 対象者条件:15〜59歳(性別回答選択肢「男性」「女性」「その他・わからない」「回答しない」)
- サンプル数:2,000人(青年代、地域構成比を人口構成比(R2国勢調査)にあわせて回収)
- 調査手法:インターネット調査
- 調査機関:2023年9月25日〜9月27日
- 調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト
|メタバース市場の今後はどうなる?
2023年はメタバース認知が急激に向上し、徐々に市場へ浸透している状況が明らかになりました。
では、今後メタバース市場はどのように変化してくことが考えられるでしょうか。
市場整備と共に爆発的に普及する
まず、本調査内容からも分かる通り、メタバース市場の将来は明るいといえるでしょう。
2022年の市場規模は1,377億円と前年を173.6%と伸長。
2023年の市場予測は2,851億円と2022年を207%超える勢いで成長しています。
そして、2023年11月に矢野経済研究所が発表した予測によると、2027年度のメタバース市場規模は2兆円を超えるとされています。
4年後には現在の7倍以上の市場規模になることが想定されることから、今後も様々な業界においてメタバースの活用が推進されていくでしょう。
市場が広がり、整備されるとともにその普及率は爆発的に上昇することも考えられます。
|メタバースに対するユーザー意識は向上する
日本では、民間企業だけではなく政府としてもメタバース普及へ向けた取り組みを推進しています。
メタバースを推進するにあたって必要な環境整備や法整備などを目指し、以下のような計画や事業が推進されているのです。
- 内閣府知的財産戦略推進事務局:知的財産推進計画2022
- 経済産業省:Web3.0時代におけるクリエイターエコノミーの創出に係る調査事業
- 総務省:Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会
市場整備だけではなく、法整備も同時に進むことで多くの企業参入にも繋がるでしょう。
このように、現在の日本はメタバース推進に対して積極的であり、今後も益々の発展が期待されているのです。
|まとめ
本調査では、2023年時点のメタバース認知度は82.1%と2年間で4倍以上の数値に伸長したことが明らかとなりました。
また、「Z世代」「ミレニアル世代」「40〜50代」と世代間でメタバースに求めること、楽しみ方が異なっている傾向も見受けられたといえるでしょう。
VTuber市場など、メタバースの普及によって今後もより一層活発になることも考えられます。
市場整備、法整備など期待できる状況が続くメタバース。
今後もその動向に注目しながら、メタバース普及に取り組んでいきましょう。