サッカーとメタバースの組み合わせが注目されていることをご存知でしょうか。
言うまでもなく、サッカーは世界中で人気の高いスポーツの一つ。
国際サッカー連盟が主催する世界選手権大会である「FIFAワールドカップ」は世界最大のスポーツイベントとも呼ばれるほど。
全世界のテレビ視聴者数は通算で数百億人にものぼり、その経済効果は世界最大ともいわれています。
現実世界の大きなフィールドを走り回るサッカーと、仮想空間でコミュニケーションを取るメタバースは、一見すると相反するものに感じられるかもしれません。
本記事をご覧いただければ、そういった考えは古いことに気がつくでしょう。
なぜサッカーとメタバースの相性が素晴らしいのかについて、国内だけではなく海外の事例を踏まえて解説。
さらにサッカー業界におけるメタバース活用の可能性についてもお伝えします。
目次
|サッカー業界とメタバースは相性が良い4つの理由
サッカーは世界中で人気の高いスポーツであるため、その経済効果も計り知れません。
人気の試合には多くのサポーターが詰めかけ、各選手の動向に視線を配ります。
そんなサッカー業界とメタバースの相性が素晴らしい理由について、以下項目それぞれに分けて解説します。
- チームの広告宣伝強化
- ファン同士の繋がりを強化
- 迫力ある観戦スタイルの提供
- メタバースを利用したトレーニングも
チームの広告宣伝強化
サッカーチーム運営には巨額の資金が必要となります。
チームの勝利が人気に繋がりますが、強い選手をスカウトするためには膨大な契約料が発生します。
また、認知度向上のための広告宣伝費も欠かせません。
基本的にサッカーチームの収益は「試合入場料」「スポンサー収入」「テレビ放映権料」の3本柱から成り立っています。
他にもグッズ売上なども関わってきますが、最も大きな割合を占めるのは上記の3点。
しかしエンタメコンテンツが飽和している現代において、新規ファンの巻き込みが難しくなっています。
そこでメタバースを活用したプロモーションを展開することで、より多くの注目を集めることが期待されているのです。
メタバース空間を活用したイベントを開催することで、チームとサポーターの接点を強化。
没入感の高い体験を提供することで、これまでに無い訴求効果が可能となるのです。
NFTを活用したグッズ販売も可能ですので、収益化という面でも大きなメリットが生まれるでしょう。
ファン同士の繋がりを強化
メタバース空間上ではサポーター同士の気軽な交流が実現します。
現実世界ではなかなか話しにくいと思う人であっても、お互いがアバター姿を通じて会話することで、これまでにないフランクな感覚で誰とでも会話が楽しめます。
メタバース空間ではチャットなどのテキストでの交流だけではなく、身振り手振りといったジェスチャーでの意思疎通も可能。
当然、音声通話によるリアルタイムの会話も行えます。
日本国内だけではなく、世界各国のサポーター同士が気軽に集まる環境を現実世界に生み出すことは不可能です。
従来のような2Dやテキストベースに限られた交流ではなく、3D空間を通じた交流はこれまでとは異なったより強固な繋がりを創造します。
迫力ある観戦スタイルの提供
サッカーの醍醐味は現地観戦による迫力ある試合でしょう。
現在はインターネットの発達によって、世界中どこの試合でもリアルタイムでの観戦が可能。
しかし、どうしても実際のスタジアムの熱狂を感じることは難しくなります。
メタバースを活用したスポーツ観戦スタイルは、自宅にいながらでも現地さながらの迫力ある試合観戦が実現します。
VRゴーグルを掛ければスタジアムで観戦しているかのような錯覚を抱くでしょう。
また、メタバース空間にパブリックビューイング会場を作り、世界中のファンと試合を観戦するということも可能です。
現地で観戦している観客に対しても、AR技術を活用した新しい観戦スタイルも提供できます。
メタバース技術の活用によって、サッカー観戦の方法はこれまでとは異なった迫力あるものに変わることが期待されているのです。
メタバースを活用したトレーニングも
メタバースをサッカー業界に活用するメリットは、観客やチームに対してだけではありません。
選手がVRゴーグルを着用し、メタバース上でトレーニングするといったことも可能です。
現実世界では再現が難しい環境であっても、メタバース空間では何度でも瞬時に再現できます。
試合中の特定のシチュエーションを再現し、状況に応じたトレーニングを何度でも積み重ねられるのです。
メタバースを活用したトレーニングは選手だけではなく、審判にも利用できます。
判断が難しいプレーや頻繁に起こるプレーなどをメタバース上で再現し、それぞれに対して適切なジャッジを行います。
現在、サッカー業界だけではなくスポーツ全体として、試合中や各選手の様々なデータ活用が進められています。
そうしたデータ蓄積が豊富になればなるほど、メタバースを活用したトレーニングは活発になっていくでしょう。
|サッカー業界におけるメタバース活用事
2024年1月現在、サッカー業界においていくつかのメタバース活用事例が存在しています。
こちらではその中から、以下の内容についてそれぞれ解説します。
- SAMURAI BLUE(日本代表)メタバース応援企画
- マンチェスター・シティ
- スペインサッカー連盟
- メタバース空間でのサッカー体験
SAMURAI BLUE(日本代表)メタバース応援企画
2024年1月12日、日本サッカー協会はKDDI株式会社と共同で「SAMURAI BLUE(日本代表)メタバース応援企画」の実施を公表しました。
これは、同日開幕されたAFCアジアカップカタールに参加する日本代表を応援するための企画であり、メタバース空間で参加者が繋がり、交流を図ることを目的としています。
「SAMURAI BLUE」の特別仕様で装飾されたメタバース空間にサポーターが集まり、様々なアクティビティを通じて日本代表を応援します。
これまでにないサッカー応援として、大きな注目を集めているのです。
利用されるメタバースはKDDI株式会社が提供する「αU metaverse」。
過去にはメタバース空間に再現された渋谷や大阪といった街を舞台に、様々なアーティストによる音楽ライブなどが実施されています。
無料で利用できることから多くのユーザーが集まることが想定される企画であるため、今後の動向に注目が集まるでしょう。
マンチェスター・シティ
イギリスのプロサッカークラブであり、日本でも人気の高いマンチェスター・シティは、ソニー株式会社と強力したメタバースを展開しています。
約6万人が収容できるホームスタジアムの「エティハド・スタジアム」をメタバース上に構築し、サポーター同士の交流が可能となっているのです。
現実世界ではなかなか足を踏み入れることができないスタジアムに、アバター姿を通じて訪れる体験は感動できるはず。
ソニーの技術によって選手の立ち位置、本物のような動きなどによりプレーの様子が細かく再現されるなど迫力ある体験も可能。
マンチェスター・シティはメタバースを通じた新しいスポーツエンターテイメントの構築を目指しています。
今後は特定のチーム、選手、サポーター同士の交流にとどまらず、リーグ全体の繋がりを実現したいと考えているのです。
スペインサッカー連盟
2023年3月。スペインサッカー連盟(RFEF)は、韓国企業「スリーディーファクトリー(3D Factory)」とメタバースやNFTに関連する事業権契約を締結しました。
スペイン172のサッカークラブが対象となっており、世界からの人気も高いスペインサッカーであることから、大きな注目を集めることが想定されるでしょう。
「スリーディーファクトリー(3D Factory)」は既に、レアルマドリードのメタバース事業の開発から運営を行っている実績を持ちます。
今後はスペインサッカーの試合でNFTを発行するなど、様々な取り組みが検討されています。
メタバース空間でのサッカー体験
2022年11月、VR空間でのサッカー体験を提供するBeFootball社は、VRゲームである「SuperPlayer」を通じて第1回サッカーワールドカップを開催しました。
本ゲームはメタバース空間に再現されたサッカースタジアムにて、ゴールキーパーもしくはストライカーとなり得点を競います。
「SuperPlayer」では自宅にいながらでも臨場感あふれるサッカー体験ができるとして注目を集めています。
今後はより行動範囲が広くなり、本格的なゲームを楽しめるような進化が期待されるでしょう。
|まとめ
サッカーとメタバースが好相性であることについて、その理由と国内外の実際の事例を紹介しました。
一見するとスポーツとメタバースは相反するものに感じられるかもしれませんが、実際は非常に相性の良い組み合わせであることが分かったのではないでしょうか。
メタバース技術はまだまだ発展途上であり、今後もさらなる進化が期待されています。
サッカー業界の取り組みに注目しつつ、これからの動向に注目しましょう。