2020年1月16日に日本国内で新型コロナの感染者が初めて現れて以降、私たちのビジネス環境は一変してしまいました。
今までのように顔と顔を合わせて直接ビジネスを行う環境はもはや「悪」とされ、リモートワークの需要は急激に高まっています。
このような世界的流れの中で注目を集めているのが「バーチャルオフィス(仮想オフィス)」。
その中でもメタバース企業として有名なMeta社(旧Facebook)がリリースしたバーチャルオフィスプラットフォーム「Horizon Workrooms」が注目を集めています。
本記事では、Horizon Workroomsの概要、主な特徴や使い方、料金体系、必要なデバイス、そして現状の課題について詳しく解説します。
最後までお読みいただければ、Horizon Workroomsの全体像を理解し、リモートワークの効率化に活用するための知識を得ることができます。
短時間で読み終わるようにコンパクトにまとめたのでぜひ最後までお付き合いください。
<この記事を読むとわかること>
- Horizon Workroomsの基本概要と機能
- 利用方法とステップごとの指南
- 利用に必要なデバイスとその費用
- Horizon Workroomsの現状の課題と限界
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目次
|Horizon Workroomsとは?
「Horizon Workrooms(ホライゾンワークルーム)」とは、2021年8月19日にMeta社(旧Facebook)が発表したVR(バーチャルリアリティ)を活用する仮想オフィスプラットフォームです。
近年では、新型コロナによる「巣篭もり需要」の高まりから新たな働き方が模索されており、Horizon Workroomsはそのような需要に応える画期的なサービスです。
Horizon Workroomsは、主にMeta社の「Meta Quest」を使用してアクセスします。
ユーザーは自分のアバターを通じてバーチャルオフィスに参加し、同僚やクライアントと対面で会話するような感覚でコミュニケーションが行えます。
空間オーディオ技術も非常に優秀で、まるで実際の部屋にいるかのような音響体験を実現し、会話をより自然でリアルなものにしている点も特徴の一つです。
また、VRヘッドセットを持っていない人も参加できるように、Zoomなどのビデオ会議ツールとの連携が可能であり、これによりヘッドセットを持っていない参加者もビデオ通話を通じてバーチャル会議に参加することができます。
このように、Horizon Workroomsは、リモートワークの新たな形を提案し、仮想空間での協力とコミュニケーションを通じて、物理的な制約を超えた働き方を可能にしています。
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|Horizon Workroomsの主な特徴や使い方5つ
現在では、「Oasis(オアシス)」「Konpi(コンピ)」のように日本国内でもバーチャルオフィスサービスを展開する企業も増えてきました。
物理的制約にとらわれないバーチャルオフィスの需要は、今後も高まり続けることは必然といえるでしょう。
その中でもメタバースのリーディングカンパニーであるMeta社が手がけるHorizon Workroomsにはどのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、Horizon Workroomsの特徴を5つ厳選してご紹介します。
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①バーチャルオフィスでリモート会議
Horizon Workroomsを使えば、従来のビデオ会議を超えた新しいリモート会議が実現可能です。
従来のビデオ会議では、参加者は画面上の矩形のボックスに収まり、空間的な相互作用が限定されがちでした。
しかし、Horizon Workroomsのバーチャルオフィスは、これらの制約を打破します。
Meta Quest VRヘッドセットを用いることで、ユーザーは自分のアバターを通してバーチャル空間に没入し、同僚やクライアントと対面するような形で交流することが可能です。
このバーチャル環境内では、ユーザーは自由に動き回り、会話の中で自然に頭を動かしたり手を振ったりすることもできます。
また、物理的な場所の制約を超えた柔軟性も魅力の一つです。
参加者は世界中どこからでも、インターネット接続とVRヘッドセットがあればHorizon Workroomsにアクセスできます。
これにより、遠隔地にいるチームメンバーやクライアントとのコミュニケーションが容易になり、ビジネスの可能性が広がります。
②ホワイトボード機能でアイデアを共有
一般的な会議では、参加者が発言した内容をホワイトボードや議事録にまとめて進めるのが普通です。
従来のビデオ会議ツールでも議事録のような機能は搭載されているものもいくつかありますが、実際に目で見て確認できない分、少々使い勝手が悪い印象でした。
しかし、Horizon Workroomsでは実際の会議と同じように使える「ホワイトボード機能」が搭載されています。
Horizon Workroomsのホワイトボード機能を使えば、周りの空間の好きな場所に仮想のホワイトボードを作り、自由に書き込むことができます。
特に革新的なのは、コントローラーを逆手に持つことで、実際にペンを持つような感覚で空中に書くことができる点です。
このとき、振動によって設置面を感じることができ、実際にホワイトボードに書いているような感覚を体感できます。
さらに、デスク上にもホワイトボードを出すことが可能で、ここに書いた内容は大きなホワイトボードに同期されます。
これにより、アイデアの共有や議論がさらにスムーズになり、参加者間でのクリエイティブなコミュニケーションが促進されます。
また、完成したホワイトボードはVR環境からエクスポートして、コンピュータ上で共有することも可能です。
③アバターをカスタマイズして魅力的に
実際の会議でも見た目などの「視覚的印象」は会議内での発言力に影響します。
怖そうな上司が発言した時は周りが注意して耳を傾ける、なんて経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
女性にとっても見た目は非常に重要といえるでしょう。
最近では、オフィス内でのファッションも昔よりかなり寛容になってきており、社内でオシャレを楽しむ人も増えてきました。
そんなニーズに応えるのがHorizon Workroomsのアバターカスタマイズ機能。
Horizon Workroomsでは、アバターのカスタマイズが可能で、これにより、ユーザーは自分自身を表現するための多様な選択肢を得られます。
ユーザーは自分のアバターを、髪型、服装、アクセサリーなどを通じて自由にカスタマイズし、自分らしさを表現することが可能です。
アバターは非常に表情豊かで、ユーザーの動きや表情をリアルタイムで反映します。
これにより、バーチャル空間でのコミュニケーションが、実際の対面会議に近いものになり、より人間らしい相互作用が可能になります。
④GoogleやOfficeソフトと連携
新しいソフトを導入した際に、既存のソフトが使えなくなるという経験がある方も多いかと思います。
Horizon Workroomsでは、メジャーなソフトやツールと連携可能であり、使い勝手が非常に高いのも特徴の一つです。
Horizon Workroomsは、特にGoogleやMicrosoft Officeのような広く利用されているソフトウェアとの連携に注力しています。
例えば、Google CalendarやOutlookとの統合により、ユーザーは自分のスケジュールをバーチャル環境内で簡単に管理することができます。
これにより、会議のスケジューリングや招待状の送信が、VR空間内から直接行えるようになります。
また、Microsoft Teamsとの連携も嬉しいところ。
さらに、Meta社はMicrosoftの主要アプリ(Word、Excel、PowerPoint、Outlookなど)をQuestデバイスにも標準搭載することを発表しており、今後の拡張性にも期待がもてます。
⑤リモートデスクトップとして使用
リモートデスクトップとは、一つのコンピュータのデスクトップ環境を別のデバイスからアクセスし操作する技術です。
この機能を利用すると、物理的に離れた場所にあるコンピュータを遠隔操作でき、さまざまな作業を行うことが可能になります。
Horizon Workroomsでは、このリモートデスクトップ機能をVR環境に取り入れることで、バーチャル空間内で実際のデスクトップを操作できるようになっています。
具体的には、MetaのOculus Remote Desktopアプリを使って、ユーザーは自分のコンピュータ画面をVR環境にストリーミングできます。
これにより、バーチャルオフィス内で文書作成やデータ分析など、通常のデスクトップで行われる作業を行うことが可能です。
また、VRヘッドセットを使用している際にも、リモートデスクトップを通じて物理的なキーボードを使って入力できるため、VR空間内外での作業の連携がスムーズになります。
そのため、リモートワーカーはどこにいても、自分のコンピュータに直接アクセスしているかのような体験を得ることができ、作業の効率と生産性が向上します。
|Horizon Workroomsの料金は?
ここまで、Horizon Workroomsの基本的な特徴についてご紹介しました。
しかし、どれだけ革新的な機能を備えていても使用料金が高かったら話になりません。
ここでは、Horizon Workroomsの料金についてご説明します。
基本的に無料で利用可能
Horizon Workroomsは基本的に無料で利用できます。
バーチャル会議は最大50人までの参加者が参加可能で、そのうち最大16人がVRから参加することが可能です。
Zoomとの統合も可能で、Zoom One Proアカウントを持つユーザーは、Horizon WorkroomsにZoomミーティングを直接統合することができます。
ただし、Zoomとの統合やその他の特定の機能を利用するためには、Zoom One Pro以上のプランが必要になる場合があります。
また、本情報は2024年1月時点でのものです。
今後、更なるサービスや機能が追加された際には別途費用がかかる可能性も十分に考えられます。
その際は、公式からアナウンスがあると思うので、できるだけ公式サイトの情報はチェックしておきましょう。
フル活用するにはVRデバイスなどの別途費用がかかる
Horizon Workroomsは基本的に無料で使用できますが、VR機能などを利用する際には別途デバイスの購入費用がかかります。
2024年1月時点でのMeta Questの価格は以下の通りです。
- Meta Quest 2:128GBモデルは47,300円(税込)、256GBモデルは53,900円(税込)
- Meta Quest 3:128GBは74,800円(税込)、512GBは96,800円(税込)
また、PCなどのハードウェア製品が古すぎる場合、うまく動作しない場合もあるようです。
確認したところ、公式から推奨スペック等の説明はありませんので、一般的なPCであれば対応していることが予想されますが、仮にうまく動作しない場合はPCに問題がある可能性も考えられます。
その際は、こちらのリンクが問い合わせフォームになっているので直接お問い合わせください。
2024年最新版のおすすめのVRゴーグルとその価格については、以下の記事に詳しくまとめています。
具体的な価格について知りたい方はぜひ参考にしてください。
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|Horizon Workroomsの始め方
Horizon Workroomsの始め方は非常に簡単です。
以下に、Horizon Workroomsの始め方について順を追って説明します。
まずは必要な機材を揃えよう
Horizon Workroomsは誰でも利用できますが、いくつかの機材が必要です。
Horizon Workroomsに必要な機材は以下の通りです。
<Horizon Workroomsに必要な機材>
- VRヘッドセット: Meta Questシリーズ(Meta Quest 2/3など)
- 安定したインターネット接続: Wi-Fi環境が推奨
- パソコン: オプションで、リモートデスクトップ機能を使用する場合
- 対応キーボード: 特定のモデルがVR内でのタイピングに対応
- マイクとスピーカー: VRヘッドセットに内蔵されていることが多いですが、別途用意する場合もある
これらの機材を揃えることで、Horizon Workroomsのバーチャルオフィス環境を最大限に活用することができます。
STEP1.アプリをダウンロードしてアカウントを作成
必要な機材を取り揃えたら、Horizon Workroomsアプリをダウンロードしましょう。
ダウンロードは、公式サイトに移動して「登録またはログイン」を押下してください。
すると、アカウント作成画面に遷移するので画面内の指示に従って個人情報を入力します。
個人情報を正しく入力すれば「確定」のボタンがあるので押下。
すぐに登録したメールアドレスにアカウント情報が記載されたメールが届くので、そのメールから再度ログインすればアカウント作成は完了です。
個人情報の修正は登録後も可能ですが、できるだけ届いたメールは保存しておきましょう。
STEP2.ヘッドセットのペアリング
VRで会議を行う場合は、VRヘッドセット(Meta Quest)とのペアリングが必要です。
Horizon Workroomsのヘッドセットのペアリング方法は、次の手順で行いましょう。
- Meta Questヘッドセット(Meta Quest 2)を用意します。
- Oculus StoreからHorizon Workroomsアプリをダウンロードし、ヘッドセットにインストールします。
- メタアカウントを使用してWorkroomsにサインアップします。
- パソコンでMeta Quest Remote Desktopアプリをインストールし、VR環境でのコンピューター使用を可能にします。
これらの手順に従って、VR環境でのHorizon Workroomsの使用を開始できます。
STEP3. 招待されたワークルームに入る
ヘッドセットのペアリングを完了すると「開始する」というボタンが現れるので押下しましょう。
すると、アカウント選択画面に遷移します。
先ほど作成したアカウントを選択してワークルームに入りましょう。
すると、招待されたワークルームに入ることができるので、実際に他のユーザーとコミュニケーションを取ることができます。
以上でHorizon Workroomsを始めることが可能です。
|Horizon Workroomsは結局使える?現状の課題
完全なワークルームを再現しているとはいえない
Horizon Workroomsはかなり忠実にVR空間でのワークルームを再現していますが、完全な物理的オフィス環境を再現しているとはまだ言えません。
現実のオフィス空間のような細かなディテールや、物理的な相互作用を完全に模倣することは、現在のVR技術では限界があります。
例えば、物理的なオブジェクトの感触や、細かな身体言語の再現などはまだ完全ではないため、ユーザーはVR空間内でのインタラクションにおいて一定の制限を感じる可能性があります。
実際のユーザーの声も見てみると
- 「まだジェスチャーなどの動作に若干のぎこちなさが残る」
- 「ヘッドセット内でスケジュールを設定するのが難しい」
- 「ホワイトボードに張る紙が小さく、座っている人からは見えにくい」
- 「カスタマイズ性が少し物足りない」
などの声も少し目立ちます。
このように、VR技術の進化にもかかわらず、完全なリアルワークルーム体験の再現にはまだ課題も残っているようです。
VRデバイスの値段が高い
2024年1月時点では、VRデバイスは一般消費者にとっては少し値が張っている印象です。
先述したように、VRデバイスの代名詞ともいえる「Meta Quest」の値段は以下の通りです。
- Meta Quest 2:128GBモデルは47,300円(税込)、256GBモデルは53,900円(税込)
- Meta Quest 3:128GBは74,800円(税込)、512GBは96,800円(税込)
最安の128GBモデルでも5万円弱と、一般消費者がおいそれと購入するにはまだハードルが高いといえます。
中には1万円以内で購入できるVRデバイスもありますが、正直言って高価なモデルと比較すると性能には天と地ほどの差があります。
Meta QuestレベルのVRデバイスが1万円とは言わずとも、3万円程度になる時代が到来すればバーチャルオフィスプラットフォームの需要は格段に上がることになるでしょう。
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セキュリティの問題がつきまとう
Horizon Workroomsでのセキュリティ問題は、多くのVRプラットフォームと同様に懸念されています。
特に、仮想空間でのデータや個人情報の扱いに関する不安が残ります。
ユーザーはVR空間内でさまざまな業務活動を行うため、機密性の高い情報や商業的に重要なデータが関わることが多く、これらが適切に保護されているかどうかが重要です。
また、VR空間内でのユーザー行動や通信の監視、データの収集と分析に関する懸念もあり、これらがどのように管理され、利用されているかがセキュリティ上の重要課題となります。
これらの問題は、企業がVR技術を導入する際の重要な考慮事項であり、ユーザーの信頼を得るためには透明性と安全性の確保が必須となります。
|まとめ:Horizon Workroomsでリモートワークを効率化しよう!
本記事では、Horizon Workroomsの概要から使い方、料金、必要なデバイス、そして現在の課題までを網羅的に解説しました。
バーチャルオフィスプラットフォームとしてのポテンシャルは大きいものの、完全なワークルームの再現、高価なVRデバイス、セキュリティの懸念などの課題も残ります。
今後、技術の進化やコスト削減、セキュリティ強化が進むことで、より実用的で安全なバーチャルオフィス体験に期待しましょう。
本記事が、Horizon Workroomsを検討する際の参考になり、リモートワークの効率化に役立てていただければ幸いです。
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