メタバースは失敗するという声をよく耳にしますが、本当にそうなのでしょうか?
近年、テクノロジーの進化とともに注目を集めるメタバースですが、その実態や将来性については様々な意見が飛び交っています。
本記事では、メタバースの基本概念から歴史、現状、そして今後の展望まで、幅広い視点から解説します。
さらに、メタバースが「失敗」と言われる要因を分析し、ビジネス活用の可能性や成功のポイントもご紹介しますので、是非最後までご覧ください。
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|そもそもメタバースとは?
メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間やコミュニティのことで、ユーザーは自分のアバターを通じてこの空間内で他のユーザーと交流したり、様々な活動を行ったりすることができます。
この概念はSF小説や映画で描かれていたものが、近年の技術進化により現実化されてきました。特に、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった技術が、メタバースの体験を支える重要な要素となっています。
Facebookの社名変更によって大きく注目されたこの分野は、ゲーム、ビジネス、教育などさまざまな分野での応用が期待されています。
|メタバースの歴史
メタバースの歴史は意外と古く、長い進化の過程を経てきました。
そもそもメタバースの概念は、1990年代にアメリカの作家ニール・スティーヴンスンのSF小説『スノウ・クラッシュ』で初めて紹介されたものと言われてます。
この小説では、仮想現実の都市「メタバース」が登場し、ユーザーがアバターを使ってオンラインで活動する未来の世界が描かれています。
このアイデアは当時フィクションでしたが、インターネットの普及と技術の進化に伴い、少しずつ現実のものとなってきました。
2000年代に入ると、「セカンドライフ」のような仮想空間サービスが登場し、ユーザーがデジタルな生活を楽しむというメタバースの萌芽が見られました。
この時期のメタバースは、主にコミュニティ形成や交流が目的でしたが、まだ技術的な制約が多く、3D空間の表現や操作性が限られていました。
さらに、2020年代に入ると、Facebookがメタに社名変更し、メタバースを次世代のインターネットと位置付けたことで、注目度が急激に高まりました。
VR、AR、ブロックチェーン技術の進化により、かつてのSF的なビジョンが現実のものとして取り上げられ、ビジネスやエンターテインメント分野での活用が進んでいます。
この流れの中で、企業や投資家の期待も高まり、メタバースが次なる大規模なデジタル経済の一部として注目されています。
|メタバースが「失敗」と言われる要因
メタバースの利用がうまくいかない代表的な理由には以下が挙げられます。
- デジタル人材の不足
- メタバースに対する理解不足
- 魅力的なコンテンツの不足
それぞれについて解説していきます。
デジタル人材の不足
メタバースをうまく活用するには、デジタル技術に詳しい人材が必要になります。
たとえば、
- デジタルコンテンツを作るプログラマー
- AIの技術者
- メタバース空間のデザイナー
- アバターを作るクリエイター
- デジタルに関する法律の専門家
などなど、作りたいサービスの種類や規模にもよりますが、メタバースに詳しいデジタル人材の確保が必要です。
メタバースの構築を他社に委託する場合も、委託先と適切なコミュニケーションを行うため、ある程度、専門的な話題についていけることが望ましいです。
必要なデジタル人材が不足すると、プロジェクトの進捗が遅れたり、問題の発見や解決が困難だったりして、プロジェクトが滞ってしまいます。
メタバースに対する理解不足
プロジェクトを成功させるにはメタバースの特性を正しく知る必要があります。
たとえば、既存のメタバースプラットフォームを利用してイベントやグッズ販売などの施策を打つ場合、各プラットフォームの特徴を理解して、自社サービスに合ったものを選ぶ必要があります。
知名度が高く海外ユーザーが多い「VRChat」
日本語に対応していて参加しやすい「Cluster」
アバターのファッションに力を入れていて10代~20代の女性に人気の「ZEPET」
このような特徴を知らずにコンテンツを展開してしまうと、届けたいメッセージがターゲット層に届きにくくなってしまいます。
魅力的なコンテンツの不足
メタバースを使ったプロジェクトを成功させるためには、魅力的なコンテンツが不可欠です。
現在、メタバースを使ったサービスはすでに多く存在しており、ただメタバース空間を作っただけでは、十分な数のユーザーを集めるのは難しいでしょう。
メタバースを取り巻く文化に根ざした、ユーザーの心をつかむイベントやコンテンツを提供することで、成功の可能性が高まります。
|メタバースを成功させるポイント
これまでメタバースプロジェクトの失敗について触れてきましたが、もちろんメタバースを利用することで大きな成果を上げ、成功した施策も数多く存在しています。
そこでここからは、メタバースプロジェクトを成功へ導くためのアイデアを探っていきます。
VTuberの起用
VTuberとは、バーチャルユーチューバーの略称で、アバターを着てYouTube配信をする人のことを言います。
アバターはデジタルのキャラクターであるため、違和感なくメタバース空間に溶け込むことができます。そのためVTuberとメタバースは相性のよい組み合わせと言えるでしょう。
人気のあるVTuberは、YouTubeの登録者数が数百万人に登ることもあり、知名度が高い存在です。
加えてVTuberに馴染みのあるユーザーは、メタバースのようなデジタル空間にも抵抗が少ないことが多いので、VTuberを起用して宣伝を行えば、多くの見込み客をメタバースに集められる可能性があります。
有名IP・音楽アーティストとのコラボ
有名なIPや音楽アーティストとコラボすれば、注目を集められます。
とくにメタバースを利用した音楽イベントは頻繁に行われていて、たとえば人気のメタバース「Fortnite」では、「SOUNDWAVE(サウンドウェーブ)」と呼ばれるショーが行われ、毎回多くの人出でにぎわいます。
人気のアーティストやIP、ブランドとのコラボは、多くのメタバースプラットフォームで行われているイベントです。
呼び込みたいターゲット層と親和性の高いコラボイベントを開くことで、効率的に集客を行えます。
メタバースの専門家に相談する
「メタバースをビジネスに取り入れたいけど、どうしたらいいかわからない」
という方は、メタバースの専門家に相談するのが成功への近道です。
もし、メタバースのビジネス利用について相談したいとお考えなら、「XR CLOUD」をご検討ください。
「XR CLOUD」であれば、個々のニーズに応じた対応が可能なので、あなたのビジネスの可能性を引き出せます。
|メタバースの現状
メタバースは、現在も進化を続けており、さまざまな業界で注目されています。
特にゲーム、エンターテインメント、教育、ビジネスといった分野での応用が進んでいますが、まだ発展途上の段階です。
多くの企業がメタバース関連技術に巨額の投資を行っており、新たな経済圏として期待されていますが、課題も多く存在します。
ここでは、メタバースの現状について市場規模と成長予測、注目を集める理由の2つの視点から詳しく解説します。
市場規模と成長予測
メタバースの市場規模は急速に拡大しています。
2022年の段階で、メタバース関連市場は約400億ドル(約4兆円)規模と推定されており、今後数年間でさらに成長が期待されています。
市場調査によると、2030年にはメタバース市場は1兆ドル(約100兆円)規模に達する可能性があると予測されています。
特に、エンターテインメントやソーシャルメディア、バーチャル不動産などが成長のけん引役となっています。
メタバースの発展は、インターネットの次世代形態として認識されており、その経済的なインパクトも非常に大きいものとされています。
また、企業の参入も活発であり、MicrosoftやMeta(旧Facebook)をはじめとする大手テクノロジー企業が積極的に投資を行っています。
さらに、NFT(非代替性トークン)やブロックチェーン技術の進化により、デジタルアセットの売買や所有権の管理が可能になり、新たなビジネスモデルが生まれつつあります。
注目を集める理由
メタバースが注目される理由の一つは、その広範な応用可能性にあります。
メタバースは、単なる仮想空間にとどまらず、さまざまな分野で革新的な変化をもたらす可能性があります。
例えば、教育分野では、学生がバーチャルな教室で世界中の人々とリアルタイムで学び合うことができ、医療分野では、リモートでの手術支援や患者のリハビリテーションが仮想環境内で行われることが期待されています。
さらに、メタバースは企業にとって新たなマーケティングチャネルとしての可能性も大きいです。
ブランドが仮想空間内で消費者と直接つながり、製品やサービスを提供することができるため、消費者とのエンゲージメントを深める手段として注目されています。
また、コロナ禍によりリモートワークやオンラインの需要が増加したことも、メタバースへの関心を後押ししています。
現実世界と仮想世界の境界が曖昧になる中で、メタバースが提供する新しい体験が、多くの人々や企業にとって魅力的なものとなっています。
|メタバースの今後
メタバースは今後も魅力的なコンテンツであり続けられるでしょうか?
ここからは、メタバースがこれからもビジネスシーンで必要とされる理由について見ていきます。
たくさんの企業が注目している
メタバースにはさまざまな企業から期待が寄せられています。
たとえば、メタバース内で開催される世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット」には、ゲーム・アパレル・通信など業種を問わず、毎年さまざまな企業が参加しています。
さらには、省庁や地方自治体、NPO団体からの参加もあり、2023年夏に開かれた「バーチャルマーケット2023 Summer:CONNECT」には70社を超える出展がありました。
また、近年は大手百貨店が次々にメタバースに参入しており、三越伊勢丹がメタバース空間に新宿店を再現したり、大丸松坂屋がメタバースで使用できるオリジナル3Dアバターの販売を開始したりしています。
若者をはじめとする広い客層へのアプローチや、どこにいても24時間好きな時にアクセスできるというネット空間ならではの強みが注目されています。
VRChatの利用者は増えている
VRChatの利用者数が近年増加しています。
VRChatは、トップクラスの知名度を誇るメタバースです。
VRChatは、月間アクティブユーザー数を公開していないので、利用者の正確な数字を知ることはできません。
しかし、同時アクセス数の推移を見る限りアクティブユーザー数は右肩上がりに上昇していると思われ、2023年の段階で、コロナ禍以前と比較してだいたい5倍以上になっていると推定されます。
3Dモデルの売り上げが伸びている
3Dモデルの売り上げも増加傾向です。
創作物の総合マーケット「Booth」が発表した「BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書」によると3Dモデルカテゴリの取扱高の推移は以下のようになっています。
なお、3Dモデルカテゴリには、3Dアバター・髪型・衣装・アクセサリなどが含まれます。
2018年 | 5000万円 |
2019年 | 3.1億円 |
2020年 | 7.4億円 |
2021年 | 14億円 |
2022年 | 24億円 |
ちなみに、3Dモデルカテゴリの注文件数、注文者数も取扱高と同様、右肩上がりに推移しており、メタバースで使用されるアバターの需要が大きく増加していることがわかります。
このことからも、メタバースの需要が順調に伸びていることが伺えます。
|メタバースのビジネス活用事例
メタバースは様々な業界で活用され始めており、その事例は日々増加しています。
ここでは、特に注目される事例をいくつかご紹介します。
日産自動車:メタバース上での新車発表会
日産自動車は、世界最大のVR SNSプラットフォーム「VRChat」で新型軽電気自動車「日産サクラ」の発表会と試乗イベントを開催しました。
参加者は日本の四季をテーマにしたコースでバーチャルな「サクラ」を体験運転でき、実際の試乗に近い感覚を味わえました。
このようなメタバースでの製品プロモーションは、時間や場所の制約なく多くの人々にリーチできる新たなマーケティング手法として注目されています。
三越伊勢丹:バーチャル伊勢丹新宿店
三越伊勢丹は、スマートフォン向けの仮想都市空間サービス「REV WORLDS」内に仮想の伊勢丹新宿店を出店しました。
ユーザーはアバターを通じて仮想店舗内を散策し、実際に販売されている商品を閲覧・購入できます。
この取り組みは、オンラインとオフラインの融合による新しい買い物体験を提供し、顧客との新たな接点を創出しています。
ANA:バーチャルトラベルプラットフォーム
ANA NEO株式会社は、バーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」を開発しました。ユーザーはアバターを通して仮想空間での旅行やショッピングを体験できます。
特筆すべきは、歴史上の偉人が生きていた時代などを旅先として指定できる点で、これまでにない新しい旅行体験を提供しています。
みずほ銀行:メタバース上の店舗開設
みずほフィナンシャルグループは、世界最大のメタバースイベント「バーチャルマーケット2022」に出展し、メタバース上に銀行店舗をイメージしたブースを開設しました。
このブースでは、ボルダリング体験やオリジナル3Dモデルの配布、金融知識に関する座談会などが行われ、アバターを介して銀行員とコミュニケーションを取ることができます。
|まとめ
メタバースは、インターネットの次なる進化形として大きな可能性を秘めています。
仮想空間の中でのコミュニケーションや取引、エンターテインメントからビジネスまで、その応用範囲は広がっており、多くの企業が積極的に参入しています。
しかし、技術的な課題やデバイスの普及の遅れ、ユーザーや企業の理解不足などが「失敗」と言われる要因になっています。
とはいえ、メタバース市場の成長予測は明るく、今後の技術革新により、さらに多くの可能性が開かれていくでしょう。
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