バーチャル空間を通して、ユーザーに新鮮な体験を提供できるメタバース。
新たなサービスの形として注目され、多くの起業や自治体がメタバースの利用をはじめています。
しかし、メタバースを使った事業や施策の全てが成功するわけではありません。
メタバースの力を活かしきれず失敗に終わってしまう事例も存在します。
そこで、この記事では、これからメタバースを使った事業展開を考えている方に向けて、
- メタバースを使った事業や施策が失敗する理由
- 成功のためのアイデア
- 今後のメタバース
について詳しく解説していきます。
失敗を知れば、おのずと成功が近づきます。
ぜひ、ご覧ください。
目次
|メタバース事業の約9割が失敗している
メタバースを使った集客やデジタルグッズ販売などで成功を収めるプロジェクトがある一方、思ったような成果をあげられないケースも多く存在します。
2023年5月に発表された株式会社クニエの「メタバース調査レポート」によると、回答者全体の91.9%が「事業化に向けた検討が停止しているもしくは中止された」と答えています。
では、メタバースを使ったプロジェクトが失敗してしまう理由はいったいどこにあるのでしょうか?
以下で詳しく見ていきましょう。
|メタバースの利用に失敗する理由
メタバースの利用がうまくいかない代表的な理由には以下が挙げられます。
- デジタル人材の不足
- メタバースに対する理解不足
- 魅力的なコンテンツの不足
それぞれについて解説していきます。
デジタル人材の不足
メタバースをうまく活用するには、デジタル技術に詳しい人材が必要になります。
たとえば、
- デジタルコンテンツを作るプログラマー
- AIの技術者
- メタバース空間のデザイナー
- アバターを作るクリエイター
- デジタルに関する法律の専門家
などなど、作りたいサービスの種類や規模にもよりますが、メタバースに詳しいデジタル人材の確保が必要です。
メタバースの構築を他社に委託する場合も、委託先と適切なコミュニケーションを行うため、ある程度、専門的な話題についていけることが望ましいです。
必要なデジタル人材が不足すると、プロジェクトの進捗が遅れたり、問題の発見や解決が困難だったりして、プロジェクトが滞ってしまいます。
メタバースに対する理解不足
プロジェクトを成功させるにはメタバースの特性を正しく知る必要があります。
たとえば、既存のメタバースプラットフォームを利用してイベントやグッズ販売などの施策を打つ場合、各プラットフォームの特徴を理解して、自社サービスに合ったものを選ぶ必要があります。
知名度が高く海外ユーザーが多い「VRChat」
日本語に対応していて参加しやすい「Cluster」
アバターのファッションに力を入れていて10代~20代の女性に人気の「ZEPET」
このような特徴を知らずにコンテンツを展開してしまうと、届けたいメッセージがターゲット層に届きにくくなってしまいます。
魅力的なコンテンツの不足
メタバースを使ったプロジェクトを成功させるためには、魅力的なコンテンツが不可欠です。
現在、メタバースを使ったサービスはすでに多く存在しており、ただメタバース空間を作っただけでは、十分な数のユーザーを集めるのは難しいでしょう。
メタバースを取り巻く文化に根ざした、ユーザーの心をつかむイベントやコンテンツを提供することで、成功の可能性が高まります。
|成功へのアイデア
これまでメタバースプロジェクトの失敗について触れてきましたが、もちろんメタバースを利用することで大きな成果を上げ、成功した施策も数多く存在しています。
そこでここからは、メタバースプロジェクトを成功へ導くためのアイデアを探っていきます。
VTuberの起用
VTuberとは、バーチャルユーチューバーの略称で、アバターを着てYouTube配信をする人のことを言います。
アバターはデジタルのキャラクターであるため、違和感なくメタバース空間に溶け込むことができます。そのためVTuberとメタバースは相性のよい組み合わせと言えるでしょう。
人気のあるVTuberは、YouTubeの登録者数が数百万人に登ることもあり、知名度が高い存在です。
加えてVTuberに馴染みのあるユーザーは、メタバースのようなデジタル空間にも抵抗が少ないことが多いので、VTuberを起用して宣伝を行えば、多くの見込み客をメタバースに集められる可能性があります。
有名IP・音楽アーティストとのコラボ
有名なIPや音楽アーティストとコラボすれば、注目を集められます。
とくにメタバースを利用した音楽イベントは頻繁に行われていて、たとえば人気のメタバース「Fortnite」では、「SOUNDWAVE(サウンドウェーブ)」と呼ばれるショーが行われ、毎回多くの人出でにぎわいます。
人気のアーティストやIP、ブランドとのコラボは、多くのメタバースプラットフォームで行われているイベントです。
呼び込みたいターゲット層と親和性の高いコラボイベントを開くことで、効率的に集客を行えます。
メタバースの専門家に相談する
「メタバースをビジネスに取り入れたいけど、どうしたらいいかわからない」
という方は、メタバースの専門家に相談するのが成功への近道です。
もし、メタバースのビジネス利用について相談したいとお考えなら、「XR CLOUD」をご検討ください。
「XR CLOUD」であれば、個々のニーズに応じた対応が可能なので、あなたのビジネスの可能性を引き出せます。
|メタバースの今後
メタバースは今後も魅力的なコンテンツであり続けられるでしょうか?
ここからは、メタバースがこれからもビジネスシーンで必要とされる理由について見ていきます。
メタバースの市場規模は拡大する
メタバースの市場は今後拡大していくことが見込まれています。
総務省は、”メタバースの世界市場は2021年に4兆2,640億円だったものが2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想されている”としています。
(引用:総務省 情報通信白書令和4年版)
この予測に従えば、メタバースの市場はたった10年で、約20倍に膨らむことになります。
この試算からも、メタバースがいかに有望視されているかがわかります。
たくさんの企業が注目している
メタバースにはさまざまな企業から期待が寄せられています。
たとえば、メタバース内で開催される世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット」には、ゲーム・アパレル・通信など業種を問わず、毎年さまざまな企業が参加しています。
さらには、省庁や地方自治体、NPO団体からの参加もあり、2023年夏に開かれた「バーチャルマーケット2023 Summer:CONNECT」には70社を超える出展がありました。
また、近年は大手百貨店が次々にメタバースに参入しており、三越伊勢丹がメタバース空間に新宿店を再現したり、大丸松坂屋がメタバースで使用できるオリジナル3Dアバターの販売を開始したりしています。
若者をはじめとする広い客層へのアプローチや、どこにいても24時間好きな時にアクセスできるというネット空間ならではの強みが注目されています。
VRChatの利用者は増えている
VRChatの利用者数が近年増加しています。
VRChatは、トップクラスの知名度を誇るメタバースです。
VRChatは、月間アクティブユーザー数を公開していないので、利用者の正確な数字を知ることはできません。
しかし、同時アクセス数の推移を見る限りアクティブユーザー数は右肩上がりに上昇していると思われ、2023年の段階で、コロナ禍以前と比較してだいたい5倍以上になっていると推定されます。
3Dモデルの売り上げが伸びている
3Dモデルの売り上げも増加傾向です。
創作物の総合マーケット「Booth」が発表した「BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書」によると3Dモデルカテゴリの取扱高の推移は以下のようになっています。
なお、3Dモデルカテゴリには、3Dアバター・髪型・衣装・アクセサリなどが含まれます。
2018年 | 5000万円 |
2019年 | 3.1億円 |
2020年 | 7.4億円 |
2021年 | 14億円 |
2022年 | 24億円 |
ちなみに、3Dモデルカテゴリの注文件数、注文者数も取扱高と同様、右肩上がりに推移しており、メタバースで使用されるアバターの需要が大きく増加していることがわかります。
このことからも、メタバースの需要が順調に伸びていることが伺えます。
|まとめ
この記事では、メタバースの利用に失敗する理由と成功へのアイデア、さらに今後のメタバースの可能性について解説してきました。
メタバースの利用に失敗してしまう理由は、人手不足やメタバースへの理解不足、魅力的なコンテンツ不足があげられます。
しかし、これらはきちんと準備できれば乗り越えられる壁です。
メタバースは今後、大きな発展が期待される分野です。
メタバースのビジネス活用に興味があれば、前向きに検討してみることをおすすめします。