こんにちは!メタバース相談室です。
本日はメタバースとデジタルヒューマンの関係について深掘りしていきます。
デジタルヒューマンについて知りたい、メタバース内でのデジタルヒューマンの活用事例を知りたい方にぜひおすすめです。
デジタルヒューマンのビジネス的メリットと活用事例、今後どのように事業に活かせるのかについて早速見ていきましょう。
目次
|デジタルヒューマンとは?
デジタルヒューマンとは、人間そっくりの姿をしたAIキャラクターのことを指します。
主な活用方法としては、バーチャルモデルとしての活動、接客業務などが挙げられます。デジタルヒューマンのメリットとしては、受け手に対して感情を伴ったアプローチができることにあります。
人間と自然言語でやり取りするチャットボットは、数年前から企業が導入するようになりましたが、これらのチャットボットが、最近肉体を持った人間のようにやり取りできる形に進化しています。
調査会社Emergen Researchが2022年1月24日に発表した、世界のデジタルヒューマン市場に関するレポートによると、市場規模は2020年には100億3,000万ドルほどだったものが、2030年までに年平均成長率46.4%で成長して5,275億8,000万ドルになると予測しています。
コロナ禍以降、急速に普及しつつあるリモート授業やバーチャル指導の現場にデジタルヒューマンが導入されることで、人間のような表情を表出できるデジタルヒューマンが生徒に共感を持たせる存在になることが期待されています。
|デジタルヒューマンのビジネス活用
それでは、デジタルヒューマンが企業でどのようにビジネスに活用されているのでしょうか。
実際に期待されている業務内容に分けて見ていきたいと思います。
ブランドアンバサダー
まず1つ目は、広告塔にデジタルヒューマンを活用する方法です。
例えば、企業が動画サイトやSNSを利用して動画投稿をしている場合、自社で制作した動画にデジタルヒューマンを出演させて商品の紹介を行ったとします。
動画の視聴者側にデジタルヒューマンが出演しているため注目されやすく、動画の出演者にデジタルヒューマンを選ぶだけで良いため、出演者のキャスティングの必要がないなど、さまざまなメリットがあります。
今後は、企業や商品の広告塔として多くの活用が期待されます。
アイドル・タレント・モデル
2つ目は、アイドル・タレント・モデルにデジタルヒューマンを活用する方法です。
これら分野で活用されるデジタルヒューマンは、インフルエンサーとしての役割も見込めるため、デジタルヒューマンの行動や言動から新たなトレンドが生み出されることも期待でき、スキャンダルのリスクもないため、損害が生まれないメリットがあります。
小売業のスタッフ
3つ目は、販売員にデジタルヒューマンを活用する方法です。
デジタルヒューマンは顧客との接客で交わした会話から追加学習を行うことができるため、接客を繰り返すことによって顧客のニーズに応じた質の高い接客を行うことが可能になるメリットがあります。
コンシェルジュ
最後に4つ目は、コンシェルジュにデジタルヒューマンを活用する方法です。
さまざまな施設の案内役にデジタルヒューマンを活用することもできます。例えば、駅の利用者に対して構内や設備について説明したり、大型商業施設の利用客に対して店舗紹介したりできるメリットがあります。
|デジタルヒューマンのメリット・デメリット
では、なぜデジタルヒューマンが現在ここまで注目されているのでしょうか?
その理由をデジタルヒューマン導入のメリットとデメリットから紐解いていきましょう。
デジタルヒューマンのメリット
デジタルヒューマンを活用するメリットは数多くあります。それぞれのメリットを深掘りしていきたいと思います。
コスト削減ができる
まず一番大きいメリットは、コストを削減できることにあります。
販売員としてデジタルヒューマンを活用したことを想像してみてください。人間の場合は、研修を行い、先輩社員がついて業務が問題なく行えるようになるまで付き、それでも最初のころはミスもあり、都度カバーが必要になってくると思います。
しかし、デジタルヒューマンの場合は、1度研修内容を学習させてしまえば、すぐに24時間365日稼働が可能で、人的ミスも起こりえません。
人間味のある接客ができる
ロボットだとミスはないかもしれないけれど、対面の接客をさせるのは機械的すぎるので不安という声もあるかもしれません。
しかし、2つ目のメリットがその懸念点を払しょくしてくれます。デジタルヒューマンの魅力は人間らしいコミュニケーションが可能という点にあります。
従来のチャットボットと違い、感情表現やちょっとしたしぐさなども表現することが可能になっているため、お客様に抵抗感を与えずに接客することが可能になります。
企業価値を向上させることができる
さらにデジタルヒューマンを採用することは、顧客満足度の向上にもつながります。
従来のチャットボットよりも感情的なコミュニケーションが可能なので、ショッピングの中に「楽しさ」「快適さ」「居心地の良さ」が追加されます。
常に安定した水準で接客が可能になるため、お客様は安心してショッピングすることができ、売上アップにつながることが期待できます。
さらに、いつ来店しても変わらぬ接客を受けられることでリピーター獲得にも役立ち、企業価値を向上させる効果が見込めます。
人間スタッフの負担を減らせる
デジタルヒューマンはスタッフの人的負担を減らすことも可能になります。
当然、生身の人間を従業員として雇っていると、単純な事務作業に多くの人間が割かれてしまいます。しかし、デジタルヒューマンを活用することで、手間のかかる単純な業務はデジタルヒューマンに任せ、人間の従業員は人間にしかできない業務に注力することができます。
グローバルに対応できる
デジタルヒューマンは外国語を学習してしまえば、海外からの利用客の対応も可能になります。外国語を話せる従業員を雇ったり、従業員に外国語習得の勉強をさせたりする必要はありません。
また、24時間稼働することも可能なので、時差による営業時間のすれ違いはありません。アメリカからでも、ヨーロッパからでも世界中どこからでも、お客様の活動時間に対応が可能になります。
デジタルヒューマンのデメリット・課題点
ここまでデジタルヒューマンを活用するメリットを解説してきましたが、一つもデメリットがないものなど存在しません。
ここからはデジタルヒューマンのデメリットについて紹介していきますので、その点を十分理解したうえで上手にデジタルヒューマンを活用してください。
皆さんは「不気味の谷」という言葉はご存じでしょうか?
人間に中途半端に近いデジタルヒューマンを目の前にすると、不気味さや嫌悪感、恐怖感を抱いてしまう人が多い現象です。
つまり、本物の人間とまったく同じレベルでデジタルヒューマンとコミュニケーションが取れる域に達するまで、好感をもって受け止めてもらうことができないというデメリットがあります。
この課題の克服が非常に難しいということもあり、アニメのキャラクターや、あえてロボットチックなアバターを利用する場合もあるのだそうです。
|デジタルヒューマンの活用事例
ここまでデジタルヒューマンがどのような現場での活用が期待されているか、デジタルヒューマンを活用するメリットとデメリットについて解説してきましたが、実際に今どのようなデジタルヒューマンが存在するのかについて見ていきたいと思います。
バーチャルモデル「imma」
出典:https://www.instagram.com/imma.gram/?hl=ja
最初に紹介するのはバーチャルモデル「imma」です。
Instagramのフォロワー数は40万人を超え(2022年8月時点)、Burberryなどの有名ブランドともコラボレーション企画を実施し、PorscheやIKEAなどの広告にも起用されているバーチャルモデルです。
バーチャルモデルという肩書きからも想像できるかとは思いますが、immaは実在の人物ではなく、CGで構成されたモデルです。
実際にInstagramに投稿されている画像を見てみると、本物の人間と見間違えてしまうほどのクオリティになっています。
完全自律型会話アニメーション「サム」
出典:https://robotstart.info/2020/04/21/soul-machines.html
次に紹介するのは完全自律型会話アニメーション「サム」です。
海外のスタートアップ企業「ソウルマシーンズ」(Soul Machines Co., Ltd.)が開発するアニメーションプラットフォームです。
会話の内容に合わせて表情がヒューマンライクに変化することが大きな特徴で、国内では既にSK-Ⅱが導入していたり、過去にIBM Watsonとコラボしていたりと活用の幅を広げています。
ホログラフィックキャラクター「逢妻ヒカリ」
出典:https://www.gatebox.ai/hikari
3つ目に紹介するのはホログラフィックキャラクター「逢妻ヒカリ」です。
筒型デバイスを開発するGateboxが、同デバイスで表示するバーチャルキャラクターをカスタマイズするサービスを提供しています。
2021年11月から稼働した損保ジャパンのキャラクター「ジャパンダ」によるPR活動を行っており、羽田空港や中部国際空港で訪問者に対して旅行保険の販売促進に一役を買っています。
デジタルヒューマン「ソフィー」
出典:https://youtu.be/9OZQsUYFERM
4つ目に紹介するのはデジタルヒューマン「ソフィー」です。
UneeQ社によるデジタルヒューマンで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ヘルスアドバイザーとして導入されています。
UneeQ社で展開しているデジタルヒューマンサービスはカスタマーアシスタント、財務顧問といった活用方法ごとにカスタマイズでき、また、デジタルヒューマン制作ツール「UneeQ Creator」も提供しています。
2021年には物理学者アルベルト・アインシュタインのノーベル物理学賞受賞100周年を記念して、アインシュタインのデジタルヒューマン化も行っています。
携帯電話会社大手「Vodafone」ブランドアンバサダー
出典:https://youtu.be/jAJP0qlVlw0
イギリスに本社を置く携帯電話会社のVodafoneでもデジタルヒューマンが導入されており、店頭でデジタルヒューマンが流ちょうに会話をしながら接客を行うことができます。
ボーダフォンのデジタルヒューマンは、来店客を笑顔で迎え、業務を手伝ってくれます。彼女は最初から最後までスタッフの手を借りることなく取引を処理することができるので、スタッフはより差し迫ったタスクに集中することができます。
お客様は、ボーダフォンのブランドアンバサダーによる人間らしいサービスを受けたことを実感して頂けます。
|メタバース時代のデジタルヒューマン
デジタルヒューマンは、CGゆえに煌びやかでリアルな世界観も演出しやすく、企業のコンセプトやイメージ通りのキャラクターを生み出すこともできるためメタバースでの活用が期待されています。
具体的にはどのような役割が期待されているのか紹介していきます。
バーチャルブランドアンバサダー
ブランドアンバサダーとしてメタバースでデジタルヒューマンを活用している事例として、「Jake from State Farm」があります。
これは、家庭用ゲーム「NBA 2022」の中に登場するNPCです。アメリカの保険会社で、NBAのメインスポンサーとして有名な企業です。
皆さんが日頃から見ているインフルエンサーやキャラクターがブランドイメージを向上させるためにメタバース上に出現することで、直接Jakeが保険を販売するわけではないですが、顧客との新たな付き合い方として大いに活用されています。
リテールチャネル
メタバースでのちょっとした取引でも、デジタルヒューマン(アバター)が好まれるインターフェースになることも可能です。
例えば、メタバース空間内でおなかがすいた時、一度現実世界でデリバリーを注文するよりも、メタバース空間の店舗で注文できた方が圧倒的に体験価値は高まります。
そのために企業は、顧客とのより感情的なコミュニケーションが可能で、より人間らしいインターフェースの提供に努めます。
つまり、メタバースの中でより自然にシームレスな体験を提供し、ユーザーがもっとメタバースを楽しむことができるようになるのです。
ガイドコンシェルジュサービス
メタバース空間内を案内するガイドコンシェルジュとして活用されているのが、オーストラリアのNoel Leemingで運用されている「Nola」です。
Nolaはオークランド店で導入され、店内のコンシェルジュのような役割を担っています。店内を案内し、商品を探すサポートをします。
また、Nolaは、お客様の要望に応えるため、人間の従業員との橋渡しをすることもできます。
また、WebXRコマースを運営する株式会社palanとデジタルヒューマンを生成する株式会社データグリッドが協業しデジタルヒューマンを活用しています。
こちらではメタバース上のアート展にコンシェルジュとして常駐し、入り口付近でWebXRコマースの仕組みやアーティストなどについて説明する役を担っていました。
|まとめ
ここまでバーチャルヒューマンとは何か?からバーチャルヒューマンのメリット・デメリット、バーチャルヒューマンの活用方法とその役割について解説してきました。
画面上に人間そっくりのアバターが登場することに忌避感がまだ拭えない人もまだいるとは思います。しかし、バーチャルヒューマンを活用することで、私たちの生活は格段に良いものになることは間違いないと確信しています。
いつかSF映画で見た未来が間近に迫っていることにワクワクしている人も多いのではないでしょうか?そんな未来を楽しみにしながら今後の動向を見ていきましょう。