近年、地方自治体の間ではメタバースを活用した取り組みが急速に増えています。
また、メタバースの種類も増加しており、適用する政策に基づいて最適なプラットフォームを選択するという手法も珍しくありません。
今回の記事では、実際に神奈川県が行った過去の事例をはじめ、直近の取り組みを詳細に紹介していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|メタバースとは
メタバースは、現実世界を超越した、CGによって創り上げられた全く新しい仮想環境を指します。
その名称は、「超越」を意味するラテン語「メタ(meta)」と、「宇宙」を指す「ユニバース(universe)」の組み合わせから由来しており、1992年にニール・スティーブンソンが著したSF小説「スノウ・クラッシュ」で初めて提唱されました。
メタバースの世界へのアクセスは、「アバター」によって行われます。
アバターはユーザー自身の仮想空間上の代理人となり、その中で活動することを可能にします。
役割は単なる旅行者からビジネスパーソン、エンターテイナーまで広がり、アバターとしての生活を通じて、仮想世界での交流を図ったり、買い物を楽しんだり、さまざまなアクティビティを体験することが可能です。
従って、メタバースは「現実世界と仮想世界の境界が曖昧になる」世界を提供することを求められています。
この境界線の曖昧さこそが、メタバースの鍵となるコンセプトであり、それが可能にする新しい体験は、現実と仮想の間で生じる新たな対話と共有体験の余地を広げます。
もっと詳細に知りたい方はこちらの記事もチェックしてみてください。
|神奈川県で実施された事例
ここでは、神奈川県で実施された事例についてご紹介します。
未来応援、アクション
ProVisionは、2023年12月20日から、神奈川県の社会問題解決プロジェクト『未来応援、アクション』に協力する形で、メタバースの世界”ROBLOX”で新たにSDGsに関する取り組みを開始しました。
このプラットフォームで、ProVisionが作成したものをユーザーが買えるようにして、その売上を困っている若者の援助に使います。
『未来応援、アクション』は、売上の一部を子どもや若者のために寄付するという新しい方法を神奈川県が始めました。
企業や団体は、自分たちが提供する商品やサービスをこのプロジェクトに登録し、売上に基づいて寄付を行います。
ProVisionはこの取り組みに賛同し、自社の製品をメタバースの”ROBLOX”上で販売することで、将来の世代への支援に貢献しています。
かながわ“ともいきアート”ワールド
グリーの子会社であるREALITY XR cloudが、神奈川県の「ともいきメタバース推進事業」を担当し、スマートフォン向けメタバース「REALITY」にて「かながわ“ともいきアート”ワールド」を一時的に開催しました。
これは1億人以上のユーザーが訪れるこのバーチャル空間で、障がいのある方によるアートを全ての人がいつでもどこでも楽しめる形で提供することを目指しています。
この取り組みはより豊かな共生社会をメタバースを通じてサポートすることを目指しています。
神奈川県は、障がいのある方の社会参加の機会を広げるべく、「ともいきアート」のプロジェクトを推進、また、メタバースの活用を探求しています。
その一部として、REALITY XR cloudは、障がいのある方向けのメタバース利用と技術習得を目的とした講習会を開催しています。
※こちらについては第2回の開催が決定しており、2024年2月7日〜21日で開催予定となっています。
神奈川県“つながり発見”パーク
神奈川県は、ひきこもり当事者を対象に、メタバースを活用した新たな形のコミュニケーションと職業体験の場を提供する初の事業を開始します。
アバターを通じて他者と交流し、Vtuberがメタバース上の就労体験を紹介するこのイベントは、社会との接続を促進する目的で開催されます。
参加者は、異なる趣味や職業について学び、キャリア教育動画を視聴することができます。
また、アンケートに回答することで、イベント会場の愛称を提案したり、さらに商品クーポンを抽選で獲得するチャンスもあります。
これらの取り組みは、参加者が社会参加のきっかけになることを望んでいます。
メタバースヨコスカ
横須賀の観光名所が仮想世界「メタバース」に登場しました。
「メタバースヨコスカ」というこの新空間では、VRヘッドセットを通じて横須賀の魅力を世界中から誰でも体験することが可能です。
ナイトライフの楽しみや美味しい料理など横須賀の文化を体験でき、さらに特別なイベントスペースも用意しております。
本プロジェクトは全世界のクリエイターを引き寄せることを目指し、主要な3Dアセットを随時公開して、個々の表現の追求を奨励します。
コミュニティと共に生み出されるこの新たな形の観光体験、「メタバースヨコスカ」に参加し、横須賀の魅力に触れてみてください。
横浜市におけるGIGAスクール構想
神奈川県横浜市は、次世代のICT技術者を育成する観点から「横浜市におけるGIGAスクール構想」を策定し、2022年10月に「メタバース英会話・AR/VR体験イベント」を行いました。
このイベントは、小学生が放課後の時間にICT技術に触れる機会を広げることを目指し、メタバース・XR開発会社、学童・児童館運営機関、ALT派遣事業会社のトリプルパートナーシップによって実現されました。
イベント中、学童生徒はメタバース空間でアバターを使った英会話体験や、ARサンタ体験、VRゴーグルを通じた実体験を楽しむことができます。
これらのプラットフォームはすべて学生が簡単に操作できるよう配慮され、パソコンやスマートフォン、VRゴーグルと組み合わせて、リッチな没入体験を提供します。
SHOWCASE工作CG化
子供の成長や創作活動の記録をデジタル保存するため、神奈川県海老名市のスタートアップ、SHOWCASEが新たなサービスを開始しました。
子供たちの作品をCG化し、端末で楽しめるようにするとともに、仮想空間「メタバース」での企画展示も可能にしました。
開発のきっかけは、社長の貝塚氏自身が専業主夫となり、保育園に通う子供の作品の保管に悩んだ経験によるものです。
特に、娘が作った立体的な「時計」作品を保存する必要性を感じ、これを画像ではなくデータで立体的に保管する技術を開発することに至りました。
成長の過程を親子で振り返るだけでなく、子供たちの創造力を更に育む新技術に注目が集まっています。
|神奈川県での直近の動向
過去の事例について詳しくご紹介しました。
ここからは最近の事例についてご紹介します。
神奈川県政策研究フォーラム
神奈川県政策研究センターは、令和6年1月24日にオンラインで開催する政策研究フォーラム「メタバース:行政課題への新たなアプローチ ―地方自治体の取組事例とこれからの社会―」の参加者を募集しています(定員90名)。
このフォーラムでは、メタバースを行政の課題解決に活用する可能性を探求します。
講演や地方自治体の実例紹介を通じ、メタバースの適用によって行政課題がどのように解消され、その結果社会はどのように進化するかを考察します。
|まとめ
本記事では神奈川県で行われたメタバースの過去事例や現在の動向についてご紹介しました。
他の地方自治体などこれからもメタバースを活用した事例が増えていくでしょう。
当サイトでは、今後もメタバース関連の動向を注視していきますので、ぜひとも別の記事もお読みください。
最後までご覧いただきありがとうございました。