江戸時代は、日本の芸術、文化、思想が大いに発展した時代です。

この時代には日本の伝統的な精神が形成され、その影響は今日まで広く世界に広まっています。

これらの価値観を現代の視点で再解釈しようとする試みとして立ち上げられたプロジェクトが江戸バース(EdoVerse)です。

2024年1月末より本格稼働となった江戸バースについて、本記事ではその実態や魅力、今後の見通しにまで迫っていきます。

もともと気になっていた方はもちろん、初めて聞いたという方にもぜひ最後までお付き合い頂ければと思います。

|江戸バースとは

江戸バースはその名の通り、江戸の街並みを再現したメタバース空間です。

ユーザーはPCやスマートフォンからアバターを用いて江戸を探索することができます。

運営しているのは、シンワワイズホールディングスの100%子会社であるEdoverse株式会社です。

古き良き日本の江戸時代にインスピレーションを受けており、廻転寿司や茶道、浮世絵などの江戸時代の伝統文化が、デジタルアート、VR、ゲームデザインなど、最新のテクノロジーを駆使して表現されています。

ユーザーは専用通貨であるEdo CobanやEdo Zeniを使用して、土地を買ったり屋敷を造ったり商売をしたりすることができます。

デジタル芸術プロジェクトともいえる江戸バースは、そのコンセプトはもちろん、徳川宗家19代目の徳川家広氏が直々に監修していることでも話題となりました。

2022年7月から通貨の発行や土地の販売が始まっており、2024年1月末より本格稼働となりました。

|江戸バースの特徴

まずはじめは、江戸バースには何がありそこで何ができるのか、以下の3つについて詳しく紹介していきたいと思います。

・江戸に土地を購入し、商いができる

・江戸バース特有の通貨

・NFTの購入、運用

江戸に土地を購入し、商いができる

まず1つ目に、江戸の町に土地を持ち、事業を営むことができます。

江戸バース空間内では土地がNFT(Non-Fungible Token)として販売されています。

購入した土地は自由に活用できるため、ユーザーは購入した土地NFTで店舗や施設を運営します。

現実の土地と場所がリンクしており区画によって土地の価値が違うため、どこでどのような商いをするのか考える必要があります。

また、それぞれの土地NFTには藩の名前が付けられており、同じ藩のユーザーと協力しながらコミュニティを形成することが可能です。

江戸バース特有の通貨

先ほども少しお話しましたが、江戸バースには特有の通貨であるEdo CobanとEdo Zeniが存在し、これらを使って経済活動やその他の行動を行うことができます。

これらは当時使用されていた小判や銭にちなんだNFTです。江戸時代は基本的に金貨・銀貨・銅貨の銭を使った貨幣制度が導入されており、小判(金貨の一種)は最も価値の高いものでした。

それに則り、Edo CobanもEdo Zeniより希少なトークンとして扱われています。

Edo Zeniが主に商品の売買に用いられ、江戸バース内の経済活動において最も出回るトークンである一方で、Edo Zeniは役割変更や藩の移動といった特殊な場面で使われます。

CobanとZeniはどちらもイーサリアムのERC-20トークン規格に準拠している仮想通貨であり、ゲーム業界で大きな変化を巻き起こしている「GameFi」と「DeFi」プロトコルの仕組みを活用して、新たな経済システムを作り上げると考えられています。

NFTの購入、運用

NFTの購入や運用を行えるという特徴もあります。

江戸バースで扱われるNFTは土地だけでなく、刀やその他の武器、道具、アートがあります。

刀NFTは江戸時代の名刀をモチーフにしており、それぞれデザインや性能が異なるのが特徴で、合成や強化を行うことでより強い刀に仕上げることができます。

江戸バースでは悪霊や野生動物と戦うという要素があるため、強い武器はより価値があるため、高値で取引を行えます。

このように、江戸バースではNFTを購入したり運用したりすることができます。

|江戸バースの楽しみ方

ここまで、江戸バースがどういったものなのか、何ができるのかについて紹介してきました。

続いては、具体的な空間の楽しめる3つのコンテンツを紹介します。

・江戸観光

・ギャラリー

・通貨を稼ぐ

江戸観光

江戸バースの魅力は何と言っても、江戸の町を好きなように観光できることです。

当時の江戸は関所を通過するのに通行手形が必要でした。

しかし、江戸バースではウォレットが通行手形代わりとなっており、各地を自由に探索することができるようになっています。

また、空間内には城や藩主の屋敷、神社や商業地区が史実に則って忠実に再現されており、江戸時代に本当にタイムスリップしたかのような感覚に陥ります。

さらに、当時の日常生活の一部を体験することもできるため、江戸の文化をより身近に感じることが可能です。

ギャラリー

江戸バースにはアートギャラリー用の区画が用意され、ユーザーはさまざまなアートを楽しむこともできます。

鑑賞することはもちろん、自身の作品を出品することも可能であるため、現実世界で画商やコレクター、アーティストである人たちにとってもビジネスの場となります。

ただし、あくまでメタバース上での展示・販売となるため、デジタル化されている作品(NFT)に限られます。

このアートコンプレックス事業は日本で上場している老舗のアートオークション会社が運営します。

通貨を稼ぐ

江戸バースは、Edo CobanやEdo Zeniといった通貨を稼ぎながら色々なコンテンツを楽しめます。

江戸バースの通貨生成は、暗号通貨のテクノロジーとゲームメカニクスを組み合わせたプレイ・トゥ・アーン(Play to Earn)の概念に基づいています。

プレイ・トゥ・アーンとは、ユーザーがゲーム内で、対戦やアイテムの収集などのタスクを達成したり、レベルを上げたりすることによって、リアルワールドの価値を持つデジタル通貨を獲得するシステムです。

空間内で得た通貨は、ゲーム内のアイテムの購入や交換、さらにはリアルワールドの通貨への換金など、さまざまな形で利用することができます。

また、先ほどのNFTアートなども通貨でやりとりされます。

このように、江戸バースではゲームをプレイしたりエンターテイメントを楽しんだりするだけでなく、その時間と労力が本物のお金に変わるという、これまでにない新しい体験が可能となっています。

|江戸バースの土地の買い方

ここまで、江戸バースの概要や魅力について紹介してきました。

最後は、では実際にどうすれば始められるのかということについて説明していきます。

始めるにあたってはまず、土地を購入する必要があります。

土地の購入には次のステップが必要です。

・国内取引所でイーサリアムを購入する

・メタマスクを準備する

・OpenSeaで土地を購入する

・公式サイトで購入する

国内取引所でイーサリアムを購入する

江戸バース内での売買には仮想通貨を使用するため、まずはイーサリアムが必要となります。

イーサリアムの購入には日本国内の仮想通貨取引所を利用します。初心者におすすめな取引所は次の3つです。

・コインチェック(ネットショッピング感覚で手軽に購入できる)

・SBIVCトレード(手数料が安い)

・ビットフライヤー(セキュリティに定評あり)

利用者の同意のもと、必要な情報(氏名、メールアドレス、電話番号など)を入力やアカウントの認証を行い、無料登録を完了しましょう。

次に、取引所への入金をします。これは銀行振り込みだけでなく、クレジットカードでの入金も可能な場合があります。ただし、各取引所により手数料や処理時間に差があるため、それらは確認が必要です。

入金が完了したら、取引所の取引画面からイーサリアムを購入します。

対応する販売価格に従って購入額を決定し、取引を行います。

これでイーサリアムの購入は完了です。

メタマスクを準備する

江戸バースではウォレットが必要となります。ウォレットには色々ありますが、江戸バースではメタマスク(Metamask)が推奨されています。

メタマスクは、ブロックチェーンベースのウェブサイトにアクセスするためのウェブブラウザ拡張機能であり、イーサリアムウォレットとしても機能します。

メタマスクの導入は、ChromeやFirefoxなどのブラウザで公式サイトからダウンロードできます。

拡張機能がインストールされると、ウォレットの作成または既存ウォレットの復元が必要です。

ウォレット作成時に表示されるパスフレーズは、紛失するとウォレットの復元を行えなくなるため、大切に保管しましょう。

OpenSeaで土地を購入する

イーサリアムの購入からメタマスクの準備まで完了したら、OpenSeaにアクセスしましょう。

OpenSeaは世界最大のNFTマーケットプレイスで、江戸バースの土地などのNFTを購入できます。

OpenSeaの利用にはまず、アカウントの作成が必要です。

次に、上で準備したメタマスクとOpenSeaのアカウントを連携します。

これにより、OpenSeaでの取引でメタマスクのウォレットを使用できます。

その後、適切な土地のNFTを見つけて購入します。

購入方法は、一般的には「Buy Now」をクリックして指示に従います。取引が完了するとその土地のNFTは自分のウォレットに保管されます。

公式サイトで購入する

タイミングによっては日本円で土地を購入することもできます。

しかし、初回販売分は発売から1時間ほどで完売しており、その後は仮想通貨での販売となっていました。

2023年3月末にも日本円での取引が行われているため、今後も実施される可能性が高いと思われます。

日本円で取引する場合はGoogleフォームへの必要事項の入力と指定の銀行口座への振り込みが必要となります。これらが完了すると、後日NFTが発行されます。

このフローでも、Googleフォームへの情報入力の際に上記で述べたメタマスクが必要になりますので、江戸バースを始めるにあたってメタマスクの準備は必須だということがわかります。

|江戸バースの将来性

江戸バースの将来の展望について、Edoverse株式会社社長の倉田陽一郎氏とアドバイザーの松田元氏がYouTubeで対談をしています。

江戸バースがメタバースの特性を最大限に活かし、現実世界を超えた利便性を追求する世界を構想しているようでした。

また、江戸バース内での土地の価格にも触れられており、将来的にその価値が学術的な観点から評価されることを期待されています。

さらに、将来的には大勢のユーザーを取り込みながら、経済性、教育性、持続可能性のすべての面からアプローチするプロジェクトに発展することを見込んでいるようです。

|まとめ

今回は、江戸バースの実態や魅力、そしてその将来性について説明しました。

長く続いた江戸時代に形成された文化を、現代の技術を駆使して体験できるよう立ち上げられたのがこのプロジェクトです。

2023年2月に行われたオークションにおいては、新選組アバターが500万円で落札されるなどの盛り上がりも見せています。

この記事を見て気になった、買ってみたいと思ってくださった方がいれば、ぜひお試しいただければと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。