コンピュータの性能向上を可能にするGPU(グラフィックス処理装置)の存在感がますます高まっています。

そんな中で「そもそもGPUというのはなに?」「CPUと何が違う?」と疑問に思われている方のために、本記事では、GPUの基本的な概念から、GPUの種類やCPUとの違い、さらにGPUが注目されている理由まで詳しく解説していきます。

GPUの仕組みや魅力について知りたい方はぜひご一読ください。

|GPUとは

GPUとは、Graphics Processing Unitの略で、3Dグラフィックスなどの画像描写を行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップのことです。

GPUはPCの画面表示を担当します。PCの映像出力を司る役割を持ち、立体的な3D Computer Graphicsを高速に生成するのに特化しています。

具体的には、コンピュータゲームにおけるリアルタイムな3D描画、映画などのプロフェッショナルな3D映像の生成、また画像編集ソフトで顔認識などの処理を行なっています。

このような作業は非常に大きい計算が要りますが、GPUは多数のコアを持つことでこれらを一度に並列処理することができ、画像生成を高速的に実現しています。

そのため、3D Graphicsが多用されるゲームをスムーズに動作させるためには、高性能なGPUが必須となります。

|GPUの種類

GPUの種類には、内蔵GPUとGPUクラウドとグラフィックボードがあります。

ここではこの3種類のGPUを詳しく紹介します。

内蔵GPU

内蔵GPU(または、統合型GPU)は、中央処理装置に直接組み込まれたグラフィックス処理装置のことを指します。

その設計から、内蔵GPUはチップセットとして機能し、CPUとGPUが同じチップ上に存在します。

この統合的な設計は、PC全体の省エネルギーとコンパクトさを実現します。

しかし、統合型GPUは専用のメモリを持たず、システムRAMを利用するため、パフォーマンスは独立型(または、ディスクリート型)GPUに比べ一般的に低くなります。

これらの制約から、統合型GPUはエントリーレベルのPCゲームや基礎的な写真編集などの、高度なGraphics処理が不要な用途に最適です。

GPUクラウド

GPU Cloudは、クラウドコンピューティング環境の中でGPUを利用可能にしたサービスのことを指します。

ユーザーはインターネットを通じて、これらのGPUリソースをオンデマンドでアクセスし、使用することが可能です。

一般的に、GPU搭載の物理的なマシンは高価であり、多くの電力を消費します。

しかし、GPU Cloudを利用することで、ユーザーは大きな初期投資や運用コストを必要とせずにGPUリソースを利用することが可能になります。

これは特に、大規模なData解析や複雑な3Dレンダリング、深層学習などを必要とする課題に対して非常に有効です。

例えばAmazon Web Services(AWS)、Google Cloud Platform(GCP)、Microsoft Azureなどは、各自のCloudプラットフォーム上でGPUを提供しています。

これらのサービスは、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、人工知能(AI)、データ分析など、さまざまな応用領域で利用されています。

グラフィックボード

グラフィックボード(またはビデオカード、グラフィックカード)は、コンピュータに映像を表示するためのハードウェアコンポーネントで、GPU搭載の土台のことです。

グラフィックボードは、2D/3D Graphicsの描画、ビデオレンダリング、ゲームの性能強化、専門的なデザイン・作成ツールなど、あらゆる映像関連の処理を行います。

詳細な画像や複雑なビデオエフェクトをスムーズに表示するためには、高性能なグラフィックボードが必要となります。

特に、ゲーム業界や映像制作、CAD(コンピュータ支援設計)などにおいて重要ですが、近年ではAIやディープラーニングの分野でも、その強力な並列処理能力が利用されています。

|GPUとCPUは何が違う?

CPU(中央処理装置)とGPU(グラフィックス処理装置)はコンピュータにおいて欠かせない部品です。

両者は一見似ていますが、それぞれが異なる役割を果たします。その違いを詳しく見ていきましょう。

CPUとは

CPUとは、Central Processing Unitの略で、パソコンの主要な構成要素の一つで、他の装置・回路の制御やデータの演算などを行う装置です。

CPUは、コンピュータ上のハードウェアやソフトウェアから受け取る全ての指示を処理する部品で、コンピュータの頭脳部分にあたります。

CPUの性能は、クロック速度(GHz単位で測定)によっても評価されます。

クロック速度は、CPUが1秒間に実行できるサイクルの数を示し、一般的にはこの数値が高いほど処理能力が高いとされます。

GPUとCPUの違い

GPUとCPUは、共にコンピュータの核心的な部品として計算の仕事をしていますが、彼らの間の主な違いは、求められる処理タイプにあります。

CPUは少数のコア(通常は1〜8コア)を持ち、それぞれが高度な命令セットを使用して単一のタスクに専念します。

一方、GPUは100〜1000以上のコアを持つことが一般的で、1つの大きな作業を多くの小さな一部分に分割し、その一部分を同時にします。

簡単にいうと、CPUはコンピュータ全体を担当する総合職のため複雑な作業が得意で、GPUは動画や画像などの描画を担当する専門職のため単純作業が得意です。

また、CPUはGPUよりも仕事のスピードが早いですが、GPUはCPUよりもいくつかの作業を同時に行うことに優れています。

|GPUのニーズが高まっている理由

近年ではゲーミングPC需要の増加やメタバースの利用の増加やAI開発の利用増加で、GPUのニーズが非常に高まっています。

ここではそんなGPUのニーズが高まっている理由について解説します。

ゲーミングPC需要の増加

ゲーミングPCへの需要の増加でGPUのニーズが高まりました。

なぜかというと、高いゲームのリアリティが求められているからです。

現代のビデオゲームは、以前よりもはるかに高レベルのGraphicsとリアルタイムのレンダリングが必要です。

GPUはゲームの描画速度と品質を大幅に向上させることができるため、高品質なゲーム体験を追求するゲーマーにとっては必須のコンポーネントとなります。

また、リアルタイムのゲームストリーミング(例:TwitchやYouTube Gaming)は人気があり、プロのストリーマーたちはハードウェアを頻繁にアップグレードする傾向があります。

リアルタイムでの高品質なストリーミングは強力なGraphics表現力が必要のため、GPUへのニーズが増えています。

メタバースやVR利用には必須

バーチャルリアルティ(VR)や拡張現実(AR)技術の進化もGPU需要を推進しています。

これらの技術は非常に高速かつ高品質なグラフィックスレンダリングを必要とし、これを提供するのがGPUです。

メタバースやVRのアプリケーションはリアルタイムの3Dグラフィックスレンダリングを必要とします。これは、ユーザーが動かす或いは変更するたびに、すべてのオブジェクトをリアルタイムで再描画する必要があるためです。

また、多数のオブジェクト、複雑なテクスチャ、詳細なシャドウ、高度な光学効果など、高度でリアルなビジュアル体験を提供することを求められます。

さらに、VRはユーザーに直接的な視覚体験を提供します。

そのため、画面のチラつきや遅延は不快な体験(運動酔いなど)を引き起こす可能性があります。

これを防ぐためにも、高いパフォーマンスのGPUが不可欠です。

AI開発分野でも重宝されている

AI(人工知能)開発、特に深層学習(Deep Learning)の分野では、大量のデータを扱い、複雑な計算を同時に実行する必要があります。

この要件こそが、GPUの特性に直接対応しています。

GPUはもともと大量のピクセルデータを同時に実行するために設計されているため、非常に多数のコアを搭載しています。

それぞれのコアは同時に異なる計算を実行することができ、複雑な深層学習アルゴリズムのトレーニングや推論といった作業を高速化します。

ニューラルネットワークのトレーニングには大量の行列演算が必要です。

これはGPUが得意とするタスクであり、CPU(中央処理装置)よりもはるかに効率的に行列を扱うことができます。

また、AI開発は大量のデータを必要とします。

特に、深層学習は大量の学習資源に基づいてモデルを訓練します。

そのため、大量のデータを扱う能力が必要となり、GPUの高い並列処理能力はこの作業の中でも非常に重宝します。

|まとめ

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました!

本記事ではGPUの基本的な概念とCPUとの違いを詳しく紹介しました。

また、内蔵GPUとGPUクラウドとグラフィックボードの3種類のGPUを説明しておりますので自分自身のニーズに合わせて必要なGPUを選びましょう。

さらに、近年でゲーミングPCやメタバースやAI開発などの利用増加で増えたGPUのニーズについても詳しく説明しました。ご参考になれば幸いです。