仮想空間と金融業界が交わることで、我々は新たなデジタル経済の扉を開きつつあります。
本記事では、メタバース×金融が注目されている理由や、どのように活用されているのかについて掘り下げていきます。
未来の金融サービスやメタバースは、仮想空間で現実世界に近い経済活動やコミュニケーションが可能な新しい領域であり、金融業界においてもそのポテンシャルが探求されています。具体的な活用例として、金融機関がメタバース内でイベントやサービスを提供し、顧客との相互作用を強化する取り組みが紹介されました。メタバースが金融サービスの未来を形作る一要素として、今後の展開が期待されています。投資、ビジネスにおけるメタバースの役割について、解説しますので是非最後までご覧ください。
目次
|メタバースとは?
メタバースは、要するに「仮想世界」です。
これは、インターネット上に存在する3D空間で、私たちは自身のデジタルアバターを通じてその中に入り込みます。
メタバースの魅力の一つは、現実世界とほぼ同じように行動できることです。
私たちはアバターを操作してゲームを楽しんだり、仮想ミーティングで集まったりすることができます。
実質的に、我々はウェブ上で社会的な生活を営むことができるのです。
この言葉「メタバース」は、「Meta(超越)」と「Universe(世界)」の造語で、1992年にニール・スティーブンソンのSF小説「スノウ・クラッシュ」の中から名前が取られました。
メタバースは新しい概念のように思われることがありますが、その前提となる3D仮想空間「Second Life」は実は2003年に登場し、日本でも2006年ごろに一世を風靡しました。
仮想空間内でのユーザー同士の交流やデジタルアイテムの取引は、実は2000年代にも既に存在していたのです。
詳しくは、下記記事をご覧ください。
|金融業界のメタバース参入理由
ここでは、なぜ金融業界やメタバースに参入してきているのか、その理由をご紹介します。
暗号通貨などのデジタル資産
金融業界がメタバースへ進出することにより、私たちの経済活動に新たな可能性が拡がります。
今後、メタバースがさらに普及すれば、メタバース空間上で経済が回ることが予測されます。
その際には、暗号通貨などのデジタル資産を用いた支払いが一般的になると予測されており、その際にはデジタル資産を保管・管理するためのウォレットが必要になります。
また、日本ではステーブルコインなどの暗号資産に関する規制を定めた「改正資金決済法」が法制化されており、これにより、ステーブルコインを扱う事業者は、新たに暗号資産交換業者として登録し直す必要があり、本人確認の実施が義務づけられました。
このような理由から、メタバース空間は、今後の金融ビジネスにおいて重要な役割を果たすことが予想されていますが、同時に発展途上の課題も多く抱えています。
|メタバースを活用した金融ビジネス
メタバースを活用した金融ビジネスには、どんなものがあるのか?
一部の例をご紹介します。
メタバース関連の株や仮想通貨への投資
1つめは、メタバースの関連銘柄や土地などの投資で稼ぐビジネスをはじめることです。
メタバースへの投資には、いくつか方法があり「株式投資」「暗号資産投資」「NFT投資」などが挙げられます。
数年前にビットコインに投資をした人が億り人になったことが大きな話題となったように、メタバース等の新しいテクノロジーに投資することは資産を増やせる可能性が高いと言えるでしょう。
NFTアイテムの売買
2つめは、NFTアイテムを売買するビジネスです。
メタバース空間上で使用されているアバターの洋服やモーションなどは、NFTとして売買することが可能です。
3Dソフトを使ってメタバース空間で使用できるアイテムを自作し、NFTマーケットで販売することができます。
ここでNFTの大きな特徴のひとつとして「二次流通時にも手数料収入が得られる」というものがあります。
つまり、一度売れたものが転売されたときにも製作者には、売上の数%が入ってくる仕組みということです。
|金融業界のメタバース活用事例
ここからは、実際に金融業界で活用されたメタバースの事例をご紹介します。
三菱UFJ信託銀行
クラスター株式会社が運営するメタバース「cluster」において、三菱UFJ信託銀行の新卒採用イベントが開催されました。
このイベントは、コロナ禍における人材採用の新たなアプローチとして、オフィス体験をリアルに再現し、就活生と企業の相互理解を促進する試みです。
具体的には、バーチャル空間内で三菱UFJ信託銀行のオフィスを3DCGで再現し、就活生が実際のオフィス訪問のような体験をすることができます。
イベントでは会社紹介や人事部とのトークセッション、さらには内定者との座談会が実施されました。
この取り組みは、新卒採用における課題として、コロナ禍でのリアルなイベントが難しい状況下で企業と就活生とのコミュニケーションを促進し、相互理解を深めることを目指しています。
この例からわかるように、メタバースを活用した金融業界の新卒採用イベントは、物理的な制約を克服し、リアルなオフィス体験を提供する新たな方法として注目されています。
みずほ銀行
みずほ銀行は、メタバースを活用した新たなビジネス機会を探求する一環として、株式会社HIKKY主催のVRイベント「バーチャルマーケット2022 Summer」に出展しています。
この取り組みは、社員がアイデアを提供し、新たなビジネス創出や生産性向上を目指す「MIZUHO次世代金融推進プロジェクト」の一部として実施されました。
イベントでは、銀行店舗をイメージしたブースで金融クイズとボルダリングを組み合わせたアトラクションを提供し、社員による座談会を行いました。
本取り組みを通じて、メタバースの特性を生かし、顧客体験やビジネスチャンスを追求し、個人お客さま向けコンサルティングサービスやセミナー開催、法人のお客さま同士の交流など、幅広い領域での活用を検討しています。
JPモルガン・チェース
JPモルガン・チェースは、人気メタバースゲーム「Decentraland」内に、仮想店舗「Onyx by J.P. Morgan(オニキス バイ ジェーピーモルガン)」を開設しました。
ここでは、暗号資産やブロックチェーン技術に関する情報発信や相談を行う仮想店舗「ラウンジ」として、クライアントや関係者に対してデジタル空間でサービスを提供しています。
株式会社三井住友フィナンシャルグループ
三井住友フィナンシャルグループと三井住友銀行は、HashPortグループとの協業により、トークンビジネス分野に参入することを発表しました。
この取り組みは、トークンビジネスに特化した「トークンビジネスラボ」を設立するものです。
トークンビジネスラボは、主にNFTの発行や売却を検討する顧客向けに、トークンビジネスに関する調査、研究、実証実験を行うプロジェクトです。
これにより、メタバースとトークン経済の融合に向けた新たな取り組みが金融業界で進展することが期待されています。
|まとめ
いかがでしたか?
本記事では、メタバース×金融業界について、実際の活用例や、注目されている背景についてご紹介しました。
メタバースは、仮想空間で現実世界に近い経済活動やコミュニケーションが可能な新しい領域であり、金融業界においてもそのポテンシャルが探求されています。
一方で、暗号資産などの法的課題も存在し、まだまだ発展途上の側面もあります。
今後も金融×メタバースの可能性について、動向を探っていきます!
最後までご覧いただきありがとうございました。