2024年1月24日、静岡県はメタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を公開しました。
富士山や伊豆半島など、静岡県の魅力を凝縮したメタバース空間は、観光振興や地域活性化、さらには県政への参加促進など、様々な可能性を秘めています。
本記事では、「Metaverse SHIZUOKA」の概要や特徴、今後の展望について解説します。
バーチャル空間ならではの体験や交流を通じて、静岡県の新たなシンボルとなる可能性を探っていきましょう!
目次
|Metaverse SHIZUOKAとは
このメタバース空間は、レーザースキャナーや他の計測手段を駆使し、県内全域を対象とした3次元点群データ「VIRTUAL SHIZUOKA」をベースにしたものです。
地元企業「株式会社リプロネクスト」によるもので、県内を8つのエリアに分割し、静岡の多様な魅力をデジタル空間に映し出します。
静岡県内の意見交換や観光、移住促進などの活動に積極的に活用される予定であり、地理的・物理的なハードルを乗り越えた気軽な広聴活動が可能となります。
特に、忙しい若年層や移動が難しい方々も、PCやスマートフォンを通じて参加でき、新しい形の交流の場が提供されます。
このメタバースを通じて、県内情報の発信や地域社会への参加が促進され、静岡の未来への新たな一歩が踏み出されることでしょう。
構築の背景とねらい
静岡県はこれまでタウンミーティングや知事広聴などのフォーラムを通じて、広範な意見交換を図り、県政に市民の声を反映させてきました。
しかしながら、健康上や仕事による忙しさから、これらの場へ参加することが難しい方々も増加しています。
特に若年層は、物理的なハードルや移動の制約から、積極的な参加が難しい状況にありました。
この課題に対し、新たな形の交流と参加を促進すべく、「Metaverse SHIZUOKA」が誕生しました。
物理的・時間的な障壁を取り払い、多様な立場や制約を抱える市民が、手軽に参加できる場を提供することを目的として、地域の発展に寄与する新たな参加の形を切り開く一翼を担っています。
|Metaverse SHIZUOKAの特徴
静岡県全体を包括的に捉えて構築されたメタバース空間ですが、以下で、その特徴的な点について詳しく説明していきましょう。
点群データを利用して構築
Metaverse SHIZUOKAは、XYZ座標と色情報から成る3次元点群データを駆使して構築されました。
このデータは、静岡県全域の地形や建造物を仮想空間に再現し、さまざまな用途に柔軟に対応できる特長を有しています。
防災、観光、自動運転、エンターテインメントなど多岐にわたり、利用者は仮想世界でリアルな静岡の風景や構造を体験できます。
VIRTUAL SHIZUOKAプロジェクトにおいては、2024年1月時点で、静岡県全域の面積7777㎢の内6700㎢においてデータ整備が完了し、人口カバー率は100%を達成しています。
デジタルツインとしても知られるこの先進的なアプローチは、現実世界の反映と革新的な体験を提供しています。
目的の異なる8つのエリアで構成
Metaverse SHIZUOKAは、静岡県を8つの異なるエリアに分割した立体的な仮想空間で、県の広聴活動や広報活動に多岐にわたり活用される計画です。
入口である「ふじのくにエントランス」からは、伊豆半島、県東部、県中部、県西部の計4か所の各地域情報がPRされる広報ルームや、富士山や伊豆の計2か所での意見交換が可能な広聴ルーム、さらに県政情報の発信や県外・海外向けの情報発信が行われる「ふじのくに広場」へのアクセスが可能です。
エリア間の移動は簡単で、エントランスに戻らずにワンクリックで別エリアへワープすることができるため、アクセス良好です。
このように、各エリアが独自の魅力を発信し、参加者が多様な体験を享受できる環境が構築されています。
マルチデバイスでの参加が可能
Metaverse SHIZUOKAでは、スマートフォン、PC、VRデバイスなど、様々な端末を利用して無料での参加が可能です。
このサービスは、株式会社NTTコノキューが提供する「DOOR」というプラットフォームを活用しています。
推奨環境として、Windows 10やMacintosh OS X 10.11以降、Android、iPhone/iPadなど、各デバイスおよびブラウザの最新バージョンが推奨されています。
例えば、Microsoft Edge、Google Chrome、Firefox、Safariなどが対応しており、これに加えてVRデバイスもWindows 10上でOculus BrowserやFirefox Realityが利用可能です。
|活用事例:タウンミーティングを開催
Metaverse SHIZUOKAでの初めての取り組みとして、2024年1月27日に「世界遺産」をテーマに掲げ、タウンミーティングを実施しました。
このイベントでは、「富士山」と「韮山反射炉」が世界遺産に登録された背景や意義について解説し、県民講座として参加者との交流を図ることを目的としていました。
参加はスマートフォンやPC、そしてメタバース空間からも可能で、参加者は世界遺産の知識を深めつつ、タウンミーティングに自由に参加。
講座では「富士山に育まれた日本の絵画」や「産業革命遺産と鉄溶解炉」などの内容が提供され、その後はメタバース空間を利用したタウンミーティングが行われました。
このような新たな形のイベント体験が、地域社会への参加と交流の場を広げていくことが期待されます。
|【他にもある!】メタバース×地方自治体の活用事例
今回は静岡県で活用されたメタバースについてご紹介しましたが、他の地方自治体でも取り入れている事例はいくつかあります。
以下で、活用が期待されている5つの自治体について、ご紹介しましょう。
山形県:日本で最もメタバースを活用
山形県は、ジオテクノロジーズ株式会社の調査によれば、メタバースの知識や利用が全国一高いことが判明しました。
このため、県内では「ヤマガタリアルメタバース研究所」を立ち上げ、若者がビジネスプランを開発し、実証実験を行う取り組みが進行中です。
山形県は婚活イベントや地域振興など、様々な分野でメタバースを積極的に活用。
これにより、地域社会との新しいコミュニケーションの場を提供し、革新的なイベントや教育プログラムを展開しています。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてくださいね!
鳥取県:「メタバース課」を設置
鳥取県は新たな一歩を踏み出し、「メタバース課」を設立しました。
⽇本初となる自治体オリジナルAIアバター「YAKAMIHIME」を職員として採⽤。
YAKAMIHIMEは、メタバース空間内で鳥取の魅力を全世界に向けて発信し、観光や地域振興に新たな風をもたらす役割を果たします。
24時間365日、休むことなく活動し、鳥取のPRや国際的なつながりの構築に取り組むこの試みは、⽇本全体におけるメタバースの先駆けとなる取り組みであると言えるでしょう。
大阪府:都市連動型メタバース「バーチャル大阪」
「バーチャル大阪」は、大阪府と大阪市が共同で提供する都市連動型メタバースプラットフォームです。
ユーザーはアバターを通じて大阪の名所を探索し、写真撮影やアクティビティに参加、実際のランドマークがデジタルで蘇る風景を楽しみます。
2025年の大阪・関西万博を控え、都市の文化と革新が融合した新しいデジタル体験が展開され、観光収入の促進や新たな交流の場として期待されています。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてくださいね!
東京都江戸川区:「メタバース区役所」開設
江戸川区では「メタバース区役所」を開設し、全国初の試みとして、仮想空間で区役所を提供します。
パソコンを使って、自宅からアクセスし、アバターを操作して相談や申請ができる仕組みです。
先行的な実証実験として、障害者福祉課を対象にサービスを開始し、今後5年かけて全課に広げる計画です。
江戸川区は、この試みがバリアフリーの一環となり、障害のある人や寝たきりの人、ひきこもり状態の人など全ての市民に同等のサービスを提供する一助となることを期待しています。
京都府京都市:メタバースで魅力を伝える
京都市の魅力を広げるために誕生した「京都館PLUS X」は、渋谷区立宮下公園の仮想空間に誕生したバーチャルスポットです。
XR技術を活用し、京都の伝統文化や工芸品をモニターやパネルを通じて紹介・体験できます。
イベントやPRではTikTokを活用し、ユーザー同士がアバターを通じて自由な交流が可能です。
京都の魅力を感じつつ、移住検討者向け相談会や小学生の国際交流、アート作品の展示など様々なイベントが開催され、参加者が新しい体験を共有できる空間です。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてくださいね!
|まとめ
「Metaverse SHIZUOKA」は、静岡県が打ち出す新たなシンボルとして注目を浴びるプロジェクトです。
今後、静岡の魅力を広く発信し、新しい形で交流が生まれることで、イベント開催や教育・行政サービスなど、様々な分野での活用が期待されます。
静岡県がメタバース空間でどのような未来を描いていくのか、今後も目が離せませんね!