昨今AIの躍進は凄まじく、日常的に利用するあらゆるサービスにその技術が活用されています。

一般的にAIといえば、機械が行う高度な計算や文章や音声の自動生成といったことが思い浮かべられるかもしれません。

本記事で紹介する「AIボイスチェンジャー」は人間が発する「声」をリアルタイム、もしくは録音して別の声に変換するAI技術です。

従来、録音した声に対して変換するソフトは数多くリリースされてきましたが、それらの作業をリアルタイムで行うことも可能になっているのです。

本記事ではAIボイスチェンジャーの概要から、実際に利用できるおすすめサービス、さらには注意点までを解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

|AIボイスチェンジャーで何ができる?

AIボイスチェンジャーでできることを、以下の内容に沿って解説していきます。

  • AIを利用して音声をリアルタイム変換
  • VTuber界隈でも利用されている

AIを利用して音声をリアルタイム変換

AIボイスチェンジャーはその名称の通り、AI機能を活用することで「音声をリアルタイムで変換する」サービスです。

本来人間の声は人それぞれ異なる、個性的なものとなっています。

声という音声情報を機械的に変換させることで、あらゆる声質を自在に作り出せるのです。

インターネットラジオ等の配信を身バレすることなく行いたい場合、AIボイスチェンジャーを活用することで存在しない第三者になりすまして会話できます。

このようなプライバシー保護の観点としてだけではなく、配信上のキャラクターに応じた声色、正確に応じた声を1人で使い分けるといった活用方法も可能でしょう。

音声の種類はサービスによっても異なりますが、年々その数を増やしています。

Vtuber界隈でも利用されている

近年、実在する人物ではなく架空のキャラクターに扮した「VTuber」と呼ばれる配信者も増えてきました。

一般的に女性の容姿をしたキャラクターが多いですが、それらのイメージにマッチした声をAIボイスチェンジャーを活用することで簡単に作りあげられます。

そのため、VTuberでの配信を行いたい場合、AIボイスチェンジャーは必須といえるかもしれません。

中には「バーチャル美少女セルフ受肉」の略称である「バ美肉」と呼ばれるVTuberも存在し、これは男性が女性キャラクターになりきっていることを指します。

見た目はもちろん、声についてもAIボイスチェンジャーで高度に変換されますので、話し方や演技によっては実際の性別を判断することは困難でしょう。

|おすすめAIボイスチェンジャー7選

おすすめAIボイスチェンジャーとして、以下サービスの特長を解説していきます。

  • Koemake RVC player
  • RVC
  • MagicMic
  • SEIREN VOICE
  • Voidol2
  • Koe: Recast
  • Media.io

Koemake RVC player

「Koemake RVC player」は事前に用意した音声に応じて、リアルタイムで声を変換するサービスです。

無償提供されていますが、Windows 10以上にのみ対応しています。

「透明感のある女性」や「一般男性風」、「落ち着いた女性」、「穏やかな男性」といった様々な声色が用意されていますので、イメージするキャラクターに則したものを選択しましょう。

Koemake RVC playerで動作確認が取れている外部モデルを取り込むことが可能ですので、今後も利用できる声色は増えていくかもしれません。

実際の声をパラメーターによって微調整できますので、イメージに近い声色を簡単に作り出せるでしょう。

初心者でも簡単にAIボイスチェンジャーを試せるという意味で、おすすめのサービスだといえます。

RVC

「RVC(Retrieval-based-Voice-Conversion)」は、プリセットされた声色ではなく学習させたどの声色にも変換できるソフトです。

つまり、この世に存在するあらゆる声に自分の声をリアルタイム変換できるのです。

すでに様々な人が声色を学習させたデータが頒布しています。

それらを利用することも可能ですが、イメージに近い人物の声を学習させることによってオリジナルの声色を作成することもできます。

すでに声優学校やアニメ系企業が専用のプリセットを配布するなど、少しずつその活用範囲は広がっています。

しかし、一部のモデルには実在の人物の声を無許可で利用しているものもありますので、音源の使用には十分注意が必要です。

MagicMic

「MagicMic」は200を超える既存のAI音声を通して、リアルタイムでの声色変換が可能となるAIボイスチェンジャーです。

ワンクリックで利用できる簡単操作でありながら、幅広い効果に対応します。

音声も男女はもちろん、アニメキャラやラジオ風といった様々な加工が可能。

ビデオ通話を始めとした通信ソフトでも気軽に利用できますので、様々な楽しみ方ができるでしょう。

無料版の場合は利用できる声色が毎月変化しますが、一度購入したボイスは永続的に利用できます。

声色を自分好みに編集する機能も充実していますので、気軽な利用から本格的な編集まで幅広いシーンにおいて利用できるソフトです。

SEIREN VOICE

「SEIREN VOICE」はノイズが非常に少ないことが特長のAIボイスチェンジャーです。

「落ち着きのある大人の女性」や「元気なアイドルのような雰囲気」、「落ち着いたお兄さん」、「アナウンサーのようなメリハリある声」といった7種類のキャラクターから声色の選択が可能。

単語ごとのアクセントの登録、抑揚の調整といった細かい設定も指示できます。

1キャラクター辺り19,800円とその他ソフトと比較して高額ではありますが、買い切りになっているため永続的な利用が可能です。

非常に高品質なAIボイスチェンジャーですが、注意点としては「リアルタイムでの変換はできない」ということ。

そのため、配信ではなく録画や動画の編集時に差し込む音声に利用することが主な用途になるでしょう。

Voidol2

「Voidol2」は「リアチェンvoice」という技術を利用して開発されたAIボイスチェンジャーです。

日本語モデルだけではなく、中国語、英語にも対応している点が大きな特長となっています。

音声のリアルタイム変換はもちろん、録音にも対応していますのでこの1つであらゆる利用方法に対応できるでしょう。

声の出力状況に応じた基本的な設定も細かく可能であり、想定する声色を自在に作り出せます。

本体価格は13,200円、キャラクターは4,180円という価格設定ですが、その機能から考えると非常にリーズナブルだといえるはずです。

Koe: Recast

「Koe: Recast」はブラウザ上で利用できるAIボイスチェンジャーです。

入力した音声を既存のボイスフィルターを通して、自然な音声に変換します。

アプリやソフトのダウンロードといった作業をすることなく利用できますので誰でも簡単に利用可能。

無料版では20秒までの音声データを変換可能であり、有料版では月額1,344円で使い放題となります。

しかし日本語に対応していない点は注意が必要かもしれません。

無料版は20秒と短い時間に制限されていますが、変換後の音声は非常に自然な仕上がりとなります。

Media.io

「Media.io」もブラウザでの利用が可能であるAIボイスチェンジャーです。

ブラウザ上で利用できるため気軽に試せる上、利用料金も無料。

音声の変換速度も速いため、「AIボイスチェンジャーを一度試してみたい!」と考える方はKoe: Recastからスタートしてもいいかもしれません。

しかし、無料ということで声の品質に違和感が残ることは否めません。

また、利用できる音声の種類も少ないため、本格的な活動として利用するには少し物足りないと感じられるでしょう。

AIボイスチェンジャーを利用する第一歩として、まずはお試しされることをおすすめします。

|AIによるディープフェイクへの注意も必要

現在、AI技術の進歩によってデジタルデータの信頼性が危ぶまれています。

一昔前では写真、動画は強力な証拠になりえましたが、現在ではAIによるフェイク動画、画像の作成は難しくありません。

そして、音声についても本記事で紹介したAIボイスチェンジャーによって誰でも簡単に作成できます。

このような偽造を「ディープフェイク」と呼び、間違った情報や犯罪への利用が懸念されているのです。

すでにAIボイスチェンジャーを利用した詐欺、第三者へのなりすましといった事例が発生しています。

一例として、中国で顔と声をAIによって変換した人物による詐欺によって、日本円で約8,000万円が騙し取られる事件も起きました。

このようなAI技術を利用した犯罪については世界中で議論が進められており、一部の地域では新たな法律も制定されています。

しかしながら技術の躍進に法整備が追いついていない状況だといえるでしょう。

そのため、ネットを通じた犯罪には今後より一層注意しなければいけません。

|まとめ

AIボイスチェンジャーに関する概要から、実際に利用できるおすすめサービスを紹介しました。

録音した音声はもちろん、現在はリアルタイムで他人の声、機械によって生成した声色に変換させることが可能。

その技術はVTuberを始めとしたあらゆるネット活動に活用されており、もはや声もデザインできる時代になっているといえるでしょう。

その一方で、音声によるディープフェイクといった新しい問題も懸念されています。

非常に便利、優れた技術であるAIボイスチェンジャーは今後もその活躍の場を広げていくでしょう。

まだ触ったことがないという方は、本記事を参考にお試しされることをおすすめします。