現在、インターネットの新しい形として「Web3」がホットワードとなっています。

この新しいインターネットの形として話題を集める「Web3」とエンターテイメントをかけ合わせた全く新しいビジネスやコンテンツが生まれつつあります。

本記事では、「Web3」の基本的な説明から「Web3」がエンターテイメントに与える影響、そして実際にWeb3とエンターテイメントの融合にチャレンジする日本の企業を紹介します。

|Web3とは

Web3とはブロックチェーン技術をもとにした新しいインターネットの在り方を指す言葉です。

Web3は2021年ごろから注目を集め始めた言葉で、現在のインターネットが抱えている問題を解決できるのではないかといわれています。

Web3.0は、プラットフォーム(FacebookやAmazon)のようにデータが1か所に集まるのではなく、ネットワークに参加している多数のコンピューターにデータを分散する仕組みが大きな特徴です。

ブロックチェーン技術を用いてデータを分散し、中央集権型から分散型への移行を実現するとされています。

Web3の世界では現在ブロックチェーンのネットワーク上に構築される金融エコシステム「DeFi」や、ブロックチェーンテクノロジーを活用して、唯一無二の「一点もの」を生み出せるトークン「NFT」がすでに盛り上がりを見せ始めています。

詳しくは、「分散型自律組織(DAO)とは?Web3のカギとなる主要技術について徹底解説」をご覧ください。

|Web3がエンターテインメントに与える影響

ではWeb3の発展はエンターテイメントにどのような影響を与えるのでしょうか。

考えられる大きな影響の一つとして「クリエイターエコノミーの発展」があります。

これまでweb2のプラットフォーマー中心のインターネットではGAFAMをはじめとする企業にインターネット上での主導権があり、そのためクリエイターがいかに自身のフォロワーを増やしてもプラットフォーマーがサービスを停止する、自身がサービスを停止させられることが起きれば一切クリエイターとフォロワーの関係はなくなってしまいます。

これはプラットフォーマー中心の社会といえるでしょう。

ですが、Web3の考えが主流になればより独立的なインターネット社会になり、プラットフォーマーから独立したクリエイターがファンから直接お金を稼ぐようになるクリエイター中心の経済圏になります。

ファンと直接つながった後のマネタイズの方法として、NFTアートも流行しています。

NFTとは、NFTは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」の略で、自分の作品を唯一無二のデジタル資産にできる仕組みです。

|Web3×エンタメビジネスに取り組む日本企業

これまでのエンタメを一変させる可能性があるweb3×エンタメに挑戦する日本企業を紹介します。

日本の音楽レーベルの中心企業のアミューズや有名タイトルゲームコンテンツを多数持つ「アカツキ」など様々なクリエイティブに関わる企業が、ファンドの立ち上げや事業展開など様々な形でチャレンジを始めています。

ここからはWeb3×エンタメビジネスに取り組む日本企業を6社紹介します。

アミューズ

出典:https://www.amuse.co.jp/

株式会社アミューズは6月24日、Web3領域でのエンタメ創出を目指す新会社「株式会社Kulture」と、Web3・メタバース特化ファンド「KultureFUND」を設立したと発表しました。

アミューズでデジタルビジネスなどを管轄する白石耕介氏が代表取締役、メタルダンスユニット「BABYMETAL」のプロデュースなどを手掛ける小林啓氏が取締役に就任しました。

資本金は1億円とかなり大きな額です。

アミューズはこれまでに音楽レーベルの運営、映像作品やイベント、舞台作品の制作などのほか、デジタルビジネスにも注力してきたことで有名です。

これまで、サザンオールスターズによる複数プラットフォームでの同時有料オンライン配信ライブのほか、NFTアート、NFTトレーティングカード、NFTバーチャルスニーカーなどのWeb3事業もすでに手掛けてきました。

今回設立したKultureは、「テクノロジーの進化と共に、新しいエンターテインメントを創造する」をミッションとし、Web3・メタバースなどを活用した事業やIP開発を推進するほか、国内外のスタートアップへの投資や連携を強化し、新たなエンターテインメントを創出することを目指すそうです。

アカツキ

出典:https://aktsk.jp/

IP、ゲーム事業で知られるアカツキは5月11日、Web3事業への投資を目的とした25億円規模のファンド「Emoote」(エムート)を立ち上げました。

歩いたり走ったりするだけでトークンを得ることができる“Move to Earn”型のサービスとして知られるSTEPN(ステップン)にもすでに投資しています。

日本の投資先として公表しているのはブロックチェーンゲームギルド「Yield Guild Games(YGG)」の日本支部となるYGG Japanのみですが、今後は国内の起業家への投資にも力を入れていく方針としており、すでに国内2号プロジェクトの支援も始めています。

Emooteでは2021年からグローバルでの投資をスタートさせており、支援先のプロジェクトは20件を超えています。

地域の内訳はアジアが50%、米国が40%、そのほかのエリアが10%。主にシードからアーリーステージのスタートアップを対象としており、出資額は日本円で4000万円(30万ドル)ほどを目安にしているそうです。

一口にWeb3と言っても様々なプロジェクトが存在していますがEmooteは「Web2×トークノミクス(トークン経済圏)」。「Web3 IPクリエイション」「NFT x デジタルファッション」特にこの3つの領域に注目しており、その領域を中心に投資をしていくそうです。

Gaudiy

出典:https://gaudiy.com/

続いての紹介はブロックチェーン技術を活用したファンコミュニティープラットふぉーみむを運営するGaudiy です。

ブロックチェーン技術を応用したプロトコルやアプリケーション開発、コンサルティング事業を手がけています。

現在は、ファンの熱量を最大化する Web3 時代のファンプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」を展開している。

Gaudiy Fanlink は、IP 公式に認められた場で、ファンが安心して主体的に活動できるコミュニティサービスの提供を可能にしています。

IP(知的財産コンテンツ)独自のコミュニティシステムの提供を通じて、ファンの横断的な活動データを記録・蓄積し、ファンの貢献や熱量が正しく評価・還元されるエコシステムを構築が可能です。

Gaudiyは現在累積調達額は28億円に達しました。

Web3とエンターテイメントのかけ合わせがそれほど大きな注目を集めていることの証明といえるでしょう。

株式会社フィナンシェ

出典:https://www.corp.financie.jp/

株式会社フィナンシェは「10億人の挑戦を応援するクリエイターエコノミーの実現」をビジョンに掲げ、ブロックチェーン技術を活用した、NFT事業やトークン型のクラウドファンディング2.0 「FiNANCiE(フィナンシェ)」を運営するWeb3企業です。

「FiNANCiE(フィナンシェ)」は、夢や目標を目指すスポーツチームやクリエイターがトークン(FT&NFT)を発行・販売することで資金を獲得し、トークンを利用して、サポーターと継続なコミュニティを構築できる新世代のクラウドファンディングサービスとして提供されています。

FiNANCiE(フィナンシェ)は、日本国内においてtoC向けサービスとしてファンジブルトークン(代替可能トークン)を取り扱っている数少ないサービスであり、国内の法律に準拠する形で運営されています。

また2022年夏には、フィナンシェトークンがコインチェックでのIEOを予定、さらにグローバル版に向けては、分散型サービスを展開予定で、グローバルなエコシステムを拡大していく予定としています。

「FiNANCiE(フィナンシェ)」の仕組みはブロックチェーンテクノロジーを利用した新しい応援のカタチ「DAO(自立分散型組織)」を目指しています。

株式会社Minto

出典:https://minto-inc.jp/

株式会社MintoはSNS×漫画などのコンテンツソリューション事業やIPプロデュース事業を手掛ける企業ですが、その中にWeb3事業も手掛けています。

国内事例の先駆けとして2018年にNFTゲーム「CryptoCrystal」をプロデュースし、累計のNFT累計流通額は約5億円で国内のNFTゲームとしては国内2位を記録しています。

また、世界最大のNFT×メタバースプラットフォーム The Sandboxと日本初提携も実現しています。

メタバース空間上にMinto Landをオープンし土地とNFTキャラクターを販売し4分で完売、総売上は約2億円と記録的な結果を残しています。

Mintoは国内におけるIP×WEB3企業の先駆けとして注目されています。

Gala

出典:https://app.gala.games/about

GalaはWeb3業界をけん引する国際企業です。

ブロックチェーン技術を使用してデジタル所有権と報酬経済を強化し、エンターテインメントを構築し消費する画期的な新しい方法を生み出すことをテーマにしており、2019年にGala Gamesとともに立ち上げられたGalaは、Gala Games、Gala Music、Gala Filmという様々なジャンルの子会社を設立し、業界をけん引しています。

例えば映像サービスの一つであるGala Filmの特徴としては、このプラットフォームは、脚本やキャスティングに対する投票など、その可能性を広げ、ファンが好きなIPやタレントのコンテンツに積極的に参加することを可能にしています。

Gala Filmは、ファンに素晴らしい体験を提供するだけでなく、中間業者を排除し、ファンに直接配信できるようにしながら、提供することで映像というエンタメジャンルをWeb3的に変えていっているといえるでしょう。

また代表的なサービスの「Galagames」では全14のゲームを現在開発中で、その中の一つ「TOWN STAR」が現在公開されています。

Gala gamesの大きな特徴として、ゲーム内通貨をGalaという仮想通貨に換金できるという点です。ゲーム内でGalaを稼ぎ、リアルマネーに換金することができるので、ゲームの中で稼ぐことができます。

このようにGalaは一つのジャンルにとどまることなくエンタメ×Web3の様々な側面で国際的に発展を遂げている企業といえるでしょう。

|まとめ

ここまでWeb3とエンタメの可能性に関して、基本的な考え方から実際にビジネスとして現在発展中の企業を紹介しました。

Web3とエンターテイメントのかけ合わせは既存のエンタメの形を作り替え、コンテンツを巨大な企業から与えられるものから、よりユーザー主体のコンテンツに変わっていく流れを生み出したと言えます。

今回紹介の企業がどのように発展していくのか筆者も楽しみです。

またWeb3とエンターテイメントに関して動きがありましたらお伝えするかもしれません。ここまでお読みいただきありがとうございました。