近年よく耳にすることが多くなった「メタバース」ですが、自治体にもメタバースが活用されていることはご存知でしょうか。
特に三重県では、積極的にメタバースを利用しています。
本記事ではそんな三重県が、どのようにメタバースを活用しているかご紹介していきたいと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|メタバースとは
そもそもメタバースとは何なのかというと、オンラインで実際の生活と同じような体験や交流ができる3次元の仮想空間のことを指します。
例で言うと、「Fortnite(フォートナイト)」や「Minecraft(マインクラフト)」、「あつまれどうぶつの森」などのゲームもメタバースにあたります。
他にも買い物やライブ、イベントなどでもメタバースが活用され、そこから他の参加者と交流したりと、現実世界と同じような活動をすることが可能です。
サンリオや日産自動車などの有名企業もメタバースを活用しており、メタバースは日常に徐々に普及されつつあります。
メタバースについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
|自治体がメタバースを活用する背景
現在日本では、都心部への人口流出により各地方で過疎化が深刻化し、各自治体では経済力低下や人口減少による管理不足などが問題になっています。
そこで、多くの自治体はメタバースを活用することで、経済問題や移住者増加に繋がるのではと考えました。
各地の例で言うと、静岡県では「バーチャルマーケット」で、「バーチャルマグロ解体ショー」や「バーチャルマグロ一本釣り」などが体験できるブースを設置し、地元のPRを行いました。
沖縄県では、沖縄発のエンタメ企業「あしびかんぱにー」によって「バーチャルOKINAWA」をリリースし、観光名所の紹介と実際に買い物が可能な店舗をオープンしています。
その他にも、メタバースによるリモート化で地方に居ながら都心部と同様の働き方を可能にしたり、特産品の販売により経済力向上など、地方でのメタバース活用はメリットがたくさんあります。
メタバースと地方創生については、以下の記事も併せてご覧ください。
|三重県のメタバース活用事例
多くの自治体がメタバースを活用している中、特に三重県ではメタバースを多く活用しています。
今回はその中の例を紹介したいと思います。
不登校支援(三重県)
三重県教育委員会では不登校の中学生、高校生を支援する「オンラインの居場所」という事業を立ち上げ、メタバースでの交流会を実施しました。
ビデオ会議ツールでの参加となると、入った瞬間に参加者の顔が映し出されてしまうため、不登校の生徒にはかなりハードルが高い環境になってしまいますが、メタバースでの参加となると、アバターでの参加で、しかも入った瞬間からどこかへ行くという行動がとれるので、非常に入りやすい環境となっています。
こうした取り組みは2021年から行っており、現在でも定期的に交流会を開催しています。
メタバース市役所(桑名市)
桑名市では、市役所で行える手続きをメタバースで行えるようにする実証事業を開始しました。
実証期間は2024年2月26日〜3月29日までとなっており、各種申請手続きの電子化を進めることを目的としています。
エリア内では「電子手続きの総合窓口」、「各種相談業務」、「市民交流の場」が設置されており、実際の市役所と変わらない手続きをすることが可能です。
それぞれのブースには職員が常駐しており、総合窓口では、申請画面を職員と共有して音声で説明することで、市民が迷わないよう案内しています。
メタバース市役所に関して、市長である伊藤徳宇さんは「デジタル技術により、時間や場所をとらわれず、スマートに申請や相談ができる自治体を目指したい」と語りました。
メタバース婚(桑名市)
もう一つ、桑名市では「メタバース婚」というメタバースを活用したイベントを開催しました。
このイベントでは実際の婚活と違って、アバターを使って会話し、名前もニックネームを使い、本名や年齢などは、カップルが成立してから公開されることが特徴です。
2023年に開催されたイベントでは、カップルのマッチング率は77.7%となり、女性は全員カップル成立しています。
その後、リアルデートをしたカップルの中には実際に交際も始めたカップルもいます。
参加者からは「外見に自信がないので”中身”から始まるスタイルが自分に合っていた」という意見もあり、メタバース婚活は多くの参加者から高い評価を得ています。
メタバース観光案内所(鳥羽市)
鳥羽市では鳥羽の魅力をアピールするため、メタバース上に期間限定で観光案内所を、1月1日〜18日まで期間限定で設置しました。
案内所では「鳥羽市街エリア」「小浜・安楽島(あらしま)・加茂」「浦村・石鏡(いじか)エリア」「国崎(くざき)・相差(おうさつ)・畔蛸(あだこ)エリア」「離島エリア」の5つのエリアの紹介が動画で閲覧できます。
動画では漁港や海鮮料理、祭りの様子などディープな地元の情報に加えて、鳥羽水族館やミキモト真珠島などの観光施設も紹介されています。
1月7日には海女をモチーフにした「あまちゃん」というアバターを使い、スタッフが参加者に話を聞いていくイベントも同時開催しました。
その様子もYoutubeでライブ配信されており、現在も閲覧可能となっています。
町おこしイベント(明和町)
明和町では地方創生のプロジェクトの一環として、「めいわデジタルプロジェクト」を開始しました。
このプロジェクトでは、AVITA株式会社が協働し、アバターやAI、メタバースといった先進技術を活用し、観光、教育、福祉など関係交流人口の拡大を目的として様々な取り組みを行っています。
その中の取り組みの一つとして、メタバース空間「ミュージック フェス ワールド」を使って、明和町の魅力を映像やパネルで紹介するというイベントを、2024年1月24日〜2月21日の期間限定で実施しました。
イベントでは「禄穀米(ろっこくまい)おみくじ」を引けたり、国指定の天然記念物であり明和町の町花でもある、花菖蒲(はなしょうぶ)のフォトスポットで写真を撮るなど、様々な遊び要素を加えて明和町のPRをしています。
ワークショップ(熊野市、多気町)
熊野市と多気町では、メタバース体験会のワークショップを開催しました。
熊野市ではOpenAIである「ChatGPT」、「Midjourney」と、メタバースプラットフォーム「Spatial」を組み合わせた未来体験会を実施しました。
この体験会では、OpenAIによる自然な対話の体験や、VRゴーグルを使ってメタバースの体験ができ、最新のテクノロジーの技術を知ることが可能となっています。
一方多気町では、有限会社ラウンドテーブルコムからメイン講師1名と、アシスタント2人による「メタバースにふれてみよう」というワークショップを行いました。
参加者は多気町の小学生15名が参加し、メタバースに関しての基本的な知識を紹介した後、実際にメタバースに触れてみる体験もしています。
スマートシティ(四日市市)
四日市市では、未来の四日市市「メタバースYOKKACHI」を期間限定で公開しました。
メタバース内では、近鉄四日市駅前西側〜JR四日市駅を結ぶ中央通り付近を未来的に再現しています。
テレビ番組もこの取り組みに参加しており、未来の四日市市について意見交換する収録現場の参加者も併せて募集しました。
参加者の中には親子で来ている方もいて、お子さんが夢中になってエリア内を走り回ったり、メタバースに消極的な方も「将来中央通りがこんな風になるの?すごい!」と感動していたりと、多くの市民がメタバースに高評価をしています。
|まとめ
メタバースは他の人との交流や買い物だけでなく、一緒にゲームを楽しんだり、工場などの仕事を疑似体験できたりと、その使い方は様々です。
そのため、自治体にとってもメタバースは活用しやすいツールなのかもしれません。
私たちにとっても市役所などの施設がメタバースすることで、時間や場所を選ばず手続きができるようになるので、非常に便利になります。
今後こういったメタバースを使うことが当たり前になる時代も来るのではないでしょうか。