SF映画の世界から飛び出したような技術、それがOpenAI社が開発した動画生成AI「Sora」です。
テキストを打ち込むだけで、まるで魔法のように高精細な動画が自動で作成されるAIが今大注目を浴びています。
「文章で思い描く世界を、簡単に映像化できたら…。」
そんな願望を抱いていたあなたに相応しい、革新的な技術が誕生しました。
本記事では、「Sora」の概要と、その目覚ましい機能について分かりやすく解説します!
目次
|動画生成AIとは
動画生成AIは、人工知能を活用して自動的に動画を制作する技術です。
文章や画像などの情報を入力し、それを基に映像や音声を組み合わせて新しい動画を作成します。
この技術の利点は、制作プロセスの効率化と短時間で多くの動画を作成できる点です。
近年においては、広告、教育、エンターテインメントなどの領域で幅広く活用されており、今後ますます進化が期待されています。
動画生成AIについては、以下の記事も併せてご覧ください。
|Soraとは
2024年2月15日、OpenAI社が発表したSoraというText-To-Videoモデルは、過去に類を見ないほどの長時間でありながらハイクオリティな動画生成を達成しました。
従来の動画生成AIが数秒の短い動画に限定されていたのに対し、Soraは最大1分という長尺で、驚異的なクオリティを誇ります。
Soraは、複数のキャラクターや動き、緻密な背景を含む複雑なシーンを作り出し、その出力された動画はまるで現実そのものであるかのように高精細です。
また、ユーザーが提示したプロンプトに加えて、それらの要素が物理世界でどのように存在するかを理解し、自然な動画を作成します。
Soraの登場によって、動画生成AIの領域における新たな時代が幕を開けました。
|Soraでできること
対話型生成AIの先駆的存在である「ChatGPT」で有名なOpenAI社が、満を持して発表したSora。
世界が注目するSoraには、いったいどのような機能があるのでしょうか。
以下で、4つに分けてご説明します。
Text-to-Video
Soraが提供する「Text-to-Video」は、テキストを入力すると指示通りの動画を自動生成します。
単なるテキストの理解にとどまらず、その文脈や情報を現実世界のシーンとリンクさせ、一貫性のあるリアルな動画を生成します。
また、動画サイズを調整し、ワイドスクリーン、縦画面、正方形などの様々なサイズでハイクオリティの動画を作成できるため、様々なデバイスに対応した動画を制作することが可能です。
それに加えて、Soraは1分という長尺の動画を作成し、従来のモデルを上回る仕上がりです。
これにより、様々なジャンルや長尺の動画制作が可能となり、より広範な用途に活用できるようになります。
動画の編集・拡張・接合
Soraには、多彩な操作が盛り込まれています。
「Image-to-Video」は、静止画を動画化する機能であり、例えば動物の写真やキャラクターデザインなど、さまざまなコンテンツに対応します。
「Video-to-Video」では、既存の動画を簡単に拡張することが可能です。
動画のセグメントを拡張し、時間を逆方向に延長したり、前後の動画を組み合わせて滑らかなループ動画を作成できます。
さらに、既存の動画内の要素を置き換えたり、複数の動画を滑らかに繋げる機能もあります。
これらの機能を組み合わせることで、Soraは高度な動画編集や統合を可能にし、よりクリエイティブで魅力的な動画コンテンツの制作が実現します。
画像生成
Soraは、最大2048×2048の解像度まで様々なサイズの画像を作成できる、高い汎用性を持つ画像生成AIです。
これは、静止画の生成においても、画像生成AIとしての活用が可能であることを示しています。
質の高い画像を作成する能力は、デザイン、イラストレーション、画像加工など、さまざまな分野で重宝されます。
また、生成される画像は幅広い用途に適しており、ウェブコンテンツ、広告、SNS投稿、さらにはプリントメディアまで幅広い領域で利用されることが期待されます。
このような多様性と柔軟性により、Soraはデザイナーやクリエイターなど、様々な分野のプロフェッショナルが効率的にプロジェクトへ活用することができます。
シミュレーション生成
Soraには、従来の動画生成AIにはないシミュレーション機能があります。
例えば、動画内でのカメラの移動や回転に応じて、人物やシーンの要素が、動画内で連続して3次元空間を移動するような表現ができます。
また、ゲーム「Minecraft」のようなデジタル世界を忠実に再現し、プレイヤーの操作と世界のダイナミクスをリアルにレンダリングすることも可能です。
さらに、動画内で時間的な連続性を保つ機能により、人や動物がフレームから外れたり遮られたりしても、それらを保持したり、様々な物理的・時間的な変化もシミュレートできます。
例えば、食事中の人物がハンバーガーを食べて噛み跡を残す様子を表現できるため、リアルなシーンや行動の再現が可能となります。
|Soraの特徴
動画生成AIは、これまでもいくつかのプラットフォームが存在しています。
その中でもSoraには、以下の2つの特徴が挙げられます。
トレーニング方法の豊富さ
Soraの特徴の1つは、多岐にわたるトレーニング手法を用いていることです。
このモデルは、「Diffusion Transformer」と呼ばれる生成AIモデルを基盤としています。
具体的には、視覚データのパッチへの変換、ビデオの圧縮、ビデオの時間と空間の情報を捉えるセグメントや変換技術を利用したビデオの生成、DALLE3を用いたビデオキャプショニングによるデータ生成を行うことが可能です。
これらの手法は、それぞれの特性を生かし、莫大なAIの訓練データを組み合わせてSoraを育成しています。
このトレーニング方法の豊富さにより、Soraは複雑なビデオの生成に成功し、多様なタスクに対応できる強力な能力を持っているのです。
言語理解
Soraは、DALLE3を用いたキャプション再生成技術を採用しています。
この手法を利用して、極めて詳細で解説的なテキストモデルを訓練し、それを使用してトレーニングセット内の全ての動画に対するテキストキャプションを作成します。
高度で解説的な説明文を訓練することにより、作成される動画のクオリティが向上し、テキストの忠実度も高まります。
また、GPTを使用して、簡潔なユーザープロンプトを詳細な説明文に変換し、それをモデルに提供します
これにより、Soraはユーザーの要求に忠実で質の高い動画を作成することが可能です。
|Soraのプロンプト例
OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、自身のXアカウントでユーザーから募集したプロンプトに基づいて生成された複数の動画を投稿し、その質の高さを示しています。
以下に、実際に生成されたプロンプト例をご紹介します。
プロンプト:A bicycle race on ocean with different animals as athletes riding the bicycles with drone camera view(海上で行われる、さまざま動物たちによる自転車レースを、ドローンのカメラ視点で描いた動画)
プロンプト:Two golden retrievers podcasting on top of a mountain(山の頂上でポッドキャストを行う2匹のゴールデン・レトリバー)
|Soraの問題点
ここまでは、Soraの魅力について深掘りしましたが、実際に使用する時には問題点についても理解が必要です。
まず、物理的な動作や結果の再現性に課題があり、ガラスの粉砕を正確に表現できないなどの問題が生じています。
さらに、Soraは空間的・時間的な文脈理解においても、空間における左右の混同や、時間経過の適切な表現が困難な場合があります。
よって、生成される動画には不自然な部分が見受けられることがあります。
これらの問題を克服するために、物理的な動作や空間的・時間的な文脈理解に関するモデルの改善や、データの拡充などが行われています。
将来的には、より高度なモデルが実現され、Soraの品質と信頼性が向上することが期待されています。
|Soraはいつから使える?
OpenAIは、Soraの一般公開日や利用開始時期について、具体的な情報を公表していません。
現在、技術の研究と開発が進行中であり、一般利用に向けたスケジュールや利用料金、条件は未確定です。
OpenAIは、技術の安全性と倫理性を確保することに努めており、公開時期に関する詳細は将来的に発表される予定です。
最新情報は、OpenAIの公式ウェブサイトやプレスリリースを定期的に確認してみてくださいね。
|まとめ
動画クリエイターはもちろん、これまで映像制作に携わったことがない人にも、表現の場を提供する「Sora」。
この革新的な動画生成AIは、映像制作の未来を大きく変革する可能性を秘めています。
今後は、更なる機能の追加や他のAI技術との融合により、Soraの進化は加速していくでしょう。
誰もが簡単に映像クリエイターになれる日も、そう遠くないかもしれませんね。