2019年末に流行した新型コロナウイルスによって、私たちの生活は一変してしまいました。
なるべく人と人との距離を保つ「ソーシャルディスタンス」が通例として浸透し、不要不急の外出は避けるなどの対策はまだ記憶に新しいです。
こういった背景から、オンライン上でコミュニケーションが可能になる「メタバース」が注目され、2022年は「メタバース元年」とも呼ばれました。
それから今年で2年が経ち、メタバースの活用は学びの場にも波及し、最近では「メタバース学園祭」なる新しいイベントが注目されています。
そこで本記事では、代表的なメタバース学園祭である「ME祭」と「XR学祭」について詳しく解説していきます。
メタバース学園祭では何ができるのか、そして参加方法についても紹介しているので、新トレンドの「メタバース学園祭」について学んでいきましょう!
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|メタバース学園祭とは?
メタバース学園祭とは、メタバース空間上で実施される新しい形の学園祭です。
新型コロナウイルスによって、オンラインでの活動やバーチャル空間でのイベントが世界的に注目され、そのニーズに応える形で登場しました。
従来の学園祭では、学生たちが直接学校の敷地内に集まり、様々な催し物や展示、食べ物のブースなどを楽しむのが一般的でした。
しかし、メタバース学園祭ではこれらの活動がすべて仮想空間、つまりメタバース内で行われます。
現在最も有名なメタバース学園祭は「ME祭」と「XR学祭」と呼ばれるプラットフォームです。
以下で詳しくみていきましょう。
ME祭はMEキャンパスで面白い課題に取り組める新型メタバース
「ME祭」とは、メタバース空間の学校「MEキャンパス」で開催される新しい形式の学園祭です。
主催しているのは、様々なIP関連事業を手がける“Brave group”の連結子会社である“株式会社MetaLab”です。
昨年の10月1日に第1回目が開催され、今年2024年には3月31日に第2回目となるME祭が開催されます。
第1回目では初開催ながら60名ほどの参加者が参加し、7人組バーチャルアイドル「Palette Project」から「RouteHeart」の2名が特別ライブビューイングを開催。
会場を大いに盛り上げたとのことです。
XR学祭はNTTコムが手がける教育型メタバース空間
「XR学祭」とは、NTTコミュニケーションズが手がけるメタバースプラットフォーム「NTT DOOR」を通して開催されるメタバース学園祭です。
XR事業を扱う新会社「NTTコノキュー」が主催する教育型メタバースイベント「DOOR Academia EXPO」の前夜祭として2023年3月17日に開催されました。
2022年3月にも開催されており、小中高の各学校や立命館大学などの有名大学も本学園祭に参加しています。
NTTはメタバース事業にかなり力を入れており、他にも「XR World」など様々な関連プラットフォームをリリースしています。
2024年度の開催は現状では未定ですが、公式サイトより随時情報が発信されているので、参加を予定している方は以下の公式リンクよりご確認ください。
|ME祭でできること
学園祭といえば、学生仲間たちと共同でイベントを企画・開催したり、大勢のお客さんを招くために四苦八苦するものですが、メタバース学園祭の「ME祭」では何ができるのでしょうか?
ここでは、ME祭でできることについて3つご紹介します。
①超豪華スペシャルゲストのライブビューイング
ME祭では可愛らしい人気VTuberが繰り広げるスペシャルライブビューイングを楽しめます。
2023年夏秋に開催されたステージでは、バーチャルアイドルプロジェクト「Palette Project」のメンバー「RouteHeart」の2名が出演し、「ココロステップ」と「ラブ・ラビリンス」という2曲を披露しました。
ライブ終了後には参加者から大きな拍手を送られるなど、大盛況のうちに終わったとのこと。
2024年春の「ME祭」では、人気VTuber「星宮ちょこ」がスペシャルライブビューイングのゲストとして登場する予定です。
星宮ちょこさんは「会いに行けるコスプレVTuber」としても活動しており、どんなライブを繰り広げてくれるのか非常に楽しみですね!
②AIアバターが学習サポート
左:MANABe(マナビー)、右:ミーマル
ME祭が開催されるMEキャンパスでは、学生の学習をサポートし、楽しいキャンパスライフを充実させるために、2種類のAIアバターが導入されています。
学びの進め方に不安を感じたり、勉強につまずいてやる気が出ない時でも、これらのAIアバターがあなたの心強いサポーターとなります。
“マナビー”は、学生のモチベーションアップを目指し、進路や学習に対するアドバイスを得意とする親しみやすい犬型AIアバターです。
困難を感じた時、マナビーは熱血な名言を投げかけてくれるかもしれません。
“ミーマル”は、学生一人ひとりに寄り添う専用のナビゲーションAIで、MEキャンパスの基本情報や学習内容に関するFAQなど、キャンパスに関する疑問に全て答えてくれます。
ユーザーとのコミュニケーションを通じて最適なアドバイスを提案し、個々のニーズに合わせてやる気を引き出す言葉を見つけ出します。
このように、MEキャンパスのAIアバターたちは、外見や年齢、性別、コミュニケーション能力などのハードルを取り払い、自分に合ったアバターで気軽にチャットしながら学習サポートを受けることができる環境が整っています。
③学生たちが製作したプロジェクトや作品が楽しめる
「MEキャンパス」が開催するメタバース学園祭「ME祭」には、学生たちによる創造性と技術の粋を集めた作品展示や特別授業のパブリックビューイングがあり、これらがイベントの目玉の一つとなっています。
学生による作品展示では「集まりたくなるキャンパス」というテーマのもと、学生たちはグループ課題として、3ヶ月かけてオブジェクトの制作から空間演出まで手がけました。
作品はキャンパスデッキでの展示が行われ、一般参加者も自由に閲覧することができます。
特別授業のパブリックビューイングでは「挑戦し続けることの意義と魅力」について、株式会社LITALICOの代表取締役社長、山口文洋氏、元クラウドワークス副社長COOである成田修造氏、「MEキャンパス」代表の野口圭登が挑戦の重要性について話しました。
参加者にも非常に好評だったようで、多くの賞賛の声があがっています。
今年の特別授業の詳細はまだ発表されていませんが、前回と同じく豪華ゲストの登場に期待したいですね!
|XR学祭でできること
続いて、NTTコムが実施するメタバース学園祭「XR学祭」では何ができるのか具体的にみていきましょう。
①VR空間上に先生と子供たちが思い描く「未来の学校」を展示
XR学祭では、VR空間上に3Dオブジェクトを配置して自分たちが思い描く「未来の学校」をデザインできます。
2023年に開催されたXR学祭では、佐賀龍谷学園 龍谷中学校の生徒たちが参加し、理想の未来の学校について意見を出し合いました。
その後、動画を参考にしながらチャットを通じてアイデアを共有し、3Dオブジェクトの制作に取り組んでいます。
この活動を通じて生徒たちはメタバース(仮想空間)での創作活動に積極的に取り組むことで、新たな価値を見出し、これからの時代を生き抜くための重要な視点を獲得できたでしょう。
これからはこういった新しい技術に対する教育も普及していって欲しいですね。
②メタバースの専門家からアドバイスをもらえる
XR学祭では、参加者たちが制作したプロジェクトについて気になる点や制作過程でのアドバイスを求め、フィードバックをもらうことができます。
プレゼンテーションの後の質疑応答セッションは、参加校同士の学びを定着させる上で非常に有意義なものです。
「SDGsの意義」「アバターの技術的制作の注意点「3Dモデリングソフトの使い方」」など、昨年のXR学祭では多くの質問が生徒たちから寄せられました。
生徒たちは、技術的な疑問を解消するだけでなく、未来の教育や創造的な活動に対する新しい視点を獲得することができます。
実際に制作活動を通した上での質疑応答なので学習効率の向上も期待できそうです。
こういった活動を通して未来のクリエイターを育成していくのもXR学祭の魅力的な点といえるでしょう。
③宇宙飛行士訓練をもとにしたリモートワーク教育
昨年のXR学祭では、立命館大学が「宇宙飛行士訓練を応用した遠隔チーム行動トレーニングの開発」という先進的なプロジェクトを披露しました。
このプロジェクトでは、リモートワークが日常化する現代社会において、チーム行動能力の向上が重要であることを背景に宇宙飛行士の訓練メソッドをオンライン環境に適応させる試みを行っています。
プロジェクトチームは、どのようにしてこの訓練プログラムを小学生や中学生にも理解しやすく、かつ魅力的に伝えられるかについて議論を重ねました。
その結果、子供たちにも人気の高い「スターウォーズ」をモチーフにしたコンテンツを制作することで、宇宙空間をテーマにした遠隔チーム行動トレーニングを実現。
このアプローチにより、参加者は楽しみながらチームワークと協調性を学ぶことができます。
このように、XR学祭では多くの学校と共同で未来の日本を支えるクリエイターを育んでいます。
|ME祭とXR学祭の参加方法
非常に有意義なプラットフォームであるメタバース学園祭ですが、参加するにはどうすれば良いのでしょうか?
ここでは、「ME祭」と「XR学祭」の参加方法をご紹介します。
ME祭は専用フォームから申込み
ME祭に参加するには「MEキャンパス」に入学する必要があります。
<MEキャンパスの入学方法>
- MEキャンパス公式サイトから申し込みを行う
- 入学に必要な手続きの連絡をもらう
- 試験に取り組み、合否を確認(※通信制コースのみ)
- 入学が決まれば、PCのセットアップやマイページの設定など入学準備を行う
- 決定された日時にオンラインで入学式に参加し、メタバースでのキャンパスライフを始める
なお、MEキャンパスの料金体系は以下の通りです。
<MEキャンパスの料金>
入学金 (税抜) | 学費 (年間) 税抜 | |
誰でも入学コース (1年間) | 100,000円 | 600,000円 |
通信制高校同時入学コース (3年間) 初年度 | 100,000円 | 300,000円 |
通信制高校同時入学コース (3年間) 2年目以降 | ー | 400,000円 |
無事入学できたらいか申し込みフォームから「ME祭」へ申し込みましょう。(※2024年春の申し込みは締め切られています)
XR学祭はビジネスdアカウントを作成
XR学祭の参加方法としては、イベントへの観覧は事前登録を通じてZoomから行うことができ、先着100名限定で主に全国の自治体関係者、学校教員、教育関係者が対象とされています。
(※2024年3月時点では次回の開催日は未定)
事前登録に当たっては「ビジネスdアカウント」の作成が必須になるので、まずはビジネスdアカウントを作成しましょう。
ビジネスdアカウントの作成方法
「ビジネスdアカウント」とは、NTTドコモが発行している法人のお客様向けに提供される共通IDサービスです。
ビジネスdアカウントでは、法人が提供するさまざまなサービスやソリューションを便利に、かつ安全に利用できるようになります。
例えば、経済やビジネスに関する有料記事を無料で閲覧できるサービスや、全国の公衆Wi-Fiに無料でアクセスできるサービスなどが提供されています。
<ビジネスdアカウントの作成手順>
- ビジネスdアカウントの申し込みページにアクセス
- 「ビジネスdアカウントへお申し込み」のボタンをクリック
- 会社名や代表者名、連絡先のメールアドレスなどの基本情報の入力
- 利用規約やプライバシーポリシーなどに同意した上で、登録を完了させる
- 登録後、確認のためのメールが送信されるのでメールで本人確認
以上の操作でビジネスdアカウントに登録完了です。
|メタバースは教育業界でも活用が進んでいる
本記事では、代表的なメタバース学園祭である「ME祭」と「XR学祭」について、できることや参加方法を詳しく解説しました。
メタバースというと、ゲームなどのエンターテインメントでの活用が先行しているイメージですが、「ME祭」や「XR学祭」のように教育の場にも積極的に活用されていることがお分かりいただけたかと思います。
AIの発展が目覚ましい昨今、メタバースは私たちの生活を根本から変える可能性を秘めているともいわれています。
今後はメタバースをどのようにビジネスに取り入れていくかが成功の鍵になってくるのかもしれません。
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