Facebook社が社名をMetaに変更したことにより一気に注目を集め、今ではゲームやビジネスで多く用いられる「メタバース」という言葉は、ますます一般的になってきました。

さて今回は、メタバースと混合されることの多い「マルチバース」について紹介します。

本記事では、それぞれ2つの言葉の意味に加えて、違いや相関性についてわかりやすく解説しますので、是非最後までご覧ください。

Youtubeでこの記事を簡単に3分で解説していますので、ぜひご覧ください!

|メタバースとは?

メタバース(metaverse)とは、英語のmeta(超越した)とuniverse(宇宙・世界)を合成した造語で、オンライン上に構築されたもう一つの世界のことです。

現代では、テクノロジーの発達により生み出された仮想空間のことを指す言葉として用いられるようになりました。

ユーザーはアバター(avatar)と呼ばれる分身を操作し、メタバース空間内を自由に動き回ることができます。

また、メタバース空間内ではアバターを通じてユーザー同士で交流するだけではなく、買い物や音楽フェスなどの娯楽や、ビジネス展示会やオフィスなどあらゆるコンテンツが存在しており、現実世界とほとんど変わらない行動が可能です。

詳しくはこちらをご覧ください。

メタバースとは?入門者向けの基礎知識や今後の可能性、ビジネス展開方法を解説!
メタバースとは?入門者向けの基礎知識や今後の可能性、ビジネス展開方法を解説!

|マルチバースとは?

マルチバースとは、マルチ(複数)とユニバース(宇宙・世界)を合成した造語で、日本語では多元宇宙などと訳される科学用語です。

マルチバースは、自分のいる世界とは別に他の世界が複数存在するという理論物理学のことです。

『ドクター・ストレンジシリーズ』や『スパイダーマンシリーズ』、『アベンジャーズシリーズ』などのマーベル作品では、マルチバースで繰り広げられる刺激的なバトルが描かれており、皆さんの目にも多く触れるようになった言葉かと思います。

また、2023年のアカデミー賞で作品賞を含む7冠を達成した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』もマルチバースが大きなテーマとなっています。

このマルチバースには有力な2通りの仮説が提唱されていますが、どちらも私たちが見ている世界、感じている時間とは異なるものが存在している、という点については同じです。

1つが泡宇宙論です。

泡宇宙論はインフレーション宇宙論から派生した仮説で、宇宙はビッグバンによって誕生した直後に、指数関数的に急激に膨張したと考えられています。

そのインフレーションは無数の宇宙を泡のように無限に作り出し、そのひとつひとつ我々のような営みが存在するという説です。

もう1つが多世界解釈という説です。

簡単に言ってしまえばパラレル宇宙です。

私たちがあらゆる選択肢を選ぶ際に、「選ばれた」選択肢の宇宙に私たちが生きており、また「選ばれなかった」選択肢にも宇宙が存在し、人々の選択の数だけパラレル化された宇宙が存在するという説です。

また、大きな特徴としてマルチバースの世界では、自分が生きている世界以外の他の世界へ移動することはできないとされ、あくまでも複数の世界が存在、共存しているという考え方です。

|メタバースとマルチバースの違い

メタバースとマルチバースは、よく同じ意味として使用されることがありますが、それぞれの用語には大きな違いがあります。

メタバースは、仮想現実概念でビジネス寄りな要素であり、人々が一緒に共存する単一の仮想世界を意味します。

対して、マルチバースは、物理学的に存在があるかもしれない実際の概念であり、異なるユーザーグループが住む別々の世界が互いに共存しているという考え方です。

オープンメタバースは、それぞれの仮想空間をシームレスに移動するための柔軟性を提供しますが、マルチバースはそれぞれの世界が並行して共存するという考え方なので、全ての世界は多元宇宙で互いに異なるものとして接続はしていないのです。

|メタバースとマルチバースの比較

ここからは、メタバースとマルチバースの違いについてもう少し具体的に解説するため、以下3つの観点から比較していきます。

・エコシステム

・接続

・資産

エコシステム

メタバースとマルチバースを比較した際の違いのひとつとして、生態系の数が挙げられます。

エコシステムとは、ビジネスやITに分野で多く使われる言葉ですが、本来は生態系に由来するものです。

意味としては、同じ領域に暮らしている生物が、互いに依存しあって生きている状態のことを指します。

マルチバースは、複数存在する世界同士が接続されていない且つ無限に存在するという考えである一方で、メタバースは、様々なゲームやイベントなどコンテンツ毎に適切な仮想空間を提供します。

つまり、マルチバースは複数のエコシステムが別々に分布しているのに対し、メタバースは単一のエコシステムを提供しているということになります。

接続

2つめの比較は、接続です。

マルチバースの場合、複数の異なる世界が分離したままであるため、互いの世界が接続されることはありません。

一方でメタバースの場合は、それぞれの仮想空間同士を接続することが可能であり、オンライン上でネットワークを介しそれぞれの情報を共有することも可能です。

資産

3つめの比較は、資産です。

メタバースの世界では、テクノロジーの発展によりユーザーは自分の資産に対して完全な所有権と制御権を得ることができます。

例えば、購入したNFTアバターを複数の仮想空間で使用するなど、プラットフォームに依存せず自分の資産として所有することができます。

一方で、マルチバースの世界では、そもそも複数の世界を行き来することはできませんので、自由に資産を移行することも不可能と言えます。

|まとめ

本記事では、メタバースとマルチバースそれぞれの基本的な概念や相関性について解説しました。

似たような用語ですが、異なる意味を持つメタバースとマルチバースなので、しっかりと使い分けることが重要です。

本記事を読んで、それぞれの概念を包括的に理解することで、違いがはっきりとわかり、それぞれの未来を創造することができるかもしれません。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。