皆さんこんにちは。メタバース相談室です。

今回は大手企業からスタートアップ企業まで幅広く取り組まれているNFT事業について、実際の事例も合わせて紹介していきます。

|NFTとは

NFTとは「Non-Fungible Token (非代替性トークン)」の略で、デジタルアートやゲーム内のアイテムなどに所有者情報を記載し、デジタルデータに唯一無二の価値を持たせたデジタル資産のことを言います。

例えば、上述したアート、ゲーム内のアイテムのほかに、SNSのアイコン、音楽などさまざまなジャンルでNFTが活用されています。

近年では、簡単なイラストが数千万円〜数億円で取引される事例もあります。

|NFT事業に参入した大手企業

ここからは、NFT事業に参入している大手企業についてご紹介します。

意外な企業も取り組んでいるかもしれませんので、ぜひ参考にしてみてください。

株式会社メルカリ

まず初めにご紹介するのは、フリマアプリで有名な「メルカリ」です。

株式会社メルカリは2021年12月、プロ野球のパ・リーグ6球団が共同出資するパシフィックリーグマーケティングと共に「パ・リーグ Exciting Moments β」としてNFT事業に参入することを発表しました。

スポーツリーグがNFT事業に参入するのはこの事例が初めてです。

このサービスではパ・リーグの各球団の名場面やメモリアルシーンを収集できます。

将来的にメルカリのマーケットプレイスとしての強みを生かして、メルカリでもNFTの取引をできるようにするビジョンが打ち出されています。

楽天グループ株式会社

続いて紹介するのは楽天グループ株式会社です。

楽天グループ株式会社はNFT事業として、2022年春からRakuten NFTを展開しています。

Rakuten NFTではスポーツや、音楽・アニメをはじめとするエンターテインメントなどさまざまな分野におけるNFTを、ユーザーが購入したり、個人間で売買したりすることができるマーケットプレイスと、IPホルダーがワンストップでNFTの発行、および販売サイトの構築を担うことになります。

また、Rakuten NFTでは取引の際に楽天IDや楽天ポイントなどとも連携ができるため、既存の楽天ユーザーに対する利用のハードルを下げられる取り組みも考えられています。

コインチェック株式会社

次に紹介するのはコインチェック株式会社です。

2021年3月24日にローンチしたCoincheck NFT(β版)では、暗号資産とNFTを用いたゲーム内アイテムを売買することができます。

Coincheck NFT(β版)は、コインチェックの口座を保有しているユーザー同士でNFTと暗号資産の交換取引ができるマーケットプレイスです。

従来のNFT取引において課題とされていた、スケーラビリティ(拡張性)問題から発生するネットワーク手数料の高騰や複雑な取引方法などの課題が解決されています。

Coincheckの口座をお持ちの方はどなたでも、NFTの出品・購入・保管が可能であり、出品・購入にかかるネットワーク手数料(Gas代)は無料です。

取扱い商品は、2022年7月時点で『CryptoSpells』『The Sandbox』『NFTトレカ』『Sorare』『Meebits』『TOMO KOIZUMI』『Decentraland』『Art Blocks』『Generativemasks』『Otherside』の10タイトルのNFTがラインナップされ、今後随時追加されていくことになります。

吉本興業

吉本興業株式会社もNFT事業を展開しています。

芸人ファン向けにデジタルトレーディングカードを2020年から販売しており、2022年3月19日にはその新版の「FANYよしもとデジタルコレカ」が発売されています。

デジタルカードから音が出るのが特徴で、好きな芸人が動き、ネタも披露してくれます。

スマホにいつでも好きな芸人のネタを持ち運ぶことが可能です。

また、LINEの暗号資産事業およびブロックチェーン関連事業を展開するLVC株式会社が2022年4月より提供を開始したNFT総合マーケットプレイス「LINE NFT」において、限定NFT動画「よしもとNFTシアター」の販売を行っています。

チョコレートプラネット、マヂカルラブリー、ニューヨークら人気芸人や若手からベテランまで28組54種のコントを視聴可能で、今回のNFT用に撮り下ろした動画となっています。

阪神タイガース

スポーツシーンですと阪神タイガースもNFTを活用した取り組みを行っています。

選手カードや名場面シーン、試合シーンをデジタルアイテムとして提供するサービス「Tigers Gallery」を、2022年6月3日(金)から2023年1月31日(火)の期間限定でリリースしています。

販売されるアイテムにはグレードが設けられ、そのグレードによって発行枚数が変わり、価値も異なるという仕組みになっています。

ドコモが提供する5G、画像認識技術などを活用し、試合中に撮影されるハイライト写真を当日中にデジタルアイテムとして販売可能となりスピーディーな展開が期待されています。

サービス開始当初は、阪神タイガース公式サイト上でのみの販売に限定されますが、ブロックチェーンを応用したサービスの提供や二次流通(ユーザー同士でのデジタルアイテムの売買)も検討されています。

スクウェア・エニックス

最後は、Final Fantasyシリーズなどの有名ゲームを多数展開しているスクウェア・エニックスを紹介していきます。

2022年2月にブロックチェーン・エンターテインメント部を新設し、本格的に事業をスタートさせる準備を整えています。

その先駆けとして、2021年10月「集めて貼って楽しめるNFTデジタルシール」としてNFTコレクション「資産性ミリオンアーサー」を発売、ファーストシーズンが2022年3月にサービスを終了していますが、セカンドシーズンの制作は図出に決定しているそうです。

また、2022年7月21日、人気タイトル「ファイナルファンタジーVII」のデジタル鑑賞やブロックチェーン上の保有証明などを盛り込んだ新しいホビー商品を発表し、マーチャンダイジング分野におけるDX推進の第一弾として行われています。

|NFT関連のスタートアップ企業

ここからはNFT事業に参入しているスタートアップ企業をご紹介していきます。

これからどんどんNFT事業への参入が広がっていくであろうスタートアップ企業に負けないように、自社でのNFT事業参入の準備にお役立てください。

スタートバーン

スタートバーンはアート分野へのNFT導入支援を行うスタートアップ企業で、インフラ、自社サービス、他社との共同開発の3つの事業を展開しています。

インフラ事業としては、「Startrail(スタートレイル)」という自社開発したブロックチェーンの運用構築を行っています。

「Startrail」上では、画廊や美術館、オークションハウスといったアート作品の流通・管理を担っている業者がNFTの発行を行うことができます。

また、スタートバーンは自社サービスとして、NFTを活用したデジタル資産の真贋証明書「Startbahn Cert.」を発行しています。

これにより、利用者はより安心してデジタルアートを売買することが可能になります。

「Startbahn Cert.」は「Startrail」をより簡単、安全に活用するためのNFTインターフェースとして2020年に公開されています。

ここでの収益はアート出品者へ還元されるなど、アーティスト支援に繋がっています。

TRiCERA

株式会社TRiCERAは、アート分野専門のECサイト「TRiCERA ART (トライセラアート)」の運用を始め、アーティストの活動支援を目的とした様々なサービスを提供しています。

「TRiCERA ART」は現代アート専門の登録制ECプラットフォームで、8カ国の言語に対応し、出荷や配送、返品手配を一貫して請け負っています。

それにより、国内外問わず販路を拡大させており、現在アジアにおけるシェア率No.1を誇っています。

また上述したスタートバーン株式会社が発行するデジタル資産の真贋証明書「Startbahn Cert.」と連携し、「TRiCERA ART (トライセラアート)」でもNFT証明書の発行が可能となっています。

SBINFT(旧スマートアプリ)

日本初の統合型NFT売買プラットフォームを運営していた株式会社スマートアプリは、2021年9月大手金融「SBIホールディングス株式会社」の連結子会社となり、社名をSBINFT株式会社に変更しました。

SBINFT株式会社は、イーサリアム決済やNFTの発行、販売をすることができる「Go Base」というブロックチェーンプラットフォームを提供しています。

また、NFTに特化したマーケットプレイス「SBINFT Market」の運営やNFT事業のコンサルティングなどを行うなど、NFT領域を中心に事業拡大を行っています。

さらに、2021年10月には、メタバースに取り組むための事業部を新設し、NFT作品を展示するためのメタバースギャラリー「THE GALLERY」を開催しました。

ANDART

株式会社ANDARTは、日本初のNFTアート作品の共同保有プラットフォームとして2019年に設立されました。

ビジネスモデルは非常にシンプルで、NFTアートの所有権の小口販売と売買手数料でのマネタイズとなっています。

特典として、NFTアートの所有権を購入したオーナーは、コレクションをオンライン上で行うことができ、また、実物作品の鑑賞会に参加できるなど、気軽に本格アートコレクションを楽しむことができます。

これまで手が出なかった高額な有名アート作品や大型作品を、1万円という少額から所有できる点が非常に注目され、2022年5月時点で会員登録者数は2万人を突破しました。

購入者の7割がANDARTで初めてアートを購入しているというデータも出ており、新しいコレクター層を創造しているサービスです。

Kyuzan

株式会社Kyuzanは、オリジナルのNFTショップを簡単に構築できるNFT開発基盤「Mint」を開発・提供しています。

「Mint」では「OpenSea」のような大規模で雑多なNFTマーケットプレイスではなく、クリエイター独自のブランドイメージに沿った、よりパーソナライゼーションされたNFTショップを作る事ができます。

「Shopify」や「BASE」のようなプラットフォームのNFT版をイメージしてもらえればわかりやすいと思います。

株式会社Kyuzanは「Mint」の他にも、株式会社GameWithと共同開発したNFTゲーム「EGGRYPTO(エグリプト)」の運用を行うなど、今後もNFT関連事業を拡大していく予定です。

Gaudiy

株式会社Gaudiyは、NFTを始めとするブロックチェーン技術を活用したファンコミュニティサービス「Gaudiy」を運営するスタートアップ企業です。

「Gaudiy」はブロックチェーン技術を活用したコンシューマー向けのファンサービスという新しい切り口で市場を牽引しており、これまでにないエンタメ体験やビジネスモデルの開発に取り組んでいます。

実際に、ソニー・ミュージックエンタテインメント、集英社、バンダイナムコエンターテインメント、アニプレックスといった、「音楽」「漫画」「ゲーム」「アニメ」分野を代表する著名なエンターテインメント企業が「Gaudiy」を導入しています。

|まとめ

今回はNFT事業について、大手企業とスタートアップ企業の実例を交えてご紹介してきました。

意外な企業が始めていた例もあったかと思います。

自社の商品はデジタル分野と親和性が高くないから、NFTはやらなくてもいいかな…」と思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、多岐にわたる分野の企業が取り組みを始めており、工夫ひとつでNFTを展開することが可能になっています。

本記事を読んで、NFT事業のことが理解していただけ、自社での取り組みを検討していただけたら幸いです。