日本第二の都市である大阪。
古くから商人の町としてたくさんの人が集まり、現在でも非常に多くの文化やビジネスが集まる都市として栄えています。
そんな大阪の魅力をさらに引き出すため、最近はメタバースを活用する事例が増加しています。
本記事では、大阪でのメタバースの活用事例についてその特徴や魅力、今後開催される予定のイベントについて詳しく紹介します。
大阪でのメタバース活用事例を学びながら、メタバースの可能性について見ていきましょう。
目次
|メタバースとは
近年、急速に注目を集めているメタバース。それは、仮想現実と現実世界が融合した新しいデジタル空間です。
メタバース(metaverse)とはそもそも、「超越」や「高次」のものを意味する「メタ(meta)」と「宇宙」を意味する「ユニバース(universe)」が掛け合わされることで生まれた造語です。
メタバースは、仮想空間内でのユーザー同士の交流やビジネス活動を実現し、現実世界ではできないこともできるようにしたり、様々な可能性を秘めています。
この記事では、地方自治体や大阪でのメタバースの利用事例を見ていきながら、その活用方法や成果に注目していきます。
また、メタバースについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事もぜひご一読ください。
|大阪府のメタバース事例
一口にメタバースイベントといっても、企業によるメタバースイベントの事例や行政によるメタバースを使った施策など様々なものがあります。
ここからは実際に大阪で開催されたメタバースイベントの事例について詳しく見ていきましょう。
バーチャル大阪
まず最初に取り上げるのはバーチャル大阪です。
バーチャル大阪は大阪・関西万博の2025年開催に先駆けて誕生したイベントです。
このイベントでは”City of Emergence”をテーマに大阪の魅力を発信すること、新たな文化を創造すること、新たなコミュニティをテーマにすることなどを目指して開催されました。
2022年の公開以来様々なイベントが開催され多くの人々が訪れています。ここからバーチャル大阪が開催されることとなった背景と特徴について詳しく見ていきます。
出展:https://www.virtualosaka.jp
背景
バーチャル大阪が開催されることとなった背景には、上でも触れた2025年に開催される大阪万博が深くかかわっています。
このバーチャル大阪は大阪府・市が令和3年度に立ち上げたものであり、万博開催に向けて、さらにはもっと先の未来まで世界に大阪の魅力、日本の魅力を発信することをモットーにしています。
特徴
このバーチャル大阪には様々な特徴があります。
まずは大阪をモチーフにしたワールドが用意されているということ。通天閣や道頓堀など様々な大阪の名所がメタバース上に再現されています。
この3月には本格オープンから2周年を記念して、「勝ちダルマ」で有名な箕輪市の「勝尾寺」をモチーフとしたワールドなども追加されました。
すでに行ったことがある人でも別の機会に参加するとまた違ったワールドを楽しめるかもしれません。
次に紹介する特徴は様々な楽しみ方があるということ。単にメタバースのワールドを楽しめるというだけにとどまらず、これまでにバーチャル音楽ライブなどのエンタメコンテンツ、ユーザー自身による創作活動などなど、様々な楽しみ方が提供されてきました。
万博を1年後に控えた今、これからも増えるであろう新たな楽しみ方に注目が集まっています。
JM梅田
出展:https://www.hhcross.hankyu-hanshin.jp/events/jm_umeda/
JM梅田は阪急阪神HDが大阪・梅田の街をバーチャル3D空間に忠実に再現したメタバースのワールドです。
ステージゾーンと2つのブースゾーンが用意されており、ステージゾーンでは出演者の音楽ライブを視聴でき、ブースゾーンではイベントやグッズのお買い物などが楽しめます。
またこのJM梅田では阪神百貨店と阪急百貨店前のエリアを再現しているため、普段は車通りで立ち入ることのできないエリアを自由に歩き回ってイベントを楽しむことができます。
JM梅田ではこれまでVTuberなどのバーチャルキャラクターや実際のアーティストによる音楽フェスなどのイベントが行われてきました。
このJM梅田には弊社monoAI technology株式会社も関与しており、法人向けメタバースプラットフォームである「XR CLOUD」を阪急阪神HD用にOEM開発した「HH cross EVENTS」で内でイベントが開催されています。
バーチャル大阪駅
次に紹介するのはバーチャル大阪駅です。
大阪駅といえば新宿駅と並ぶ迷宮として有名ですが、大阪駅もバーチャル上に再現されイベントが行われていました。
残念ながら迷宮部分である地下街はありませんが、イベントでは地上部分が再現されました。
また実はバーチャル大阪駅には、REALITY内に再現されたものとバーチャルマーケット内に再現されたものとで2つ存在しており、今回はその両方を個別に紹介していきます。
まずはREALITY内に作られたバーチャル大阪駅について見ていきます。
REALITYのバーチャル大阪駅
出展:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000796.000095753.html
REALITY内のバーチャル大阪駅は、2022年に初のXR施策としてリアルの大阪駅を再現し、イベントを行いました。
昨年も「バーチャル大阪駅 うめきたワールド」を開催、そして3度目となる今年はユーザーとのコラボレーションを促す新たな発信の場を作り上げ、新たな価値創造の場を挑戦することを目的に「バーチャル大阪 3.0」が開催されました。
2023年に開催された「バーチャル大阪駅 うめきたワールド」では期間中に約600万人の来場者を集め、その集客力の高さが話題となりました。
「バーチャル大阪駅 3.0」では、リアルの駅の機能である“旅立ちの場”をバーチャルで再現し、バーチャル大阪駅は様々なワールドへの起点となる「ワールドロビー」の役割を果たしており、ここからREALITYで展開される様々なワールドへの移動が可能となっています。
バーチャルマーケット内に登場したバーチャル大阪駅
出展:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000202.000034617.html
バーチャルマーケット内のバーチャル大阪駅は、世界最大のメタバースイベントとしてギネスにも登録されたメタバース上の大型イベント「バーチャルマーケット2022 Summer」において展開されました。
こちらのバーチャル大阪駅は大阪駅を象徴する大屋根で滑り台体験ができたり、メタバース上でお笑いライブが見れたりと、エンタメ要素を多く含んでいました。
また実際の大阪駅にあるアトリウム広場を再現した広場には、JR西日本が展開する地域産品オンラインショップや鉄道グッズECショップ、商業施設「ルクア大阪」、日本旅行のバーチャル大阪駅支店などのショップブースが展開されていました。
大阪労働局|若者向けハローワーク
「バーチャルわかものハローワーク」は大阪労働局がメタバースプラットフォーム「cluster」を活用しオープンさせたものです。
「バーチャルわかものハローワーク」は求人情報や職業興味検査、職業訓練などの情報を発信しており、求職登録もオンラインで行えるようになっています。
アバターを通じて職員との就職相談も可能であり、利用者は自宅のパソコンやスマートフォンから気軽にアクセスできます。
この取り組みの目的は、若者の就職支援をメタバースで体験させることにあり、アバターを通じた簡易相談やセミナー動画の視聴、企業説明会への参加などを通じて、若者が就職活動へのハードルを下げ、必要なサポートを受けられるようにすることが狙いにあります。
泉佐野市|バーチャルマーケット出店
出展:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000235.000034617.html
大阪の泉佐野市は「バーチャルマーケット2022 Winter」に出展しました。
この中で泉佐野市は、同市の魅力やふるさと納税の返礼品のPRを行いました。
ブースでは泉佐野市のお肉、お米、タオル、さらには特製ビールなどのふるさと納税品が3D形式で展示されており、デジタルカタログに触れると泉佐野市の運営するふるさと納税サイトに遷移しその場で寄付を行うことも可能でした。
さらには「肉の泉佐野」を象徴するような肉の部位が書かれた牛に乗ってロデオ体験も可能でした。
メタバースが持つ遠隔から体験できるという特性は、これまで難しかった遠い所に住む人々にその場所の良さを知ってもらって寄付をしてもらうという、課題の解決に大いに貢献しました。
この取り組みは非常に効果的なメタバースの活用例だといえるでしょう。
大阪商工会議所|メタバース事業促進セミナー
大阪商工会議所では2023年の11月からメタバース関連産業において事業開発や共創を目的として事業提案を募集する「メタバースビジネス創出プラットフォーム」を開催しています。
このイベントでは、情報を提供するセミナーセッション、ビジネスマッチングに加え、既存のメタバース空間やXRデバイスを体験しながら事業アイデアを創造するワークショップも行っています。
2024年3月開催回ではXR関連企業28社によってさまざまなテクノロジーの展示が行われ、様々な意見交換が行われました。
|大阪万博に向けた取り組み
大阪といえば、今話題となっているのは2025年に開催される大阪万博ですよね。
大阪でのメタバース関連のイベントの多くは大阪万博に関連しています。
ここではそれら大阪万博にまつわるメタバースイベントについて紹介していきます。
大阪万博はNTTと連携しオンライン空間上に夢州会場を3DCGで再現したバーチャル会場を再現し、バーチャル万博を行うことを計画しています。
キーワードは「空飛ぶ夢洲」となっており、バーチャル会場ではバーチャルならではの特性を活かしたような展示や、時間と距離に縛られない世界中の人が集まる場所を作るとしています。
バーチャル万博に来場するためのソフト・アプリは無料で入手でき、様々なデバイスからアクセス可能、そのなかでアバター同士でのコミュニケーションを行ったりお土産の購入ができるといいます。
次に紹介するのは、道頓堀ナイトカルチャー創造協議会が作成した「バーチャル道頓堀」です。
「バーチャル道頓堀」はVRメタバースプラットフォーム「VRChat」を使う、もしくは3DCG空間を見ることのできるブラウザ拡張サービス「Hubs」を使うことで体験でき、実際の看板を再現したバーチャル道頓堀をVR空間上で散策することができます。
これら「バーチャル万博」や「バーチャル道頓堀」、最初に紹介した「バーチャル大阪」など様々なメタバースイベントが大阪万博に向けて開催されています。
|まとめ
ここまで大阪で開催される様々なメタバースイベントについてまとめてきました。
自治体によるイベントや、企業によるエンタメイベント、万博のためのイベントなど様々な目的ごとにメタバースは活用されていました。
今後も大阪でメタバースの特性を生かしたたくさんのイベントが開催されることが期待されます。