Unityが開発した最新のAIツールであるUnity Museは、ゲーム開発者が自分のアイデアを具現化するための頼りになるサポートを提供します。
このツールは、ユーザーが直感的に操作できるように設計されており、AIの力を活用してユーザーの創造性を最大限に引き出すことを可能にします。
本記事では、このUnityのAIツール「Unity Muse」の特徴と使い方を分かりやすく解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、今後のゲーム開発の際の参考にしてください。
目次
|Unityとは
出典:https://unity.com
ゲーム制作に興味のある方は、Unityという言葉を耳にすることが多いのではないでしょうか?
簡単に説明すると、ゲームを作る際に必要な、開発環境や実行環境が用意されたゲーム開発プラットフォームです。具体的には3D/2Dオブジェクトの描画や音楽・効果音再生、UI管理、データ管理・作成ツールなどを備えています。
実際にゲームを作成する際には無料版と有料版を選択できますが、無料版でも高いクオリティのゲームを作ることができます。
以下の記事で詳しくUnityの内容についてまとめていますので、気になった方はぜひこちらも合わせてご覧ください。
|Unity Museとは
出典:https://unity.com/ja/products/muse
Unity Museとは、AIプラットフォームであり、テキストのプロンプトやスケッチなどを使って、直感的に3D/2Dコンテンツを作成、編集を行えます。
UnityエディタのUIに組み込まれたAI生成ツールのため、手軽に扱うことができ、直感的な操作で効率的なコンテンツ制作を望むデザイナー・アーティストの方に向いています。
また自然言語という、人と人とが日常的に使う話し言葉や、書き言葉によるプロンプトでコンテンツ生成が行えるため、深い知識がなくとも使えるのが特徴です。
具体的にUnity Museが生成できるコンテンツは以下です。
- テクスチャ:ゲームなどで使用する任意のスタイルのテクスチャ
- スプライト:シーンに組み込める2Dアート
- アニメーション:ヒューマノイド型のキャラクターの動き(プレリリース)
- チャットAI:プロジェクトの開始方法やコードの生成をチャット形式で応答(ベータ)
同時期に発表されたUnity Sentisとは
Unity Muse は開発する方の手順の流れを効率化しますが、Unity SentisではユーザーがUnityランタイム(Unity制作ゲームを大規模に動かすためのコード)にAIモデルを読み込み、AIモデルを使用した複雑なタスクの処理やゲーム内での新しい機能の作成ができるようになります。
Unity Sentisはクロスプラットフォーム対応で、Unityが対応しているモバイル、PC、各種コンソールで動作します。
AIモデルは、PyTorchやKerasで作成することができ、またはHugging Faceから入手することができます。
Unity公式のYouTube動画では、実際に手書き文字認識AIモデルを読み込み、ゲーム内でプレイヤーの手書き文字がどの数字かをAIに認識させるサンプルプロジェクトが公開されています。
興味がある方はぜひご覧ください。
|Unity Museの特徴
Unity Museについての概要と基本的な流れを簡単にご紹介しました。
次に、Unity Museが具体的にどのような機能を提供し、どのようなものを生成するのかについて詳しく説明していきます。
テクスチャやオブジェクトをプロンプト生成可能
Unity Museの特徴的な機能の一つに、テクスチャやオブジェクトを自然言語プロンプトで生成するというものがあります。
生成AIについて詳しくない方にとっては、聞きなじみのない言葉かもしれません。
プロンプトとは、利用者が生成AIに対して指示を出すための入力です。
これにより、AIは何を生成すべきか、または画像の方向性を定めるための情報を得ます。
Unity Museのテクスチャ生成機能は、プロンプトにテキストを入力するだけで使用できるため、操作は非常に簡単です。ただし、入力テキストは英語である必要があります。
そのため、生成したいテクスチャを上手に英文で記述できるかが、クオリティに影響を与えます。
しかし、その点については、翻訳ツールや他のAIを利用すれば問題ありません。
出典:https://www.youtube.com/watch?v=dBDksSAwzPI
アップデートにより、生成AIのモデルをUnityがゼロから学習させたモデルになり、ゲームで使われる地面、レンガ、土などのマテリアルが改善されています。
左:既存モデルで生成 右:最新モデルで生成
出典:AI model improvements for higher-quality textures in Unity Muse
コードをゼロからAIが教えてくれる
Unity Museのもう一つの特徴は、AIがコーディングの手順をゼロから教えてくれる能力です。
ユーザーが達成したい目的をAIに伝えると、AIはそれを実現するためのコードを提案します。
これにより、ユーザーはコーディングの基本を学びつつ、目的を達成することができます。
さらに、Unity Museはユーザーが自分のコードを改良するためのフィードバックも提供します。
AIはユーザーが書いたコードを分析し、最適化の提案やバグの警告を行います。
これにより、ユーザーは自分のコードを継続的に改良し、より効率的で洗練されたコードを書く能力を身につけることができます。
|Unity Museの使い方
Unity Museの使い方は直感的で、初心者から経験豊富な開発者まで誰でも簡単に利用することができます。
ここからは、Unityの基本的な使い方について詳しく説明します。
ウェブサイトにアクセスし、β版へ申し込む
Unity Museのβ版への申し込みは、ウェブサイトを通じて行うことができます。
ウェブサイトの申し込みフォームに必要な情報を入力し、送信ボタンをクリックするだけです。
その際に入力する欄は名前、メールアドレス、Unity Museをどのように使用する予定かについての簡単な説明が必要です。
申し込みが完了すると、Unity Museのチームから確認メールが届きます。
そのメールには、β版のダウンロードリンクやインストール方法、そして使用方法についての詳細が記載されています。
出典:https://create.unity.com/ai-sign-up
新規プロジェクトを作成
初めてUnityを使う方や初めてのジャンルのゲームを開発する方は、開発の方法や開発するための最適なプロジェクトすらわかりません。
そんな時に、Muse Chatを使用すれば、Unityで開発を始める方法から必要なツールや手順などを一から教えてもらうことができます。
例として、「2Dモバイルゲームの構築方法、必要なツール、および開始方法について詳細な手順を教えてください」と質問すると以下のようなものが提示されます。
- Unityのインストール方法
- Unityを2Dモバイルゲーム開発用にセットアップする方法
- Unityのインターフェースとワークフローについて
- 必要なアセットのインポートと整理手順
- 2Dゲームオブジェクトの作成と操作方法
- 2D物理演算と衝突検出の実装方法
- ゲームの仕組みと動作を定義するスクリプト作成
- 2Dモバイルゲームをビルドしてテストする方法
- ゲームをモバイルデバイス向けに最適化する方法
- ゲームの公開方法
これにより、開発者は効率的にプロジェクトを進めることができます。
テキストで作りたいものを指示
Muse Chatでは、コードをゼロから生成したり、既存のコードを変更したり、新しい方法を見つけるためのプロンプトとして使用できます。
例えば、キャラクターのジャンプを変更して、シングルジャンプからダブルジャンプに変更する方法をテキストで指示できます。
手順としては、以下のようにダブルジャンプができるようにジャンプ方法を変更するやり方を質問します。
するとダブルジャンプを可能にするための手順とコードが生成されます。
参照:https://blog.unity.com/engine-platform/use-muse-chat-in-your-workflow
開発者はChat Museから提案された手順通りに操作し、生成されたコードを入力するだけで、実際にダブルジャンプを実装することができます。
|Unity Museの料金プラン
Unity Museは2024年春まで早期アクセスが展開されています。
早期アクセス期間中は有料サブスクリプションの場合、コード・3Dテクスチャ・2Dオブジェクト生成のほか、実装予定の機能として、3Dシーンの全体スケッチ、プロンプトを使ったCGモーション生成、キャラクターの行動定義もUnityで使用できます。
価格は月額税込み33ドルとなっております。
15日の無料トライアルも用意されているため、迷っている方はそちらをお勧めします。
|まとめ
いかがだったでしょうか。この記事ではUnity Museについて詳しく解説してきました。
Unity Museを使うことで開発者の創造性を補完して開発を効率化することができます。
テキストを入力するだけで即座に回答が得られ、独自のアセットを生成することができるため、ゲームのアイデアがいまだかつてない速さで実現することができます。
これまでもUnityでゲーム開発していた方、ゲーム開発初心者の方を選ばず扱えるサービスとなっています。
興味を持った方はぜひ一度挑戦してみてください。