近年は技術進歩のスピードが著しく、日々新たなサービスや商品が展開されています。
そのため知らない単語、初めて聞く言葉に出会うことも多くなってきたと感じているのではないでしょうか。
また、聞いたことがある、知っているが上手く説明できないというものもあるはず。
「メタバース」や「デジタルツイン」についても、そうした言葉の一つかもしれません。
特にそれぞれが持つ特徴、内容が似通っているからこそ上手く理解できないという方もいるかもしれません。
本記事ではそうした悩み、疑問に応える内容となっています。
一読いただければメタバースとデジタルツインの違いはもちろん、それぞれの特徴について把握できるようになります。
目次
|メタバースとデジタルツインの違いは?
ネット上ではメタバースとデジタルツインについて、混同して説明している記事も見受けられます。
確かにメタバースもデジタルツインもインターネット上の仮想空間という点では共通している点も多いのですが、その利用目的や表し方などに大きな違いも存在します。
そのため、まず始めにメタバースとデジタルツインそれぞれの特徴について見ていきます。
そうすることによって、メタバースとデジタルツインの違いについてもはっきりと見分けられるでしょう。
メタバース
「メタバース(Metaverse)」は「Meta(超越した)」と「Universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、ハッキリとした定義はないののですが、「多人数が同時に参加できる、インターネット上の3D仮想空間」と考えておけば間違いありません。
メタバースの利用者は3Dで構築された仮想空間内で他者との交流を楽しんだり、様々なイベントに参加したり、経済活動を行うなど、現実世界と同じように行動することができます。
映画「レディ・プレイヤー1」や「龍とそばかすの姫」で描かれが仮想世界が、まさにメタバースそのもの。
3Dで構築されたメタバースは非常に臨場感が高く、別の世界に自分が飛び込んだかのような感覚を味わえます。
そのためメタバースは、現実世界と比較して「もう一つの世界」と呼ばれることもあるのです。
デジタルツイン
デジタルツインとは、現実世界をそっくりそのまま再現した仮想空間のことを指します。
まるでリアルと双子のような関係性から、「デジタルツイン(双子)」と呼ばれているわけです。
現実世界からデータを収集し、それをデジタル空間に再現する。それを利用して、現実世界では検証が難しいシチュエーションをシミュレートしたり、現実世界へのフィードバックを行ったりすることができるようになります。
メタバースとデジタルツインの違いを簡単に説明すると、以下のようになるでしょう。
- メタバース:仮想世界を3Dで構築する
- デジタルツイン:現実世界をネット上に再現する
メタバースを現実とは異なる「もう一つの世界」と表現するなら、デジタルツインは現実の世界を写した「ミラーワールド」と言うことができるでしょう。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
|メタバースとデジタルツインの違い
両者の違いについて、以下の項目に沿って違いを確認していきましょう。
- 仮想空間
- アバター
- 利用目的
仮想空間
最も大きな違いとしてあげられるものが、「仮想空間」に対する考え方や利用方法です。
メタバースは現実世界とは全くことなる新しい世界を「創造」しますが、デジタルツインでは現実世界の環境を「再現」します。
つまり、非日常的な空間を一から生み出すメタバースと、リアルな世界を再現するデジタルツインという関係です。
仮想空間の創造という点ではお互い同じなのですが、「どういったものを作るのか」という点が異なるのです。
アバター
メタバースの特徴でもあり、利用に必須となるものが「アバター」です。
アバターとはサンスクリット語由来の言葉であり「神の化身」を意味しています。
現在ではネット上やゲームといったデジタル空間で利用する、「もう一人の自分」を指す言葉として利用されることが一般的。
そして、メタバースではこのアバターを通じた交流、ゲーム参加が前提となるのです。
一方、デジタルツインではアバターを必ずしも必要としません。
つまり、想像される「仮想空間」における自身の存在表現が異なるのです。
利用目的
現実世界とは異なる空間創造を前提としたメタバースは、ゲームを始めとした非現実的な世界観の創造に長けています。
また、現実世界を拡張させた架空の世界を生み出し、そこでのコミュニケーションなどが楽しめます。
しかし、デジタルツインは現実世界を非常にリアルに再現することを目的にしています。
その目的は、現実世界では実施が難しいシミュレーションの実行などがあげられます。
こうしたことからビジネス利用、ゲームといったことが利用目的となるメタバースと、実験やシミュレーションが利用目的となるデジタルツインという相違点があげられるでしょう。
|メタバースでできることって?
メタバースとデジタルツインの違いについては分かりましたが、ではメタバースでは一体どんな事ができるのでしょうか?
ここでは、以下に挙げたメタバースの一般的な利用方法について説明していきます。
- ゲーム
- イベントやライブ
- 会議やセミナー
- 商品やサービスの提供
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
ゲーム
メタバースの最も適した利用方法の一つが、ゲーム。
何しろメタバースは不特定多数が同時に参加できる仮想空間のことですから、ゲームと非常に相性が良いわけです。
そのメタバース・ゲームの中でも人気なのが、「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」。
ユーザーはオープンワールドのゲーム内で他ユーザーとの交流やアイテムの作成ならびに売買、イベントなどを自由に楽しめます。
The Sandboxのようなメタバース・ゲームは未体験でも、「Fortnite(フォートナイト)」をプレイしたことがある人は多いかもしれません。
Fortniteは世界中で大人気のオンライン・バトルロイヤルゲームで、厳密にはメタバースではありませんが、そのゲーム内容はメタバースでできることと非常に近い。
実際Fortniteをメタバース・ゲームへ移行しようという動きも見られます。
イベントやライブ
インターネット上の仮想空間という仕組みを利用して、メタバースでは大規模なイベントやライブも頻繁に行われています。
何しろメタバースでは世界中から誰でも参加できますから、アフターコロナでのイベント開催にももってこい。
VRゴーグルを装着してメタバースのイベントに参加すると、まさに自分がその場にいるかのような感覚を味わえます。通常のオンライン配信では得られない体験を提供できるのです。
実際にジャスティン・ビーバーがメタバース・ライブを開催したり、様々な企業が参加するバーチャル展示会、「バーチャルマーケット」などのイベントにも大勢の人が参加しています。
今後はライブやイベントなどもメタバースで参加するのが当たり前、という時代がやってくるかもしれません。
会議やセミナー
メタバースはエンタメだけにとどまらず、ビジネスツールとしても幅広く活用されています。
コロナ禍でオンライン会議やリモートワークも当たり前になりましたが、臨場感の高いメタバースを利用すると業務生産性もより高まります。
メタバースを会議やセミナーに活用することによって、リモートワークでありがちなコミュニケーションギャップやストレスを軽減できます。
またセミナーや研修などをメタバースで行うことによって、時間や費用を抑えることにもつながります。
こうしたメリットに注目して、会社自体をメタバース内に移転させる企業も現れました。
メタバースは究極のリモートワークツールとして、これからさらに活用が広がっていくでしょう。
商品やサービスの提供
メタバースでは現実世界と同じように、店舗や大型ショッピング施設を出店させて様々な商品やサービスを売り買いすることができます。
それだけならECショップと変わらないと思うかもしれませんが、メタバースではショップの店員さんもそこに「いる」わけですから、商品をポチるだけではない、新たなショッピング体験を提供できるのです。
実際にFOREVER 21やNIKEなどの企業が、メタバースに店舗を展開しています。
メタバースでは単なる「モノ」だけではなく、イベントや交流といった「コト」も提供できるのが、メタバースでビジネスを展開する大きなメリットなのです。
|デジタルツインのメリットは?
メタバースの利用方法やそのメリットについて理解できたところで、今度はデジタルツインのメリットを考えてみましょう。
ネット上に仮想世界を構築するメタバースとは異なり、現実の世界をデジタルで再現するデジタルツインでは自ずとその利用方法やメリットも異なってきます。
ここではデジタルツインの主なメリットとなる、以下の4つの点を取り上げます。
- 検証やシミュレーションができる
- メンテナンス作業がスムーズになる
- コストを削減できる
- 丁寧なアフターフォローが可能
では、それぞれ具体的に見ていきましょう。
検証やシミュレーションができる
デジタルツインは現実世界や特定の事象をそのままデジタルで再現するため、検証やシミレーションを行うのに非常に適しています。
例えば、工場の生産ラインを新しくする場合に、始めにデジタルツインで再現します。
そうするとそれが本当に期待どおりに稼働するか、どこで不具合が出るのか、などの検証が簡単に行なえます。
さらにほかにもいくつかの生産ラインの候補があれば、それぞれの比較検証も容易でしょう。
実際に生産ラインを何度も作り直すことは現実的ではありませんが、デジタルツインでは何度でも繰り返し簡単にシミュレーションできるのです。
また気候変動や渋滞の予測、災害時のシミュレーションなども、デジタルツインなら事前にシミュレーションが可能。将来の災害に備えたり、解決策の検証なども行えるのです。
このように現実世界で起こることをネット上で簡単にシミュレーションできることこそが、デジタルツインの一番のメリットなのです。
メンテナンス作業がスムーズになる
特に製造業においてデジタルツインを導入する大きなメリットは、製造機器の稼働状況を同時進行で把握できることによって、メンテナンス作業がスムーズになることです。
上でも工場の生産ラインで例えましたが、デジタルツインでラインを再現すると、稼働後の検証も容易になります。何かトラブルが発生したときに、原因の追求や改善策を考えるのに非常に役立つのです。
何しろ現実の生産ラインは大掛かりなものも多いですが、デジタル上ならすぐに問題点を把握できます。
現場のトラブルの検証や修正をデジタルツインで行えることのメリットは、企業にとって計り知れません。
さらにデジタルツインなら、部品の劣化などから引き起こされる故障予測も容易に行うことができます。
このようにデジタルツインによってメンテナンスや整備保全の作業がスムーズに行え、生産性向上に大いに役立つのです。
コストを削減できる
上の二つの事例からも明らかなように、デジタルツインを導入することによっ製造や管理、メンテンスなどのコストを大幅に削減することが可能です。
デジタルツインで工場のシステムを再現しておけば、故障などのトラブル時もリアルタイムで発見、追跡することができるようになります。
例えばデジタルツインならば、複数の工場をまとめて一か所で管理することも難しくありません。
海外などにある工場を日本で管理し、問題が生じたときには日本からすぐに現地のスタッフに指示を出すことができます。
問題点や修理のために必要な部品・手順などもデジタルツインで把握できるため、問題解決のための時間も大幅に節減できるでしょう。
デジタルツインによって人件費だけではなく、交通費や時間などあらゆる面でのコストカットが見込めるのです。
丁寧なアフターフォローが可能
デジタルツインの導入メリットは、何も工場などの現場作業の効率化だけにとどまりません。アフターフォローにも役立つのです。どういうことでしょうか?
例えばある製品を出荷後、その利用データを常時受け取れるようにしておけば、製品状況を把握し、必要なアフターフォローも素早く行うことができるようになります。
工業製品だけではなく、個人ユーザーが利用する製品(例えば自動車など)にもセンサーを取り付けて利用状況をモニターすれば、修理が必要になる前にユーザーに知らせることができるようになるかもしれません。
これはリアルタイムでシミュレーションできる、デジタルツインならではのメリット。
デジタルツインで丁寧なアフタフォローが行えれば、企業価値の向上に大いに役立つに違いありません。
|デジタルツインの活用事例
デジタルツインの利用方法・メリットを踏まえた上で、iデジタルツインの3つの活用事例を見ていきましょう。
- 三越伊勢丹ホールディングス「まちあるき・購買体験」
- 土砂災害の被害シミュレーション「VIRTUAL SHIZUOKA」
- 空間情報プラントフォーム「コモングラウンド」
これらの事例を通して、デジタルツインの活用イメージがさらにクリアになるでしょう。
三越伊勢丹ホールディングス「まちあるき・購買体験」
出典:https://www.mlit.go.jp/plateau/new-service/4-001/
三越伊勢丹はメタバースでショッピングやイベント、コミュニケーションが楽しめる、「バーチャル伊勢丹」をメタバースにオープンさせています。
「まちあるき・購買体験」はこれをさらに拡大させて、新宿三丁目エリアを中心とするバーチャル新宿をデジタルツインで再現しようというもの。
街歩きやショッピングなどの都市機能を、どこまでバーチャルで再現できるかの実証実験を行っています。
デジタルツインで都市を再現することによって、人の流れや交通量のシミュレーションも行えます。
それに基づいてCO2の排出量や交通、経済活動の効率化などの具体的な検証が可能になるのです。
デジタルツインを活用して都市機能を再検証するという試みは、アフターコロナを見据えて大きな注目を集めています。
砂災害の被害シミュレーション「VIRTUAL SHIZUOKA」
出典:https://media.dglab.com/2022/02/09-virtual-shizuoka-01/
静岡県は、土砂災害の被害シミュレーションのためにデジタルツインを活用しています。それが、「VIRTUAL SHIZUOKA」プロジェクト。
VIRTUAL SHIZUOKAでは、県内の人口カバー率100%という大規模な点群データを整備。つまり、静岡県全体を3Dデータ化してしまったのです。
そのデータは2021年に発生した、熱海市の土石流災害現場の3D化や土量算出にも活用されました。
県の土壌全体を3D化するというのは途方もない手間暇がかかりますが、それによって災害時のシミュレーションだけではなく、災害復旧の迅速化や「見える化」による合意形成などにも非常に役立ちます。
静岡県の行ったデジタルツインの活用は、ぜひ他自治体にも見倣ってほしいところです。
空間情報プラットフォーム「コモングラウンド」
出典:https://wired.jp/2021/02/10/common-ground-living-lab/
デジタルツインで土地や建物を再現することは可能ですが、私たちの暮らしを含めた都市機能そのものを再現することは難しい。私たちの生活はモノよりもはるかに複雑だからです。
しかし、それを可能にしようというのが、空間情報プラットフォームの「コモングラウンド」。
コモングラウンドではAIを活用して空間に存在する様々なものをデジタルデータとして記録し、私たちの住む現実世界とデジタルツイン上の『サイバー世界』を融合させようとする試みです。
これは2025年の⼤阪・関⻄万博が提唱する新たな社会、「Society5.0」実現のためにも必須。現実世界とサイバー世界を融合させ、デジタル上で生活そのものをデザインする。
そしてそれを現実にフィードバックさせることによって、より便利で豊かな社会を作り上げようとしているのです。
コモングラウンドの実証実験は、すでにスマートシティなどで行われています。
AIやロボットも含めたデジタルと人間が共存しながら、お互いを高めていく社会。
それがコモングラウンドの目指すビジョンなのかもしれません。
|デジタルツインを実現するために必要な技術
ここまで見てきたように、デジタルツインは単に便利な新しいテクノロジーではなく、企業活動や私たちの生活を大きく変革させうる可能性を秘めています。
では、このデジタルツインを実現させるためにはどのような技術が必要なのでしょうか?
ここでは、デジタルツインに必要な以下の4つの技術について取り上げます。
- 5G
- AR・VR
- AI
- IOT
5G
日本でもすでにサービスの提供が始まっていますが、5Gは「5th Generation」、つまり「第5世代移動通信システム」のことで、高速大容量、高信頼・低遅延通信、多数同時接続を可能とする新たな通信システムです。
これまでの「4G LTE」から5Gに切り替わることで、その通信性能はこのように大幅にアップします。
- 通信速度:20倍
- 同時接続台数:10倍
- 遅延:10分の1
現実の世界をデジタルで再現するには、膨大な量のデータを扱うことが必要になります。それを根底から支えるのが、5Gなのです。
5Gによってデジタルツインの精度や利便性は向上し、活用シーンもさらに広がるでしょう。
リアルタイムでデータを収集し、シミュレーションするというデジタルツインにとって、5Gは必要不可欠な技術なのです。
AR・VR
ARとVRともに、デジタルツイン、そしてメタバースにも欠かせな非常に重要なテクノロジーです。
ARとVRは良く似た技術であるため混同されることも多いのですが、明確に異なるものです。
- AR:「拡張現実」。現実世界にデジタル情報や3Dグラフィックを拡張表示する
- VR:「仮想現実」。3Dの仮想世界にユーザーが入り込む
例えばデジタルツイン上でシミュレーションした結果を現実世界に3D画像として表示させるときにはAR、デジタルツインで再現した世界に入り込むにはVRが用いられます。
AR・VRの技術、またメタバース・デジタルツイン自体は、PCやスマホ、タブレットなどでも利用することができます。しかし、「Meta Quest 2」や「HoloLens 2」などの専用機器(ヘッドセット)を利用すると、その臨場感と没入感は段違い。
デジタルツインはARとVRという両輪のテクノロジーによって、その真価を発揮するのです。
AI
最近何かと話題のAI。一般的には「人工知能」として理解されていますが、より正確に説明すると「人間が実現する様々な知覚や知性を人工的に再現するもの」、もしくは「コンピューターによる知的な情報処理システムの設計」となります。
デジタルツインにAIが不可欠なのは、扱うデータの量が膨大だから。
AIを用いることによって、膨大なデータを『知的に』分析・解析することができるのです。
NECと産業技術総合研究所、日産自動車が共同で行った実証実験では、AIを用いることによってデジタルツイン上での生産ラインの構築や計画変更が10倍以上速くなり、予測誤差も1/6以下に抑えることができたとのこと。
現実世界をデジタルで再現するデジタルツインにおいて、AIの重要性はますます増していくでしょう。
IoT
モノとインターネットをつなぐ、IOT(Internet of Things)。
これがどうしてデジタルツインに必須の技術なのか?
デジタルツインは現実世界からデータを収集しますが、その手段の一つとなるのがIOTなのです。
設備や製品のセンサーから情報を収集し、それをリアルタイムでデジタルツインで再現する。そしてデジタルツインでシミュレーションした結果をそれらに反映させる。これはまさしくIOTそのもの。
IOTで建物や機械、家電などがインターネットに接続されるようになって、帰宅前にスマホからエアコンやお風呂などを操作できるようになりました。それがデジタルツインに接続されると、何もしなくても勝手に主人の帰宅にあわせて用意を整えてくれるようになるかもしれません。
IOT✕デジタルツインによって、私たちの生活はより便利に、より快適になっていくに違いありません。
|メタバースは普及しない?今後の課題とは
デジタルツインは製造業界を中心に、確実に活用が進んで来ています。
一方のメタバースは主にエンタメ業界を中心に盛り上がっていますが、メタバースはこれ以上普及しないという声も聞こえてきます。
それはどうしてなのか?
ここでは、メタバースは普及しないとしてあげられる2つの理由と、その課題解決のためにどんなことが必要なのか?という点を考えてきましょう。
法的な規制
メタバースはネット上の「もう一つの世界」ですが、その世界をコントロールする法律の整備はあまり進んでいません。そもそも現状の法律は仮想空間への適用が想定されていないのです。
例えば、著作権や知的財産権の保護。
もちろん現実世界では著作権や知的財産権(IP)を保護する法律はありますが、それをどこまでメタバースに適用できるのか?
メタバースでは自分の分身となるアバターを使ってアクセスしますが、そのアバターに有名なキャラを使うとどうなるのか。
またメタバースでオリジナルの作品を発表した場合、その著作権をどのように保護するのか、といった点もハッキリしていないなのが現状です。
著作権や知的財産権を適正に保護することはその業界全体を守ることとイコールですから、メタバースという仮想空間における法整備も早急に進めていかなければなりません。
VR機器の普及
AR・VRの項でも触れましたが、メタバースを最大限に楽しむには専用のヘッドセットが必要となります。
そのVR機器の一つである、「Meta Quest2」が2万円以上も値上げされる、というニュースが大きな話題となりました。
製造コストや出荷コストの高騰をその理由としていますが、もともと無理をして安くしていたのではないか?という声も聞こえてきます。
VR機器の普及のために安くしていたが、限界がきて値段を上げた。
つまりVR機器はこれ以上普及しないという声は一見もっともですが、そもそもMeta Quest2はすでに約1,500万台も出荷されています。
さらに今後はソニーの「PlayStation VR2」の発売も控えていますし、アップルもVR機器を開発しているという根強い噂も。
VR機器を今以上に普及させるには、様々なメーカーから多くの製品が出荷されること、そしてその機器を使いたい!と思わせるようなメタバースならではの世界をユーザーに示すことが必要になっていくでしょう。
|まとめ
従来のシミュレーションとは異なり、デジタルツインはリアルタイムで収集したデータをデジタルで再現するため、より精度が高く、「生きた」情報分析を行うことができます。
そしてそのデジタルツインに5GやAR・VR、AI、IOTなどの技術を組み合わせることによって、企業活動や我々の生活により役立つ成果を生み出せるようになるのです。
そしてデジタルツインの発展は、そのままメタバースの進化と直結しています。
なにしろデジタルで再現する世界が「仮想」のものか、「現実の写し」かという違いでしかないのですから。
メタバースにしても、デジタルツインにしてもそれをより良く理解するのは実践するのが一番!ぜひこの機会に、メタバースの世界を覗いてみてください。