コロナ禍によって人々の生活が一変し、様々な影響を及ぼしました。
その中で、大きく影響を受けたものの一つが「就職活動」です。
24新卒として就活を行っていた筆者も大きく影響を受けた世代であり、ほぼすべての説明会や面接を自宅でオンライン参加していました。
しかし、どうしてもオンラインだと伝わりづらい情報は存在します。
今回は就活の新しい形として注目されているVRを活用した就活について、メリットや採用現場でのVR活用事例を見ながらその可能性について見ていきます。
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|VRとは
VR就活について解説する前にそもそも「VR」とは何なのか、という前提を確認しておきましょう。
VRとは「Virtual Reality」を略したものであり、日本語だと「仮想現実」と訳される場合が多いです。
VRではコンピューター上で現実世界を再現、もしくは空想の世界を作成し、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を通して映し出し、まるで本当にそこにいるかのような体験をすることができます。
またVRの兄弟分的な存在として「拡張現実」と訳される「AR」=「Augmented Reality」やARとVRそれぞれの機能を融合した「MR」=「Mixed Reality」なども存在しています。
市場としても2016年はVR元年と呼ばれ、今後もVR市場の成長が予想されています。
VRについてさらに詳しく知りたい場合は以下の記事をぜひご覧ください!
|就活においてのVR活用シーン
VRとは何であるかという前提について確認したところで、ここからは実際に就活のどのシーンでVRを活用できるのか見ていきましょう。
オフィス見学
まずはオフィス見学のシーンです。
従来は会社のオフィスを体験するには実際にその土地に行く以外に方法はありませんでしたが、VRを利用すれば遠隔からでもオフィスを体験することが可能になります。
就職活動をする上でオフィスの雰囲気というのは非常に重要です。「想像していた環境で働けない」というのは入社後のストレスにつながってしまうかもしれません。
また、オフィスの雰囲気を知ることで、企業文化の理解や働くイメージがしやすくなり、志望度の増加につながります。
最近ではVRでのオフィスツアーを利用する企業も多くなってきています。
メリット
VRでオフィスツアーをすることのメリットは3つあります。
1つ目は、場所、時間を問わないオフィスツアーができることです。
現地に行き社員の方が働いている中わざわざ時間を設けてオフィスツアーを行う必要はなく、就活生に自由にどこからでもオフィスを体験してもらうことができます。
2つ目は、本来見学では入れないような場所のオフィスツアーもできるという点です。
例えば危険な工業機械がある場所や衛生の問題上入れないような場所でも、VRを通してであれば安全かつ安心してオフィスツアーをすることが可能になります。
そして3つ目は、「VRオフィスツアー」自体が興味を引くという点です。
まだまだ珍しい事例であり、加えて画像や動画を見るよりは遥かに興味を持ってもらうことができます。その結果、就活生にとっても強い印象を残すことができるでしょう。
面接
続いては面接のシーンです。
筆者が就職活動を行っていた際には、Web会議ツールを使ったオンライン面接が主流でした。
お互いの顔と資料が画面越しに見えているという状況では、対面に比べればハードルは低いものの、その分私自身緊張感を出すのに苦労した経験があります。
しかしVRを利用した面接であれば、スーツを着てオフィスに行くなどのハードルはなくしつつも、高い没入感の中で緊張感を持って面接が可能になります。
メリット
オフィス見学の部分でも述べたように、VRを使えば高い没入感を維持しながら遠隔地から就職活動を行うことができます。面接でもこの点が与えるメリットは非常に高いといえるでしょう。
そのほかのメリットとしては、面接する側が面接の雰囲気を決めやすいということもあります。
例えば、しっかりと緊張感のある面接がしたい場合にはVR上に会議室のような場所を用意する、逆にカジュアルに面談をしたい場合にはビーチやテーマパークを選択する、などが挙げられます。
このように、VR面接は雰囲気に合わせた場所を自由に選ぶことが可能です。
就活イベント
次に取り上げるのはVRで行う就活イベントの開催シーンです。
従来は対面形式でイベント会場で行われていた会社説明会ですが、こちらもVRは非常に有効なシーンの一つと言えるでしょう。
VRを使った就活イベントをする際の流れとしては、リアルでの説明会と同様、バーチャル上に各企業、もしくは自社のみの会社説明を行うブースを作成します。
学生はVRゴーグルを装着し、バーチャル空間を自由に探索しながら企業のブースに足を運びます。そして、各ブースでは企業のPR映像を視聴したり、直接採用担当者と話をしたりすることが可能です。
メリット
VR上で就活イベントを行うことのメリットは、時間や場所に縛られないことのほかにも多数あります。
まずは、通常の就活イベントではできないような演出方法も可能になるという点があります。
通常の就活イベントだと、多くの場合資料を配布し口頭での説明がされますが、バーチャル上であればゲームのような演出などリアルのイベントではできない様々な演出を行うことができます。
次に、一度イベントを作ってしまえば何度も開催できるという点も挙げられます。
本来就活イベントを開催するとなると、場所を用意し開催するごとに内容を考えるなど様々な手間がかかっていました。
しかしバーチャルで企業の説明を行うワールドなどを一度作ってしまえば、企業は繰り返しその空間を利用することができますので、人件費などのコストダウンが見込めます。
|VRの就活活用事例
ここまでは就活イベントにVRを活用するうえでの方法とそのメリットについて見てきました。
ここからは実際にVRを就活に活用した事例をご紹介します。
株式会社ライフコーポレーション
出典:https://www.excite.co.jp/news/article/MoguraVR_lifecorp-vr/#goog_rewarded
まず最初に紹介するのは株式会社ライフコーポレーションが運営する「ライフ」という食品スーパーマーケットの採用活動にVRが使われた事例です。
物流センターや陳列、加工工程といった普段見えない部分をVRを使って体験してもらい、企業の強みや働き方を分かりやすく伝えています。
また、採用活動にVRを活用することで合同説明会の動員数も増加傾向にあるといいます。
VRを使用することで、普段は見られない物流センターや配送技術を見て、「クリーンな環境で働くことが実感できた」など、就活生からは肯定的な声が多く挙がっていました。
普段は見ることのできない場所を見学できるという、VRのメリットが活かされた事例になっています。
伊藤忠商事株式会社
出典:https://www.vrvenue.net/case/case02.html
伊藤忠商事は、2022年の採用展開にVRを導入しました。新卒内定者の有志が「次世代の採用イベント」というテーマで企画を行い、その結果生まれた企画をベースに、2023年度の新卒採用に活用しました。
企画の一環として、「東京本社のワンフロアをVRでリアルに再現」した採用空間を設けました。
採用ページに登録した学生だけがこのVR空間に入ることができ、好きなアバターを選んで自由に歩き回り、企業のメッセージを読んだり、社員の1日を追った動画を視聴したりすることが可能です。
伊藤忠商事は、コロナ禍で新たな採用手法が求められる現在、VRの採用により、選択肢の幅を大きく広げることができたとしています。
パーソルキャリア株式会社
転職支援サービスであるdodaを運営するパーソルキャリア株式会社は、2016年頃から既にVRを利用した面接などを行っていました。
面接を個人のパフォーマンスや瞬間的な緊張から解放し、より包括的で公平な評価を提供することを目指しています。
ヘッドマウントディスプレイを使用したVR面接では、受験者は日本初の起業家「坂本龍馬」を面接官として迎え面接ができます。この別次元での体験は、受験者がリラックスして自己表現ができる環境の提供を目指していました。
この面接では面接の中で話される「声」から感情を分析し、それに基づいてストーリーが分岐します。また、面接の結果から、受験者にオススメの職能タイプを5つの中から診断するため、求職者自身にとって有益なフィードバックを提供することができるとしていました。
第一生命グループ
出典:https://monoai.co.jp/184628
第一生命グループは、新型コロナウイルスの影響下で2022年卒業予定の学生向けに、VR空間で就職活動イベントを開催しました。
VR空間内で完結する就活イベントだったという点で、当時は極めて珍しい事例でした。
このイベントでは、予約登録した約5000人の学生がリクルートスーツ姿などの約50種類のアバターを選び、自由に出入りできる渋谷の駅周辺を模したVR空間に参加しました。
学生は文字や音声のチャット機能を用いて他の参加者と交流し、実施された社員講演や座談会などに参加していました。
コロナ禍を受け、多くのイベントがオンライン化する中で、第一生命は学生同士の交流をVR空間で促すことに成功しました。
フューチャーコンビニエント株式会社
専門家マッチング支援Webサービス「アイデアカベウチ」を運営するフューチャーコンビニエント株式会社は、新型コロナウイルスの影響で現実世界での合同会社説明会の開催が難しくなったことを受け、オンラインのバーチャル空間で説明会を実施しました。
通常であればリアルな場で採用企業と求職者が集まることが可能でしたが、コロナ禍とともにオンラインでの活動の比重が高まったことに合わせアイデアカベウチは、バーチャル空間を利用することで現実に近い形での合同会社説明会が可能と考え、この新たな試みに挑戦しました。
このイベントには採用強化を予定する企業が参加し、これらの企業は、「カベウチ合同説明会」を通じて意欲的な挑戦者と出会うことが期待されていました。
|まとめ
ここまで様々なVRを就活に活用する事例を見てきましたが、どのイベントもVRとその強みを活かして採用活動に利用していました。
ただVRで採用活動をするのではなく、しっかりとVRの強みを理解してイベント設計をする必要があります。
そのようなVR採用イベントが開催できれば、オンラインで開催する以上に効果が見込めるでしょう。
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