円安の影響で増えるインバウンド需要が高まる中、日本のホテル業界は人手不足をはじめとする多くの課題に直面しています。

これらの課題を解決する鍵として注目されているのがメタバースです。

本記事では、メタバースを活用することでホテル業界が得られるメリットを解説し、国内の最新事例を通じて、その活用方法を詳しく解説します。

ホテル業界のDX推進・メタバース活用について知りたい方はぜひ最後までお読みください!

|メタバースとは

メタバースは、インターネットを基盤に展開する仮想世界です。

このバーチャルな空間では、ユーザーはアバターを用いて様々な活動を楽しむことができます。

交流、ゲーム、ショッピング、イベント参加、教育など、多岐にわたる体験が可能となっています。

メタバースという言葉は、「メタ(超越)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせたもので、1992年にニール・スティーブンソンが発表したSF小説『スノウ・クラッシュ』にその起源があります。

総務省の「情報通信白書令和4年版」によれば、メタバース市場は2021年の4兆円から2030年には80兆円へと成長する見込みです。

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|ホテル業界でメタバースを活用するメリット

メタバースを活用することで、ホテル業界にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

ここからは、ホテル業界×メタバース活用の代表的な4つのメリットについて詳しく解説していきます。

場所を選ばないホテルツアーが可能

メタバースを利用することで、顧客は自宅などどこからでも仮想的にホテルの部屋を見学できます。

従来、顧客は写真やレビューに頼って部屋を選んでいましたが、仮想見学を通じて実際の部屋の雰囲気や配置を詳細に確認することが可能です。

例えば、自宅からスマートフォンやVRヘッドセットを使って、まるで現地にいるかのようにホテルの部屋を探索できます。

ベッドの位置や窓からの景色、バスルームの設備など、細部まで確認できるため、顧客はより安心して予約を行うことができます。

この新しい体験により、顧客満足度が向上し、予約の確度も高まるでしょう。

さらに、ホテル側も仮想見学を提供することで、予約の取りこぼしを減らし、より多くの顧客を引きつけることができます。

ホテル予約にゲーム性を取り入れられる

メタバースを活用することで、ホテルを予約するプロセスにゲーム性を取り入れることができます。

従来の予約システムはシンプルで機械的でしたが、ゲーム要素を加えることで楽しみながら予約を進められます。

例えば、仮想空間内でミニゲームやクイズを通じて特典や割引を獲得できる仕組みを導入できます。

これにより、顧客は単なる予約手続きではなく、エンターテイメントとして楽しむことができます。

また、ホテル側は顧客とのエンゲージメントを高めることができ、リピーターの獲得にもつながるでしょう。

ゲーム性を取り入れることで、顧客はホテルとのインタラクションが増え、ブランドロイヤリティも向上します。

リアルタイムのオプション選択が可能

メタバースを利用することで、顧客は滞在前に部屋のアメニティやベッドサイズなどを自分好みにカスタマイズすることができます。

従来の電話による注文では、顧客は口頭で希望を伝えるしかなく、具体的なイメージを共有するのが難しい場合がありましたが、メタバースを使うことで視覚的にわかりやすいカスタマイズ体験が可能になります。

例えば、顧客は仮想空間内でアバターを使って部屋を探索し、希望するアメニティやベッドサイズを選択、配置することができます。

これにより、実際の滞在前に部屋のイメージを具体的に確認できるため、顧客の満足度が向上します。

また、ホテル側も顧客の希望を正確に把握できるため、サービスの提供がスムーズに行えます。

AIを用いたコンシェルジュを設置可能

メタバースでは、AIを用いたバーチャルコンシェルジュを設置することが可能です。

従来のコンシェルジュサービスは人手に依存していましたが、AIを活用することで24時間対応が可能になります。

例えば、仮想空間内のコンシェルジュは、顧客の質問やリクエストに即座に応答し、適切な提案を行います。

レストランの予約、観光地の案内、交通手段の手配など、AIコンシェルジュは様々なサービスを提供できます。

これにより、顧客は常にサポートを受けられ、ホテル側もサービスの質を維持しながらコスト削減が可能となります。

さらに、AIコンシェルジュは顧客データを分析し、よりパーソナライズされたサービスを提供することで、顧客満足度を一層高めることができます。

|【最新事例】ホテルプラザオーサカメタバース

「ホテルプラザオーサカ」は、エピックゲームズの『フォートナイト』上に独自のメタバース空間を制作し、世界中のプレイヤーがホテル内を仮想的に訪れ、ゲームやイベントを体験できるプロジェクトを開始しました。

背景

株式会社プラザオーサカは、地域に根ざした老舗ホテルとして、多くの観光客や地元住民に支持されています。

近年、特に海外観光客が増加し、ホテルの魅力をさらに広く発信する必要性が高まっています。

そこで、ホテルの魅力や大阪・十三の文化を世界中に伝えるために、メタバースを活用することを決定しました。

それは、世界最大級の大人気メタバースゲーム『フォートナイト』上に「和牛鉄板パルクール」マップを公開するというものです。

2024年5月1日に公開されるこのマップを通じて「地元感」を感じてもらい、地域の魅力を新たな形で発信し、来年開催される大阪万博2025に向けて、国内外からの来訪者を増やすことを目指しています。

取り組み内容

画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000131350.html

「和牛鉄板パルクール」ゲームは、ホテルの外観や人気レストラン「鉄板焼逢坂」をモデルにしています。

プレイヤーは、この仮想空間内でアスレチック要素を取り入れたゲームを楽しむことができ、大阪・十三の文化やホテルの魅力を体験できます。

また、ゲーム内には地域の非営利プロジェクト「淀壁」のイラストが展示され、アートを通じて地域文化も感じられる工夫がされています。

さらに、メタバース勉強会やeスポーツイベント、地域向け体験イベントの開催も計画しており、将来的には館内施設や周辺地域の仮想空間への拡張も予定されています。

この取り組みにより、国内外の人々にホテルと地域の魅力を伝え、地域活性化を図ります。

実際に体験してみた

筆者も実際に体験してみました!

ホテルプラザオーサカのワールドに入るためのコードは以下です。

<和牛鉄板パルクールマップコード>:9469-5358-2150

ワールドでは「鉄板焼逢坂」の店内が忠実に再現されています。

鉄板の上にはパプリカ、お芋、レンコン、などの食材が浮いています。

小人サイズになった自身のアバターが床や鉄板、テーブルの上に落ちないように、食材を足場にしてパルクールの要領で跳びまわり、店内を進んでいくというゲームになっています。

ただ食材の上を跳べばよいわけではなく、道中に様々なギミックが仕掛けられています。

時間経過で溶けるチーズ、回転するコテ、つるつる滑るアイスなどなど。

鉄板の上に落ちると「じゅぅぅぅぅっ」と美味しそうに焼ける音がします。

普通ではありえない、小人視点で大迫力なお肉を見ることもできます。

筆者は「おいしそうだな、、」と思いながらプレイしていました。

これらのギミックを全て突破し、ゴールすると大阪・十三の街並みを背景にした記念写真の撮影ができます。

腕に覚えのある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

(ちなみにですが、筆者のタイムは26分45秒でした。)

|まとめ

本記事では、ホテルプラザオーサカのメタバース活用事例を通じて、ホテル業界におけるメタバースの可能性とそのメリットをご紹介しました。

今後、メタバース技術の進化に伴い、ホテル業界全体で顧客体験が向上し、地域活性化にも寄与することが期待されます。

メタバースの世界はますます広がりを見せています。興味を持たれた方はぜひ他の記事もご覧ください。