2020年以降、メタバースに対する市場の期待はコロナ禍を経て加速しました。

一方、コロナ終息後はメタバースをビジネスに活用しようという動きは鈍化、あるいは低下しているように思われます。

しかし、依然としてメタバースの潜在的な可能性は大きく、特にエンタメ業界やイベント業界では、リアルと仮想を組み合わせた新たな体験やコンテンツの創造が進められています。

そしてメタバース自体もまだまだ発展途上の最中であり、その世界をどのように活用し、ユーザーへ価値を伝えられるかを考えていく必要があります。

今回は、実際にメタバース空間へ潜入しインタビュー調査を行って得られた結果をもとに、ユーザーが感じるメタバース体験でしか得られない価値についてセミナーを実施いたしましたので、その一部内容を抜粋しレポートにてお届けいたします!

本セミナーは『XR CLOUD』で行われ、Zoomなどの視聴するだけのセミナーではなく、来場者の方の目線でご覧いただけるセミナーとなりました。

どのような内容でセミナーが開催されたのか、ご興味がある方はぜひ最後までお読みください。

■登壇者プロフィール

monoAI technology株式会社

メタバースイベントサービス部

エキスパート 大沼 幸平

|そもそもメタバースとは

本サイトにおいて、メタバースについては数々の記事で紹介しておりますが、現状メタバースを明確に定義することはできていません。

※メタバースについてはこちらの記事でも紹介しております。

【わかりやすく解説】メタバースとは?注目される理由やビジネス活用例を紹介
【わかりやすく解説】メタバースとは?注目される理由やビジネス活用例を紹介

しかし、明確な定義は無くとも、メタバース産業は確かに実在しており、「メタバース的」なコンセプトや世界観は漠然と社会・市場で認知されています。

今回調査を進めていく中で、各事業者間でメタバースに関する認識にバラつきがあると感じました。

定義が明確に定まっていないことで、ユーザーとのコミュニケーションが正しく取れず、意思決定に悪影響を及ぼすと考えています。

|現在のメタバース産業が提供している価値は何か

今回「メタバースプラットフォーム上で行われるイベント体験の中に、現在のメタバースサービスが提供できる価値が現れている」という仮説のもと、その価値が何なのかを明らかにするために調査を行いました。

まず、弊社を含め日本国内のメタバースプラットフォームを有する企業を以下にまとめました。

社名monoAI technology株式会社
クラスター株式会社

株式会社HIKKY

HPhttps://monoai.co.jp/https://cluster.mu/https://hikky.co.jp/
事業内容XR事業メタバースプラットフォーム「cluster」の開発・運営メタバース参入コンサルティング「バーチャルマーケット(Vket)」等各種メタバースイベントの企画・運営メタバース開発エンジン「Vket Cloud」の開発
メタバースプラットフォームXR CLOUDclusterVket

各社の事業内容を見ると、メタバースイベントを開催することに注視している傾向が高いことがわかります。

それを裏付けるように、各社メタバースイベント企画・運用が主力の事業となっています。

弊社もこれまで支援したメタバースの導入方法のうち、最も多いのが「メタバースイベントの企画・運営」となっています。

上記の結果より、「メタバースプラットフォーム上で催されるイベント体験の中に、何らかのメタバースの価値がある」と推定することができます。

|調査概要・調査設計

そこで、メタバースを利用しているユーザーが、メタバースイベントに対し「感じている価値観は何か」を調査しました。

この調査は多数のユーザーに接触・インタビューが可能、かつ毎日50件以上のイベントが開催されているVRChat上で対象者の選定を行い、20名に対しインタビューを行いました。

インタビュー内容は以下の5項目です。

  • VRChat総利用時間/利用年数
  • メタバースイベントへの参加回数
  • VRChatをどのように利用しているのか
  • もっとも好意的な印象を持ったメタバースイベントは何か
  • (上記質問において)好意的な印象を持った理由

ここでは3名の方の回答を抜粋してご紹介いたします。

※VRChatについて、詳細は以下の記事をご覧ください。

VRChatとは?料金・できること・必要なものや始め方を初心者向けに解説!
VRChatとは?料金・できること・必要なものや始め方を初心者向けに解説!

①対象者A

VRChatの利用年数は7年となっており、総利用時間は6,000時間。

司法試験に受かるための勉強時間が約3,000時間と言われているため、対象者Aに関してはその2倍の時間をVRChatに費やしていることがわかりますね。

メタバースイベントへ参加した経験があり、社会人のため現在は土日などの休日を利用しVRChatを利用しているそうです。

参加したイベントの中でも、VRChat内のワールドで開催され、アカウントがあれば誰でも無料で参加することができた『SANRIO Virtual Festival』というイベントが特に印象的だったそうです。

※SANRIO Virtual Festivalについては以下の記事でも紹介しています。

サンリオもメタバース活用!参入背景や活用事例を紹介
サンリオもメタバース活用!参入背景や活用事例を紹介

見たことのない演出や参加型のショーに驚いたそうで、今までに味わったことのない経験ができたとお話してくださいました。

②対象者B

総利用時間については600時間と対象者Aよりは少ない印象ですが、メタバースイベントへの参加は100回以上しています。

こちらの方も週末のログインがメインで、イベントについてはVRChat内にある掲示板(イベントカレンダー)を見て、ご自身の気分で参加するイベントを選択し楽しまれています。

中でも『CANDY TRIP』という音楽クラブイベントが印象的だったそうです。

現実世界でもクラブへ足を運ぶそうですが、メタバース内のクラブイベントはリアルの世界とは異なる独特の雰囲気があり、参加者が音楽に合わせてアバターの変更を行うことも演出の一部となっており、現実のクラブよりも面白い体験ができるとお話してくださいました。

③対象者C

総利用時間は今回調査した中で最多の12,000時間、メタバースイベントにも100回以上参加しています。

主に自分好みの可愛いアバターを着用し、ワールド内でアバター同士での交流やメタバースアイドルの推し活(イチオシの人やキャラクターを応援する活動)をしているそうです。

参加したイベントの中でも、「サキュバスが旅人をもてなす酒場」をコンセプトにアバター同士で交流を行う『サキュバス酒場LILITH』というイベントが印象に残っているとのこと。

このイベントは対象者Cが初めて参加したイベントだったようで、初めて自分の着用しているアバターを褒めてもらえたことが嬉しかったことが特に記憶に残っているとのことでした。

|調査結果から得られた示唆

先ほど紹介した調査結果により、メタバースユーザーがメタバースイベントで感じる価値は、「驚くような」あるいは「期待を超える」体験であると推測することができます。

そして、驚くような体験価値は場所(どこで体験したか)と強烈に結びつき、メタバースイベントと共にユーザーに記憶されます。

目的(記憶してもらいたいものは何か)、手法(誰を・どのように驚かせるのか)が揃っているかどうかが、メタバースイベントの成功を左右するのではないかと言えるのではないでしょうか。

|まとめ

本記事では、セミナーの内容を一部抜粋しレポートにてお届けいたしました。

今回大沼さんはセミナーへ初登壇でしたが、独自の分析結果をもとにセミナーを開催し、初めてとは思えないほど堂々とされている姿が印象的でした。

monoAI technologyでは、定期的にビジネスに役立つメタバースセミナーを開催しておりますので、メタバースイベントを開催してみたい企業の皆様のご参加をお待ちしております!

また、少しでもメタバースやXR CLOUDについて気になることがございましたら、どのようなご相談でも構いませんので是非お気軽にお問い合わせ下さい。