「ガバナンストークン」というワードをを耳にした事がありますか?
そもそも聞いたことない、トークンは知っているが、ガバナンストークンは聞いたことがない…。
聞き覚えのない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
仮想通貨には多数の種類があり、近年ではDAO(分散型自律組織)の運営に使用され、資産としてガバナンストークンを保有することが注目されています。
本記事では、NFTやブロックチェーンに興味関心があり、ガバナンストークンの価値や意味を知りたい方向け解説をしていきます。
ガバナンストークンとは何か、どのようなものなのかをまとめている記事となるので、本記事を読めば意味や概要を理解し、具体的な事例から今後の動向も考察ができますので、是非最後までご覧ください!
目次
|ガバナンストークンとは?
ガバナンストークンは、分散型アプリケーションやブロックチェーンプラットフォームにおいて、トークンにまつわるプロジェクト(DAO)の運営に関わる意思決定に関与するためのトークンです。
ここでのトークンは、ブロックチェーン技術で発行された電子証票を指します。
保有者は、通常、投票権や意思決定権、プラットフォームの開発や改善に対する参加権などを持ち、プラットフォームの進化や方向性に影響を与えることができます。
意思決定は保有量に応じた多数決で行われます。
株式会社でいうと、株式の保有数によって議決権が変わる仕組みに近いです。
DAOについては以下記事で詳しく掲載しておりますのでご覧ください。
|ガバナンストークンと株式の違い
ガバナンストークンは株式と同じような仕組みに見えますが、主な違いは所有権と法的地位です。
株式は企業の所有権を示す法的な証券ですが、ガバナンストークンは通常、分散型アプリケーションやブロックチェーンプラットフォームにおける参加権や意思決定権を示すデジタルトークンであり、法的な所有権や配当権はありません。
株式は株式は一般に証券取引所で取引が行なわれますが、ガバナンストークンは主に暗号資産取引所や分散型取引所で取引されます。
|ガバナンストークンのメリット
ここからはガバナンストークンを所持するメリットについてご紹介いたします。
発行上限があり利益を獲得する可能性が高い
ガバナンストークンは発行の上限が設定されているため、発行できる枚数が定められており、需要が増加する度に価格が上昇しやすい仕組みになっています。
他の仮想通貨と同様に取引されており、所持しているトークンの市場価格が上がれば売りに出すことで利益を獲得することが可能です。
プロジェクトによって特典が受けられる
ガバナンストークンを所持することで、価格上昇による利益だけでなく、取引手数料の一部を還元してもらえたり、投票権を獲得する以外にも様々な特典が受け取れる場合があります。
イメージとしては株式での株主優待や配当に近いものになります。
特典を設けることは保有者にメリットを与えつつ、発行するプロジェクト側にも保有者に長期保有を促すことができるという利点もあります。
|ガバナンストークンのデメリット
先にメリットの紹介を行いましたが、良いことだけではなくデメリットも存在します。
続いてはデメリットについてご紹介いたします。
意思決定に時間がかかる
ガバナンストークンによる意思決定では、参加者全員の投票を集めるため参加者が多数の場合、意思決定のプロセスが遅れる可能性があります。
市場動向の激しい分野や、緊急性を求められる状況では意思決定遅延により、対応の遅れが生じる可能性もあります。
価格の不安定性
ガバナンストークンの価格は市場の供給や投資家により大きく変動をします。
ロックアップ(市場へと流通させずに凍結させること)が解除されると、売却を行うことが可能となり市場へ一気に流通することになります。
流通数が増えると希少価値が下がり、価格が暴落する恐れがあります。
|ガバナンストークンの活用事例
Maker DAO(メーカーダオ)
Maker DAOとはステーブルコインの「Dai」を発行、管理を行っているDeFi(分散型金融)を代表するプロジェクトです。
ステーブルコインとは、米ドルといった法定通貨などの価格に連動する仮想通貨であり、DeFi市場における法定通貨の役割を持っています。
Maker DAOでは、ガバナンストークンとしてMKRトークンが発行されています。
MKRトークンは、プロトコルの意思決定における投票権を持ち、DAOの運営やプロトコルの変更に関与するために使用され、所有者はプロトコルの改善やセキュリティの維持などに関する重要な意思決定に参加をすることができます。
Maker DAOは保有者が偏って結果的に権限が集中化することを防ぐために発行財団を解散しているため、他のプロジェクトに比べ比較的分散しているのも特徴です。
Aave(アーベ)
Aaveは取引所などの第三者の仲介を必要とせず、ユーザー同士で仮想通貨の貸し借りができ、借入と返済を行うサービスを提供しているDeFiプロジェクトです。
Aaveでは、ガバナンストークンとしてAAVEトークンが発行されています。
AAVEトークンは、プロトコルのガバナンス権を持ち、ホルダーがプロトコルの運営に関与するために使用され、所有者はプロトコルのパラメータや機能の変更、新しい提案の承認、セキュリティの向上などに投票することができます。
AAVEに資金を貸し出す際に、預けた場合の手数料割引を受けられる特典があります。
Uniswap(ユニスワップ)
Uniswapは、分散型の取引所(DEX)であり、イーサリアムブロックチェーン上で動作するプロトコルです。
Uniswapでは、ガバナンストークンとしてUniトークンが発行されています。
取引所の手数料や中央集権化された管理者が不要であり、ユーザー同士で自身のウォレットを使って直接トークンを交換できるように設計されています。
自己修復機能を持ち、流動性プールを通じてトークンの交換を可能にします。
そのため、UniswapはDeFi(分散型金融)エコシステムの中心的なプレーヤーの1つとみなされています。
|ガバナンストークンの取得方法
ガバナンストークンの取得方法は、プロジェクトやプラットフォームにより異なります。
最も一般的な方法は、仮想通貨取引所を通じて購入することです。
取引所へ登録し所定の手続きを完了させ、適切な暗号資産でガバナンストークンを購入することができます。
その他に、NFTゲームをプレイして成績に応じて報酬を獲得することもでき、無課金でも入手することが可能です。
NFTゲームのプレイ経験が浅くても、仮想通貨取引所でNFTゲームのガバナンストークンを大量に購入すれば、NFTゲームの意思決定に大きく関わることができます。
|ガバナンストークンを採用しているNFTゲーム
ここからは少し変わって、ガバナンストークンを採用しているNFTゲームについてご紹介します。
NFTとは何か?については以下記事にて詳しく解説しておりますので、ご覧ください。
CRYPTO SPELLS(クリプトスペルズ)
CRYPTO SPELLSは、ブロックチェーン上で動作するデジタルトレーディングカードゲームです。
プレイヤー同士で自由にカードを売買でき、カードは全てNFTとなっています。
ゲームをプレイする中で現実世界で換金できる通貨を獲得できるPlay to Earnの仕組みが導入されています。
運営会社はCryptoGames株式会社で、Blockchain Contents Associationにも加盟している企業です。
日本のブロックチェーンゲームでは、初のカードゲームです。
SPLが、ガバナンストークンで保有量によって、カードの強さを投票して決めることができます。
これにより圧倒的に強いカードが生まれることを阻止しています。
Splinterlands(スプリンターランド)
Splinterlandsとは、トレーディングカードゲームのブロックチェーンゲームであり、自由に売買が可能です。
プレイヤーは、異なるキャラクターやスキルを持つデジタルトレーディングカードを集め、それらを使って戦略的なバトルを行います。
デジタルトレーディングカードはゲーム内で発行枚数が決まっているため、カードに価値が付き、手に入らないカードは価格が高くなります。
実際のゲームのような、ガチャガチャの機能もあり、人気のカードを入手することも可能です。
ゲーム内のトークンや資産は、ブロックチェーン上で取引可能であり、プレイヤーはゲーム内で獲得した資産を他のプレイヤーと取引することができます。
AXIE Infinity(アクシーインフィニティ)
AxieInfinityは、ベトナムのゲームスタートアップSkyMavisによって作成されました。
このプロジェクトは、AxieInfinityShards(AXS)とSmoothLovePotion(SLP)の2つのイーサリアムベースの仮想通貨を使用しています。
このゲームは、Axiesと呼ばれる可愛いらしい、ポケモンのような生き物を中心に展開しています。
この生き物を使って、プレイヤーは繁殖、獲得、訓練などを行い、オンラインで戦闘を行うことができます。
ゲームの一つの大きな目的は、小さなラブポーション(SLP)を入手することにあり、これを使用することで、新しいAxiesを繁殖させることができます。
このAxieは、NFT(非代替トークン)として実際に取引することができます。
AXIEは、AXSというガバナンストークンを採用しています。通常のゲーム内トークンSLPがあります。
詳しくは、下記の記事をご覧ください。
|ガバナンストークンの課題点
ガバナンストークンにはいくつかの課題点があります。
その一つは、ガバナンストークンの所有者による中央集権化された決定への影響力が大きくなる可能性です。
ガバナンストークンにとって一番の課題と言っても過言ではありません。
ガバナンストークンの保有者の利益とプロジェクト全体の利益との間に利害の対立が生じる可能性があり、一部の保有者が自己の利益を優先し、プロジェクトの長期的な成長や健全性を犠牲にする可能性があります。
さらに、ガバナンストークンの分配に関する公正性の問題もあります。
初期の配布や販売方法に不公正さがあった場合、プロジェクトのコミュニティや利害関係者からの不満や反発が生じる可能性があります。
その他にも、ガバナンストークンの運用方法や取引に関する透明性や規制の不足もあり、不適切な取引や不正行為が発生した場合、プロジェクトの信頼性や持続可能性に影響を及ぼす可能性があります。
|ガバナンストークンの将来性
ガバナンストークンは、プロジェクトの重要な意思決定においてコミュニティ全体の参加を促進します。
これにより、プロジェクトの進化や成長に関する重要な決定がより多くの人々によって行われることが期待されます。
また、プロジェクトのコミュニティメンバーによるアイデアや提案の発信を促進し、イノベーションを促進します。
コミュニティの多様な視点や知識を組み合わせることで、より良いプロダクトやサービスが生み出される可能性があります。
ただし、先ほど紹介したようにガバナンストークンには課題やリスクも存在します。
プロジェクトのコミュニティや運営チームは課題に対処し、適切なガバナンスモデルを確立することが重要です。
|まとめ
本記事では、ガバナンストークンについて紹介していきました。
ガバナンストークンは成長の初期段階であり、保有をする際には、プロジェクトの将来性とリスクの両方を意識しじっくりと検討を行うことを忘れずにしてください。
ブロックチェーンの技術向上と共に、今後多数のプロジェクトで採用されていく可能性があります。
記事で紹介したように課題点もありますが、今後の普及に期待が集まっています。
ガバナンストークンの価値を理解し、うまくWeb3.0の時代を先取りできるようになりましょう。