近年、ゲーム制作は無料のゲームエンジンの普及により企業によるものに限定されるのではなく個人でもできるものに変化しています。
その個人製作のなかでもある程度のクオリティの3Dモデルを作成したものが多く登場してきています。また、近年登場したメタバースやNFTといった新技術により自身が作成したアバターやオブジェクトなどを販売する人も現れました。
このように、一昔前は企業に雇われているゲームや映像クリエイターといった限られた人間のみ扱えた3Dモデルでしたが最近ではかなり身近なものになっていきています。
そこで今回は「3Dモデルを作ってみたい!」とは考えているもののどんなソフト、ツールを選べばいいかわからない方向けに無料のものを6つ、有料のものを4つご紹介します。
目次
|3Dモデルの種類
「3Dモデルをつくる!」とはいってもどんな使用用途かによってまた、ゲーム作成の場合はどんなゲームを作るかによって3Dモデルを作成するために必要なツールや作成方法が変わってきます。
まずはゲームジャンルを決め、そのゲームに必要な3種類の3Dモデルなどをざっくり考えてみましょう。
例
・キャラクターなど動かせるもの
・背景、ステージ
・アイテム、ギミックなどの小物
タワーディフェンスならば、
・自軍、敵軍のキャラクター
・ステージに配置する障害物や自然物
・強化アイテム、勝利時にもらえる報酬アイテム
が必要になります。
そしてツールによって人の再現が得意なものや花や樹木の再現が得意なものとそれぞれの長所・短所が存在します。
作りたいモデルをある程度固めたうえで制作に適したツールを選択していきましょう。
|3Dモデルを作成できるソフトウェア(無料)
作らなければいけないものがはっきりしたら次は制作ツールを選びましょう。
初心者の方はまずは無料のツールから選択しましょう。
無料とはいっても有名なツールもたくさんあり、趣味程度ならば十分すぎるほどの機能をもっています。6つご紹介していきます。
Blender
出典:https://www.blender.org/
まず紹介するのが「Blender」というソフトウェアです。
こちらは統合型3DCGソフトで、モデリングだけではなくアニメーション、静止画と3DCG制作においてほとんどの機能を無料で利用可能です。
そのため、初心者からプロにも広く利用されているため利用者数もかなり多いです。
その知名度故に本やブログ記事などにたくさんの情報があるという点が初心者にもおすすめできる点です。
また、日本語対応もしている点も初めての3Dモデル制作ツールとして向いている点になります。
ただし、動作がPCのスペックに影響されやすい点には注意が必要です。
メモリが不足していると動作が重くなったり、フリーズしたりします。
少なくとも16GBメモリは必要で32GB以上が推奨されています。
Tree it
出典:http://www.evolved-software.com/treeit/treelibrary
つづいておすすめするソフトは草木をモデリングすることに特化したフリーソフト、「Tree it」です。簡単操作で高品質な3Dツリーモデルを非常に制作可能です。
また、枝の編集ができたり、ザ・樹木といった大木のツリータイプだけでなく任意のツリーを制作できたりするなどその自由度も高いです。
そのため、街路樹のような背の高い樹木から道端に咲く小さな花、砂漠にあるサボテンなど幅広い植物を作成することが可能です。
屋外で自然豊かなステージを作成する際に非常に重宝するソフトウェアです。
Sculptris
出典:https://oakcorp.net/pixologic/sculptris/
次に紹介するのが「Sculptris」というモデリングに特化した無料ソフトウェアです。
このソフトの大きな特徴が直感的な操作方法です。
通常のソフトではモデリングを行う際はX軸やY軸などの数値を変えてモデリングしていきます。Sculptrisは開くと現れる大きな球体を粘土のようにこねくり回すことでモデルを制作していきます。
そのため公式サイトではスカルプ(彫刻)ソフトウェアというように紹介されています。
球体を粘土のように伸ばしたりつまんだりして造形するという特徴から曲線の多い有機物などに向いていますが、直線のものを作ることはやや苦手としています。
キュートなキャラクターや動物などの生物を作る際に活用しましょう。
ProBuilder
出典:https://unity.com/ja/features/probuilder
「ProBuilder」はUnityに組み込まれているモデリングツールです。
ProBuilderはシンプルなオブジェクトを作成したり、プロトタイプとしてステージを用意したりといった時に非常に便利な機能です。
ハイエンドなモデリングソフトを使う必要がなく素早くモデリングすることができます。
ProBuilderを用いて作られたゲームの中では「SUPERHOT」が有名です。
このゲームの世界観のようなシンプルな空間を作りたい際に力を発揮します。
また、Unityと同じ操作感で簡単にモデリングすることが可能ですので、普段Unityしか触らないクリエイターの中で先に挙げたBlenderやSculptrisなどの別ソフトの使い方を習得するための時間を削りたい方におすすめです。
Vroid Studio
出典:https://vroid.com/
「Vroid Studio」はフリーの人型3Dキャラクターのモデリングに特化したソフトです。
直感的な操作感と高いカスタマイズ性で誰でも簡単にオリジナルの3Dキャラクターが作成できます。
髪や顔、身体、服など各部位ごとに豊富なパーツが用意されており、個別で設定して自分好みのキャラクターを作ることが可能です。
さらにパーツも自分でアレンジすることができます。
なおVroid Studioを使って作成した3Dモデルデータやテクスチャアイテムは商用、非商用問わず様々な用途に利用可能です。
※ピクシブや第三者のデータを用いてモデルを作成した場合はそのライセンス条件に則ってください。
Unreal Engine
出典:https://www.unrealengine.com/ja/unreal-engine-5
「Unreal Engine」は多くの方が耳にしたことのあるサービスかと思います。
こちらはEpic Games(エピックゲームス)社が開発したゲームエンジンでゲーム開発はもちろん、建物や自動車の設計、映画、アニメ、番組の制作など幅広い分野で活用されています。
前回ご紹介したUnityと並び業界では代表的なゲームエンジンとされています。
その最大の特徴はプログラミングを行わなくともゲームが作れるという点であり、ゲーム制作に必要なあらゆる機能が実装されています。
3Dモデルの作成においては「レンダリング」という3Dモデルの最終工程に強みを持っています。
人物や建物など外部のソフトウェアで制作したモデルをシームレスに変換・統合することができます。
取り込んだデータにレンダリングを行い、ライティングやシェーディングを施せば、実写と見まがうようなキャラクターやオブジェクトが完成します。
|3Dモデルを作成できるソフトウェア(有料)
次に有料のソフトウェアを4種類ご紹介します。
導入のハードルは高くなりますが、無料のソフトウェアではできないような高品質のモデルをつくることができます。
中には映画作成時に利用されるツールもあります。早速見ていきましょう。
MAYA
出典:https://www.autodesk.co.jp/products/maya/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
最初に紹介するのは「MAYA」というツールです。
MAYAはオートデスク社によるハイエンド3DCGソフトウェアです。モデリングはキャラクター、背景、アイテムなどすべて可能です。
リアルなキャラクターや大ヒット級のエフェクトが作成できます。
MAYAは実写映像との相性がよくゲーム以外にもCMや映画などの映像業界でも多く使われています。
ゲーム会社の中では任天堂やスクエアエニックス、バンダイナムコエンターテインメントゲームスなどが全面的に導入しています。
映画では「トランスフォーマー」や「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」、「映画ドラえもん のび太の新恐竜」がMAYAを使用して制作された作品です。
またプログラミングの知識が必要ですが、スクリプトによる拡張性も魅力の1つです。
任天堂やスクエアエニックス、映画業界を狙っている方はぜひMAYAを勉強してみてください。
Zbrush
出典:https://oakcorp.net/pixologic/
「Zbrush」は無料ソフトウェアとして紹介したSculptrisのハイエンドモデルです。
Sculptris同様デジタルの粘土をこねながら直感的にモデリングができます。
またカスタムブラシを作成できる機能を搭載しており、形状、テクスチャ、色をデジタル粘土にリアルタイムの環境ですぐさま反映することができます。
Sculptrisと比べ各パーツごとに1億ポリゴンまで細分化させることができるため、肌の毛穴やしわ、リアルな傷などハイデティールなモデルが制作できます。
このようにZbrushは初心者というよりも高度なモデル制作を生業としているアーティスト向きのツールです。
3dsMax
出典:https://www.autodesk.co.jp/products/3ds-max/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
「3ds Max」は先ほどご紹介したMAYAと同様にオートデスク社によって提供されている3DCG作成のための統合型ハイエンドソフトウェアです。
3Dモデリングおよびレンダリングに強みを持ち、広大なゲーム世界の創造やVR体験の表現にもってこいです。
また、アニメーション系CG作成やエフェクトに効果を発揮するプラグインの豊富さが特徴的であり、「君の名は」や「鬼滅の刃」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」といった作品が3ds Maxを用いて作成されてます。
MAYAでもプラグインは使えますが、3ds Maxでしか使えない専用プラグインの豊富さでは3ds Maxに軍配が上がるでしょう。
ただ、プラグインの中には有料かつ高価のものも存在します。
それらのプラグインなしだとハイレベルな制作は難しいです。それらを使いこなすことが3ds Maxの力を最大限引き出すためのカギになるでしょう。
SpeedTree
出典:https://store.speedtree.com/
「SpeedTree」はTree it同様リアルな木を作ることに特化した3DCGソフトです。
しかし有料ソフトだけあってTree itよりもっとハイクオリティなモデルをつくることができます。 SpeedTreeはゲームから映像向けまで幅広いジャンルで活用されおり、UE、Unityなど各ゲームエンジンに対応しています。
一から樹木を制作するのは操作に慣れるまでは大変ですが、ストアに販売されている商物のアセットを購入し、それを調整することによって作業工数を減らすことができます。
個人で使用する際はサブスクリプション契約で月額19ドルで契約できます。
かなり高品質な植物を作成する必要がある際には検討してみてください。
|まとめ
いかがでしたでしょうか?
無料の3Dモデルソフトウェアでも十分ゲームを制作するだけの機能が備わっているものもあります。
趣味でゲームを制作してみたい!という方はいきなり高度な有料のものを使うのではなくまずは無料のものから試してみましょう。
一方、有料ソフトウェアの購入をおすすめする方は毛穴が見えるほどの高品質なゲームを作りたいという方や仕事として3Dモデルを作成する必要がある人向けになります。
ご自身がどういった理由から3Dモデルを作成する必要があるのか、どのようなものを作りたいのかをしっかり検討したうえでどのソフトウェアを使用するか選んでいきましょう。