昨今ITのトレンドワードとして注目を集めている「XR技術」。

その中には、仮想現実と呼ばれる「VR」や、拡張現実と呼ばれる「AR」さらには、複合現実と呼ばれる「MR」などあらゆるXR技術が存在します。

これらは、テクノロジーの力を用いて、視覚的になにかをプラスする技術のことを指しますが、世の中には、視界にあるものを取り除く技術「DR(Diminished Reality)」があることをご存知でしょうか。

実際にどんなことに活用できる技術なのか気になりますね。

本記事では、そんなDR技術についての概要や活用シーンなどをわかりやすく解説しますので、是非最後までご覧ください。

|DR(Diminished Reality)とは

DR(Diminished Reality)とは、日本語で「隠消現実感」や「減損現実」などと訳されます。

実際に存在する物体をディスプレイ上から隠蔽・消去・透過させ、リアルタイムで視覚的に存在しないかのようにみせる技術です。

わかりやすく例えると、イヤホンのノイズキャンセリング機能の視覚版のようなイメージです。

この技術は、ドイツのイルメナウ工科大学の研究チームが開発し、ライブ映像で指定したオブジェクトを「削除」することが可能となり、現実世界に仮想のオブジェクトを「加える」AR技術とは反対の技術と言えます。

是非、実際のDR技術の映像をご覧ください。

|SR(Substitutional Reality)とは

SR(Substitutional Reality)とは、日本語で「代替現実感」と訳されます。

現実世界と実際に存在しない過去の映像を差し替え(Substitutional)、現実世界に存在しているかのように錯覚させる視覚技術です。

また、過去に限らず未来・虚構の世界と差し替えることもできます。

CR技術を活用し、過去にタイムスリップした感覚で、現実世界との区別がつかない不思議な体験をすることが可能です。

|DRのデバイス

VRやAR技術を体験するための専用デバイスがあるように、DR技術を体験するためのデバイスも存在していますので、紹介します。

大阪大学の研究チームが2020年2月に発表した、ボケを空間制御する視覚拡張メガネ「IlluminatedFocus」で、一種のDRデバイスとして注目を集めています。

ユーザーの目から実際の物体までの距離に関係なく、現実世界の特定の物体のみを空間的にボケさせる機能や、作業集中のため特定の領域だけをシャープに見せることができます。

是非、実際の映像をご覧ください。

|DRの活用シーン

ここからは、DR技術の活用シーンをご紹介します。

土木建築の景観シミュレーション

DR技術は、土木建築分野でも活用できます。

なにか新しく建物を建築する際には、景観シミュレーションが行われます。

内容は、既存の建物を解体→新しい建築物を建設といった流れで現在はVRやAR技術が用いられています。

しかし、VRでは仮想世界の作成時間や費用などのコスト、ARではバーチャルと現実の建物が重なってしまい適切な景観シミュレーションが行えないという課題があります。

そこで、DR技術を活用して既存の建物を削除したうえで、AR技術でバーチャルの建築物を重畳させ、正確な景観シミュレーションを行うことが可能となります。

家具配置シミュレーション

DR技術は、家具配置シミュレーションに活用できます。

DR技術が一般的に普及することで、インテリアの買い替えや模様替えのタイミングで。実際に家具を動かさなくても、DR技術で既存の家具を削除、AR技術で新しい家具を配置することができます。

家具配置シミュレーションを行うことで、インテリアのサイズや色合いなどの買い間違えを防ぐことも可能です。

テレワーク支援

DR技術は、新型コロナウイルスの影響で一気に馴染みのある言葉となったテレワークにも活用することができます。

テレワークが主流となった企業は多くありますが、全員が自宅などのオフィス外で仕事ができるかというと、現時点ではそうもいきません。

いわゆるバックオフィスと呼ばれる部署の方は、オフィスに出社をして、紙で保管すべき機密性の高い書類の対応などをしています。

だれか一人が出社し、AR技術を用いて遠隔指示で対応することは現実的に可能ですが、機密情報を現場作業者に見せないようにするという問題が発生します。

そこでDR技術を活用することで、現場作業者が見てはいけない書類の一部分を削除しつつ、押印作業が可能になるなどの応用が可能となります。

|まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では、DR技術についての概要や活用シーンなどをわかりやすく解説しました。

XR技術には、さまざまな視覚領域がありそれぞれを上手く組み合わせることで、より便利で豊かな視界的世界を実現することができるでしょう。

それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!