皆さんは、「アイトラッキング」という言葉をご存知でしょうか。

アイトラッキング技術とは、人間の視線の動きを追跡できるセンサー技術のことです。

人が受ける情報の8割は視覚からと言われているほど、普段の生活において視覚情報は重要なのです!

アイトラッキング技術を活用して、あなたがなにを見ているのか、何秒みているのか、など視界情報を計測し、分析することで、実は様々なメリットがあるのです。

本記事では、アイトラッキング技術の概要や仕組み、活用方法などをわかりやすく解説しますので、是非最後までご覧ください。

|アイトラッキング技術とは?

アイトラッキング技術(eye tracking)とは、瞳の動きを追跡する技術で、日本語で視線計測と呼ばれることもあります。

人の頭部に対する眼球運動を検知し、その人が何を見ているのかをリアルタイムに追跡することができる生体計測手法です。

人の視点や動きを、アイカメラやアイトラッカーと呼ばれる専門の機械で計測し、得たデータをもとに、よく見られた場所や順序、見られなかった場所などを探ることができます。

このようなアイトラッキング技術は、心理学に役立てるために研究された技術ですが、現代では医療分野を中心にマーケティングや学術研究などで用いられています。

さらに、ゲーム業界でも注目を集めており、VRヘッドセットを使ってより高品質な没入体験を実現するためには、「アイトラッキング技術」がとても重要とされています。

|アイトラッキング技術でわかることは何?

アイトラッキング技術を活用することで、どんな情報が取得できるのか紹介します。

まず、視線の動きは、「アイトラッカー」と呼ばれる専用機械を通じて計測することができます。

アイトラッカーを使用することで、視覚化されたヒートマップや視線の動きを追って表したゲイズプロットなどの情報が得られます。

さらには、瞬目(まばたき)の回数なども計測することが可能です。

これらの情報から、人がどこに、どのくらい注目していたかはもちろん、脳の動きとも組み合わせてその人の興味や関心、記憶への定着のしやすさなどがわかります。

|アイトラッキング技術の仕組み

眼の動きを計測するためには、専用の機器を用いて計測します。

メガネのような形をした装着型と、離れた位置から目線を計測する置き型の2種類に分けられます。

いずれも赤外線を人の瞳孔に向けて放出することで、角膜に反射する光と瞳孔の位置関係から視野や動きを計測することができます。

この手法は、瞳孔中心角膜反射法(PCCR)と呼ばれています。

|アイトラッキングに使用される機器

アイトラッキングに使用する機器は、これまで眼鏡のような形をした装着型と、離れた位置から目線を計測する据え置き型が主流でした。

そのため、被験者はわざわざ検査場に足を運ぶ必要があったり、多くのサンプル数を集める必要があるなど多大なコストが掛かっていました。

しかし、最近では画像認識技術の発展により、パソコンやスマートフォンに内蔵されている「Webカメラ」を活用して、アイトラッキングの計測が可能になりました。

|アイトラッキング技術の活用分野

ここからは、アイトラッキング技術をどのように活用すれば良いか具体的にご紹介します。

以下よりご紹介するものは実際に活用されている事例になりますので是非参考にしてみてください。

マーケティング活動

消費者をアイトラッキングすることで、商品購入時のマーケティング活動に役立てることができます。

例えば、スーパーで顧客が商品購入の際、メーカーや成分表など商品のどこを重視して購入しているのかという情報を抽出することができ、消費者の関心がどこに向けられているのかを把握することができるようになります。

商品のデザインや店舗づくり、開発などさまざまなことに役立てられています。

VRやARのゲーム

アイトラッキング技術は、VR/ARなどのゲームにも使用することができ、VRヘッドセットを装着している際、VR空間で高い没入感を得るため活用されます。

仮想空間内では、自分の分身となるアバターを操作します。

その際、アイトラッキング技術を用いて、アバターの目の動きをユーザーのリアルな目の動きと連動させることが可能です。

これによりゲームをプレイする際、VRゲームでは一人称視点で遊ぶものも増えていますので、より没入感が高めることができます。

スキルや技術の研究

アイトラッキング技術は、伝統工芸士などの熟練者の研究にも活用することができます。

伝統工芸士の視線情報と一般者の視線情報を比較したり、複数の伝統工芸士の視線情報をデータとして蓄積させることで、技術の伝承に役立てることができます。

熟練したスキルや技術の研究をすることで、若者への技術継承に貢献することができます。

交通事故防止

アイトラッキング技術を活用し、運転席に装着されたカメラから運転者の視線情報を検知し、走行中の周囲への確認度合いを計測することができます。

周囲の確認の有無だけではなく、確認手順なども計測することができるので、運送業などの運転指導にも役立てることができます。

現在では、居眠り運転の防止策としても活用されています。

|実はアイトラッキング技術は歴史深い!

最後に少しだけアイトラッキング技術の歴史を紹介します。

アイトラッキング技術は、最先端技術という印象を持たれている方が多いのですが、実は19世紀後半からその礎となる研究が行われていました。

1879年にフランスの眼科医が読書中の人の目を観察したところ、「人の目の動きは、スムーズに動いているわけではなく、素早い動きや止まるなどを繰り返している」ことを発見しました。

さらに1937年に教育心理学者が、世界ではじめて光線を活用した機器による視線の動きを記録する研究に成功しました。

このような進化の過程で、現代の私たちの生活にアイトラッキング技術が用いられています。

|まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では、アイトラッキング技術の概要や仕組み、活用方法などを解説しました。

「目は口ほどに物を言う」という言葉があるくらい、生活において視線が重要視されています。

アイトラッキング技術は、すでに幅広い業界で活用されていますが、今後も様々な分野で活用されることが考えられる注目の技術です!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。