1990年代はインターネット黎明期(Web1.0)、2020年代までには多くのプラットフォームがインターネット上に普及(Web2.0)しました。

そして2020年に入り、現在は「Web3.0」の時代を迎えているといわれています。

今回の記事は、今注目のビジネスワード「Web3.0」について詳しくご紹介します。

最後までお読みいただければ、Web3.0の基本はもちろん、国内外の注目企業や関連ワードまで網羅的に周辺知識を理解可能です。

ChatGPTに代表される生成AIも登場し、時代は早くもWeb4.0へ移行するのではないかとも囁かれているので、今のうちに本記事でWeb3.0を理解しておきましょう!

目次

|Web3.0とは?

Web3.0(ウェブスリー)とは、データを暗号化して処理する「ブロックチェーン技術」を基盤とした、分散型の仕組みを持つ新しいインターネットの形態を指します。

これまでのインターネットは、World Wide Web(WWW)が登場した1990年以降の「Web1.0」の時代を経て、SNSのような双方向のコミュニケーションが可能な「Web2.0」の時代へと推移していきました。

Web3.0は、例えば銀行やGAFAMなどのメガプラットフォーマー(中央集権者と呼ぶ)に依存しない分散型のインターネットです。

これには、2008年に「サトシナカモト」と呼ばれる国籍も性別も不明な人物(または団体)がインターネット上に公開したホワイトペーパー(論文)が深く関係しています。

(※「サトシナカモト」は日本人のような名前ですが、現在でも詳細は不明です)

「Bitcoin:A Peer-to-Peer Electronic Cash System」と題されたこの論文では、現在では当たり前のように存在する「仮想通貨」の根幹となる「ブロックチェーン技術」についてのアイデアが記載されていました。

このブロックチェーンが革命的なアイデアだったこともあり、すぐに一流のエンジニア達によって技術開発が進み、結果としてWeb3.0の基盤となる分散型インターネットの仕組みが整ったのです。

ブロックチェーンは非常に複雑なため、少ない言葉では説明しづらいのですが、以下の記事に詳しくまとめているので気になる方はぜひご一読ください。

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|【日本国内】Web3.0の注目企業と導入事例9選

ブロックチェーン技術が実用的な段階へとシフトしていった2010年代中頃から終盤にかけて、Web3.0は急速に世界に普及していきました。

しかし、「分散型インターネット」と言葉でいわれてもあまり実感が湧かない方も多いことでしょう。

ここでは、Web3.0のイメージをつけるためにも、日本国内のWeb3.0の注目企業と導入事例を9つ厳選してご紹介します。

株式会社電通グループ:Web3.0の研究開発を行う企業と資本業務提携

出典:https://sivira.co/pr/press/20210618-02-ja.html

初めにご紹介するのは株式会社電通グループです。

言わずと知れた広告代理店の国内最大手企業ですが、DXや先端技術に取り組む部署・業務提携など多数の実績がある企業です。

2021年6月、ブロックチェーン技術やWeb3.0の研究開発などを行う「シビラ株式会社」と、資本業務提携契約を締結したことを発表しました。

具体的な活動としては、食資源循環・フードサイクルの取り組みに、Web3.0の情報流通基盤を活用し、持続可能な循環型経済の仕組みを目指すプロジェクトなどを始動しています。

大日本印刷株式会社:NFTの企画・配信を行う企業と業務提携

出典:https://www.dnp.co.jp/news/detail/10162820_1587.html

続いては大日本印刷株式会社をご紹介します。

大日本印刷株式会社は、印刷事業や飲料事業を展開している総合印刷会社ですが、最近はメタバース開発にも注力している企業です。

2022年7月、NFTの企画・配信を行っている「SUSHI TOP MARKETING株式会社」と業務提携を結んだことが報じられました。

今後、エンターテイメント分野でのファンによる応援活動をNFTとして記録できる、「推し活NFT」のサービス開発に取り組んでいくという話です。

「推し活」が流行語にも選ばれるなど、若い世代を中心に生活の一部として定着しつつある現代、Web3.0の新しい形として注目しておきたい事例といえるでしょう。

株式会社アカツキ:Web3.0に特化したファンド「Emoote」の設立

出典:https://aktsk.jp/press/52758/

続いてご紹介するのは株式会社アカツキです。

株式会社アカツキは日本の新興ゲーム企業で、2021年9月に、Web3.0領域に特化したファンド「Emoote(エムート)」を設立したことで話題を集めました。

Emooteはこれまでに、Web3.0プロジェクトである「STEPN(ステップン)」や、メタバースゲーム「HighStreet(ハイストリート)」など、20銘柄以上のWeb3.0プロジェクトに投資しています。

Emooteのファンドの規模は、25億円相当に成長すると予測されており、国内のWeb3.0市場の追い風となることは間違いなしです。

株式会社レコチョク:Web3.0プロジェクトの立ち上げ

出典:https://recochoku.jp/corporate/news/20220118-web3-nft/

次にご紹介する企業は株式会社レコチョクです。

レコチョクは、音楽配信サービスの企画や運営などを主に行っているIT企業です。

2022年1月に、エンターテイメント分野でのブロックチェーンを活用したビジネスへ本格的に参入することを発表しました。

Web3.0に関連するプロジェクトとして、NFTの発行・販売やERC-20トークンを用いた新たな音楽体験サービスなどを提供しています。

音楽業界にもWeb3.0の波がやってくる際は、レコチョクが旗持ちとなって切り開いてくれるでしょう。

GMOメディア株式会社:FC琉球コインの発行

出典:https://fcr-coin.com/

続いて、GMOメディア株式会社をご紹介します。

GMOメディア株式会社は、インターネットメディア事業など多岐に渡って展開している企業です。

2022年6月に新会社「GMO Web3株式会社」を設立し、Web3ベンチャーの支援や、市場の活性化に取り組んでいます。

また、プロサッカークラブのFC琉球が発行する暗号資産「FC琉球コイン」をコミュニティと連携するためのシステム開発などにも携わっています。

今後、このような形で特定のコミュニティを活性化させるために仮想通貨を発行する時代が近づきつつあるのかもしれません。

株式会社ドリコム:GameFi領域での企画・開発・運営

出典:https://drecom.co.jp/pr/2022/03/20220318-01.php

続いてご紹介するのは株式会社ドリコムです。

株式会社ドリコムは、ソーシャルゲーム事業や広告・メディア事業を展開している会社です。

2022年3月より、VRゲーム開発を手がけるThirdverseグループとともに、GameFi領域における、ブロックチェーンゲームの企画・開発・運営を行っています。

GameFi(ゲーミファイ)とは、プレイすることで仮想通貨やNFTを獲得できるゲームで、近年「ゲームをしてお金が稼げる」というキャッチフレーズで話題になったサービスです。

現在は、同社の登録商標であるロールプレイングゲーム「Wizardry」を、海外向けのGameFiへと再開発しており、2023年9月にβ版がリリースされています。。

Gaudiy:「Gaudiy Fanlink」でグローバルスタンダードを狙う

出典:https://site.gaudiy.com/product

株式会社Gaudiy(ガウディ)は「ファンと共に、時代を進める。」をミッションに掲げるWeb3.0スタートアップ企業です。

2018年5月に設立したばかりですが、資本金は既に約4億円弱と、非常に勢いのある企業です。

そんなGaudiyが手がけるWeb3.0事業は、大手エンタメ企業向けファンコミュニティプラットフォーム「Gaudiy Fanlink」。

エンタメ企業がWeb3.0に参入する障壁が高いことに目をつけ、その障壁を下げる役割を果たすのが同プラットフォームです。

Ethereumのレイヤー2スケーリングソリューションである「Arbitrum One」に対応しており、これによりトランザクションコストの削減とユーザーエクスペリエンスの向上が期待されています。

具体的な機能としては、ファンの活動をデータとして蓄積し、ファンの貢献度や熱量が正しく評価できるようになります。

つまり、ファンにとって最も喜ばれるパフォーマンスやイベントを、データを元に企画できるようになるプラットフォームです。

チューリンガム & gumi:Web3 IPプロジェクト「TOKYO BEAST」を始動

出典:https://turingum.com/news/press-release/tokyobeast/

チューリンガム株式会社と株式会社gumiは、いずれもWeb3.0事業を手がけるスタートアップ企業です。

2023年9月に、そんな期待の両社とアラブ首長国連邦に本社を置くTOKYO BEAST FZCOがタッグを組んで「TOKYO BEAST」というWeb3 IPプロジェクトを開始しました。

「TOKYO BEAST」プロジェクトは、3社が共同で開発運営するWeb3.0ゲームを中心としたクリプトエンターテインメントプロジェクトです。

同プロジェクトでは、トークンエコノミーとブロックチェーン技術を活用し、新しいゲーム体験を提供することを目的としています。

独自暗号資産の名称は「TBZ」、初回NFT購入やウォレット接続などの初期ハードルを低減し、より多くのユーザーがアクセスしやすくなる設計です。

2024年から順次コアプロジェクトを始動予定とのことなので、続報には目を光らせておきましょう。

フィナンシェ:NFTを利用したクラウドファウンディング「FiNANCiE」

出典:https://www.corp.financie.jp/service

株式会社フィナンシェは、2019年に設立されたWeb3.0のスタートアップ企業です。

同社の主力サービスであるトークン発行型クラウドファウンディングプラットフォーム「FiNANCiE」は、新時代のコミュニティの形成を促進する革新的なサービスです。

FiNANCiEは、プロジェクトオーナーがファントークンを販売し、サポーターがこれを購入することでプロジェクトを支援できるようになります。

サポーターはファントークンを利用して、コミュニティ内で限定のプロジェクトへの参加や特典の受け取りが可能です。

また、使用されるトークン「FNCT」は価格が変動し、売買可能です。

これにより、従来のクラウドファンディングサービスとは異なり、継続的なプロジェクト企画・支援が可能になります。

既にJリーグやその他スポーツクラブ・エンターテインメント業界でも導入されており、今後の展開に期待できるWeb3.0プロジェクトといえるでしょう。

|【海外】Web3.0で注目企業と導入事例7選

ここまで、日本国内のWeb3.0における注目企業を紹介してきました。

次は、海外の注目企業についてご紹介します。

Brave

出典:https://brave.com/ja/

Braveは、プライバシーを最優先に考えたウェブブラウザです。

従来のブラウザが追跡広告やデータ収集に依存しているのとは対照的に、Braveはユーザーのプライバシー保護を核としています。

Braveの最大の特徴は、Web3.0技術への対応にあります。

分散型アプリケーション(DApps)や暗号通貨の管理がブラウザ内で直接行える点は、他のブラウザとの大きな差別化要因です。

また、Braveは独自のBasic Attention Token(BAT)システムを導入しています。

ユーザーは広告の閲覧によりBATを獲得し、これをコンテンツクリエーターやウェブサイトへの支援に使用できます。

これにより、広告モデルを再定義し、ユーザーとクリエーターの双方に利益をもたらす新しいエコシステムが形成可能です。

Braveは、私たちがインターネットを使用する方法を根本から変える可能性を秘めており、その進化に目が離せません。

Steemit(スティーミット)

出典:https://steemit.com/

steemit(スティーミット)はブロックチェーン技術を元にしたソーシャルメディアプラットフォームのことで、2016年にNed ScottとDaniel Larimerによって設立されました。

Ned Scottは北米の多くの食品輸入企業を所有するGellert Global Groupで事業運営をした経験があり、Daniel Larimerはビットコイン2.0の一つであるBitsharesの創設者と、社会的にも有名な二人が創設したことによって注目が集まった過去があります。

steemitの最大の特徴はブログ記事や写真を投稿することで報酬を受け取ることができるシステムで、自分の興味あることについて記事を書きながら収入が入るというのはユーザーにとって大きな魅力となっています。

日ごろライター活動をしている方にはもってこいのサービスといえるでしょう。

OpenSea

出典:https://opensea.io/ja

OpenSea(オープンシー)とは、NFTコンテンツの売買が可能なECサイトです。

NFTコンテンツとは、ブロックチェーン技術によって資産価値が保証される、デジタルデータのことです。

具体的には、電子アートや画像、音楽などがあります。

ブロックチェーン技術によって、複製や改ざんなどができないような仕組みになっているため、デジタル上のデータに資産としての価値を持たせることが可能です。

そのため、OpenSeaでは決済システムを利用する必要がなく、仮想通貨ウォレットを連携させれば個人間でのNFTの取引が可能になります。

Ava Labs

出典:https://www.avalabs.org/

Web3.0では、革新性と効率性がキーワードです。

この流れを牽引するのが、Ava Labsが提供するブロックチェーンプラットフォーム「Avalanche」です。

Avalancheは驚異的なトランザクション処理速度を誇ります。

この高速処理は、ブロックチェーンの効率と拡張性を大幅に向上させ、従来のシステムの限界を打ち破ります。

また、​​秒間数千件のトランザクションをサポートする能力により、Avalancheは大規模なアプリケーションでもスムーズに機能します。

これにより、幅広いビジネスシーンでの利用が可能です。

Avalancheは、分散型ファイナンス(DeFi)、デジタルアセットのトレーディング、企業向けアプリケーションなど、多岐にわたる分野での応用が期待されています。

特にDeFi領域では、その高速処理能力と拡張性が大きな利点となり、多くの革新的なプロジェクトがAvalanche上で開発されています。

Braintrust

出典:https://www.usebraintrust.com/

Web3.0時代において、労働市場は大きな変革を迎えています。

その最前線に立つのが、分散型人材マッチングプラットフォーム「Braintrust」です。

Braintrustは、中央集権型ではなく分散型で運営されています。

これにより、コミュニティメンバーが運営に積極的に関与し、プラットフォームの透明性と公平性を高めています。

また、従来の人材マーケットプレイスと異なり、Braintrustは非常に低い手数料を設定しています。

フリーランスとして働いた経験がある方なら理解できるかと思いますが、フリーランスは収入を安定させるためにいくつかの人材マッチングプラットフォームに登録するのが一般的です。

しかし、いわゆる「中抜き」つまり中間手数料が非常に高く、自身の収入を圧迫してしまうのです。

この点Braintrustの中間手数料は基本的には0%で、ノードへの請求書に10%の手数料がかかるだけなので、従来のプラットフォームよりも圧倒的にコストがかかりません。

まさに、新時代の人材マッチングプラットフォームといえるでしょう。

働き方の多様性が求められる昨今、非常に注目のサービスであることは間違いありません。

Alchemy

出典:https://www.alchemy.com/blog

Web3.0の進展において、ブロックチェーン技術は重要な役割を担っています。

その中でも注目なのが、天才との呼び声も高いジョセフ・ロー(32)とニキル・ヴィスワナサン(34)が開発したDApps(分散型アプリケーション)「Alchemy」です。

Alchemyは、開発者に対して直感的で強力なAPI、ツールキット、およびネットワークインフラを提供します。

これにより、開発者は効率的かつ迅速にDAppsを開発し、展開することが可能です。

また、大規模なDAppsの安定した稼働をサポートする高度なスケーラビリティを備えており、どんな規模のプロジェクトにも対応できるのも特徴の一つ。

他にも、高度なリアルタイムデータ分析ツールを備え、アプリケーションのパフォーマンスを最適化し、問題を迅速に特定・解決することもできます。

このように、Alchemyはブロックチェーン技術の力を最大限に活用し、分散型ネットワークの構築をサポートすることで、インターネットの未来を形作っています。

Consensys

出典:https://consensys.io/

ブロックチェーンで有名な企業といえば「Consensys」も忘れてはなりません。

ConsensysはWeb3.0に関わる多数のサービスをリリースしており、その中でも有名なのは「MetaMask(メタマスク)」でしょう。

MetaMaskは、Ethereumのブロックチェーンと相互作用するための人気のブラウザ拡張機能およびモバイルアプリです。

ユーザーはMetaMaskを通じて、Ethereumネットワーク上のトークンの管理、DAppsへのアクセス、スマートコントラクトとのやり取りが可能です。

他にも、EthereumおよびIPFS(InterPlanetary File System)に簡単にアクセスできるようにするクラウドベースのAPIサービス「Infura」。

Ethereum上でスマートコントラクトを開発、テスト、デプロイするための一連の開発ツール「Truffle Suite」。

企業向けのEthereumベースのブロックチェーンソリューション「ConsenSys Quorum」など、既に多くのサービスを世に送り出しています。

|【2024最新】Web3.0市場の動向から将来性を予測

このように、国内外を問わず多くの企業が参入しているWeb3.0事業ですが、現在の市場動向はどうなのでしょうか。

日本政府もWeb3.0の関連ビジネスを奨励するなど、最近では国内でも動きは加速しつつあります。

そのため、これを機にWeb3.0ビジネスに参入する企業も増加してくるでしょう。

ここでは、2024年最新のWeb3.0市場の動向を「NFT市場」「暗号通貨市場」「DeFi市場」の3つの観点から解説します。

NFTの市場規模

現代のNFT(Non-Fungible Token)市場は、著しい成長と進化を遂げています。

一部の国々では顕著な市場規模の増加が見られ、特にアメリカ、ドイツ、イギリス、カナダ、日本が市場の主要プレーヤーとなっています。

その中でもやはりアメリカは、NFT市場における圧倒的なリーダーです。

2018年から2022年にかけて、アメリカのNFT市場の収益は90,910ドルから415,800,000ドルへと急激に増加しました。

ドイツ、イギリス、カナダ、日本も重要な市場として位置付けられてはいますが、アメリカほどの急速な収益増加は見られていません。

それでも、これらの国々での市場の成長は着実に進んでいます。

たとえば、ドイツでは2018年の5,870ドルから2022年には45,310,000ドルへと増加しています。

NFT市場は、特定の地域や国々で顕著な成長を見せていますが、全体としてはまだ発展途上の段階といえそうです。

暗号通貨の市場規模

暗号通貨市場は2022年、その規模を2兆190億米ドルにまで拡大し、著しい成長を見せています。

さらに、IMARC Groupによる予測では、2023年から2028年の間に11.7%の成長率(CAGR)を達成し、2028年までには市場規模が4兆70億米ドルに達するとのことです。

暗号通貨市場の成長は、国境を越えた円滑な取引の実現によって加速しています。

オンラインショッピングやキャッシュレス決済の増加、金融決済システムの効率化と透明性の需要が市場成長の主要な要因です。

また、金融業界におけるブロックチェーン技術の採用が増加していることも、市場の成長を後押ししています。

加えて、各国政府による暗号通貨の合法化や、ベンチャーキャピタルへのデジタル投資の増加が市場の成長を支えています。

2024年の現状としては、暗号通貨市場は技術革新と経済的・政治的要因によって、今後も大きな成長が期待される分野といえるでしょう。

DeFiの市場規模

分散型金融(DeFi)市場は、近年著しい成長を遂げています。

Emergen Researchの最新分析によると、2032年までにはDeFi市場の規模が601.00億ドルに達すると予測されており、2023年からの予測期間中には年間46.1%の平均成長率(CAGR)が期待されています。

中でも北米市場の発展が目覚ましく、2022年のDeFi市場で最大の市場シェアを占めました。

急速な成長の要因としては、DeFiが提供する革新的な金融ソリューションに対する需要の高まりによるものが大きいとのことです。

他にも、分散型スポーツベッティングシステムの需要増加も、DeFi市場の成長を後押ししています。

特に、eスポーツやオンラインゲームの人気の高まりが、セグメント全体の成長を後押ししています。

全体的に大幅な成長傾向だが過度な期待は禁物

Web3.0市場の現状として、全体的に高い成長を記録しているものの、ガートナー社が提唱する「ガートナー・ハイプサイクルモデル」に基づいて考えると、決して楽観できる現状とはいえません。

「ガートナー・ハイプサイクルモデル」とは、新技術が市場に登場した際に「どれくらい市場に浸透しているか」を推し量る一種の指標です。

2022年の段階では、メタバース、NFT、そしてWeb3.0はハイプサイクルの「過度な期待のピーク時」に分類されていました。

しかし、2023年にはこれらの技術は「幻滅期」に入ったとされています。

これは、初期の期待に比べて実際の進展や成果が伴わない場合、関心が薄れ、技術開発者やプラットフォーマーに再編成や失敗の可能性が生じる段階を意味します。

Web3.0市場は確かに急成長していますが、技術の実用化、安定性、そして採用に向けた実際の進展には時間がかかるため、投資や採用にあたっては慎重な検討が必要なことには注意しておきましょう。

|Web3.0に関連する技術・キーワード

Web3.0の性質上、専門用語が非常に多くわかりづらかった方も多いかもしれません。

ここでは、まとめとしてWeb3.0に関連する技術やキーワードをおさらいしておきましょう。

ブロックチェーン

ブロックチェーン技術とは情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種です。

主に「ビットコイン」等の仮想通貨に用いられている基盤技術になっています。

簡単にまとめると、参加者の中に不正を働く者や正常に動作しない者がいたとしても正しい取引ができ、改ざんが非常に困難で、停止しない、多数の参加者に同一のデータを分散保持させる仕組みです。

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NFT

NFTとは、「Non-Fungible Token (非代替性トークン)」の略で、アートやゲーム内のアイテムなどの資産に所有者情報を記載し、ブロックチェーンで具現化された信憑性を証明できるデジタル資産です。

例えば、ゲーム内のアイテムやSNSのアイコン、アート、音楽などさまざまなジャンルでNFTが活用されています。

NFTの売買は既に世界中で行われており、最大手のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaは2021年の8月の流通総額が約3650億円を超えるほどです。

近年では、簡単なイラストが数千万円〜数億円で取引される事例もあります。

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DeFi

「DeFi(Decentralized Finance)」は、ブロックチェーン技術を駆使して、金融取引を中央の金融機関を必要とせずに実現する革新的な仕組みです。

この分野は、伝統的な金融サービスとは異なり、中央の管理者を排除し、ユーザー同士の取引に依存する分散型のシステムとして展開されています。

そのため、DeFiは「分散型金融」とも呼ばれています。

DeFiのテクノロジーを活用することで、仲介者を介さずにさまざまなサービスを提供できます。

例えば、特定の条件が満たされた場合に自動的に資金を送金することが可能です。

これにより、従来の金融機関に頼る必要がなくなり、効率的で迅速な金融取引が可能になります。

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DeFiとは?仕組みからメリット・デメリット、稼ぎ方まで徹底解説
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DAO

DAOとは「分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organization)」の略で、Web3にまつわるバズワードのなかで最も世間をにぎわせている言葉のひとつです。

具体的には、人々が組織のように集合体をつくれるという概念を指します。

DAOに参加するには特別なトークン(暗号資産)を購入するか、すでに参加しているメンバーから受け取らなくてはなりません。そのトークンにはDAOのメンバーであることの証明と、DAO内での投票権が付与されています。

これまでDAOは、「銀行口座を共有するインターネットコミュニティ」と表現されてきました。

理論的には個人またはグループが管理するわけではなく、運営の権利は分散されています。

DAOの構成員は過半数のメンバーから承認を得ることで、自動的に実行される「スマートコントラクト」のかたちでリソースの使い道を提案できます。

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メタバース

「メタバース」とは、仮想空間上で、現実世界を超越した経済的な活動が展開される場所です。

ユーザーは、3次元のバーチャル環境内で、自身のアバターを通じて移動し、他のユーザーとコミュニケーションをとり、商品やサービスの交換など、多岐にわたる経験を楽しむことができます。

メタバースは、VR、AR、MRなどのテクノロジーを活用して実現されます。

3Dメタバースと2Dメタバースに分かれ、前者は立体的な空間を提供し、後者は平面的な空間を提供します。

企業には、メタバースがビジネスに新たな展望をもたらします。

たとえば、仮想空間内でのイベント、プロモーション、製品展示、コラボレーションなどが挙げられます。

企業は、メタバースをブランド強化や新しい顧客対話のプラットフォームとして活用することで、競争優位性を築く機会があります。

メタバースは、個人、企業、クリエイターにとって未知の可能性を広げる場として注目され、今後のテクノロジーとビジネスの進化に大きな影響を与えると期待されています。

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生成AI

生成AI、またはジェネレーティブAIは、従来のAIと異なる新しい形態の人工知能で、独自のデータやコンテンツを創造する能力を持つAIです。

生成AIの最大の特徴は、単に既存の情報を分析し提示するだけでなく、新しい情報やアイデア、さらには芸術的な作品までをも自ら生み出すことができる点にあります。

例えば、テキスト生成AIのChatGPTや画像生成AIのDALL-Eなどが、このタイプのAIとして有名です。

これまで人間だけが行ってきた創造的な作業をAIが行えるようになったことで、アイデアの創出、デザインの生成、コンテンツの自動作成などが可能になります。

従来のAIがデータを分析し、既知の情報に基づいて回答を導き出すのに対し、生成AIはこれまでにない新たな情報やアイデアを生み出すことができます。

これにより、AIは単なる分析ツールから、創造性を持つ存在へと進化していると言えるでしょう。

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Web4.0

「2020年代はWeb3.0の時代」ともいわれていますが、早くもWeb4.0という概念も登場しています。

この新しいコンセプトは、現実世界とデジタル環境の密接な連携を基本としており、欧州委員会によって2023年7月に提唱されました。

Web4.0のコンセプトは、高度な人工知能(AI)、IoT、ブロックチェーン、メタバース・デジタルツインなどの技術を活用して実現されると考えられています。

これにより、Web4.0は現実とデジタルの境界を曖昧にし、よりリアルなデジタル体験やインタラクティブなサービスを可能にします。

Web1.0の静的な情報提供からWeb2.0の相互作用的なコミュニケーション、Web3.0の非中央集権的なデータ所有と透明性、そしてWeb4.0の現実世界とデジタル世界の統合というように、インターネットは常に変化し続けています。

とはいえ、まだWeb3.0も定着しているとはいえない現状です。

その中でWeb4.0が定着するにはもう少し時間がかかることになるでしょう。

|Web3.0の今後の課題

新しい技術にはまだカバーしきれない部分が少なからずあります。

メリットしか見ずに利用すると、いざ被害を被った際に対処できなくなる恐れもあるので、しっかりと見極めることが重要です。

最後に、Web3.0の今後の課題についても見ていきましょう。

ハッキング被害

1つ目の大きな課題は、ハッキングです。

Web3.0ではデータが分散されているため、データ全体のハッキングに対する堅牢性は非常に高いです。

しかし、個々人で見た場合はセキュリティ上の問題が残っています。特に、個人の認証情報が1つしかないのが問題です。

認証情報をハッキングされると自身に関する情報が全て漏洩してしまうことが、大きな問題として指摘されています。

問題が生じたときの対応が難しい

Web3.0では特定の管理者が存在していないことが大きな特徴の一つですが、逆にそれがデメリットとなる場合もあります。

認証情報を紛失してしまった場合、管理者がいないと二度と自身の情報にログインできなくなります。

また、認証情報をハッキングされてしまった場合も対応方法が存在しません。

何か問題が生じた場合は自己責任で対応するしかなく、解決が非常に難しい現状です。

自分のアセット管理によっぽどの自信がない限り、全くの素人がいきなり手を出すのは非常にリスクがあることは理解しておきましょう。

|【まとめ】Web3.0の導入事例を参考にサービス開発や投資を検討してみよう

今回はWeb3.0について、導入事例や注目企業、課題や関連ワードを紹介しました。

Web3.0はブロックチェーン技術を用い、GAFAMなどが独占していたプラットフォームを分散化させ、多数のユーザーで管理します。

数多くの国家や企業がWeb3.0に注目しており、投資も加速している状況化で、社会に大きな影響を与えるのは間違いないでしょう。

しかし、まだまだ社会に完全に浸透するには時間がかかるのも事実。

投資やサービス開発を検討する際には、その点も踏まえて慎重に判断することを心がけてください。