新型コロナウイルスの影響をうけ、対面でのコミュニケーションを取ることが難しくなり、一気に「メタバース」というバーチャル世界が注目されました。
メタバースの世界では、自分の分身となる「アバター」の存在が欠かせません。現在アバターは、ゲームやチャット、SNSなど様々なシーンで活用されています。
本記事では、アバターの概要から活用シーンなど初心者にもわかりやすく解説しますので、是非最後までご覧ください。
目次
|アバターとは?
アバターとは、ITの分野において、オンライン上で自分の分身として使用される存在(キャラクター)のことを指します。
直訳すると、化身、具現、権化などの意味を持つ英単語で、語源はアサンスクリット語の「avataara」、ヒンドゥー教で“神の化身”という意味を持っています。
メタバースなどの多人数参加型のオンラインゲームやSNSなどで3Dモデルの分身または画像データとして、ユーザーに紐付けられています。
自分の分身だからといって自分の見た目そっくりのキャラクターにする必要はなく、好みに合わせて容姿をカスタマイズすることができます。
昨今では、人間のような見た目のものから、動物、アニメキャラクターのようなものまで様々なアバターが存在しています。
オンライン上のコミュニケーションは、そのアバターを通じて行われています。
アバターの語源
「アバター」の語源は、サンスクリット語の「アヴァターラ」に由来しています。この語源は、「अवतार」と表記され、英語では「avataara」と表記されます。
「アヴァターラ」は、インド神話や仏教の説話に登場する単語であり、「神や仏の化身」という意味を持ちます。
「アバター」という言葉は、このサンスクリット語を西洋風に読んだ際の発音です。
「化身」とは、「神仏が姿を変えてこの世に現れること」「抽象的なものが形をとって現れたもの」という意味を持っています。
つまり、「アバター」は、「神や抽象的な概念が別の姿に変わったもの」という意味を含んでいます。
現代では、「アバター」という言葉は、「自分がインターネット上などにおいて分身となるキャラクターになりきった姿」という意味で使われており、このように、概念的な類似性から、「アバター」はインターネット上での個人の仮想的な表現や分身を指す言葉として広く使われるようになりました。
|アバターを利用するメリット
アバターを利用するメリットはいくつかあります。
アバターを使えば、インターネット上で他者とのコミュニケーションが容易になります。
SNSやオンラインゲームをする際、自分の顔を公開したくない人も多く、アバターを自分の代わりに表示させることで、よりリアルなコミュニケーションが可能になります。
また、個性を表現する手段としても活用できます。
顔のパーツや髪型、服装、アクセサリーなどを自由にカスタマイズできるため、オリジナルの分身を作ることができます。
これにより、仮想空間上で個性をアピールすることができます。
アバターは、自分に似せて作る必要はありませんので、現実とは異なる性別や性格、外見を設定することも自由です。
つまりアバターの魅力は多様性と自由度にあると言えるでしょう。
以上のように、アバターの使用はインターネット上でのコミュニケーションや仮想空間での表現手段として、さまざまなメリットをもたらします。
その柔軟性と表現力を活かすことで、個人やビジネスのニーズに合わせたコミュニケーション環境を構築することができます。
|アイコンやキャラクターなどとの違いは?
アバターによく似た言葉で、「アイコン」があります。
アイコンは、SNSやチャットサービスなどで、ユーザーをわかりやすく画像で表したものです。
対してアバターは、コスチュームを変更できたり、アニメーションなどで動きをつけることが可能です。
つまりSNSなどで自分のアカウントに設定する画像は、アイコンやプロフィール画像と呼ばれ、一般的にアバターとは呼びません。
また、多人数で行うようなオンラインゲームではなく、ビデオゲーム(一人または少人数の場合)のプレイヤーのことも、アバターとは言わずキャラクターと呼ばれることが一般的です。
|アバターが使われるシーン
ここからは、実際にアバターの活用シーンを紹介します。
活用シーンによって用途が変わってきますので、それぞれ具体的に紹介します。
オンラインゲーム
アバターは、「オンラインゲーム」で活用されています。
インターネット上で通信し、繋がったユーザーとゲームをプレイするオンラインゲームは、比較的早い段階でアバターが使われていました。
ゲームの世界では、自分の分身としてアバターが存在しています。
特によく使われているのが、RPG(ロールプレイングゲーム)です。
代表的なゲームは、あつまれ動物の森、ファイナルファンタジー、モンスターハンター、ニコッとタウン、チョコットランドなどがあります。
他のユーザーと見分けをつけるため、自分好みの顔や洋服などをカスタマイズしてオリジナルのアバターを作成することができます。
さらに最近では、オリジナルのアバターを作る楽しみが生まれるほど人気のコンテンツのひとつとなっています。
SNS
最近では、アバターを取り入れているSNSが増えてきています。
オンラインコミュニケーションプラットとして大きな市場を押さえているSNSですが、TwitterやFacebookのようなテキストで交流するものから、3Dの動くアバターが仮想空間を通じて交流するものへと進化しています。
さらに、ボイスチャット機能を通じて、アバターが喋ることでSNS上での交流が行われることもあります。
代表的なアバターSNSは、cluster(クラスター)、ピグパーティ、ZEPETOなどがあります。
オリジナルのアバターだけではなく、自分の部屋(空間)を作って、他のユーザーを招くなどといった楽しみ方もできます。
オンライン上でチャットをしたりパーティーを開催してユーザー同士の交流を楽しむことができます。
ビジネス
アバターは、遊びなどの娯楽だけではなく、ビジネスシーンにおいても利用されはじめています。
主な活用シーンは、仮想/バーチャルオフィス、トレーニングなどの研修、仮想店舗での接客、オンラインイベントなどがあります。
昨今、テレワークが浸透しつつあり、リアルオフィスへの出社をせず、自宅から仮想オフィスに出社するなどの働き方があります。
仮想オフィスには、自分のアバターが存在し、気軽に社員同士でコミュニケーションをとることができます。
さらに、Zoomなどのビデオ会議ツールではなく、バーチャル会議室でアバター同士でMTGをすることもできます。
ほかにも、メタバース上で研修をやったり、施設見学をやったりとビジネスでも幅広く活用されています。
メタバース
アバターは、メタバースの世界で欠かせない存在です。
メタバースとは、インターネット上にある仮想空間のことで、多人数が同じ空間で気軽に交流できることが特徴です。
メタバースを利用したサービスは幅広く、ここまで紹介したゲームやSNS、ビジネスツールでもメタバースに該当するサービスがあります。
メタバース空間上に自分の分身であるアバターを存在させ、ゲームやイベント、交流会やビジネスなどさまざまなサービスを利用することができます。
|2Dアバターと3Dアバターの違いや特徴
アバターには、イラストや画像、3Dなど様々な種類があります。
従来は、2Dアバターが主流でしたが、3DCGの技術の発展により誰でも簡単に3Dアバターを作れるようになりました。
メタバースが注目されるようになり、最近では3Dアバターが主流になりつつあります。
ここからは、2Dアバターと3Dアバターの違いやそれぞれの特徴について紹介します。
2Dアバター
2Dアバターは、漫画イラストのようなイメージで、多くのものが手書きで作成されています。
アバターの特徴となる表情の動きなどは、「表情差分」や「ポーズ差分」と呼ばれる、同じイラストをベースに笑った目や怒った目を用意し、それらを差し替える技術で表現します。
【メリット】
・デフォルメ調の可愛いキャラクター表現に向いている
・自身の好みや趣味をアピールしやすい
【デメリット】
・イラスト制作時間がかかる
・「表情差分」や「ポーズ差分」の用意にはコストがかかる
3Dアバターが誕生した今、本格的なアバターを作りたい場合には、やや物足りなさを感じることもあるでしょう。
3Dアバター
3Dアバターは、立体的で躍動感を表現できるのが特徴です。
モーション機能を使って簡単に表情や動きをつけることができたり、好みの洋服を着せたり、現実世界では着ないうようなジャンルの服装を着せることもできます。
【メリット】
・立体感や躍動感を表現できる
・豊富な表情、動きが再現可能
【デメリット】
・細かい動きが設定可能な分、データ容量が大きくなる
・大きなサーバーが必要になる
最近では、3DCGのモデリングの技術を用いて本格的に作るものから、スマホアプリで簡単に作れるものもあるので、一度試してみるのも良いでしょう。
|アバターの作り方
アバターは、オンライン上で、ユーザーの個性を表現することができます。
顔のパーツや、服装などをカスタマイズしてオリジナルのアバターを作るには、どのようなステップが必要なのでしょうか。
ここからは、アバターの作り方について紹介します。
①まずはイメージをイラストに描く
まずは、どんなアバターにしたいのかをイメージし、イラストに描き起こします。
全身、正面図、横からの絵や服のデザインなど細かい部分までイメージできていると良いでしょう。
表情や向きを変えて複数パターン描いておくと次の工程がスムーズです。
②3Dソフトでモデリングをする
次に3Dソフトを使ってアバターのベースになるモデルを作るのですが、この作業のことを「モデリング」と言います。
頂点と頂点を線でつないでいき、ポリゴンを組み合わせて3Dモデルを作成します。
形が複雑になるほど頂点と面が多くなるので、工程やデータ量が多くなります。
また、平面の2Dイラストとは違い、高さ×幅×奥行きの3次元で考える必要があるので、慣れるまでは少し難しい作業かもしれません。
③3Dモデルにテクスチャを張る
3Dモデルはただの立方体なので、テクスチャを張る必要があります。
テクスチャとは、3DCDにおいて、材質の質感を表現するために使用される画像のことです。
立方体にテクスチャを張ることで、リアル感や存在感を表現します。
④3Dモデルにモーションをつける
最後に、アバターを動かすためのモーションをつけます。
テクスチャを貼って見た目が完成しても、動きがなければリアル感は半減してしまいます。
そこで、手を動かしたり目を閉じたり笑ったりする動きなどすべての表情は、モーションをつけることで実現できます。
人体後続や関節の方向などを理解していないとスムーズなモーションがつけられないので、専門的な知識や技術が必要になります。
|アバターの将来性や今後の展望
今後、アバターを活用したサービスや機会は今後もっと増えていくことが予測されます。
ビジネスにおけるメタバースの発展や、オンラインゲーム、SNSなど、すでに子どもから大人までアバターの活用が一般的に浸透しつつあるからです。
例えば、アバター向けのNFTアイテムなども登場しており、スポーツブランドのナイキがバーチャルスニーカーを販売し、大きな話題となりました。
アバター本体はもちろん、アバターのアイテムは無数に作ることができるので自作や、購入など様々な手段でオリジナルのアバターを作ることができるでしょう。
|まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、アバターの概要から活用シーンなど初心者にもわかりやすく解説しました。
アバターは、娯楽からビジネスシーンまで活用の幅が広いことや、2Dから3Dへの発展など、あらゆる側面において期待できます。
オンライン上での交流が当たり前になりつつある今だからこそ、注目すべき分野であることは間違いないでしょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!