昨今の人材不足問題により、企業の採用ハードルは年々高くなり、採用活動の在り方も大きく変わり始めています。
そこで、今回は「メタバースを活用した採用活動」についてご紹介します。
メタバース採用は、従来型の採用活動とは全く異なるアプローチで、「匿名性」が大きな特徴です。
この匿名性により、求職者の本音を聞き出すことができるため、入社後のミスマッチを防ぐなど、多くのメリットがあります。
本記事では、企業・求職者の双方にとってのメリット、具体的な導入事例、活用方法までを網羅的に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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|メタバース採用とは
メタバース採用とは、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用して行う採用活動のことです。
VRゴーグルやPC・スマートフォンなどを通じて、企業説明会や面接、合同説明会をバーチャル空間内で実施します。
従来のオンライン採用と異なり、アバターによる双方向コミュニケーションや、企業の世界観を再現した3D空間によって、よりリアルで没入感のある体験が可能です。
ンターネット接続環境があれば全国どこからでもアクセス可能なため、地理的な制約を受けずに幅広い人材との接点を持つことができます。
|【企業側】メタバース採用のメリット
メタバース採用は、これまでにない形で採用活動を展開でき、多くの利点をもたらします。
全国の求職者にアプローチが可能
メタバース採用の大きな強みの一つが、物理的な制約を受けずに全国の求職者にアプローチできる点です。
従来の採用イベントでは、東京や大阪などの都市圏に限定されがちでしたが、メタバース空間であれば北海道から沖縄まで、インターネット環境さえあれば誰でも参加可能です。
これにより、地方在住者や就業中で移動が難しい求職者にも平等なチャンスが提供され、企業は多様な人材と出会う機会を広げることができます。
候補者との心理的距離を縮められる
メタバース空間での採用活動は、アバターを介して行われるため、対面やWeb面接よりも緊張感が軽減され、リラックスした雰囲気でやり取りができます。
これにより、候補者の本音や価値観が引き出しやすくなり、ミスマッチの防止にもつながります。
また、非言語的な演出(空間設計、動き、音声など)を通じて、企業の雰囲気を自然に伝えられる点も、心理的な距離の縮小につながる要素となっています。
企業としてのブランディングやPR効果が望める
最先端の技術であるメタバースを採用活動に取り入れることで、企業はイノベーティブな姿勢や先進性をアピールすることもできます。
特にITやクリエイティブ業界など、先進的なイメージが求められる業種では、企業ブランドの差別化や学生への好印象に大きく寄与します。
さらに、メタバース採用イベントはSNSやニュースメディアでも話題性が高く、PRとしての二次的効果も大きいです。
コストを削減できる
メタバース採用は、物理的な会場やスタッフ配置が不要なため、従来のリアルイベントに比べて大幅にコストを削減できます。
例えば、会場費や装飾費、移動・宿泊費、パンフレット印刷などの経費は一切かかりません。
加えて、運営人員の負担も少なく、少人数で効率よくイベントを実施することが可能です。
特に中小企業やスタートアップにとっては、限られた採用予算を有効に活用できる手段となります。
|【求職者側】メタバース採用のメリット
メタバース採用は、求職者側にも多くのメリットがあります。
場所や時間を気にせず参加可能
メタバース採用は、物理的な移動を必要としないため、求職者は自宅から気軽に参加することができます。
これにより、地方や海外に住む求職者でも、都心部の企業説明会や面接にリアルタイムで参加することが可能になります。
また、仮想空間は時間の制約も緩やかであるため、録画コンテンツの活用により、自分の都合に合わせて参加できる柔軟性も魅力の一つです。
対面では聞きにくいようなことでも聞ける
アバターを介して参加することで、実名や顔出しが不要となり、心理的ハードルが低くなります。
通常の対面説明会や面接では聞きづらい待遇面、働き方、社内文化といった繊細な質問もしやすくなります。
また、企業側もあらかじめ質問コーナーを設けるなど、双方向のやり取りを促進する工夫を施すことで、より透明性のある採用活動が実現します。
信頼関係の構築にもつながるこの特徴は、採用ミスマッチの防止にも寄与します。
交通費や時間的コストが掛からない
従来の就職活動では、説明会や面接のたびに交通費や宿泊費が発生し、求職者にとって大きな経済的・時間的負担となっていました。
メタバース採用では、そのような移動コストが一切不要です。
学生や転職希望者など、頻繁に採用イベントへ足を運べない立場の人々にとっては、コスト削減は非常に大きなメリットです。
結果的に、より多くの企業との接点を持つ機会が増え、自身に最適な職場と出会える確率も高まります。
|メタバース採用の種類
メタバースを活用した採用活動には、さまざまな形式があります。
目的や求職者との接点に応じて使い分けることで、より効果的な採用活動が可能になります。
合同展示会
複数の企業が一堂に会する「合同展示会」をメタバース空間で開催する形式です。
リアルの合同企業説明会に近い体験が可能で、各ブースでは企業担当者とチャットや音声での対話ができたり、資料や動画で会社の情報を閲覧できます。
求職者はアバターとして仮想会場を歩きながら、複数の企業と比較・検討できるため、効率的な情報収集が可能です。
主催者側にとっては、1度のイベントで多数の企業と求職者を結びつけられるため、高い集客効果が期待できます。
また、イベントの録画やアーカイブ機能を活用すれば、当日参加できなかった求職者にも情報を届けることができます。
企業説明会
企業がメタバース空間に自社の説明会場を構築し、会社説明を実施する形式です。
プレゼンテーション資料や動画、バーチャルツアーを交えながら、企業の理念、事業内容、職場環境などを紹介できます。
実際のオフィスを模した3D空間を活用すれば、バーチャルオフィスツアーの実施も可能であり、企業文化や職場環境を視覚的に訴求できます。
また、参加者数に応じたスペース拡張や、リピート開催などの柔軟な運用も魅力の一つです。
面接
メタバース内での「面接」では、アバターを介して求職者と採用担当者が1対1で対話を行います。
求職者にとっては、見た目や表情に左右されにくい環境で自分の魅力をアピールでき、企業側にとっても候補者の内面やコミュニケーション力をより自然に引き出すことができます。
また、仮想空間ならではの機能として、事前に候補者情報を画面に表示したり、面接の様子を録画して複数の面接官と共有・評価できるといった利点もあります。
|メタバース採用事例14選
ここからは、実際に企業でメタバースを活用した採用イベントの事例をご紹介します!
中京テレビ

中京テレビは、就職活動における本音の対話を促進する目的で「メタバース会社説明会」を実施しました。
全国の学生を対象に2部構成・定員200名で開催され、応募者は定員の約2倍に達し抽選となる盛況ぶりを見せました。
就活生の満足度は95%と非常に高く、特に「対面に近い感覚で話が聞けた」「オープンな空間で自由に移動できた」との評価が集まりました。
人事側からも「双方向性のある説明会が実現」「部署横断の対話がしやすかった」といった効果を実感しており、メタバースの有効性が明らかになりました。
メタバース採用EXPO
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000081404.html
メタバース採用EXPOは、大手企業やスタートアップ、地方の企業含め179社が出典した最大級のメタバースを活用した合同企業説明会です。
参加者はアバターを介して自由に好きな企業のブースに立ち寄り、資料を閲覧したり社員の方と交流することができます。
イベントでは、インフルエンサーによるセミナーや、就活生同士が交流することのできる就活ひろばが用意されていました。
メタバース就活EXPOはすでに3回実施されており、現在4回目の実施に向けた準備がされています。
METANAVI

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000099750.html
METANAVIはメタバースに関心のある学生や社会人と、メタバースに関係する企業が集うメタバース就活フェスです。
VRChatという多くのユーザーが日常的に利用しているメタバースプラットフォームで行われました。
空間内で企業がプレゼンを行い、参加者が自由に質問していく形式です。
VRChatの特徴として、アバターの自由度が非常に高いので、画像のように様々な個性のあるアバターが集まります。
そのため、METANAVIのように、その人の個性を深く知れる採用イベントが開催できます。
ビヨンド
出典:https://recruit.beyondjapan.com/1771
株式会社ビヨンドは、2024年度新卒採用で「メタバース面接」を導入しました。
この取り組みでは、VRゴーグルを用いた3D仮想空間で、学歴や性別などにとらわれないフラットな面接を実施しています。
アバター選択やコミュニケーションを通じて新しい評価基準を取り入れ、IT技術への関心が高い学生を採用することを目指しています。
面接は匿名性を重視し、ダイバーシティ&インクルージョンに配慮した形で進行されています。
三菱UFJ信託銀行
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000114.000017626.html
三菱UFJ信託銀行は、メタバースSNS「cluster」を活用し、新卒採用イベントを実施しました。
仮想空間上に3DCGで再現されたオフィスで、会社紹介や人事部とのトークセッション、内定者座談会を開催しました。
今後は、信託博物館など象徴的な施設を仮想空間に再現し、採用活動や社員交流の場としての利用を検討しています。
大阪労働局

大阪労働局は、若年層の就職支援を目的に、日本初となる常設型メタバース空間「バーチャルわかものハローワーク」を開設しました。
アバターを用いて匿名性を保ったまま、就活相談や企業説明会、セミナー動画の視聴が可能な環境を整備し、参加者はパソコンやスマートフォンからアクセスできます。
オープニングイベントでは高い参加率が確認され、企業説明会では「株式会社きんでん」を招いたイベントを実施しました。
若者の就労支援に新たな可能性を示した社会課題解決型の事例として注目されています。
県央ネットやまなし

甲府市を中心に周辺自治体が連携する「県央ネットやまなし」が主催し、メタバース上での大規模就職説明会を開催しました。
110社以上の企業・団体が参加し、仮想空間にブースを設置。求職者はアバターを使って、顔や実名を明かさずに担当者と自由に対話できる仕組みを導入しました。
時間や場所に縛られず、県内外の求職者が気軽に参加できることから、従来の対面説明会よりも参加ハードルが下がり、学生からは「聞きにくい質問がしやすかった」との声が多く、利便性と安心感が評価されています。
IKEA

IKEAは、仮想空間「Roblox」上に新たなバーチャル店舗を開設し、実際に時給13ポンド(約2,600円)で報酬を支払う“バーチャル従業員”を10名採用する取り組みを開始しました。
仮想店内では家具の選定支援や「デジタルミートボール」の提供などを行い、現実の業務体験を再現。応募者にはユニークな設問が含まれる応募プロセスとバーチャル面接が課されます。
Robloxを利用するZ世代(17~24歳)をターゲットに、自社ブランドと職業体験を結びつけることで、リアルな人材採用への関心喚起を図ると同時に、企業文化の認知拡大に貢献しています。
ゲーム感覚の体験を通じ、若年層に向けた革新的な採用アプローチとして注目を集めています。
LPCグループ

LPCグループは、「終わらない就活シミュレーションからの脱出」というメタバース空間を活用した謎解き型の採用イベントを開催しました。
アバターとして参加する学生たちは、ゲームを通じて仲間と協力しながら課題をクリアし、その後、企業紹介や質疑応答を行います。
従来の説明会形式に代わる体験型のコンテンツにより、参加者の関心を引きつけやすく、企業文化や価値観の伝達にも効果的でした。
特に「好奇心」や「協調性」といった人物特性を自然に引き出すことができ、相互理解を深める場として機能しました。
Z世代にマッチした双方向型の採用施策として高評価を得ています。
GMOペパボ会式会社

GMOペパボは、2024年3月7日に『VRChat』上で「メタバース新卒説明会」を開催しました。
学校の体育館をモチーフにした独自の仮想空間「ペパボのワールド」内で、参加者は3Dアバターを使って企業概要の説明や社員トークセッションを行いました。
匿名性と柔軟な時間設定(21時開始)により、参加ハードルを大きく下げ、定員の倍以上の参加者を集めるなど、高い関心を獲得しています。
説明会後には参加者と社員が自由に交流するフリータイムが2時間以上続くなど、メタバースならではのインタラクティブな環境が高く評価されました。
学生の自発的な関与を促す新しい採用体験を実現しています。
江戸川区

江戸川区は、都内自治体として初めて「メタバース区役所」を開設し、その仮想空間内で職員採用説明会を開催しました。
参加者はアバターを使って匿名で参加でき、スマートフォンやパソコンからアクセス可能で、説明会では、区の制度や業務内容の紹介だけでなく、アバター同士の個別相談も行われています。
そこでは、「区の借り上げ住宅制度」など、具体的な福利厚生についても気軽に質問できた点が参加者に好評でした。
採用対象を全国に広げる意図もあり、若年層や地方在住者へのアプローチ強化が期待されています。
USEN-NEXT GROUP

USEN-NEXT GROUPは、「ミュージックフェスワールド feat. USEN-NEXT GROUP」という就活イベント空間を期間限定で開設しました。
イベントでは「就活維新 -RecruiTech® for U.-」の一環として、エントリーシート不要の「スマートPR」や、選考プロセスを求職者が自由に選べる「Free Style セレクション」など、独自の採用施策を展示・体験できる場を提供しました。
スマートフォン1つで参加できる手軽さと、音楽フェス風の演出が融合した記憶に残るイベントとなり、Z世代に向けたブランディング強化に成功しています。
特に「スマートPR選手権」などSNSと連携した施策により、学生の能動的な参加と企業への関心を促進しています。
従来の就職活動に縛られない新しい採用アプローチとして注目を集めました。
千葉県市原市

市原市は、千葉商科大学およびNTT東日本と連携し、市職員採用説明会を2024年5月27日に開催しました。
このメタバース空間は大学ゼミの学生が構築し、職種別に分かれた説明ルームを設け、参加者がアバターを用いて自由に対話できる形式を実現しました。
従来の対面やZoomによる説明会にあった「参加しにくさ」や「一方向的な情報提供」の課題を解決しています。
また、産学官連携による先進的な取り組みとして、地域行政におけるメタバース活用のモデルケースとなっています。
フューチャー株式会社
フューチャー株式会社は、2023年3月より「FUTURE Group リクルートピア」を開設しています。
この仮想空間内では、会社概要やプロジェクト紹介、働き方に関する情報などをスライド形式で閲覧できます。
アバターとニックネームで入場し、社員とチャットで交流する機能も用意されています。
また、「スタンプ収集」や「デジタル背景の特典」などのゲーミフィケーション要素が参加意欲を促進しています。
リアルとバーチャルの融合による新しい就活体験として、フューチャーの企業文化やIT活用力を象徴する場となりました。
IT技術への好奇心と社会変革意識を持つ人材にアプローチする効果的な施策となっています。
|メタバース採用の注意点
メタバース採用は、企業や求職者にとって多くのメリットを提供しますが、同時にいくつかの注意点も存在します。
まず、技術的な障害が発生する可能性があるため、事前準備においてトラブルシューティングのプランを立てることが重要です。
また、参加者のテクノロジーアクセスの格差を考慮し、多くの応募者が参加できるように配慮する必要があるでしょう。
さらに求人募集では、企業の特徴や募集条件、仕事内容などを詳細に伝えることが重要です。
求職者が正しく理解し、適切な判断を行えるようにするためにも、情報提供は丁寧かつ明確に行うと良いでしょう。
|まとめ
メタバース採用は、企業と求職者双方に新たな可能性をもたらす手法です。
企業側は、仮想空間を活用することで、地理的制約を超えて多様な人材と接触でき、採用活動の効率化やコスト削減が期待できます。
一方、求職者は、メタバース上で企業文化や業務内容をリアルに体験でき、ミスマッチのリスクを減少させることが可能です。
企業の特性を活かし、戦略的にメタバース採用を導入することで、より効果的な採用活動が実現できるでしょう。
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