「VR元年」と呼ばれた2016年から今年2024年で8年が経ち、ニュースなどでもVR(Virtual Reality、仮想現実)という言葉を聞くことも多くなりました。

しかし、VRという言葉自体は知っていても

「VRとはそもそもどういう意味なのかわからない」

「VRでできることは何があるの?」

こういった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、VRとはそもそもどういう意味なのか、具体的に何ができるようになるのかをわかりやすく解説します。

簡単な仕組みやビジネスに導入するメリット、始め方や業界別の活用事例まで幅広く紹介しているので、最後までお読みいただければVRに関する疑問をすぐに解決できます。

今後のビジネストレンドになり得るVRについて、今のうちにしっかりと理解して時代に乗り遅れないように知識を蓄えておきましょう!

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|VR(Virtual Reality、仮想現実)とは

VR とは、バーチャルリアリティ(Virtual Reality)の略称で、日本語では「仮想現実」と直訳されるのが一般的です。

専用のVRヘッドセットを装着すれば、インターネット上に構築された仮想世界を360度現実世界と同じような高い没入感をもって体験できます。[1] 

VRと聞くと、最近登場したばかりの言葉のように思えますが、実は意外と歴史が古く、50年ほど前から概念自体は存在していました。

世界で初めてVRのヘッドマウントディスプレイ(HMD)ができたのは1968年です。

その後、2016年に一般消費者向けのVRヘッドセット「Oculus Rift」が発売されたことで認知度が上昇しました。

現在では日本でも認知度が6割を超えており、VTuberやVRゲームなどの他にもビジネスシーンでの導入が目立ち始めています。

ただし、VRの利用率自体は現状で2割弱に留まっており、今後いかにして生活に浸透させるのかが注目されています。

AR(Augumented Reality、拡張現実)との違い

VR(Virtual Reality、仮想現実)とよく間違えられるのがAR(Augmented Reality、拡張現実)です。

ARとは、簡単にいえば現実空間にデジタル情報を付加することにより、現実を「拡張」して認識させる技術のことです。

「ポケモンGO」で遊んだことがある方なら理解しやすいかもしれません。

ポケモンGOでは、マップ上に現れたポケモンの位置にスマホのカメラを向けることで、まるで現実にポケモンが存在するかのような感覚を味わえます。

このように、現実空間にポケモンというデジタル情報を付加することで、人間の認識を拡張させます。

では、VRとARは何が違うのでしょうか?

細かい定義で説明すると複雑になってしまうので割愛しますが、最も大きく違うのは「完全に没入しているかどうか」です。

先述したように、AR体験ではあくまでもユーザーは「現実空間」に存在していると認識しています。

対してVR体験では、ユーザーは完全に「仮想空間」に意識を没入させています。

また、AR体験ではスマホなどがあれば専用デバイスが不要なことが多いですが、VR体験を味わうには基本的に専用のデバイスが必須です。

このように、VRとARは「ユーザーの感じ方」と「専用デバイスの有無」という点で明確に違います。

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MR(Mixed Reality、複合現実)との違い

MRとは、ミックスドリアリティ(Mixed Reality)の略称で、日本語では、「複合現実」と直訳されます。

専用のセンサーやカメラが現実世界を認識し、その認識した世界に合わせてデジタル情報をMRヘッドマウントディスプレイ上に表示させます。

ユーザーは直接表示されている情報を触って操作することが可能です。

ここで少しごちゃごちゃになってきた方も多いと思います。

MRを理解する上で重要なのは、現実空間のオブジェクトをカメラやセンサーなどで精確に読み取り、仮想空間に3Dモデルとして表示するということです。(※この過程をデジタルツイン技術という)

つまり、「現実空間」と「仮想空間」がコンピュータ技術によって「複合」しているのがわかるかと思います。

対してVRは、基本的に現実空間には関与しません。

双方とも専用のヘッドセットを通して体験することは共通していますが、VRは全て仮想空間上の体験になる事に対し、MRは現実世界と仮想空間を融合させた体験になっているという点が異なります。

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XR(Cross Reality、エックスアール)との違い

VR、AR、MRの違いについて理解したところで、さらに最近では「XR」という言葉もよく聞くようになりました。

XR(Cross Reality)とは、特に日本語で直訳に当たる言葉は無く、その言葉通り「エックスアール」か「クロスリアリティ」と呼ぶことが一般的です。

XRを理解する上で重要なのは、あくまでもVR/AR/MRの総称だということです。

最近ではVRゴーグルなどの専用のヘッドセットがかなり高性能になってきたこともあり、一つのヘッドセットでVR体験もAR体験もMR体験もできるようになっています。

そのため、「VRかつARかつMRヘッドセット」といちいち呼称するのも億劫なので、こういったものは一括りに「XRヘッドセット」と総称しています。

ただし、XRヘッドセットであっても単純にVRヘッドセットと表記されることもあります。

この辺りは、メーカーがどの技術を推したいかによっても変化するので、とりあえずXRデバイスと名前のついているものがあれば、VR/AR/MR体験ができるデバイスだと認識しておきましょう。

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SR(Substitutional Reality、代替現実)との違い

SRとは、サブスティチューショナルリアリティ(Substitutional Reality)の略称で、日本語では「代替現実」と訳されます。

現実世界と過去の映像を部分的、もしくは全体的に差し替えを行い、本来実在しない人物や事象がまるで存在しているかのように錯覚させる視覚技術のことを指します。

SRを体験するためには、専用のヘッドセットを装着し、差し替えをしたい過去の映像や音声を用意すれば体験が可能です。

近年では「マトリックス」や「インセプション」などの映画がこのSR技術をテーマにした内容となっていますので、もしかしたらご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

SRとVRの違いは「体験における前提の理解」です。

MRと同様、双方ともヘッドセットが必要だという点においては同じです。

ただ、VRは「これは仮想空間である」ということを理解したうえで体験しますが、SRは「錯覚」ですので、体験する側もこれが現実なのかどうかがわからなくなってしまいます。

ここでは、SRは「体験者を錯覚させる技術だ」ということを覚えておきましょう。その分、もちろん高度な映像や音声技術が必要となります。

SRについては、以下記事でご紹介しています。

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メタバース(Metaverse)との違い

VRとよく間違われるのが「メタバース(Metaverse)」です。

メタバースとは、「超越する」を意味する英単語の「Meta(メタ)」と「宇宙や広大な空間」を意味する「Verse(バース)」を組み合わせた造語です。

日本語では「仮想空間」や「仮想世界」と呼称されるのが一般的になります。

2009年にジェームズ・キャメロン監督の元で制作され大ヒットを記録したSF映画「アバター」をご覧になったことがある方は理解しやすいかもしれません。

本作では、主人公が青色の肌を持つ特殊生命体に自身の意識を移し、惑星パンドラという星で未知の生命体や環境を調査します。

直接的にメタバースは登場しませんが、メタバースのイメージはこれに非常に近いです。

映画アバターでいうと、メタバース、つまり仮想空間は惑星パンドラにあたります。

メタバースでは専用のアバター、つまり仮想空間上での自分の分身を利用して現実空間と変わらないような体験が可能です。

つまり、VRはメタバースでの交流や生活を可能にするための技術の一つということです。

|VRの簡単な仕組み

では、VRはどのような仕組みで没入感を高めているのでしょうか?

ここからは、VRの仕組みについてなるべく簡単に説明していきます。

両眼視差を利用して立体として認識させる

VR映像は「両眼視差」を利用して人間に立体映像として認識させています。

両眼視差とは、人間の両眼が異なる角度から物体を見るため、各眼が異なる画像を捉える現象のことです。

この差異を利用して、脳は一つの立体的な画像を生成します。

VRデバイスはこの原理を模倣し、左右の眼に異なる画像を写すことで立体視を実現しています。

このように、実はVR映像が立体的に見える仕組みというのは至ってシンプルなものです。

専用のセンサーで動きをトラッキング(追跡)している

両眼視差の原理を利用すれば視覚的な没入感を高めることができますが、総合的な没入感を高めるためには視覚だけでは物足りません。

仮想空間内で自分の動きが反映されるように、現実空間の動きを精確にセンサーで捉える必要があります。

この人間の動きを捉える技術が「トラッキング」です。

VRで利用されるトラッキング技術一覧

VRで主に利用されるトラッキング技術は以下の5種類です。

トラッキングの種類特徴
1.ヘッドトラッキングヘッドセット内のセンサーを使用して、頭部の動きを追跡します。
2.アイトラッキング目の動きを追跡し、ユーザーの視線が向いている場所を特定します。
3.ボディトラッキング全身の動きを追跡するために、体に装着されるセンサーやトラッキングスーツを使用します。
4.ハンドトラッキングとジェスチャー認識手と指の動きを追跡し、コントローラーを使わずにジェスチャーで操作が可能にします。
5.コントローラトラッキングVRコントローラーを使用して、手の位置と動きを正確に追跡します。

また、トラッキング方式には「3DoF(スリードフ)」と「6DoF(シックスドフ)」という2種類の形式があります。

(※DoF:Degrees of Freedom、自由度)

3DoFというのは簡単にいうと、上下左右と奥行き(x軸とy軸とz軸)のみをトラッキングする方式のことです。

6DoFというのは、3DoFに加えて「ピッチ(前後の傾き)」と「ヨー(左右の回転)」と「ロール(横転)」を付け加えた方式のことです。

一般的なVR動画などを視聴するだけであれば3DoFでも全く問題ありませんが、アクション性の高いVRゲームなどで遊ぶ時はより没入感の高い6DoFの方が適しています。

3DoFと6DoFは、よくVRデバイスのスペック表に記載されているので、購入の際には3DoFなのか6DoFなのかはかなり重要な要素です。

立体音響でさらに没入感を高める

両眼視差を利用して視覚的な没入感を高め、トラッキング技術を利用して現実空間の動きを精確に再現することで、基本的なVRの仕組みは成り立ちます。

しかし、もう一つのピースが組み合わさることでVRの没入感はさらに高まります。

それが「立体音響」です。(※「スペーシャルオーディオ」や「3Dオーディオ」と呼ばれることもある)

立体音響とは、音があたかも実際の空間内の特定の位置から聞こえてくるかのように聴覚的な錯覚を作り出す技術です。

音源の位置、距離、動きをリアルタイムでシミュレートすることで、ユーザーが仮想環境内での方向感覚や距離感を感じられるようにします。

最新型のゲーミングヘッドフォンなどには立体音響技術が既に多く搭載されています。

そのため、VR体験をさらに向上させるためにはヘッドフォンなどのオーディオ製品にもこだわりたいところです。

|VRをビジネスに活用するメリット3つ

VRは既に多くのビジネスに活用されており、2024年から2032年までの市場の年平均成長率(CAGR)は約28.6%もの驚異的な速度で拡大していく見込みです。

(参考:バーチャルリアリティ(VR)の市場規模、シェア及び業界分析

ではなぜ、これほどまでに驚異的な速度でVRはビジネスに活用されているのでしょうか?

このセクションでは、VRをビジネスに導入するメリットを3つ具体的にご紹介します。

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①ターゲットに効果的にアプローチできる

VRをビジネスに導入する1つ目のメリットは、ターゲット顧客に効率的にアプローチできるという点です。

今まで、ターゲットにアプローチする主な方法は広告やイベントといった手法が主流でしたが、VRを使うことでターゲットを完全に異なる環境や体験に没入させることが可能になります。

この没入感が、商品やサービスに対する深い理解と興味を引き出すのです。

例えば、不動産業界であればVRを通じて顧客が実際に物件を訪れることなく内装や配置をイメージできるため、時間や場所の制約を超えたアプローチが可能になります。

他にも、自動車業界では、新車の試乗をVRで行うことで実際のドライブ感覚を顧客に擬似体験させ、購入意欲を高めることが可能です。

このように、VRはターゲットに対するアプローチ方法を根本から変革し、ビジネスにおける顧客体験の質を大幅に向上させるための強力なツールとなります。

②データに基づいたマーケティング戦略が立案できる

2つ目のメリットは、確かなデータに基づいたデータ志向のマーケティング戦略が実現できるという点です。

昨今のマーケティング戦略というのは、ビッグデータなどに蓄積された膨大なデータを解析し、その結果をもとに戦略を練るのが一般的です。

しかし、VRの導入によりこのプロセスはさらに進化し、より具体的かつ詳細なデータを活用することが可能になります。

VR環境では、ユーザーの動き一つ一つがデータとして収集され、どの部分に興味を示したか、どのような反応を示したかといった情報が正確に記録されます。

そのため、顧客の行動パターンや嗜好をより深く理解することができ、それを元にしたパーソナライズされたマーケティングが実施できるのです。

このように、VRとビッグデータと組み合わせることで、従来のマーケティング手法では捉えきれない顧客の深層心理や微妙な好みまで把握することができ、それに基づいた戦略的なマーケティングアプローチが可能になります。

③若年層を顧客に取り入れられる

3つ目のメリットは、若年層、特にZ世代を顧客層に取り込める点です。

LINE株式会社の運営しているリサーチプラットフォーム「LINEリサーチ」で実施した最新の調査によると、VRを今後利用したいと回答した人は全体で56%となりました。

しかしながら、年代別で見ると10〜20代では7割弱が利用したいと回答しており、若年層はVRに非常に高い関心を持っていることがわかります。

若年層というのはSNSなどの利用頻度が高く、顧客に取り込めれば製品やサービスが一気に拡散される可能性が高いです。

したがって、今まで若年層をターゲットにしづらかった業種、例えば建築業や医療業界にとって、VRをビジネスに取り入れるのは非常に効果的といえるでしょう。

(参考:リサーチノート|LINE株式会社)

|VRがなかなか流行しない理由3つ

このように、非常に多くの魅力的なメリットを持つVRですが、2024年時点ではお世辞にも流行っているとはいえない状況です。

もちろん、以前と比較するとVRという言葉の認知度自体は上昇しましたが、実際にVRを日常的に体験している人はまだまだ少ないです。

ではなぜ、VRは私たちの日常を根本的に変革する可能性を秘めているはずなのに流行らないのでしょうか?

ここでは、VRがなかなか流行しない理由を3つご紹介します。

VRに将来性はある?現状の市場規模から今後の展望を予測!
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①VRゴーグルの価格が高い

本格的なVR体験を楽しむために必要なのが「VRゴーグル」です。しかし、このVRゴーグルの値段は非常に高いです。

参考までに、現在の主流VRゴーグルの公式価格は以下の通りになります。

製品名価格(税込)
Meta Quest 239,600円〜
Meta Quest 374,800円〜
PSVR2(PlayStation VR)74,980円〜
PICO449,000円〜
VIVE Pro 2103,400円
VALVE INDEX VRキット165,980円

(※値段は2024年4月時点のものです)

このように、VRゴーグルの相場は平均で約4万円〜10万円程度になります。

ただし、スマホ装着型などのVRゴーグルであれば1万円以内で購入できるものも多くありますが、本格的なVR体験とは程遠いものです。

また、VRゴーグルはほとんどが海外製であり、円安に歯止めがかからない昨今の日本の為替市場を考慮すると、その値段は今後さらに高くなるかもしれません。

一般庶民にはおいそれと手を出せる金額ではないため、VRゴーグルの価格がもう少し安くならない限り、本格的な流行は難しいでしょう。

②市場では「新技術」という認識

VRのような新しい技術がどれくらい市場に浸透しているかを表す指標として、ガートナー社が提唱する「ハイプサイクルモデル」というものがあります。

少し難しそうな響きですが、非常にシンプルなモデルなので安心してください。

ハイプサイクルモデルでは、新技術が市場にどれほど浸透しているかを以下の5つのフェーズに分類します。

  1. 黎明期

新しい技術が登場し、初期の概念実証が行われ、メディアによる注目が集まりますが、実用製品はまだ存在しない時期

  1. 過度な期待のピーク期

多くの成功例が報じられ、一部の先進的な実装が行われるが、多くの失敗も伴う時期

  1. 幻滅期

初期の試みが失敗に終わることで興味が失われて投資が減少する時期

  1. 啓発期

第二世代、第三世代の製品が市場に出始め、具体的な事例が増えることで理解と実装が進む時期

  1. 生産性の安定期

技術が主流に受け入れられ、市場での実用性とビジネス価値が確立する最終フェーズ

ガートナージャパンの「日本におけるユーザー・エクスペリエンスのハイプ・サイクル:2021年」によると、VR/AR技術は「幻滅期」に入ったことが報告されています。

2024年時点でのVR/AR技術の立ち位置はまだ発表されてはいませんが、大型の予想では「啓発期」に入っているか差し掛かる直前だと予想されています。

一般的に、啓発期から市場に完全に技術が浸透した状態、つまり「生産性の安定期」を迎えるまでの期間は約5〜10年です。

したがって、VR技術が流行るのは早くて2029年頃、遅くとも2030年代前半から中盤頃になるでしょう。

③「フルダイブ型VR」の実現には至っていない

VRと聞いて、恐らく多くの人がイメージするのが「フルダイブ型VR」です。

フルダイブ型VRとは、完全に仮想世界に没入できる高度なバーチャルリアリティ技術のことです。

このタイプのVRは、単に視覚や聴覚に訴えるだけでなく、ユーザーの意識を仮想環境に完全に移行させることができるため、現実の世界と区別がつかないほどリアルな没入体験になります。

先述したSF映画の「アバター」は、このフルダイブ型VRの良い例といえるでしょう。

しかし、フルダイブ型VRの実現はまだまだ先の話です。

脳神経に関する研究は現在でも活発に行われており、日々目覚ましい進歩を遂げてはいますが、完全な神経接続を介して仮想世界に「意識を移動」させる技術は、現在の科学技術ではまだ実現されていません。

ただし、視覚や触覚・聴覚・嗅覚・味覚は既に再現できており、脳とコンピューターを直接接続する技術(ブレイン・コンピューター・インターフェース、BCI)は研究が進められています。

|VRを体験するために必要なもの

ここからは、VRを体験するために必要なものを見ていきましょう。

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VRゴーグル

本格的なVR体験を楽しむためには、VRゴーグルは欠かせません。

ただし、360度動画やVR動画を楽しむだけならスマホやPCなどでも視聴自体は可能です。

しかしながら、実際に仮想世界に没入した感覚を味わうためにも、やはりどうしてもVRゴーグルが欲しくなってきます。

先述したように、VRゴーグルは非常に高価なものが多いですが、種類によってはかなり安価なものも多くリリースされています。

そのため、VRゴーグルを準備する際には、まずVRゴーグルの種類について理解しておきましょう。

VRゴーグルの種類一覧

VRゴーグルの種類は、大まかに分けて「スタンドアロン型」、「PC接続型」、「スマホ接続型」の3種類です。

それぞれの価格帯や特徴については以下の表をご確認ください。

 スタンドアロンPC接続スマホ接続
価格帯約4〜10万円10万円以上1万円未満
主な用途VRゲーム VR動画の視聴 バーチャル会議 などVRゲーム コンテンツ制作 専門シミュレーション など360°動画視聴 簡単な教育用コンテンツ など
対応ゲーム数多い少ない
画質中〜高画質最高画質低〜中画質
対象ユーザー初心者から中級者向け中級者〜上級者向け初心者向け
代表的なVRデバイスMeta Quest 2/3、HTC Vive FocusValve Index、HTC Vive Pro、Oculus Rift SSamsung Gear VR、Google Daydream View

VR体験をまだ経験したことがない方は、スマホ接続型のVRゴーグルで使用感を確かめてみるのもありですが、本格的なものとは程遠い点に注意してください。

PC接続型はかなり上級者向けのものが多いので、やはり最もおすすめなのが持ち運びもしやすいスタンドアロン型のVRゴーグルです。

ただし、スタンドアロン型でも価格は非常に高いので、できれば家電量販店などで使用感を確かめてみてから購入することをおすすめします。

高性能PCまたはゲーム機

PC接続型のVR体験をする場合は、別途高性能PCやゲーム機が必要になってきます。

PCの必要スペックに関しては以下の表をご確認ください。

 最低推奨スペック推奨スペック
プロセッサIntel i5-4590 / AMD Ryzen 5 1500XIntel i7-6700K / AMD Ryzen 7 1800X
グラフィックカードNVIDIA GTX 1060 / AMD Radeon RX 480NVIDIA GTX 1080 Ti / AMD Radeon RX Vega 56
メモリ8GB RAM16GB RAM
ビデオ出力HDMI 1.4 / DisplayPort 1.2 以上HDMI 1.4 / DisplayPort 1.2 以上
USBポート3x USB 3.0ポート3x USB 3.0ポート以上
OSWindows 10Windows 10以上

なお、ゲーム機であればPS4またはPS5、Xboxなどが最もおすすめです。

5Gなどの高速通信環境

VR体験はリアルタイムでの反応が求められるため、通信の遅延(レイテンシー)が少ないことが非常に重要です。

5G通信は低遅延を実現し、ユーザーの動作に対する即時のフィードバックを提供することができます。

これにより、より自然で没入感のあるVR体験が可能になります。

また、VRコンテンツは高解像度のビデオや複雑な3D環境データを含むため、大量のデータ転送が必要です。

そのため、少なくとも下り速度(ダウンロード速度)で5Mbps(メガビット/秒)以上、万全を期すのなら1Gbps(ギガビット/秒)以上の通信速度が必要になってきます。

ただし、一般的な5G通信の下り通信速度は基本的に1Gbpsを大きく超えるので、5G通信エリア内であれば問題ありません。

|【業界別】VRの活用シーン

最後に、VRが主にどのような業界で活用されているのか、具体的な活用事例を通してみていきましょう。

ゲーム・エンタメ業界

ゲーム・エンタメ業界は、最も活発にVRが活用されている業界です。

VRをゲーム・エンタメ領域に活用することで、今までにはなかった新しい形のゲーム体験やイベント体験を創出することができます。

例えば、これまでは画面を視聴してコントローラーを操作するだけでしたが、VRゲームでは実際に自分の腕を振って剣を振るなどといった現実空間での自分の動きに合わせたリアルな体験が可能です。

これによって、より没入感の高いゲーム体験をすることができるようになります。

ジャンルも幅広く、シューティングからアドベンチャー、パズルゲームなど多岐にわたります。

また、過去に発売されたゲームがVR版としてリメイクされているタイトルもあるので、年齢を問わず誰でも自分に合ったゲームを見つけることができるでしょう。

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医療・介護業界

医療・介護業界では、患者および医師を志す人向けにVR技術を上手く活用しています。

例えば、VRを用いたリハビリテーションは、患者が仮想環境内で特定の動作を行うことで、身体的な回復を支援します。

VRはリアルなフィードバックを提供してくれるので、患者のモチベーションを向上させる効果があります。

他にも、認知症の患者の記憶力向上や心理的な安定を図るために使用されることがあります。

患者を過去の記憶が詰まった環境に仮想的に連れて行くことで、感情的なつながりを促進し、認知機能を刺激することが可能です。

医師に関していえば、外科手術のプロセスを仮想環境で再現することにより、医師が現実の手術前に技術を磨いたり、様々な医療状況を安全にシミュレートできるようになり、手術でのミスを少なくする効果が期待できます。

これによって、医療全体の質や効率が向上することは間違いありません。

医療需要はなくなることはありませんから、今後も継続してVR導入にむけた臨床試験が多く行われていくことになるでしょう。

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観光業界

VRは観光業界とも相性が良いです。

例えば、VRゴーグルを装着して、VR空間上に作りあげられた観光地を3D映像を通して体験することで実際に現地にいったような感覚を味わえます。

また、日本政府観光局は、YoutubeチャンネルでVRを活用した外国人向け動画コンテンツ「360°JAPON」を配信しています。

背景には、新型コロナウイルスの影響で旅行に大幅な制限が掛かったことが1つの理由として挙げられるでしょう。

観光業界はコロナ渦で大きなダメージを受けましたが、VR活用という新たなビジネスモデルを創出できたことにより、新しい顧客層にアプローチできるようになりました

それだけではなく、けがや病気、高齢などを理由として遠くに行くことができない人、旅行の下見をしたい人など、幅広いニーズに応えられる可能性をVRは秘めています。

不動産業界

VRは、不動産業界でも活用することが可能です。

近年では、入居希望者がVRゴーグルを装着して行う「VR住宅展示場」や「VR内見」などを多くの不動産業者が既に導入しています。

これらは、実際に物件を訪れなくても部屋の様子や窓からの眺望などを自分の好きな角度で確認することができるので、顧客の満足度を効果的に高められるようになりました

また、写真だけでは伝わりにくい物件の雰囲気を体験することができるほか、移動時間の短縮にもつながります。

こういった取り組みは、移動時間をかけずゆっくりと内見したい、遠隔地に転居を検討しているという一定数あるニーズに応えることができるでしょう。

日本では大和ハウスや東急不動産などで既に導入されていますので、興味がある方はぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

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教育業界

VRは教育の場でも広く利用されています。

VRを用いた授業は既に学校教育の中でも取り入れられており、体験型学習による習熟度・学びの質向上へ大いに寄与しています。

教科書だけでは学べない事柄、準備ができないものや行くことができない場所を体験することができるのは、生徒にとっても嬉しいことですよね。

また、近年では遠隔地からオンラインで授業を受講する生徒も一定数いますので、そういった生徒たちも自宅からリアルな体験により理解度を深めることができるのです。

ただし、VRゴーグルの利用については年齢制限もありますので、理解したうえで活用をしていくのがよいでしょう。

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|VRとは仮想現実のことで2030年頃までには流行る技術

本記事では、VR(Virtual Reality、仮想現実)について、ARなどとの違いや仕組み・メリットを簡単に解説しました。

VR技術の活用の幅は日々広がってきており、多くの調査機関やメディアが今後必ず流行る技術だと予測しています。

しかし、2024年現在ではまだまだ流行っているとは言えない状況であるのも事実です。

だからといって、「VRはオワコンだ!」などと理由もなく決めつけてしまっては、今後の時代についていけなくなる可能性もあります。

本記事でも解説していますが、VR技術が本格的に流行るまでにはまだ5〜10年ほど必要です。

2030年頃になって「VRってそもそも何?」という状態では、ビジネスシーンで笑い者にされてしまうかもしれません。

そうならないためにも、本記事の情報を参考に、VRに対して正しい理解を深めておきましょう。

「メタバース相談室」では、TwitterYouTubeでもVRやメタバースに関する情報を随時発信しています。

役立つ情報が満載なので、ぜひフォロー・チャンネル登録をしていただけますと幸いです。

それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!