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みなさんは、「フォービエイテッドレンダリング」という言葉を知っていますか？
レンダリングとは、コンピュータープログラムを用いて、データを計算し、ユーザーが見やすいように画面表示を行うことを言います。
例えば、WebサイトのHTMLファイルなどを、ユーザーが閲覧できる状態に表示させることです。
フォービエイテッドレンダリングは、画面のレンダリングにおいて、ユーザーの中心視野ほど解像度を高くし、そして視野の外側に行くに従って解像度を落として描画する手法のことで、メタバース利用時の画面描画の技術のひとつです。
本記事では、VRディスプレイの技術に興味関心のある方に向けて、フォービエイテッドレンダリングとはどんな技術なのか、導入のメリットなど解説します。
是非最後までご覧ください。
目次
|フォービエイテッドレンダリングとは
フォービエイテッドレンダリングとは、VR画面に描画をする際、人の中心視野ほど高解像度で、視野の外側に行くにしたがって低解像度で描画する手法のことを言います。
人間の目は垂直方向135°、水平方向160°の範囲を見ることができますが、実際に映像の詳細を認識できる範囲は5°の中心円内部程度であると言われています。
網膜における受容体および神経節密度の減少のために、人間の眼の視力は中心視線方向からの角度距離の増加と共に急速に低下しています。
VRヘッドセットは、このような人間の特徴を生かして、視線の中心部分を高解像度にし、周りをぼかして表現することで、本物の人間の視界のように見せています。
|フォービエイテッドレンダリングのメリット
フォービエイテッドレンダリングを導入することで、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。
以下2つの観点から詳しく説明します。
・ハードウェアへの負担を軽減
・視覚的な没入感が高まる
ハードウェアへの負担を軽減
VRディスプレイへ描画する際に視野全てを高解像度で表現すると、処理の際に不要な負荷が掛かってしまいます。
つまりすべて高解像度のVR映像を体験するためには、ハイスペックなVRヘッドセットが必要になってきます。
そこで、フォービエイテッドレンダリングを導入し、全てを高解像度で表示するのではなく、ユーザーの視点があっている部分だけを高解像度で描画し、そこから外側にむかって解像度を落とすように表示させます。
このように、フォービエイテッドレンダリングが実現できると、ハードウェアへの負担を大幅に軽減できるとともに、全体のグラフィック品質を向上させることができます。
視覚的な没入感が高まる
人間は物体をみるときに、焦点を合わせている部分（はっきりと見えている部分）と、そうではない部分（ぼやけている部分）があり、このような特性からモノを立体的に見ることができます。
VRにおいて、アイトラッキング機能を搭載していないヘッドセットでは、VR空間内の360度全ての映像がはっきりと映ってしまい、視覚的な没入感を感じ難くなってしまいます。
そこで、フォービエイテッドレンダリングを導入し、アイトラッキング技術によって、どこを見ているかを感知することができれば、視線に合わせて高解像度に表示することが可能になり、より視覚的な没入感を高めることができます。
アイトラッキング技術については、以下の記事をご覧ください。
|フォービエイテッドレンダリングの活用事例
ここからは、フォービエイテッドレンダリング技術の活用事例を紹介します。
Google社では、フォービエイテッド・レンダリングを利用した際の映像を圧縮して転送する技術、「FOVEATED COMPRESSION OF DISPLAY STREAMS」を開発していることを2019年1月に発表しています。
この技術では、低解像度と高解像度の映像を描画した後、それぞれを圧縮して転送し、ディスプレイ側で展開して合成するというプロセスで映像を表示させます。
また、低解像度の映像を元に高解像度の部分を解釈することで、効率よく転送できるとされています。
ソニー
ソニー社では、PlayStation 5向けの次世代VRシステム「PlayStation VR2」を開発しています。
片目当たりの解像度は2000×2040ピクセル、フレームレートは90／120Hz。中心視野を高解像度にする代わりに、フォービエイテッド・レンダリングを採用しています。
PSVR2については、下記記事で詳しく解説していますので是非ご覧ください。
|まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、フォービエイテッドレンダリングとはどんな技術なのか、導入のメリットなどを解説しました。
人間の特性を活かしたフォービエイテッドレンダリングといった技術の発展により、VR映像はどんどんリアルな映像になり、没入感あるVR体験をすることができますね。
今後さらに研究が進んでいけば、現実と見分けがつかないクオリティになるかもしれません。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました！
