皆さんはレイトレーシングという技術をご存知でしょうか。
レイトレーシングは、英語では「Ray Tracing」と書くように、光の線を追跡することによって、コンピュータでより現実に近いリアルな映像を描画する技術です。
今回は「レイトレーシング」について、どのような仕組みなのか、どのように活用されているのかなどについてご紹介していきます。
詳しく知りたい方や、活用を考えている方はぜひ最後までご覧ください!
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|レイトレーシングとは
レイトレーシングは、複数あるレンダリングの技法のうちの1つです。
レンダリングとはコンピュータ上でデータ処理を行って画像や映像などを表示させることであり、その中でもレイトレーシングはリアルな映像を描画するための技法になります。
この技法では光の動きをシミュレーションして映像を描画するため、光の反射や屈折、陰影が現実のように再現でき、リアルな映像を実現することができます。
例えばガラスや水面に周囲の物体が映っている様子なども再現でき、これだけでもかなり映像のクオリティが上がりそうですよね!
このような特徴を持つ技法であるため、例えば映画やゲームなどで用いられ、近年では科学技術の進歩により、レイトレーシングがより広く普及してきました。
|レイトレーシングの仕組み
レイトレーシングとはどのような技術なのでしょうか。
ここからは仕組みについてご紹介していきます。
光の追跡シミュレーションの原理
出典:Shade3D Knowledge Base
レイトレーシングの原理は、上の図のようになっています。
視点の位置からスクリーンに向かってレイ(光線)を飛ばし、反射するオブジェクトにぶつかると反射させ、屈折するオブジェクトにぶつかると屈折させます。
この計算を行っていき、反射や屈折しないオブジェクトや背景まで到達したら、そのオブジェクトのマテリアル情報からピクセルの色を決定します。
また、空間内に光源がある場合は、オブジェクトによって光が遮られている影の部分の計算なども行われます。
以上のことをスクリーン上のすべてのピクセルに対して行うことで、レイトレーシングを実現しています。
レイトレーシングの計算処理
先程もお伝えした通り、まずは視点からスクリーンに向けてレイを飛ばします。
そして判別式などを用いることによってレイと物体との交差判定を行います。
最終的に反射や屈折などのない物体や背景にレイが到達した場合、その部分のシェーディング情報を取得してスクリーンのピクセルの色を決定します。
ハードウェアの要件
この技法はスクリーン上の映像について、光を光源までたどって描画するため、GPUにかなり大きな負荷がかかることになります。
GPUに負荷がかかるとパソコンの処理能力が低下してカクついたりすることがあるため、快適にゲームなどを楽しむためには性能の高いGPUが必要になります。
このようにレイトレーシングを利用してゲームを楽しむ場合は一定以上のスペックのグラボが必要であり、以下ではレイトレーシングに対応したグラボをご紹介します。
レイトレーシング対応のGPUとしては主にNVIDIA社の「GeForce RTX」やAMD社の「Radeon RX」などが挙げられます。
また、モニターの解像度によって各パーツの必要なスペックが変わったり、ゲームごとに要求されるスペックが異なったりするので、このあたりも考慮してパソコンを選ぶと良いでしょう。
|レイトレーシングの活用シーン
ここからは、レイトレーシングが活用されているシーンについてご紹介していきます。
ゲーム
リアルなグラフィックを実現できるレイトレーシングは、ゲーム分野で活用されることが多いです。
技法が活用されているゲームの例としては、FortntieやMinecraftなどがあります。
リアルな映像を描画することによってプレイヤーはゲームの世界への没入感が増し、よりゲームプレイの満足度も向上するでしょう。
映画
ゲームだけでなく、映画においても映像のクオリティはとても大切ですよね。
一言で映画と言っても2D映像で構成されるものや実写で撮影されたものなど様々ありますが、特に3Dモデルで構成される映画については映像のレンダリング手法が重要になるでしょう。
レンダリング手法にレイトレーシングを用いて細部までかなり現実に近い表現を実現することで、映像のクオリティが格段に向上します。
これによって映画への没入感も上がり、見た人の満足度も高くなるでしょう。
建築・デザイン業界
レイトレーシングは、建築業界でも利用されています。
例えば建物の内装をデザインする時、ガラスの質感や影のでき方などちょっとした部分が現実空間と異なるだけでも、受ける印象が変わります。
レイトレーシングを活用すればより現実のような見た目にすることができ、思い描いたイメージに近い空間を表現することが可能になります。
|レイトレーシング導入のメリットと課題
ここまで、レイトレーシングの仕組みや活用分野について触れてきました。
ここからは、映像の描画にレイトレーシングを用いるメリットや、課題についてご紹介していきます。
レイトレーシング導入によるメリット
この技法を用いるメリットは既にお伝えしている通り、何といってもリアルな映像に仕上げられるということです。
この技法を活用することによって映像のクオリティはかなり高くなるでしょう。
しかし、レイトレーシングのメリットはそれだけではありません。
この技法を用いると、例えば物体の様子を直接見せるのではなく、窓ガラスに映った様子を見せるなどの演出が可能になります。
このように映像の表現の幅を広げることができるため、より多くのアイデアを実現することが可能になります。
レイトレーシング導入における課題と解決策
レイトレーシングには映像をまるで現実世界のように見せることができるという大きなメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
この技法は光を光源までたどるという仕組みによって、GPUに大きな負荷を与えることになります。
1秒間に描画するフレームの枚数であるフレームレートについても、高いフレームレートで滑らかな映像を描画する場合、その分GPUに負荷がかかることになります。
これにより、レイトレーシングでリアルな映像を描画して没入感を得ようとすると、逆にフレームレートが下がって映像が滑らかにならずカクつく可能性があります。
このような課題を解決するためには、没入感と滑らかさのバランスを考えてレイトレーシングとフレームレートの設定を調整することで解決することができます。
また、どちらも優先したい場合はGPUをはじめとした高いスペックのPC環境を構築すると良いでしょう。
|レイトレーシングの未来
レイトレーシングを導入する際のメリットや課題についてご紹介してきましたが、最後にレイトレーシングの未来について説明していきます。
レイトレーシングの今後の展望
レイトレーシングは今後さらに技術が進化していくと考えられます。
AMD社は2025年の初頭にRadeon RDNA 4 GPUを発売するという計画を発表し、これによってレイトレーシングの性能が大幅に向上すると予想されます。
そしてNVIDIAなどの競合との競争が進めば、さらに技術は進歩していくでしょう。
レイトレーシングを用いたリアルな映像がさらに手軽に楽しめるようになると良いですね。
関連技術との連携
レンダーファームと呼ばれる、複数台のサーバーを接続してクラスターという環境を構築することで、レンダリングをより効率的に進めることができます。
しかし、レンダーファームはサーバーを組み合わせるためのコストや設置するためのスペースが必要となり、個人で環境を構築するのは難しいかもしれません。
そのような場合は、レンダリングをインターネット上のクラウドサーバーで行えるサービスであるクラウドレンダリングを利用してみるのも良いかもしれませんね!
|まとめ
今回はレンダリング技法の中でも、特にリアルな映像の描画が可能であるレイトレーシングについてご紹介してきました!
この技法は主にゲームや映画などで利用されており、まるで現実世界のような映像を実現することで、作品のクオリティを大幅に上げることができます。
この技法はGPUにかなり負荷がかかるため高いスペックのパソコンなどが必要であり、まだ一般に広く普及しているわけではないかもしれません。
しかし、AMD社による新たなレイトレーシングについての発表があり、これによって競合との競争が進み、より手軽に利用することができるようになると良いですね。
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