みなさんは、「ファントムセンス」という言葉をご存知ですか?

ファントムセンスとは、VR体験中に本来感じるはずのない視覚、聴覚以外の五感を感じる現象のことを指します。

例えば、VRゴーグルを装着した状態で料理系の映像を見ていたとき、その料理の匂いを感じたり、料理の感触を感じる体験のことです。

不思議な現象ですよね。

本記事では、ファントムセンスの概要と、実際にどのような現象が起こるのか紹介します。

是非最後までご覧ください。

|ファントムセンスとは?

ファントムセンスとは、VRを体験している最中に、本来感じるはずがない擬似的な感覚や現象のことを指します。

例えば、VR体験中に炎に近づくと暖かく感じたり、逆に氷の近くに行くと涼しく感じるなどの現象です。

これらは、実際に起こっているわけではありませんが、本当に炎や氷がそこに存在していると「錯覚してしまう」人が一定数存在します。

VRでは、視覚、聴覚を体験することができますが、触覚、味覚、嗅覚は体験することができません。

しかし、ファントムセンスではそれら3つを視覚、聴覚から間接的に感じ取ることが可能なケースがあるのです。

|VR感覚とファントムセンスは同じ?

ファントムセンスとVR感覚はよく似た言葉で、同じ意味として使われることも多いのですが、厳密には以下のような違いがあります。

VR感覚 (VR Sense)

現在のVRは基本的に視聴覚の体験しか物理的には再現しないが、ユーザーがそれ以外の様々な感覚を擬似的に感じる現象全般のこと。「VR」(バーチャルリアリティ) に着目した表現で、ソーシャルVRユーザーが使い始めた言葉。

ファントムセンス (Phantom Sense)

幻肢に着目した表現。厳密にはVRだけのことではなく、欠損部位やVRアバターなど、物理的には存在しない (=”幻の”) 身体部位「幻肢」(Phantom Limb) の感覚を感じる現象全般のことを指す。欠損部位の痛みを感じる「幻肢痛」(Phantom Pain) などから来た言葉。

引用元:VR感覚(ファントムセンス)とは何か? その定義と原理について

https://note.com/nemchan_nel/n/n0103013c4d56#OOMvo

|VR感覚やファントムセンスにはどんな感覚がある?

VR感覚やファントムセンスは、どんな感覚を体感することができるのでしょうか。

ファントムセンスには、落下感や温度感覚、風圧や触覚、痛み、臭覚、味覚、非実在感覚など様々な種類があると言われています。

感触では、硬さ、柔らかさを感じるケースがあり、「アバターの頭を撫でられている感覚」や、「ほっぺたを触ると柔らかさを感じる」などがあります。

また、温度感覚では、暖かい、冷たいなど触覚とともに感じることが多くみられます。

さらに、味覚ではVR空間でアバターの口に食べ物のオブジェクトを近づけると味を感じ取れる人がいます。

なかには、実際に現実世界で食べているものとVR空間で食べているものが異なる場合、味の感じ方に変化がある人もいるそうです。

例えば、現実世界ではコーヒーを飲んで、仮想世界では牛乳を飲んだ場合に、コーヒー牛乳の味として錯覚するなどです。

また、国勢調査の結果で、現象によっては半数以上が「ファントムセンスを感じる」と答えた結果が出ています。

|VR現象やファントムセンスに似た現象

実は、VR現象やファントムセンスに似た現象というのも存在していますので紹介します。

条件反射

ファントムセンスに似た現象のひとつに、条件反射があります。

条件反射とは、刺激を受けた感覚とは違う感覚が作用することを指します。

例えば、レモンの写真をみたときに唾液がじわっと出てくることはありませんか?私たち人間の身体は、酸っぱいものを食べると舌が酸味を感知し、唾液の分泌が活発になります。

これを脳が記憶しているため、レモンの写真を見ただけで唾液が出るのです。

幻肢痛

2つめは、幻肢痛です。

幻肢痛とは、手腕や足の切断後に失ったはずの手足が存在(幻肢)するように感じられ、その幻肢が痛いという不思議な現象で、ファントムペインとも呼ばれています。

本来人間には生えていないはずの第3の手や足が生えているように感じて痛みを伴うのです。

この現象は、年齢が高いと起こりやすいといわれています。

クロスモーダル現象

3つめは、クロスモーダル現象です。

クロスモーダル現象とは、視覚と聴覚、嗅覚と味覚など、本来別々とされる異なる感覚が互いに影響を及ぼしあう現象のことを指します。

実は、かき氷のシロップが本当は全部同じ味なのに、色によって味が違うように感じるのは、クロスモーダル現象なのです。

共感覚

4つめは、共感覚です。

共感覚とは、あるひとつの刺激に対して通常の感覚に加えて異なる種類の感覚も自動的に生じる現象のことを指し、シナスタジアと呼ばれることもあります。

文字や音に「色」を感じたり、言葉に「味」を感じるなど、まったく異なる感覚が生じることがあります。

これらの現象は、モーツァルトや宮沢賢治などが所持していると言われています。

|まとめ

いかがでしたでしょうか。

本記事では、ファントムセンスの概要と、実際にどのような現象が起こるのかをわかりやすく解説しました。

今は錯覚として間接的に感じているだけですが、もし、VRゴーグルをかけるだけで、人間の五感すべてを感じることができるなら、VRの世界には信じられない未来が待っていると期待に胸が膨らみますね!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!