カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、顧客が商品やサービスを利用する際に得る体験価値のことです。

近年、企業がCXの向上を重視する理由は、良質な体験を提供することで顧客満足度やリピート率の向上につながるからです。

本記事では、実際に成功した企業の事例を紹介しながら、CXを向上させるための具体的なポイントを解説します。

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|カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?

カスタマーエクスペリエンス(CX)は、顧客が企業やブランドと接触するすべての段階で感じる総合的な体験を指します。

これには、商品やサービスの認知、購入、利用、アフターサービスなどが含まれます。

CXは、単に製品やサービスの品質だけでなく、顧客が企業と接する際に感じる印象、感情、行動などを含む包括的な概念です。

顧客体験は、顧客満足度、ロイヤルティ、ブランド価値に直接影響を与える重要な要素で、サービスを提供する団体であれば意識すべきことと言えます。

|カスタマーエクスペリエンス(CX)が注目される理由

カスタマーエクスペリエンス(CX)が注目される理由は、消費者の購買行動や価値観の変化と、企業間競争の激化にあります。

かつては価格や機能が重視されていた時代もありましたが、現在では「どれだけ良い体験が提供されるか」が選ばれる企業の基準になりつつあります。

その背景には、情報社会の発展があります。

インターネットやSNSの普及により、顧客は商品やサービスの情報を簡単に比較・共有できるようになりました。

つまり、一度でも悪い体験をした顧客は、その感情を瞬時に多くの人へ拡散できるのです。

企業にとっては、一人ひとりの顧客との接点すべてがブランド評価に直結する時代になったと言えるでしょう。

さらに、米調査会社ガートナーによると、2025年までに80%以上の企業が、価格や製品ではなくCXで競争するようになると予測されています。

これはCXの良し悪しが、企業の成長や生存を左右するほど重要な戦略要素であることを示しています。

このように、CXは単なるマーケティングの一環ではなく、全社的に取り組むべき重要なテーマとして注目されています。

|カスタマーエクスペリエンス(CX)の成功事例

ここでは、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上に成功した代表的な企業を紹介します。

スターバックス

出典:https://about.starbucks.com/press/2024/back-to-starbucks/

​スターバックスは、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上を目指し、CEOのブライアン・ニコル氏の下で「Back to Starbucks」戦略を推進しています。 ​

この取り組みでは、メニューアイテムを30%削減し、モバイル注文の待ち時間を4分以内に短縮する新たなアルゴリズムを導入するなど、店舗運営の効率化を図っています。

​また、セルフサービスの調味料バーや陶器製マグカップの再導入、バリスタによる手書きのメッセージを添えるサービスなど、顧客とのパーソナルな接点を強化しています。 ​

これらの施策により、2024年第4四半期の世界同店売上高は前年同期比4%減と依然減少傾向にあるものの、アナリスト予想の5.3%減を上回る結果となりました。

​これらの取り組みは、スターバックスが顧客体験の質を高め、ブランドロイヤリティの向上を目指す戦略の一環として評価されています。

丸亀製麺

出典:丸亀製麺リリース

丸亀製麺は、「感動体験No.1」というビジョンのもと、すべての店舗で粉からうどんを手作りし、職人の技術を活かした「打ち立て・生」の提供にこだわっています。

さらに、データ分析を活用したマーケティング戦略を推進し、顧客の感動体験を創造する取り組みを強化しています。

これらの施策により、2022年6月にインターブランドジャパンが発表した「顧客体験価値(CX)ランキング2022」では、3位のANA、2位の星野リゾートを抑え、1位に輝きました。

また、同社のマーケティング戦略により、NPS(ネット・プロモーター・スコア)は3年間で400%向上する成果を上げています。

これらの取り組みは、丸亀製麺が顧客体験の質を高め、ブランドロイヤリティの向上を目指す戦略の一環として評価されています。

パナソニック

出典:https://www.contentserv.com/ja/blog/panasonic-connect-challenge-for-customer-centric-marketing

​パナソニックは、CX管理ソリューションを導入しています。

この取り組みでは、顧客の行動データや購入履歴、問い合わせ内容などを包括的に管理し、ユーザー視点でのマーケティング戦略立案に活用しています。

具体的には、SNSや問い合わせ窓口、アンケートなど、さまざまなチャネルを通じて顧客の声をリアルタイムで収集し、商品企画からデザイン、プロモーション、カスタマーサクセスに至るまで、一貫してユーザー目線を重視しています。

これにより、顧客が感じる使いづらさや期待を詳細に可視化し、製品やサービスの改善に反映しています。

このような顧客起点のアプローチを徹底することで、パナソニックは企業と顧客との距離を効果的に縮め、ブランドへの信頼とロイヤリティの向上に成功しています。

ニトリ

出典:https://youtu.be/cdBBxMUQ9UQ?si=2cVfgoiUs7U1MLaX

​ニトリは、TVCMとデジタル施策を組み合わせた戦略を展開しています。

具体的には、TVCMでブランドの統一感を訴求し、オンラインストアを活用して顧客が手軽に商品を購入できる環境を整備しています。

これにより、顧客はニトリの商品を選ぶだけで統一感のある部屋作りが可能となり、リピート購買を促進しています。

この戦略は、約25万~50万人の顧客層に訴求できたと推定されています。

トヨタ自動車

出典:https://toyota.jp/madoguchi/diagnosis/

​トヨタ自動車は、トヨタ・コニック・プロが提供する「ぴったりクルマ診断」は、4つの質問に答えるだけで、ユーザーのライフスタイルに適した車種を提案するサービスを提供しています。

これにより、顧客は自分に最適な車を簡単に見つけることができ、購入プロセスの効率化と満足度の向上が図られています。

さらに、トヨタはデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、オンラインとオフラインを融合させた新たな購買体験の提供に努めています。

具体的な成果として、これらの取り組みにより、顧客満足度の向上や販売効率の改善が期待されています。

Zappos

出典:https://www.zappos.com/c/about

​Zapposは、顧客満足度を高めるための独自の取り組みを行っています。

具体的には、365日間の返品ポリシー、迅速な無料配送、24時間年中無休のカスタマーサービスなど、顧客中心のサービスを提供しています。

さらに、Zapposは10のコアバリューを掲げ、従業員が自らの判断で顧客対応を行える環境を整備しています。

これにより、マニュアルに縛られない柔軟な対応が可能となり、顧客に「ワオ!」という驚きの体験を提供しています。

これらの取り組みにより、Zapposは創業から10年で年商10億ドル(約1000億円)を超える成長を遂げ、2009年にはAmazonに12億ドル(約1300億円)で買収されるなど、顧客満足度の向上が企業の成功に直結した好例といえます。

デルタ航空

出典:https://www.sap.com/japan/assetdetail/2024/06/9e9d971e-c17e-0010-bca6-c68f7e60039b.html

デルタ航空は、CXの向上を目指すために、まずは、従業員エクスペリエンス(EX)の改善に注力しています。

従業員のプロファイルや学習機会を一元化したインテリジェントプラットフォームを導入し、個々のキャリア開発を支援しています。

この取り組みにより、従業員の満足度が向上し、その結果、顧客満足度の向上にも寄与しています。

実際、デルタ航空はForbesの「世界最高の雇用主」ランキングで6位にランクインし、定時到着率と信頼性の高いブランドとしても業界トップの評価を受けています。

オリエンタルランド

出典:https://www.olc.co.jp/ja/company/message.html

オリエンタルランドは、「夢・感動・喜び・やすらぎ」を企業理念に掲げ、訪れるゲストに一貫したエンターテインメント体験を提供することを目指しています。

具体的な施策として、アトラクションやショーの質の向上、スタッフのホスピタリティ教育、パーク内外の施設整備など、総合的なサービス向上に取り組んでいます。​

これらの取り組みにより、東京ディズニーリゾートは国内外で高い評価を受け、多くのリピーターを獲得しています。

また、デジタルマーケティングの活用や顧客関係管理(CRM)戦略を通じて、ゲストの満足度向上とブランドロイヤルティの強化を図っています。

|カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させるポイント

カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させるためには、企業全体での戦略的な取り組みが欠かせません。

ここでは、特に効果的とされる4つのポイントを紹介します。

1. 顧客視点でのジャーニーマップの作成

CXを改善する第一歩は、顧客がどのような経路で商品やサービスに接触し、どのような感情を抱くかを可視化することです。

顧客ジャーニーマップを用いて、接点ごとの課題や改善点を明確にすることで、より精度の高い施策が打てます。

2. 社内全体でのCX意識の共有

CXはマーケティング部門だけの責任ではありません。営業、カスタマーサポート、開発、バックオフィスまで、すべての部署がCXに関与しています。

定期的な研修や成功事例の共有などを通じて、全社員がCXを意識した行動を取れるようにすることが重要です。

3. デジタル技術の活用

AIチャットボットやCRM(顧客関係管理)システムを活用することで、顧客ごとに最適な対応が可能になります。

例えば、顧客の過去の購入履歴や問い合わせ内容をもとにしたパーソナライズ対応により、満足度を大きく向上させることができます。

4. 顧客の声を活用した改善サイクルの構築

顧客アンケートやSNSの投稿、レビューサイトなどから得られるフィードバックは、CX改善の宝庫です。

これらの声を定期的に分析し、素早く改善施策に反映させることで、顧客との信頼関係を深めることができます。

これらのポイントを押さえ、継続的にCXを見直すことで、企業は長期的な顧客ロイヤルティと収益向上を実現できるのです。

|まとめ

カスタマーエクスペリエンス(CX)は、顧客が企業やブランドと接触するすべての段階で感じる総合的な体験を指し、顧客満足度やロイヤルティに直接影響を与える重要な要素です。

近年、消費者行動の変化やデジタル技術の進化により、CXが企業の成長に寄与することが注目されています。

本記事では、CXの基本概念から注目される背景、具体的な成功事例、そして向上させるための実践ポイントまでを紹介しました。

今後は、CXの差が企業の競争力を左右する時代がますます進むと予測されます。

自社のCXを見直し、顧客に選ばれるブランドになるための第一歩として、今回紹介したポイントをぜひ活用してみてください。

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