Metaが新たに世に送り出した最新のヘッドマウントディスプレイ(HMD)、それが「Meta Quest Pro」です。
しかしMetaのHMDといえば、「Meta Quest 2」がすでにリリースされています。
では、Meta Quest ProはMeta Quest 2の後継機なのでしょか?それとも、全く異なるデバイス?
今回はそのMeta Quest Proの機能や概要、使い方などを紹介しながら、Meta Quest Proが目指してしている世界を探っていきます。
Meta Quest Proについて気になっている人、Meta Quest 2とどちらを買うか悩んでいる人は見逃せない情報ばかりです。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|Meta Quest Proとは?
Meta(旧Facebook)が2022年10月26日に発売したばかりの最先端のヘッドセット、それがMeta Quest Proです。
驚くのがその値段で、なんと226,800円。
Meta Quest 2が59,400円ですから、その差はおよそ四倍ほどにもなります。
これだけ値段が違うことから明らかなように、Meta Quest ProはMeta Quest 2と全く異なる思想でデザインされており、性能も大きく異なります。
- Meta Quest 2:VRヘッドセット
- Meta Quest Pro:XRヘッドセット
Meta Quest 2はVRコンテンツを楽しめるヘッドセットですが、Meta Quest ProはVRにとどまらず、AR(拡張現実)コンテンツやMR(複合現実)にも対応する、XRヘッドセットなのです。
簡単に言うとMeta Quest Proは「仮想空間と現実空間が融合した世界」を体験できる、全く新しいデバイスなのです。
|Meta Quest Proの基本スペック
ではMeta Quest Proスペックから、その特徴を調べていきましょう。
<Meta Quest Proの基本スペック(一部)>
- SoC:Snapdragon XR2+ Gen1
- RAM:12GB
- 解像度(片目):1832×1920(両目3664×1920)
- リフレッシュレート:90Hz
- レンズ:パンケーキ型
- IPD調整:ハードウェア無段階 55mm~75mm
- 視野角:水平106度/垂直96度
- 外部パススルー:カラー
- バッテリー持続時間:1~2時間(充電約2時間)
- ストレージ:256GB
- 重量:722g
Meta Quest ProはMeta Quest 2と同じく、単独で稼働できるスタンドアローン型HMDですが、搭載されているSoCはQuest 2と比較して50%ほど高性能なものになっています。
RAMも6GBから倍増されていますので、性能が大きく引き上げられていることが分かります。
さらにMeta Quest Proで目を引くのが、カラーパススルー機能を搭載していること。これにより、現実の風景と仮想空間を融合させるMR(複合現実)体験が可能となります。
|Meta Quest Proの外観
Meta Quest Proの外観は黒一色で、Meta Quest 2と比較すると正面部分がスリムになっているのがよく分かります。
これはパンケーキ型のレンズを採用しているのが大きな効果をもたらしていると考えられます。
バッテリーが後頭部のほうに配置されているため重量バランスが良く、722gという重さをあまり感じさせません。
さらに顔の下と左右部分は完全に塞がれておらず、スペースが空いています。こうした設計によっても周囲の状況を確認しながら、VR/AR映像を視認できるわけです。
付属の遮光ブロッカーを装着すれば、VR映像により没頭することもできるので、その点もご心配なく。
Meta Quest Proには標準で充電ドッグが用意されています。
充電ドッグにMeta Quest Pro本体とコントローラーをセットした状態も非常にスッキリしているので、毎日使用するのにも邪魔になりません。
|Meta Quest Proの各種機能もチェック
ではここからは基本スペックも踏まえなが、さらにMeta Quest Proの各種機能をチェックしていきましょう。
レンズや焦点調整機能:メガネユーザーでも使える。没入感も向上
Meta Quest Proの解像度は片目1832×1920、両目3664×1920ドットで、実はMeta Quest 2と変わりありません。
しかしよりハイレベルな光学技術を採用することによって、Quest 2と比較して1インチあたりの画素数は137%、1度あたりの画素数も110%向上しており、より鮮やかで美しい色彩の映像を表示できるようになりました。
特にその恩恵はテキストの読み取り時に顕著で、Meta Quest Proでは細かな字もはっきりと識別できるようになっています。
また両目レンズの左右感距離(IPD)も55m~75mm間で無段階に調整できるため、より多くのユーザーが自分にピッタリの視野を確保できるようになっています。
さらに目の周りにスペースがある設計のおかげで、メガネをかけながらでも全く問題なく使用することができます。
フェイスクッションやヘッドストラップ:着脱が簡単。撥水性もあり
Meta Quest ProにはMeta Quest 2のような頭頂部を支えるストラップはなく、代わりに額当てと後頭部の二か所で支える仕組みになっています。
一見すると不安定そうですが、クッションがかなり大きくてさわり心地もよく、しっかり頭部にフィットします。また撥水性もあるので、汗をかいても簡単に拭き取れます。
顔を完全に覆わないデザインであるために着脱も簡単で、装着時に顔の周りが蒸れたりすることもありません。
Meta Quest Proを実際にかぶってみると、各部分がしっかり作り込まれていることがよく分かります。この辺はさすがに高級品といった感じですね。
オーディオ機能:VR HMD本体にステレオスピーカーを設置
Meta Quest Pro本体にはステレオスピーカーがヘッドストラップの左右それぞれに設置されており、しっかりとしたステレオサウンドを楽しめます。
ボリュームは本体右側のボタンで調整可能。ソフトウェアではなく、ハードウェアで調整できるのはMeta Quest ProのようなHMDでは重要なポイントです。
加えてヘッドストラップの付け根部分に3.5mmイヤホンジャックも用意されており、純正アクセサリのMeta Quest Pro VR Earphonesを利用することもできます。
左右分離タイプなので、HMD装着時にもイヤホンコードが邪魔になることはありません。
そしてこのイヤホンはEarphonesだけでなく、Meta Questに対応する「final VR1000」などのイヤホンも利用可能。ぜひ、自分好みのイヤホンを探してみてください。
専用コントローラー:コントローラーにもカメラを搭載。死角がない
Meta Quest Proの専用コントローラーである、Meta Quest Touch ProコントローラーにはQuest 2などでもおなじみのリング状のパーツ(トラッキング用センサー)がありません。
これはコントローラー自体にカメラが搭載されていていて、コントローラー単独でトラッキングが可能だからです。
そのため、Meta Quest 2では両手を背中に回すとロストしていたトラッキングが、Meta Quest Proで失われることもありません。
コントローラー自体の精度と反応もとても良く、トラッキング用のリングも廃されているため非常にスッキリとしていてとても使いやすい。
Meta Quest Touch Proコントローラーは単独でも販売されており、実はMeta Quest 2でも利用可能です。
37,180円と決して安価ではありませんが、使ってみると十分にその価値はあると感じるでしょう。
トラッキング:VRカメラから見えない場所でもトラッキングが可能
HMDのトラッキングには、大きく分けて次の2つの方式が存在します。
- アウトサイドイン:外部に設置した端末でHMDの位置をを測定する
- インサイドアウト:HMD自体に設置しているカメラで位置を測定する
Meta Quest Proのトラッキングは、インサイドアウト方式。
HMD本体正面四ヶ所に魚眼型のセンサーカメラが設置されており、これでほぼ360度の空間をカバーしています。
単独でトラッキングするスタンドアローン型であるため、外部にセンサーを設置する手間もかかりませんし、部屋の中をある程度自由に動き回ることも可能です。
トラッキングの精度的にはアウトサイドイン方式が優れていると言われていますが、Meta Quest Proはカメラとセンサーが優れているため、トラッキングも非常に正確。
全方向追跡可能な6DoFトラッキングに対応しているため、ユーザーの動きをしっかりと追跡してくれます。
|Meta Quest Proの初期設定方法は?
ではここからは、Meta Quest Proの初期設定方式を説明します。
HMD本体で完結するスタンドアローン式であるため、Meta Quest Proの初期設定は難しいことはほとんどありません。
セットアップにはスマホが必要
Meta Quest Proのセットアップには、スマホを利用します。
ほとんど問題とはならないでしょうが、下で紹介するセットアップ用のMeta Questアプリ(Oculusアプリ)を利用するには、スマホのOSが対応していなければなりません。
- Apple iOS 12.4以降
- Android 5.0以降
念のため、ご注意ください。
Metaアプリをインストールする
自分のスマホが対応していることを確認したら、下記リンクからMeta Questアプリ(Oculusアプリ)をインストールしてください。
- Android
- iOS
アプリが無事にインストールできたら、ログインへと進みましょう。
Metaアプリにログイン
Meta Questアプリへのログインは、以下の2種類の方法があります。
- Facebookアカウントを利用(連携)する
- 新たにMetaアカウントを作成する
Facebookアカウントを持っているなら、そのアカウントでログインするのが一番簡単です。
Meta Quest 2の場合、実名登録が基本であるFacebookアカウントと紐づけることにユーザーからの大きな反発がありました。
しかしMeta Quest ProではFacebookアカウントでログインしても、連携させるかどうかは自分で決めることができます。
Facebookアカウントを持っていない場合は、新たにMetaアカウントを作成してください。
(※ログイン方法は2022年12月現在のものであり、今後変更される可能性もあります)
Meta Quest Proの電源を入れる
Meta Questアプリにログインできたら、本体フレーム左側にある電源ボタンを長押して電源を入れてください。
電源ボタンの位置は、USB Type-Cポートがある位置から少し後ろにあるフレーム下側。2秒ほど長押ししてください。
Meta Quest Proを装着して案内に従って設定を行う
電源を入れてMeta Quest Proを装着するとディスプレイが表示され、VRシステムが立ち上がります。
最初に、Meta Questアプリが入っているスマホと同じWi-Fiに接続してください。
その後、ヘッドストラップの固定や前後位置調整、IPDの調整について説明が流れるので、それにしたがって各種調整を行いましょう。
- ヘッドセットの調整:ヘッドセットを装着後、後部調整ダイヤルを回して自分の頭部にフィットするように調整します。
- IPD(両目間の距離)の調整:ヘッドセットの上部にあるチルトホイールを回して、自分の目の位置に合うように調整しましょう。
これらの調整は後からでもできますが、その後の設定を楽にするためにも、自分にピッタリ合うようしっかり調整しておきましょう。
ソフトウェアアップデートを行う
本体の調整が終わったら、一度取り外してソフトウェア・アップデートを行います。
アップデートは自動的に始まりますので、案内に従ってMeta Quest Pro本体を充電ドックに置いてアップデート終了を待ちましょう。
アップデートが終了すると、通知音で知らせてくれます。
スマホでMetaアプリを開いてペアリングを行う
アップデート終了後、Meta Quest Pro本体とアプリのペアリングを行います。
Meta Questアプリを開いてデバイスを選ぶと、アプリが自動的にMeta Quest Proを検索します。
HMD本体に5桁のペアリングコードが表示されますので、Meta Questアプリにそのコードを入力してください。
再度Meta Quest Proを装着して各種設定を行う
Meta QuestアプリとHMD本体のペアリングが終了したら、再度Meta Quest Proを装着して各種設定を行います。
- 高さ設定:コントローラーを床に置いて、地面の高さを設定します。
- プレイエリアの設定:コントローラーのトリガーを引きながら、プレイエリアの境界線を設定します。境界線については後ほど設定メニューからも細かく設定が可能です。
- 正面の設定:自分の正面位置を設定します。正面を向きながらコントローラーのHomeボタンを長押しすると、その位置が正面として設定されます。
- ホームエクスペリエンスの設定:Meta Quest 2のようにVR環境下に没頭する「完全没入」か、カラーパススルー画像を用いたMR環境下の「複合現実」かを選択します。これは後からいつでも変更可能です。
これらの設定はMeta Quest Proに表示される説明をもとに行えますので、指示通りに設定を完了させてください。
|Meta Quest ProはMeta Quest 2の後継ではない!新しいものを生み出すデバイス
ここまで主にMeta Quest 2と比較しながら、Meta Quest Proの特徴や機能を紹介してきましたが、Meta Quest ProはMetaのザッカーバーグCEO自身が強調しているように、Quest 2の後継機ではありません。
価格の違いからも明らかなように、Meta Quest ProはQuest 2の単なる上位互換機ではなく、全く新しいコンセプトで作られたデバイスなのです。
ゲームがメインのMeta Quest 2に対し、Meta Quest Proが想定しているのは主にビジネス目的。メタバースを始めとした、新しい働き方を支援するツールと捉えるべきでしょう。
と同時に、Meta Quest Proは新しいものを生み出すデバイスということもできます。
というのもVRだけではなく、ARコンテンツも表示できるデバイスの存在は貴重であり、ここから様々な新しいアイディア、サービスが生み出される可能性が非常に高いからです。
|Meta Quest Proのまとめ
Meta Quest Proはその値段や性能からも明らかなように、一般ユーザーを対象にしたMeta Quest 2とは一線を画する、ビジネス向け、または開発者向けのXRヘッドセットです。
現実世界と仮想空間を融合させるMRテクノロジーは、メタバースを中心としてこれからのビジネスやエンターテイメントのあり方を大きく変えうる可能性を秘めています。
一般ユーザーがVRゲームやコンテンツを楽しむだけなら、Meta Quest 2で十分ですし、Metaも引き続きMeta Quest 2、そしてその後継機開発に力を入れていくとしています。
しかしその一方でMeta Quest Proは、これまでとは異なる全く新しいサービスを生み出せるデバイスとして注目されているのです。