近年注目を集めている「NFT」をご存知でしょうか。
高額なアートやオンラインゲームで何かと話題となっていますが、なぜNFTがこれほど注目されているのか疑問に思う方も多いでしょう。
本記事では、そんなNFTに対する疑問を解消するため、NFTの特徴や、具体的な活用事例などをわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
| NFTとは?簡単に解説
NFTとは、Non-Fungible Token(ノン-ファンジブル トークン)の略称で、日本語では「非代替性トークン」と直訳されます。
非代替性とは「替わりがきかない」「唯一無二」を意味し、トークンはブロックチェーン技術で管理する暗号資産の総称です。
NFTをものすごく簡単にいうと、「データに証明書を付与することができる技術」です。
このままでは抽象的すぎて理解できないかもしれません。
例えば、あなたがiPhoneやiPadなどで描いた絵(画像)や撮影した写真をインターネット上で売りたいとしましょう。
しかし、デジタルデータは簡単にコピーできるため、誰が本物の所有者かを証明するのが難しいです。
ここでNFTが役立ちます。
作成した画像や写真にNFTを割り当てると、そのアート作品の「証明書」として機能します。
この証明書(NFT)には、作品の作者、現在の所有者、作品が売買された歴史など、独特の情報が含まれています。
そして、この情報はブロックチェーン上で公開され、誰でも確認可能です。
したがって、もし誰かがその画像や写真を購入した場合、所有権の証明書(NFT)は売り手から買い手に移ります。
お気付きかもしれませんが、これは私たちが日常で行っている「買い物」となんら変わりありません。
つまり、NFTとはデジタルデータに商品価値を持たせることができる技術、と言い換えることも可能です。
NFTが注目を集めている理由
最近ではネット広告やYouTube動画などでも、NFTに関するコンテンツが非常に多くなってきました。
なぜここまでNFTは注目を集めているのでしょうか。
原因はいくつかありますが、最も大きな要因は主に以下の3つです。
①暗号資産(仮想通貨)が普及した
暗号資産(仮想通貨)が普及したことは、NFTが注目を受ける大きな理由の一つです。
ここで言う「暗号資産」とは、ビットコインやイーサリアムのような、インターネット上で使われるデジタルの「お金」のことを指します。
NFTはこの暗号資産の技術を基盤としています。
つまり、NFTを購入する際には、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を使って支払う必要があるのです。
暗号資産が普及したおかげで、人々はNFTを簡単に、そして国境を越えて取引できるようになり、結果としてNFT市場全体が後押しされています。
②クリエイターの参入障壁を下げられる
NFTは、アーティストやクリエイターの参入障壁を下げる効果も期待できます。
従来、アーティストやクリエイターが自分の作品を売るためには、ギャラリーと契約したり、出版社を通じて作品を出版したりする必要がありました。
しかし、NFT技術の登場により、クリエイターは自分の作品を直接オンライン上で販売できるようになりました。
これは非常に革命的で、ギャラリーや出版社に支払っていた手数料なども浮かせることができるため、収入面においても良い効果を与えています。
事実、NFT技術が浸透してきた2010年代後半からは、インターネット上で自身の作品を売買するアーティストは爆発的に増えており、今後もこの傾向は続くことが予想されます。
③海外のNFTマーケットプレイスが活況になってきている
海外のNFTマーケットプレイスが成長してきているのも、NFTが注目された要因の一つです。
OpenSea、Rarible、Foundationなど誰でも利用できるマーケットプレイスの数は年々増えてきています。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、2020年度の世界のNFT取引額は8250万ドルでしたが、翌年2022年には176.9億ドル(前年度比215倍)にもなったそうです。
これらの要素が相まって、NFT市場は急速に拡大しています。
NFTと暗号資産(仮想通貨)の違い
NFTの関連用語には、あまり知識のない初心者の方にとっては違いがよくわからないものも多いです。
特に、NFTと暗号資産(仮想通貨)はよく混同されがちなので、ここで違いを明確にしておきましょう。
まず、暗号資産(仮想通貨)とは、「代替可能」なデジタル資産のことを指します。
例えば、ビットコインやイーサリアムが暗号資産(仮想通貨)にあたります。
通常の通貨と同様の価値を持ち、100円玉がどれも同じ価値を持つように、仮想通貨の1単位は他の同じ単位と全く同じ価値です。
そのため、決済手段や資産の保存手段として利用できます。
一方、NFT(非代替性トークン)は「代替可能」なデジタル資産です。
例えば、あるデジタルアートのNFTは、他のどんなアート作品のNFTとも交換することができません。
これは、絵画や収集品がそれぞれ独自の価値を持つのと似ています。
このように、NFTと暗号資産(仮想通貨)は代替可能かそうでないか、という点で明確に異なります。
【まとめ】NFTと暗号資産(仮想通貨)の違い
NFT:デジタル世界の「一点もの」の証明。各NFTは唯一無二であり、他のものと交換することができない。
暗号資産(仮想通貨):お金のように使えるデジタル資産。1単位は他の同じ単位と同じ価値を持ち、交換可能。
NFT化できるものとできないものの違い
ここまでの説明を聞いて、NFTは万能と思われる方もいるかもしれませんが、全てのものをNFT化できるわけではありません。
NFT化するためには、アイテムがユニークであること、そしてそれをデジタル資産として所有し、取引できる権利があることが必要です。
つまり、「独自性」と「所有権」が明確になっていなければなりません。
この辺りは、言葉では理解しづらい部分なので、以下にNFT化できるものとそうでないものについて、簡単な表にまとめました。
NFT化できるものの特徴 | 具体例 | |
NFT化できるもの | ユニークであり、デジタルまたは物理的なアイテムに関連する所有権を持つことができる。 | デジタルアート、音楽、ビデオクリップ、ゲーム内アイテム、コレクタブルアイテム、デジタル不動産 など |
NFT化できないもの | ・著作権や所有権が明確でない、または他人の作品を無断でNFT化することはできない・非具体的な概念や形として表現できないもの。 | 一般的なデータファイル、実物の財産(直接的なNFT化は不可)、非具体的な概念 |
NFT化は、デジタルまたは物理的なアイテムを独自性のあるデジタル資産に変換することができますが、上表のような「所有権」や「独自性」が明確なアイテムに限られます。
NFTが「オワコン」と言われている背景
NFTは、仮想通貨の普及し始めた2010年代後半から頻繁に聞くようになった言葉ですが、早くも一部メディアや個人などから「オワコン」とも称され始めています。
大衆向けメディアが新技術を「オワコン」と言い始めるのは、一種の「お約束」のようなものなので、あまり気にする必要はありません。
しかし、NFTは投資にも関連するので、なぜオワコンと言われ始めているのか気になる方も多いでしょう。
要因はいくつかありますが、主な要因は以下の通りです。
市場が飽和している
まず、NFTがオワコンと言われている背景の1つ目は、市場の飽和です。
NFTの人気が急速に高まった結果、市場には無数のNFT作品が溢れかえりました。
当初はユニークなデジタルアートやコレクタブルアイテムが高い価値を持っていたものの、供給過多により、特定のNFTに対する需要が落ち着き始めています。
持続可能な社会への配慮
2つ目の背景は、環境への懸念です。
NFTおよび関連するブロックチェーン技術は、エネルギー消費が非常に高いのが欠点の一つです。
特に、イーサリアムで作成・取引されるNFTは、大量の電力を消費するため、環境に対する負荷が高いという批判もあります。
投機的取引の急激な増加
3つ目は、投機的な取引の急激な増加です。
NFT市場は一部で異常なほどの価格上昇を見せ、投機目的での参入が急増しました。
これにより、真のアートやコンテンツの価値を評価することよりも、短期的な利益を追求する動きが目立ち始めています。
その結果、NFTの本来の価値や意義が曖昧になり、一部ではバブルとの指摘も出ています。
以上の理由からNFTはオワコンといわれていますが、まだまだ発展途上の技術なので、少なくともオワコンではありません。
|NFTの特徴5つ
ここまで、NFTに関する基本的な部分や背景に焦点を当てて解説してきました。
しかし、これだけでは完全にNFTを理解したとは言い切れません。
ここからは、少しレベルアップしてNFTの5つの特徴について、深く掘り下げていきます。
①代替ができない
1つめの特徴は、代替ができない点です。
NFTは、デジタルデータを個別に識別できるブロックチェーン技術によって、他のデジタルデータと異なる証明(保有者・取引履歴など)が与えられています。
このような仕組みによって、それぞれのNFTに作品固有の価値をつけることが可能となり、ユーザーは「世界にひとつだけのデジタル資産」を持つことが可能です。
②誰でも作成、取引ができる
2つめの特徴は、誰でも作成、取引ができる点です。
先述したように、NFTは作成したデジタルデータをブロックチェーン上に公開アップロードするだけで、誰でも簡単に利用することができます。
プログラミング等の難しい技術は必要なく、作品を公開するだけでNFTとして取り扱えるのは、非常に革新的な特徴といえるでしょう。
③データ破損のリスクが少ない
つめの特徴は、データ破損のリスクが極めて少ない点です。
従来のデジタルデータの保存方法では、ハードドライブの故障やウイルスの感染、ソフトウェアの不具合などによってデータが破損するリスクが常に存在していました。
しかし、NFTはブロックチェーン技術によって支えられています。
ブロックチェーン(分散型台帳技術)は、全世界の複数のコンピュータ(ノード)にデータを分散して保存します。
これにより、一部のノードが攻撃を受けたり、故障したりしても、他のノードにデータが残っているため、全体としてのデータ破損のリスクが非常に低いです。
④プログラマビリティがある
4つめの特徴は、プログラマビリティがあるという点です。
「プログラマビリティ」とは、簡単にいうと、NFTに特定の機能やルールを組み込むことができるという性質です。
例えば、アーティストがデジタルアートのNFTを作成する際に、そのアート作品が特定の条件下でのみ表示されるようにプログラミングすることが可能です。
他にも、ゲーム内のアイテムとして使用されるNFTには、そのアイテムが特定のゲーム内イベントでのみ使用できる、あるいは特定のスキルをアンロックする機能を組み込むこともできます。
プログラマビリティのおかげで、NFTは単なるアイテムやアート作品を超え、ゲーム、アプリなどのエコシステム内で様々な役割を果たすことができるようになるのです。
⑤アーティストのロイヤリティと再販市場を確保できる
5つ目の特徴は、アーティストのロイヤリティと再販市場を確保できる点です。
通常、アーティストが自分の作品を売ると、その作品が再販された場合、追加の報酬を受け取ることはありません。
しかし、NFTを利用すれば、アーティストは自分の作品が再販されるたびに、売上の一部をロイヤリティとして受け取ることができます。
(※ロイヤリティ:著作物や商品が使用されるたびに、その創作者や権利所有者に支払われる報酬のこと)
この仕組みにより、アーティストが自分の作品から継続的に収入を得ることを可能にし、創作活動への意欲を高めることが可能です。
|NFTのデメリット・課題3つ
「NFTは儲かる!」
「NFTビジネスは今の時代では必須!」
昨今では、このようなキャッチコピーの広告を見かけることも多いです。
しかし、何も知らずにNFTに手を出すと大きな損失を被ってしまう可能性も捨てきれません。
そのため、以下に紹介する3つのNFTのデメリットや課題については、必ず事前に理解しておきましょう。
①市場の変動性が非常に高い
1つ目のデメリットは、NFT市場の変動性が非常に高いということです。
NFTは近年、多くの注目を集めており、特定のNFT作品が短期間で高額取引されるケースが増えています。
しかし、このような急速な価値の変動は、市場の予測を困難にし、投資家やコレクターにとって大きなリスクともなります。
また、市場の熱狂が冷めた場合や、新しいトレンドが現れた場合には、高額で購入したNFTが急激に価値を失う可能性もあります。
NFT市場の変動性は、新興市場であるがゆえの自然現象の一部とも捉えられますが、投資判断を行う際には、この高い変動性を十分に理解し、慎重な判断を心がけましょう。
②大量のエネルギーを消費してしまう
2つ目のデメリットは、システムの都合上、大量のエネルギーを消費してしまうという点です。
昨今では、企業も環境への配慮を徹底しなければならない時代です。
「SDGs」という言葉が2021年度の流行語大賞に選ばれたことからも、持続可能な社会の実現は先進国に住まう国民の責務にもなっています。
しかし、NFTは「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work)」というシステムを採用しているため、エネルギー消費が非常に高いです。
プルーフ・オブ・ワークは、トランザクションを検証し、新たなブロックをチェーンに追加するための合意形成メカニズムですが、このプロセスには膨大な計算処理が必要であり、それに伴って大量の電力を消費します。
一説によると、イーサリアムでNFTが1度取引されると、8.7メガワット/時の電力量を必要とするともいわれています。
日本の一般家庭が1日に消費する電力の平均は約10キロワット/時程度なので、単純換算で870倍ものエネルギーが必要になるということです。
もちろん、ブロックチェーンの数だけそれが倍々に増えるので、途方もないエネルギーがNFTには必要になってきます。
③完全な法整備が整っていない
3つ目のデメリットは、NFTに関する法整備が現状ではまだ不十分であるという点です。
NFT市場の急速な成長により、多くの法的な課題が浮上していますが、多くの国ではこれらの新しい課題に対応するための具体的な法律や規制がまだ確立されていません。
例えば、NFTを購入した場合、そのデジタルコンテンツの所有権自体は認められますが、それに伴う著作権(複製権や公開権など)が購入者に移転するわけではありません。
しかし、この点についての認識が不足している場合が多く、トラブルが多発しています。
また、NFTの取引に関する税法も問題です。
NFTの売買から生じる利益に対する課税方法や、NFTを資産としてどのように扱うかという点について、全ての国で通じる明確な法律や規制はまだ存在しません。
そのため、投資目的でのNFTの購入などには専門家からのアドバイスも含めて、十分に注意する必要があります。
|NFTの稼ぎ方は?活用事例5つを紹介!
先述したように、現在では「NFT = 稼げる!」のような風潮が定着していますが、なぜこのような風潮が定着したのでしょうか。
ここからは、NFTに関する具体的な5つの活用事例をもとに、NFTの稼ぎ方について考察していきます。
①NFT × アート
「NFTアート」といった言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
NFT技術を利用して制作されたデジタルアートを、NFTアートといいます。
これまで違法コピーなどの著作権問題で、オンライン上でのデジタルアートの作品流通は非常に難しいといわざるを得ませんでした。
しかし、NFTアートの登場によってアーティストが続々と参入、日本の個人アーティストによって製作された作品が高額で落札されるなど、アートの流通機会は拡大しつつあります。
以下に、代表的なNFTアートの事例を2つご紹介します。
Everydays: The First 5,000 Days|Beeple(ビープル)
デジタルアーティスト「Beeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)」によるNFTアート作品《Everydays: The First 5,000 Days》は、2021年3月にオンラインオークションで約6935万ドル(約75億円)で落札され、世界中から大きな注目を集めました。
本作品は、Beepleが13年半にわたり毎日制作したデジタルアート作品5000枚を一つのコラージュとしてまとめたものです。
落札者は、NFTプロダクションおよび世界最大のNFTファンドである「Metapurse」の創設者、Metakovan(メタコバン)です。
Metakovanはこの落札について、「この作品は13年間の日々の努力の成果であり、技術は再現可能だが、時間だけはデジタルでハックできない。
この作品こそが現代において最も価値のある芸術作品であり、10億ドルの価値がある」と評価しています。
落札価格は、現存するアーティストの作品としてはオークション記録第3位となりました。
From the Fragments of Tezuka Osamu|手塚プロダクション
手塚治虫の代表作を題材にしたNFTプロジェクト「From the Fragments of Tezuka Osamu」は、日本のアニメと漫画の巨匠、手塚治虫の遺作をデジタルアートとして新たな形で表現しています。
本プロジェクトの第1弾として制作された「鉄腕アトム」のモザイクアートNFTは、NFTマーケットプレイス「OpenSea」において、120イーサリアム(約5600万円)で落札され、日本発のNFTとして最高落札額を記録しました。
作品は、手塚治虫作品のカラー原画840枚を背景に、4000枚以上の白黒漫画原稿を4万点以上の小片にカットし、これらをモザイク素材として組み合わせて、鉄腕アトムをモチーフにしたキャラクターを描き出しています。
この独創的なアプローチにより、手塚治虫の作品が持つ魅力と歴史を現代のデジタルアート技術を用いて再解釈し、新たなアート作品として蘇らせました。
オークションでは10イーサリアム(約450万円)からスタートし、最終的にはユーザー名「D67C91」のバイヤーによって落札されました。
②NFT × ゲーム
NFTは、ゲーム分野においても活用されています。
主に、ブロックチェーン技術を用いたオンラインゲームにて、アイテムやキャラクターにNFTが活用されています。
従来のゲームとは違い、ゲーム内で取得した通貨やコインを資産として保有可能ですすることができます。
そのため、ゲームをプレイすることで仮想通貨を稼ぐ「GameFi(ゲーミファイ)」と呼ばれる新しいゲーム領域も出現しています。ことも可能です。
以下に、代表的なNFTゲームの事例を2つご紹介します。
Axie Infinity
GameFiの先駆けとしてよく知られるのが「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」です。
Axie Infinityは、ブロックチェーン技術を基盤としたオンラインゲームで、プレイヤーは仮想生物「Axie」を育成、戦闘させ、売買することができます。
このゲームは、プレイヤーがゲーム内で稼いだり、デジタル資産を取引したりすることを可能にする「Play-to-Earn」モデルを採用しています。
プレイヤーはAxieや土地、その他のアイテムをNFTとして所有し、これらをゲーム内外で売買することが可能です。
つまり、「ゲームをしながらお金を稼ぐ」ことができるオンラインゲームです。
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The Sandbox(サンドボックス)
NFTゲームで最も有名なものといえば「The Sandbox(サンドボックス)」でしょう。
The Sandboxとは、プレイヤーが仮想世界内で土地を購入し、独自のゲームや体験を作成し、他のプレイヤーと共有することができるブロックチェーンベースのプラットフォームです。
このゲームでは、土地やゲーム内アイテムがNFTとして所有され、売買されます。
プレイヤーは自分のクリエイティビティを活かし、独自のゲームを作成したり、アート作品を展示したりすることが可能です。
プラットフォーム上で生成されたコンテンツは、ゲーム内の通貨「SAND」を使用して取引され、クリエイターは自分の作品から収益を得ることもできます。
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③NFT × スポーツ
最近では、さまざまなスポーツのプロリーグで活躍する選手の名場面やメモリアルシーンををコレクションできるNFT動画コンテンツも普及してきています。
例えば、2021年3月にはNBAのスタープレイヤーであるレブロン・ジェームズ選手によるダンクシュート映像が「NBA Top Shot」でNFT化され、約21万ドルで売却されました。
以下に、代表的なNFTとスポーツの組合せの事例を2つご紹介します。
Sorare
「Sorare」は、ブロックチェーン技術を活用したデジタルサッカーカードゲームです。
プレイヤーは実在するサッカー選手のデジタルカードを収集し、自分のチームを構築して世界中の他のプレイヤーと競い合います。
Sorareのデジタルカードは、カードのレア度や選手の実績によって価値が異なります。
これらのカードはSorareのプラットフォーム上で安全に売買され、プレイヤーは自分のコレクションを拡大したり、投資目的で取引をすることも可能です。
サッカーファンだけでなく、デジタルコレクターやゲーム愛好家からも高い支持を受けており、NFTの可能性を広げる一例として非常に注目されています。
NBA Top Shot
「NBA Top Shot」は、ブロックチェーン技術を基盤としたデジタルトレーディングカードのプラットフォームです。
Dapper LabsとNBA、NBA選手労働組合の協力により2020年10月にサービス提供を開始しました。
現在では、120万人以上のユーザーに利用されており、トレーディングカードの収集・売買を通じて1000億円以上の売り上げを記録しています。
また、NBA Top Shotはそれ自体がマーケット機能を持っている点も特徴的です。
購入したパッケージから得たトレーディングカードは、NBA Top Shot内のマーケットプレイスで自由に売買が可能であり、そのためユーザー間での取引が非常にスピーディーです。
④NFT × ファッション
ファッション業界においてもNFTが活用されています。
NFTの特徴である代替不可能な点や、改ざんが不可能といった点が加わることで、デジタル上のファッションに所有の証明、1点ものの価値を付与することが可能になりました。
また、「NFTファッション」として、メタバース上で自分での自分の分身となるアバターに着せることもできます。
近年では、GUCCI(グッチ)GapやLOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)Nikeなどの有名ブランドが続々と参入しています。
GUCCI(グッチ)
世界的なファッションブランドである「GUCCI(グッチ)」は、NFTに力を入れていることでも有名です。GUCCIが展開しているNFT事業は「GUCCI Town」と「GUCCI Vault Land」と「Vault Art Space」の3つです。
まず、「GUCCI Town」は、ゲーム版YouTubeとも呼ばれる大人気ゲーム型メタバース「Roblox」上にオープンした常設エリアです。
プレイヤーはグッチに関連するゲームを楽しめる競技場、アート制作を楽しめるアトリエ、ヴィンテージから新作アイテムを見ることのできる展示スペースなど、メタバース上でグッチブランドを体験することができます。
次に、「GUCCI Vault Land」は、NFT型メタバース「The Sandbox」上に期間限定でオープンしたエリアです。
ここでは、謎解きゲームやヴィンテージバッグの修復体験など、グッチにまつわるさまざまな活動をメタバース内で楽しむことができます。
最後に、「Vault Art Space」は、NFT作品を集めたマーケットプレイスを運営するSuperRareとのパートナーシップによりオープンした、独自メタバース上のアートギャラリーです。
ここでは、多数のNFTアート作品が展示されており、ユーザーはそれらの作品を鑑賞したり、購入することができます。
LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)
Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)は、言わずと知れた高級ファッションブランドですが、NFT活用においても先駆者の一つです。
例えば、2023年6月7日に発表された「VIA トレジャー・トランク」は、ルイ・ヴィトンの象徴的なアイテムであるトランクケースをモチーフにしたNFTです。
発売価格は586万3000円(税込)とされ、ルイ・ヴィトンの公式サイトでウェイティングリストへの登録を開始し、限定数百個での販売が行われました。
特に注目すべきは、「VIA トレジャー・トランク」がSBT(Soulbound Token)として設計されている点です。
SBTは、購入後にウォレットから移動が不可能であるため、転売や2次販売ができない特性を持ちます。
これにより、このNFTは購入者とその所有権が永続的に結びつけられ、真の意味での独占的なデジタル資産となります。
世界中のラグジュアリー好きな富裕層をターゲットにしたこのプロジェクトは、物理的な製品だけでなく、デジタルアセットにも高級品の価値を見出す新しい試みといえるでしょう。
⑤NFT × 投資
NFTはその性質上、投資にも多く利用されています。
ブロックチェーン技術により、NFTはいつでも、どこでも、誰とでも簡単に売買が可能なので、非常に流動性の高い取引を可能にしています。
以下に、NFTと投資を組み合わせた活用事例を2つご紹介します。
LINE NFT
「LINE NFT」は、日本の大手メッセージングアプリLINEを運営するLINE株式会社が提供するNFTマーケットプレイスです。
LINEユーザーなら誰でも簡単にアカウントを開設し、NFTの購入、保有、交換、出品など様々なNFT体験を一手に楽しむことができます。
2022年4月にサービスが開始され、ユーザーフレンドリーな操作性と、LINE Payを通じた日本円での取引が可能な点が特徴です。
さらに、購入したNFTはFinschia基盤のNFTウォレット「DOSI Wallet(ドシウォレット)」で管理され、友だちとの間で送り合うこともできます。
ただし、「LINE NFT」と「DOSI Wallet」は2024年1月10日をもってサービスを終了しました。
その後、LINE NEXT Inc.によって「DOSI」としてリニューアルされ、マーケット・ウォレット機能を兼ね備えた形で新たにサービス展開が行われています。
LINE NFTは、日本国内でNFT市場への関心が高まる中での重要な進展であり、メッセージンアプリを活用してNFTを一般ユーザーにも身近なものとしている点で非常に参考になる事例の一つといえるでしょう。
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OpenSea
OpenSea(オープンシー)は、2017年12月にサービスを開始した、世界最大級のNFTマーケットプレイスです。
アメリカ・ニューヨークに拠点を置き、30万人以上の月間ユーザー数と、8,000万点を超える取扱アイテムを誇り、NFT取引において中心的なマーケットプレイスの一つです。
OpenSeaでは、アート、ゲームアイテム、ドメイン名、コレクタブルなど、様々なジャンルのNFTが取引されています。
代表的な取扱タイトルには、Bored Ape Yacht Club(BAYC)、Azuki、Mutant Ape Yacht Club(MAYC)、CryptoPunks、Doodlesなどがあります。
また、決済通貨としてETH(イーサリアム)、SOL(ソラナ)、AVAX(アバランチ)、USDC、BNB(バイナンスコイン)、DAIなどが利用可能で、販売価格の2.5%が販売手数料として設定されています。
2023年7月の時点で、OpenSeaは1.67億ドルの月間取引高と33万人を超える月間ユーザー数を記録し、その取引高はBlurに次ぐ世界第2位の規模です。
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|【最新】NFTの注目ニュースから見る将来性
NFTのニュースは、2024年になった現在でも多く耳にします。
ここでは、最新の傾向を把握するために、特に話題になったニュースをいくつかご紹介します。
Twitter(現”X”)が所有NFTをプロフィール画像にできる機能を実装
NFTに関連するニュースで最近特に話題にあがっているのが、Twitter(現”X”)が所有NFTをプロフィール画像にできる機能を実装したことです。
この機能は、ユーザーが自分の所有しているNFTアートをプロフィール画像として設定できるというもので、サブスクリプションサービス「Twitter Blue」を利用するアカウント向けに提供されています。
(※Twitter Blueは日本ではまだ提供されていません)
この機能を利用することで、ユーザーは暗号資産ウォレットに接続し、所有するNFTアートを選択してプロフィール画像に設定可能です。
プロフィール画像は六角形のシルエットで表示され、これが所有しているNFTであることを他のユーザーにアピールできるようになっています。
NFTの画像をプロフィールに設定した後、そのNFTを売却または転送して所有権を失うと、プロフィール画像のシルエットが従来の円形に戻り、所有権に関する情報が表示されなくなります。
Twitter(現”X”)という身近なプラットフォームがNFTを取り入れたことにより、今後NFTへの認知度は急激に高まることになるでしょう。
日本政府も積極的にWeb3.0周辺技術に取り組む
NFTはWeb3.0の技術との統合も進んでいます。
Web3.0とは、インターネットの次世代形態であり、分散型のウェブを指し、ブロックチェーン技術を核として、より自由でオープンなインターネット環境を実現しようとしています。
この背景の中で、日本政府もWeb3.0の推進に向けて動き出しています。
特に、NFTやDAO(自律分散型組織)の利用を含むWeb3.0の環境整備を国家戦略として掲げ、その起爆剤となるNFTの経済圏の育成を目指しています。
例えば、2022年6月には、成長戦略の一環としてWeb3.0の環境整備を閣議決定し、岸田政権下で「新しい資本主義」のコンセプトのもと、ブロックチェーンやNFT、メタバースなどWeb3.0の推進のための環境整備を含めた新たなサービスが生まれやすい社会の実現を発表しました。
また、デジタル庁の設立や「Web3.0研究会」の設置など、各省庁が連携してWeb3.0事業環境整備に向けて動き出しており、23年度税制改正では仮想通貨の法人税のルールに関する見直しも行われました。
これらの取り組みは、NFTを含むWeb3.0技術が今後のデジタル経済において重要な役割を果たすことを示しており、NFTの将来性を大きく広げる可能性があります。
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実世界資産(RWA)のトークン化にも要注目
最近では特に、実世界資産(RWA)のトークン化に要注目です。
RWA(リアルワールドアセット)のトークン化とは、株式、債券、不動産などの現実資産をデジタルトークンとしてブロックチェーン上に表現し、取引可能にするプロセスを指します。
この技術により、DeFi市場の拡大、資産の流動性向上、金融取引のコスト低下など、金融業界に革新をもたらす可能性があります。
例えば、米国債のトークン化市場は、年初の約1億ドルから6億8000万ドルへと急成長を遂げ、従来の金融資産と同様の利息受取や元本返還が可能なデジタル資産として人気を集めています。
日本政府もこのポテンシャルを認識し、Web3.0を「デジタル経済圏の新たなフロンティア」と位置づけ、その起爆剤となるNFTを含む経済圏の育成を国家戦略として取り組む予定です。
|まとめ:NFTが生活に浸透するのも時間の問題
本記事では、NFTの特徴や、具体的な活用事例などを初心者にもわかりやすく解説しました。
NFTの誕生により、今までコピーや改ざんが容易にできていた「デジタルデータ」の所有権を明確にすることが可能になりました。
NFTの仕組みはアートやゲームなどの娯楽にとどまらず、ビジネス活用にも期待が高まっています。
LINEやTwitter(現”X”)などの大手企業も積極的にNFTを自社ビジネスに取り入れ始めていることから、私たちの生活にNFTが浸透するのも時間の問題なのかもしれません。
LINEやTwitter(現”X”)などの大手企業も積極的にNFTを自社ビジネスに取り入れ始めていることから、私たちの生活にNFTが浸透するのも時間の問題なのかもしれません。
デジタル社会をさらに加速させるNFTについて、最新の動向に注目していきましょう。
それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!