DXの重要性は理解し、情報収集もしている。しかし、具体的な一歩が踏み出せない…」
そんな悩みを抱える中小製造業の経営者や担当者の方も多いのではないでしょうか。
昨今の「DX」が話題になり、注目されている背景で、思うようにDXの導入が上手くいかない、DXのことがよくわからない、という方も多いかと思います。
そこで本記事では、中小企業のDXがなぜ進まないのかという3つの理由を深掘りし、生産性向上や技術継承といった課題を解決するXR(AR/VR)活用を含む3つの具体的な打ち手を解説します。
ぜひ最後まで、ご覧ください。
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1. 中小企業の製造DXが“次の一歩”に進めない3つの理由
前提として、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術やデータを活用して、ビジネスモデルや組織、業務現場等をより良い方向に改善していく取り組みを指します。
中でも中小製造業のDX推進において、多くの企業が具体的な一歩を踏み出せない背景には、大きく分けて3つの理由が存在します。
高機能・高価格なツールばかりで自社に合うものが見つからない
Webセミナーや展示会で紹介されるDXツールは、あらゆる機能を網羅した大企業向けのシステムが中心になりがちです。
「多機能すぎて使いこなせそうにない」「月々の利用料が高すぎる」と感じ、自社の規模や課題に合った手頃なツールを見つけられずにいるケースは少なくありません。
勿論、高性能で利便性の高いツールであることに間違いはありませんが、高機能がゆえに自社が使いこなせず、継続的な運用にまで辿り着けなくなってしまうのです。
大切なのは、自社の特定の課題をピンポイントで解決できる、シンプルで費用に見合ったツールを見極めることです。
費用対効果が不明で経営層への提案が響かない
DXツールの導入には、初期投資やランニングコストがかかりがちです。
しかし、その投資によって「具体的にいくらの利益が生まれるのか」「何人の工数が削減できるのか」といった想定の費用対効果(ROI)を明確に社内提案できない場合、経営層の承認を得られず、計画が頓挫してしまうパターンは、大いにあります。
現場の課題にはどのようなものがあり、それらを解決することで、どう業務が効率化・改善され、どの程度の利益に繋がるのか、といったように、現場と経営層の認識を合わせた上で、定量的に根拠を示すことが大切になります。
補助金の種類が多すぎ・手続きが複雑で活用を諦めている
導入時のコスト面において役立つ補助金制度も、DX推進の分野では「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」といったものが挙げられますが、その活用に至らないケースもあります。
理由としては、「どの補助金が自社に最適なのかわからない」「申請書類の作成が煩雑で、本業を圧迫して後回しにしてしまう」といったものがあるのではないでしょうか。
コスト負担を軽減できる強力な武器であるにもかかわらず、補助金活用までの複雑さが、かえってDX推進の障壁となってしまっているのが実情です。
2.【課題別】中小製造業DXの主な活用パターン
DXと一言でいっても、そのアプローチは企業の課題によって様々です。
重要なのは、いきなり大規模な改革を目指すのではなく、自社が抱える最も大きな課題に焦点を当て、それを解決するための最適な「打ち手」を選択することです。
ここでは、中小製造業が直面しがちな3つの課題別に、現実的なDXの打ち手をご紹介します。
① 生産性向上:生産管理・ペーパーレス化
多くの製造現場では、いまなおExcelによる工程管理や、紙の日報・図面の運用が主流です。
これらは「リアルタイムな情報共有ができない」「転記作業や履歴の検索に時間がかかる」といった非効率を生む温床となっています。
まずは、こうしたアナログ業務のデジタル化から着手するのがDXのイメージが付きやすいでしょう。
中小企業向けに機能を絞った低コストな生産管理システムや、タブレットで簡単に入力・承認ができるペーパーレス化ツールを導入低コストで、進捗状況の可視化や情報共有の迅速化が実現し、生産性向上に繋がります。
② 人材不足・技術継承:XR活用
熟練技術者の高齢化による人手不足や、若手への技術継承は、製造業にとって最も深刻な課題の一つです。
しかし、この根深い課題に対し、近年大きな効果を発揮しているのがXR(クロスリアリティ)技術です。
例えば、AR(拡張現実)グラスを使えば、熟練者の手元の動きや注意点を映像に重ねて表示する「見て学ぶ」デジタルマニュアルが作成可能になります。
また、VR(仮想現実)空間に現場を再現すれば、現実では危険を伴う機械操作や緊急時対応も、安全かつリアルな感覚で何度でもトレーニングできます。
XRは、個人の経験や勘に頼っていた「暗黙知」を、誰もが再現可能な「形式知」へと変換できる可能性を秘めた、強力なソリューションとして、注目されています。


③ 遠隔での品質管理・現場支援:IoT・AR活用
「専門家や監督者が現場にいないと判断できない」「遠方の工場の品質チェックのため、頻繁な出張が必要」といった、物理的な制約も大きな課題です。
これには、IoTカメラやAR技術を活用した遠隔支援が有効です。
現場作業員のスマートフォンやスマートグラスに映し出される映像を、事務所にいる専門家がリアルタイムで共有します。
AR技術を用いて、映像上に直接「ここのネジを締めて」といった指示を書き込むことで、まるで隣にいるかのような的確なサポートが可能になります。
これにより、移動コストや時間を大幅に削減し、一人の専門家が複数の現場を効率的に支援する体制を構築できます。
3. 中小企業の製造業DXの活用事例
DXの打ち手を理解しても、自社で導入した際の具体的なイメージが湧きにくいかもしれません。ここでは、実際にDXを推進し、課題解決に成功した中小製造業の事例を2つご紹介します。
【生産管理システムの事例】Excel管理を卒業し、納期遅延が半減したA社の話
従業員30名ほどの部品加工メーカーであるA社。
以前は、各工程の進捗管理をExcelの共有ファイルで行っていましたが、入力漏れや更新のタイムラグが頻発していました。
営業担当が顧客からの納期問い合わせに即答できず、時には納期遅延を引き起こし、信頼を損なうことも少なくありませんでした。
この状況を打破すべく、A社は中小企業向けのクラウド型生産管理システムを導入。
その結果、各作業員が手元のタブレットからリアルタイムで状況を報告できるようになり、工場全体の進捗が即座に可視化されました。これにより、納期遅延は導入前の半分にまで減少し、顧客からの信頼回復にも繋がっています。
【AR遠隔支援の事例】ベテランの出張費を80%削減したB社の話
特殊な産業機械のメンテナンスを手掛けるB社では、顧客先でのトラブル対応は、必ず本社のベテラン技術者が出張していました。
しかし、技術者の高齢化と人手不足で移動コストが増大し、経営を圧迫。
対応の遅れが顧客満足度の低下を招く悪循環に陥っていました。
そこでB社は、AR遠隔支援システムを導入。
現地の若手作業員がスマートグラスを装着し、本社のベテラン技術者がPC画面越しに現場の映像を共有。AR機能で的確な指示を送ることで、多くの案件が遠隔で完結できるようになりました。
結果として、ベテラン技術者の出張費や移動時間は実に80%も削減され、一日に対応できる案件数も増加するなど、大きな成果を上げています。
4. DXに活用できる主な補助金
DX推進における最大の障壁の一つであるコスト問題ですが、国が提供する支援制度をうまく活用すれば、その負担を大幅に軽減することが可能です。
ここでは、多くの中小製造業がDXで活用している代表的な2つの補助金と、申請を成功させるための重要なポイントを解説します。
ソフトウェア導入に強い「IT導入補助金」
IT導入補助金は、中小企業が業務効率化やデータ活用などを目的にITツール(ソフトウェア、クラウドサービス利用料など)を導入する際の経費の一部を補助する制度です。
本記事でご紹介した生産管理システムやペーパーレス化ツール、AR遠隔支援システムなどのソフトウェア導入に適しており、DXの第一歩として幅広い企業が活用しています。
自社の課題解決に繋がるソフトウェアの導入を検討している場合、まず最初に確認すべき補助金と言えるでしょう。
XRデバイスなどの設備投資も対象になる「ものづくり補助金」
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、生産性向上に資する革新的な製品・サービス開発や、生産プロセスの改善に必要な設備投資などを支援する制度です。
IT導入補助金がソフトウェア中心であるのに対し、こちらはより大規模な設備投資も対象となるのが特徴です。
例えば、AR/VRを活用したトレーニングシステムを構築するためのゴーグルや関連機器といったハードウェアの導入を検討する場合に有効で、先進的な取り組みを後押ししてくれます。
補助金申請は「課題と解決策」を明確に
これらの補助金申請において、最も重要なのは「なぜそのツールや設備が必要なのか」を明確に描くことです。
単に「このツールを導入したい」という要望だけでは、採択されるのは困難です。
「自社には〇〇という深刻な課題があり、それを解決するためにこのツール(または設備)を導入することで、生産性が△△%向上し、競争力強化に繋がる」といった、課題・解決策・効果を結びつけた一貫性のある事業計画が求められます。
この計画の質が採択を大きく左右するため、専門家や支援事業者のサポートを受けながら準備を進めることも有効な手段です。
5.中小製造業のDXでよくある3つの「失敗パターン」
DXを成功させるためには、ツールや補助金の知識だけでなく、推進プロセスで陥りがちな「失敗の罠」をあらかじめ理解し、それを避けることが極めて重要です。
ここでは、多くの企業がつまずいてしまう3つの代表的な罠と、その回避策を解説します。
失敗パターン1:目的が「ツールの導入」になってしまう
最もよくある失敗が、最新ツールを導入すること自体が目的化してしまうケースです。
「何のために導入するのか」という本来の課題解決という視点が抜け落ち、結果として誰も使わない高価なシステムが放置されることになります。
これを避けるには、導入検討の初期段階で「不良品率を3%削減する」「特定の作業時間を15%短縮する」といった、測定可能な目標(KPI)を明確に設定することが不可欠です。
目的が明確であれば、ツール選びの軸も定まり、導入後の効果検証も可能になります。
失敗パターン2:経営層だけで進めてしまい、現場がついてこない
経営層や一部の担当者だけでDXプロジェクトを進め、現場の従業員にトップダウンで導入を押し付けてしまうと、多くの場合が失敗に繋がってしまいます。
現場からは「今のやり方で問題ない」「現場には現場のやり方がある」「新しい仕事を増やされた」といった反発を招き、DXが形骸化する最大の原因となります。
この罠を回避するには、プロジェクトの早い段階から現場のキーマンを巻き込み、課題や意見をヒアリングして、経営層と現場の認識を摺合せていかなければなりません。
また、特定の部門や工程での試験的な導入で成功体験を共有し、「これなら自分たちの仕事も楽になる」という納得感を醸成していくアプローチを目指していくことが大切です。
失敗パターン3:導入後のサポートや改善計画がない
ツールを導入して一安心し、その後の運用をベンダー任せ・現場任せにしてしまうのも危険な罠です。いざトラブルが発生しても対応できなかったり、せっかく蓄積されたデータを活用できずに宝の持ち腐れになったりします。
DXは「導入して終わり」ではなく、そこからが本当のスタートです。
導入後の効果を定期的に測定し改善を繰り返すPDCAサイクルを回す体制を整えること、そして、単にツールを販売するだけでなく、導入後の運用までしっかりと伴走してくれるサポート体制の充実したパートナーを選ぶことが、DXを真の成功に導く鍵となります。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、中小製造業のDXが進まない理由から、課題別の具体的な打ち手、コストの壁を越える補助金の活用法、そして実行段階で陥りがちな失敗の罠まで、網羅的に解説してきました。
アナログ業務の非効率、人手不足や技術継承、遠隔地の管理コストなど、貴社が抱える課題は何だったでしょうか。それぞれの課題に対し、生産管理システムのような基本的なDXから、XR(AR/VR)のような先進技術を活用した解決策まで、様々な選択肢があることをご理解いただけたかと思います。
重要なのは、限られたリソースの中で成果を出すために、一度にすべてを解決しようとせず、自社にとって最もインパクトの大きい課題は何か、優先順位を明確に定めることです。
まずは、貴社の現状を整理し、「どこに一番の課題があるのか」「どの解決策が最も効果的か」を検討することから始めてみてください。
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