今回は、地方創生とNFTの関係についてご紹介していきます。
数年前に地方創生の一環で町おこしやIターン、ふるさと納税などが流行りましたが、今はNFTで地方創生を行う時代に変化しています。
地方創生に悩んでいる自治体や企業の方は、他の自治体の事例もご紹介してくのでぜひ参考にしてください。
それでは早速見ていきましょう。
目次
|NFTとは
NFTとは、Non-Fungible Token(ノン-ファンジブル トークン)の略称で、日本語では「非代替性トークン」と直訳されます。
これは、ブロックチェーン技術を基盤としたデジタルアセットの一種で、他のトークンや通貨とは異なり、独自の所有権を持ち、同等の交換ができない特性を持っています。
具体的には、NFTは一意で不可分なデジタル資産であり、例えばデジタルアート、音楽、ビデオクリップ、ゲームアイテムなどがNFTの形で取引されることがあります。
これによって、クリエイターは自分の作品に独占的な所有権を確立し、それをブロックチェーン上で記録できます。
デジタルデータは簡単にコピーが出来てしまうため、その価値を証明するのが難しいとされていましたが、NFTの誕生によりそのデジタルデータが本物かどうかを証明することが可能になります。
NFTの最も重要な特性は、各NFTがユニークであることです。通常の暗号通貨(例: ビットコインやイーサリアム)は同一の価値を持ち、交換が可能です。
※紙幣価値が一緒であれば代替(交換)が可能です。
NFTはその所有権が唯一であり、他のNFTと交換することができません。
※ミュージシャンの直筆サイン入りのCDは、普通のCDと同じ価値ではないため、代替(交換)が不可能ということになります。
これらの特性によって、NFTはデジタルアートやコンテンツの所有権を確立し、販売する新たな方法を提供しています。ただし、NFT市場には価格の変動や詐欺のリスクが伴うため、注意が必要です。
詳しくはこちらで解説していますのでご覧ください。
|地方自治体が抱えている問題
現在、地方自治体が抱えるさまざまな問題に対し、メタバースやNFTを活用する方法が期待されてます。
自治体のNFTの活用事例紹介の前に、まずは国内の地方自治体が抱える問題について解説します。
財政難
多くの自治体が歳出が歳入を上回る財政難に直面しています。
地方税収の低迷や公共事業の負担が背景にあります。
人口減少と高齢化
都市部への人口流出や少子高齢化が進行し、地方自治体では人口減少と高齢化に対応する施策が必要です。
人口減少と高齢化
地方の経済活性化や雇用創出が課題です。
産業の多様化や観光資源の活用などが求められます。
|地方創生×NFT 活用事例
NFTはインターネット上で扱うものになるので、住む地域や国籍に関係なく、様々な方へ向けて提供することができます。
文化財や名所のデジタル化
地方の貴重な文化財や名所をデジタル化し、NFTとして販売することで、観光産業の活性化や収益の増加を図ることができます。
地方特産品のデジタル化と販売
地域の特産品をNFTとして提供し、オンラインマーケットプレイスで販売することで、地域産業の活性化と財源の確保ができます。
興味を引くといった理由で、ふるさと納税のようなサービスも自治体で活用されています。
地域のアートやクリエイティブ活動の支援
地域のアーティストやクリエイターが作成した作品をNFTとして販売し、その収益を地方自治体の財政に活用することが考えられます。
特定の地域の特産物や文化をデジタルアートとして表現し、それを通じて観光客の興味を引くことができます。
|地方創生×NFT 自治体の活用 11選
ここからは実際にNFTを活用している、地方自治体の特徴も踏まえてご紹介していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
新潟県長岡市山古志
新潟県長岡市山古志地域では錦鯉をシンボルにしたNFTアート「Colored Carp」を発行し、2021年12月14日より発売しています。
世界中に愛好家が増えている「錦鯉」発祥の地として有名です。
山古志地域が発行するNFTは、錦鯉をシンボルにしたデジタルアートであり、山古志地域の「電子住民票」の意味合いを兼ねたものになっています。
購入者は、山古志地域に必要なプロジェクトや課題解決を独自財源で押し進めることが可能になり、そのためのアイデアや事業プランを購入者同士で検討し合い、地域づくりを目指すことができます。
三重県明和町
明和町の観光地域づくりを推進する一般社団法人明和観光商社は、同町にある竹神社の御朱印をデザインしたNFTを制作しています。
実際に神社へ行った方のみ、NFTを手に入れることができるため、参拝の記録に残しておくことが可能です。
年間で12回絵柄が変わるという、コレクションをしたくなるような仕掛けがあり、人気を集めています。
昨今のトレンドとなっている「御朱印集め」と先端技術を掛け合わせた、話題性のあるプロモーション事例です。
京都府京都市
楽天グループ株式会社が運営する「Rakuten NFT」に、地方自治体がNFTを販売する「ご当地NFT」が登場し、第一弾は京都市の広報「京乃つかさ」のキャラクターNFTが販売されました。
バーチャル開催されたイベント「京都国際マンガ・アニメフェア2022(京まふ2022)」において一枚11,111円、限定111枚で販売されていました。
沖縄県北谷町
2022年8月に沖縄初のリアルNFTギャラリー「GALLERY HENZA」がオープンしました。
NFTクリエイターやアーティストの作品が展示販売されており、同時にNFTマーケットプレイス「OpenSea」にも出店し、公開されています。
「NFTギャラリーを通した沖縄と世界を繋ぐWeb3.0コミュニティの創造」をコンセプトに作成されています。
NFT作品は全国・海外問わず、発信することができるため、島が離れている沖縄県でも実施しやすいです。
現地ギャラリーにも展示を行うことで、島民のNFTへの関心や理解、誘客効果が期待できます。
北海道余市町
北海道余市町は、ふるさと納税の返礼品として222種類のNFTを制作しました。
寄付金額1口(3万円)で1種類手に入れることができます。
NFTを所有している方は、ワイン優先購入権の抽選権利の特典が与えられます。
ふるさと納税の返礼品にNFTを使用する動きは全国に広がりつつあり、同様のプロジェクトを始める自治体が増えてきました。
兵庫県尼崎市
2022年1月28日、メディアエクイティ株式会社は、NFTマーケットプレイス「HEXA(ヘキサ)」にて、非公認のご当地キャラクター「ちっちゃいおっさん」のNFTデジタルアートコレクションを販売しました。
こちらのNFTは、先着5つ限定の販売になっていました。
この取り組みは、「ちっちゃいおっさん」のLINEスタンプを5種類をNFT化し、HEXAにて販売するものになっています。
Polygonチェーン上に発行され、仮想通貨、日本円クレジットカード決済にも対応しており、仮想通貨やNFTを保有したことがない方も比較的簡単に購入することができます。
神奈川県横浜市
神奈川県横浜市にある株式会社イージェーワークスは、湘南NFTアートコンテストを運営しています。
湘南の現在、未来の生活や風景写真、映像などを集め、新たな「湘南」をブロックチェーン上に造り上げていこうというプロジェクトです。
コンテストの参加者は、「湘南」をモチーフとしたアートやイラスト、写真、動画作品を応募し、受賞作品はNFT化されるようになります。
受賞者はSHONAN NFT公認クリエイターとして、作品公開の場を提供やインタビュー動画配信、コラボレーションなどのプロモーション支援が受けられるようです。
熊本県益城町
熊本県益城町では特産物のスイカを使ったNFTを販売しています。
MetagriLabo Suica Collectionは、農家ブランディングを行うMetagri研究所、しまだスイカ農園が共同で立ち上げたNFTプロジェクトです。
NFTの保有者には実物のスイカや、農産物の優先購入権などが与えられます。
NFTの売上は、しまだスイカ農園のスイカ仕入代金やNFT制作費、研究所の研究費などに充てられます。
石川県野々市市
メタバース石川という団体のスポンサーの権利を、公式キャラクターのイラストが描かれたNFTとして販売しています。
メタバース石川とは、地域の公民館などでメタバース空間の体験会を行ったり、その他VRやe-スポーツ体験を行ったり、デジタルでまちの未来をつくる社会実験を行う団体です。
将来的に、メタバース石川が人気になると、スポンサー枠の需要が高まり、所有しているスポンサーNFTが値上がりする可能性もあるため、企業への株式投資に近いイメージになります。
滋賀県栗東市
滋賀県栗東市ではふるさと納税の返礼品として、栗東ゆかりの馬たちをデジタルコンテンツ化した「栗東限定 TCC HORSE PINS」(NFT)を販売しています。
TCC(Thoroughbred Community Club)では、人のために頑張ってきた働けなくなった馬に寄り添い人生を共にする仕組み作りを行っております。
今回採用されたNFTは、SNSアイコンなど個人利用の範疇で自由に活用でき馬の街、東の馬事振興や引退競走馬を応援する証として推し馬のセカンドキャリアを見守るため手元に保管、レアなカードやピンバッジとしても利用可能です。
全国
全国を巻き込んでのNFT販売も行われています。
株式会社エニバが提供する46道府県NFTアートは第一弾として、岩手・宮城・福島をモデルにした3種類のNFTアートの販売を開始しています。
全国にある過疎地域の関係人口増加を目的としています。
岩手・宮城・福島のNFT売上金は、ウクライナ支援に全額寄付されました。
|まとめ
今回はNFTと地方創生の関係についてご紹介してきました。
最近はふるさと納税などで、自分の住んでいる地域とは全く違う土地について知る機会が増えてきているかと思います。
NFTでの地方創生は、より一歩先に行ったコンテンツになることは間違いないです。
導入を考えている地方自治体や企業は特産品が無かったとしても、アートや歴史と絡めたNFTで資金を調達することが可能です。
購入者は導入初期にNFTを購入しておくことで、町おこしに助力できるうえ、価値が上がった際に自分にリターンが戻ってくるという可能性も秘めています。
この機会に導入してみるのは如何でしょうか。