「NFTゲーム」は、近年、「稼げるゲーム」として関心を集めている新しいタイプのゲームです。

ビットコインなど仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンを利用しており、ゲームで得た資産は現実のお金に交換することができます。

世界では「何千万ももうけた」とか「1日あたり10万以上稼ぐ」といった話もよく聞かれます。

NFTゲーム長者を目指す人が続いています。

NFTゲームについて、よく分からないという方、始めてみたいという方に、基礎知識や特徴、おすすめのゲームを紹介します。

|NFTゲームとは

NFTは「非代替性トークン(non-fungible tokens)」の略語です。

トークンは、「仮想通貨(暗号資産)」の意味で使われます。ビットコインやイーサリアムもトークンですが、どの1ビットコインでも価値は同じです。つまり「代替可能なトークン」です。

これに対し、NFTは、一つひとつが固有で、「代替できないトークン」です。

デジタルコンテンツは、基本的に無限にコピーできるので、それ自体の価値が生まれにくいという特徴があります。

しかし、NFTはブロックチェーンによって、そのコンテンツが複製ではない「1点モノ」であることを保証します。

これをゲーム内のアイテムに適用することで、特別な価値を持つ唯一無二のデジタルアイテムを作成して、取引できるゲームが生まれました。これがNFTゲームです。

NFTについては、下記記事で詳しく解説しています。

NFTとは何かを簡単に解説!ゲーム・アートなどで注目される理由から特徴、活用事例までわかりやすく解説!
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|NFTゲームの特徴

NFTを利用することで、それまでのゲームにはなかったさまざまなことができるようになりました。

NFTゲームには、以下のような特徴があります。

  • ゲームをプレイして稼げる
  • アイテムを作成して売れる
  • 稼いで資産を持てる
  • 不正が起こりにくい

ゲームをプレイして稼げる

NFTゲームの多くには、プレイすることでアイテムや仮想通貨を報酬として得られる仕組みがあります。こうした「遊んで稼ぐ」タイプのNFTゲームを「Play to Earn」(P2E)と呼びます。

報酬をもらえる条件は、「タスクやミッションのクリア」「バトルで勝利」「イベントやトーナメントで上位に入賞」などで、好成績に対して与えられます。

プレイで得た報酬は、売買することで現金の収益になります。

プレイするほどお金を稼げるのですから、ゲーム好きにはたまらないでしょう。

仮想通貨やNFTに興味を持って、稼いでみたいという方には、とっつきやすいタイプのNFTゲームと言えます。

アイテムやキャラクターの作成が可能

NFTゲームには、キャラクター、衣装、小道具、建物などゲーム内で使用するアイテムをユーザーが自作できるものが多くあります。

これらのアイテムの作成もNFTゲームでは重要な要素です。

アイテムの充実度とユーザーの創造性で、ゲームの魅力は高まります。

大勢のユーザーが参加してアイテムを作ってくれれば、それだけゲームの世界は広がります。

このため、人気NFTゲームの多くは、ユーザーにアイテムを作成してもらうためのツールを無料で提供しています。

例えば、「The Sandbox」には、オリジナルのアイテムを作成できる「VoxEdit」という無料ツールがあります。

作ったアイテムはマーケットプレースで売ったり、別のゲームに持ってゆくこともできます。

人気のアイテムには、1個で数百万円という値がつくこともあります。

資産を持てる

獲得したアイテムを所有できるのがNFTゲームの大きな特徴です。

従来型のゲームでは、アイテムのデータはゲーム管理者のサーバー上にあります。

ゲーム内で通用するだけで、外には持ち出せません。

また、もし何かの事情でサービスが突然終了したら、全て消滅してしまいます。

これに対してNFTゲームのアイテムは、ユーザーが所有してゲームの中や外のマーケットプレースで売買できます。

プレイヤーのウォレットの中に保存され、取引の履歴はブロックチェーン上に記録されています。

ゲームで獲得できるNFT資産は、キャラクターから不動産までさまざまです。

これら価値を持つデジタルデータを個人の資産として持てるのです。

不正が起こりにくい

ブロックチェーンは「分散型台帳」と呼ばれる仕組みで、ビットコインに代表される仮想通貨の基本技術です。

アイテムやスコア、取引記録は、大勢の参加者が暗号技術を利用して分散して保持するため、データの破壊・改ざんは極めて難しくなっています。

理論的には、膨大な計算をすれば暗号を解くことは可能ですが、計算のための大変なエネルギーが必要で、相当なコストになります。

このため現実的には不正は起こりえません。

また集中的に管理される仕組みではないので、誰かが勝手に変更したり、都合よくねじ曲げて使ったりということもできません。大変、透明性の高い仕組みと言えます。

一般のオンラインゲームでは、プログラムなどを改変して自分に有利にする「チート行為」がありますが、NFTゲームではこうしたことは困難です。

|NFTゲームの稼ぎ方

NFTゲームで稼ぐには、いくつか方法があり、ゲームの仕組みによっても違います。代表的なのを以下に紹介します。

  • プレイの報酬で稼ぐ
  • NFTアイテムを転売する
  • NFTゲーム内でサービスを提供する
  • 「スカラーシップ」で稼ぐ

なお、報酬は「イーサリアム」などの仮想通貨を通じて現金化するので、交換時のレートによって大きく変動します。

プレイ報酬で稼ぐ

プレイするだけでNFTや仮想通貨をもらえる「Play to Earn」(P2E)で最も有名なのは、「Axie Infinity」でしょう。

モンスターのNFTを購入して育成する「ポケモン」タイプのゲームで、他のモンスターとのバトルなどで仮想通貨をもらえます。

P2Eタイプのゲームにはさまざまなバリエーションが生まれています。

動くことで稼ぐ「Move to Earn」、音楽などを聴いて稼ぐ「Listen to Earn」、学習して稼ぐ「Learn to Earn」などです。

それぞれゲーム内で「タスクやミッション」(しばしばクエストと呼ばれる)をクリアすることで報酬が得られますが、もらえるものは仮想通貨だったり、アイテムだったり、内容ごとに異なります。

また、特定のNFTを持っていることでイベント参加権が与えられるなど無形の報酬をもらえることもあります。

NFTアイテムを転売する

NFTアイテムの所有権はブロックチェーンに書き込むことで移転します。

つまりユーザー間で売買・譲渡が可能です。アイテムを獲得して価値を高め、売却すれば差額が利益として手元に残ります。

転売は、ゲーム内で他のプレイヤーに売ることもあれば、外部のマーケットプレースで買い手を探すこともできます。

誰でも使えるオープンなマーケットプレースとして「OpenSea」などが有名です。

アイテムの価値は、他のユーザーがどれだけその価値を認めるかによって決まります。

皆が欲しがる人気キャラクターや、コレクターアイテムになると、とんでもない高値がつくことがあります。

例えば2021年3月、米国で人気のファストフードチェーン「タコベル」のNFTカードコレクション25枚が各1.6ドル(約200円)で発売されました。

その3日後、カードの1枚にマーケットプレースで2万ドル(約270万円)という値が付いて評判になりました。

ブランド品のアイテムは特に価格上昇が期待できます。

NFTゲーム内でサービスを提供する

NFTゲームには、その世界の中で別のゲームを作れるものもあります。

アイテムを作るのと同じ要領でミニゲームを作成して、他のプレイヤーにプレイしてもらいます。

課金して仮想通貨をもらえば、それがもうけになります。

ゲームを作るのに多少のプログラミング知識が必要になる場合もありますが、特に知らなくてもできるものもあります。

例えば、オンラインゲーミングプラットフォームの「Roblox」には、「Roblox Studio」という無料のゲーム開発ツールがあります。多くの小学生ぐらいの子どもたちが、このツールでゲームをつくってRobloxで公開しています。

また、ゲーム内に土地や建物などの不動産を所有して、他のプレイヤーに貸し出して賃貸収入を得ることもできます。バーチャル不動産業でリアルマネーを稼ぐのです。

スカラーシップで稼ぐ

人気NFTゲームの多くでは、始めるにあたってキャラクターやアイテムが必要になります。

その際、「最初の購入費用で10万円」などハードルの高いものも少なくありません。

そこで新規参入プレイヤーにアイテムを貸し出す「スカラーシップ」という仕組みがあります。

アイテムを所有している人(オーナー、マネージャー)が、使いたい人(スカラー)に貸し出して、レンタル料をもらうというものです。

スカラーがプレイで稼いだ額を、オーナーとスカラーで分け合うのが一般的で、オーナーの取り分は6-7割が相場になっているようです。

スカラーは不利なようですが、初期費用ゼロでゲームを始めることができます。

オーナーには、資金はあるけど自分でプレイする時間がないという方が向いています。

さらにプレイヤーが集まって「ギルド」と呼ばれるコミュニティを作り、オーナーとスカラーを仲介する仕組みも生まれています。

|おすすめのNFTゲーム5選

NFTゲームは、特定のジャンルではなく、ありとあらゆるタイプのゲームに適用できます。

オンラインゲームやカードゲームなど人気のジャンルから、それぞれNFTの機能を組み込んだゲームが次々に登場しています。

以下に代表的なもの、特徴のあるものを5つ紹介します。

The SandBox(ザ・サンドボックス)

出典:https://www.sandbox.game/jp/

「The SandBox」は、“神の見習い”となって自分の世界を創造するゲームです。

与えられたミッションやゴールはなく、広大なメタバースの中で自由に行動できます。

プレイヤーは資源を探し、キャラクターやアイテム、建物などを作ります。

それらは全てNFTになっていて、仮想通貨「SAND」で売買できます。

アイテムの中でも特に土地(LAND)は供給の上限が定められているため高価で、数十万円するのが普通です。立地がよいと、とてつもなく高くなることがあります。

またアイテム作成・売買のほか、無料ツールの「Game Maker」でゲームを自作し、他のプレイヤーに公開してSANDを稼ぐこともできます。

The SandBoxは、もともとは2012年にリリースされた2Dのゲームでしたが、2021年にブロックチェーンベースの3Dゲームに進化しました。

The SandBoxについては、下記記事で詳しく解説しています。

NFTとは何かを簡単に解説!ゲーム・アートなどで注目される理由から特徴、活用事例までわかりやすく解説!
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STAR ATLAS(スターアトラス)

出典:https://store.epicgames.com/ja/news/star-atlas-the-dawn-of-a-space-themed-triple-a-gaming-metaverse

「STAR ATLAS」は、2620年の宇宙を舞台に、宇宙船や船員、土地などを購入しながらミッションをクリアしてゆくストラテジーゲームです。

映画のようなハイクオリティのCGが売り物で、ティーザー動画が公開されています。

ゲームの世界では、人間、異星人、アンドロイドの3つの派閥が争っており、プレイヤーは必ずそのいずれかに所属してプレイします。

ゲーム内では「ATLAS」と「POLIS」という異なる仮想通貨があり、ATLASは一般的なNFT取引用に、POLISはゲームの運営などを決める際の投票権として使われます。

POLISは「分散型ガバナンス」をゲームプレイそのものに組み込んだものとも言えます。

ブロックチェーンは他のNFTゲームに多い「イーサリアム」ではなく、「Solana」を採用しています。

2022年内の正式リリースを予定していましたが、開発が遅れているようです。

Axie Infinity(アクシーインフィニティ)

出典:https://axieinfinity.com/

「Axie Infinity」は、最も有名なNFTゲームのひとつで、「Play to Earn」の火付け役にもなったモンスター育成型ゲームです。

ベトナムのSkyMavis社が運営しており、最初のリリースは2018年でした。2021年ごろから東南アジアを中心に大ブレークしました。

プレイヤーは「アクシー」と呼ばれるモンスターを3体購入してゲームを開始します。

アクシーはそれぞれ姿や能力が異なり、育成することで強くなります。

また交配によって新しいアクシーを生成することもできます。

プレイヤーは、日々のクエストやアドベンチャー、他のアクシーとのバトルで報酬を獲得しますが、活動には「エナジー」が必要です。また土地を購入して資源で稼ぐこともできます。

Axie Infinityは独自のブロックチェーン「Ronin」を採用し、手数料が安いのも特徴です。

Axie Infinityについては、下記記事で詳しく解説しています。

NFTとは何かを簡単に解説!ゲーム・アートなどで注目される理由から特徴、活用事例までわかりやすく解説!
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Sorare(ソラレ)

出典:https://sorare.com/

「Sorare」は、実在するサッカー選手のカードを入手して5人の仮想チームを編成し、リーグに参加してスコアを競います。

スコアは選手の実際の戦績を反映して変動し、一定以上を獲得するとプレイヤーは仮想通貨を報酬として受け取れます。

トレーディングカードゲームをデジタル化したもので、ルールは分かりやすいと言えます。

成績によってレア度の高いカードを入手でき、転売で大きく稼ぐことが可能です。

運営はフランスのSorare社で、初リリースは2019年。世界のサッカークラブがライセンスパートナーとして参加しており、カードは公認アイテムです。

2022年11月には、アルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手がSorare社に出資し、ブランドアンバサダーに就任したことでも話題になりました。

Sorare社はMLBなどとも契約を進めており、各種のスポーツトレーディングカードゲームを展開していく計画のようです。

STEPN(ステップン)

出典:https://stepn.com/

「STEPN」はNFTのスニーカーを購入して、現実の世界を歩くことで報酬を得られる「Move to Earn」型のゲームです。

スマートフォンのGPSデータなどから現実世界での歩数を計算します。

プレイヤーはスニーカーをセットして、歩いたり走ったりすることで、「GST」という仮想通貨をもらいます。

スニーカーには、属性、レア度、レベルがあり、得られる報酬額が変わります。

入手したスニーカーを育成して機能やレベルを上げれば、高値で転売できます。自分の足で移動する健康志向のゲームでもあります。

プラットフォームはiOSとAndroidのアプリがありますが、PCではプレイできません。

運営企業はオーストラリアのFind Satoshi Lab(FSL)で、リリースは2021年12月です。

|NFTゲームの将来性

NTFゲームの歴史は2017年にリリースされた仮想ネコ育成ゲーム「CryptoKitties」に始まったとされています。

2021年あたりから世界的なブームになりました。今も次々に新しいアイデアとコンセプトのゲームが生まれています。

新しいゆえに、制度的、法的に課題も多くありますが、徐々に整備が進められており、大きな成長が期待されています。以下で解説します。

より多くのゲームが開発される

2022年末、「GAM3 Awards Game of the Year」が開催されました。

NFTゲームを対象とした初のイベントで、世界の100を超えるNFTゲームを対象に16部門の最優秀作品が選ばれました。このジャンルの盛り上がりを感じさせます。

これら新タイプのゲームには、NFTゲーム、ブロックチェーンゲーム、また「Dapps(分散型アプリ)ゲーム」など、いろいろな呼び方があります。

全体として、ゲームとトークン経済が結びついたビジネスモデルは「GameFi」(GameとFinanceを組み合わせた造語)と総称されています。

GameFiは初期段階ではスタートアップ中心でしたが、その可能性に気付いた大手も次々に参入しています。

日本では、スクウェア・エニックス、バンダイナムコ/セガ、サイバーエージェントなどがその例です。

ゲーム会社は長らく培ってきたノウハウを持っており、より洗練された魅力をNFTゲームに付け加えてくれそうです。もちろん先行するスタートアップも、さらに新しいアイデアで勝負するでしょう。

市場規模が拡大する可能性がある

トークンやDAO(分散型自律組織)関連の調査を手がけているNonFungibleによると、2021年の世界のNFTゲームの売上高は51億7000万ドル(約6800億円)に達したといいます。

NFT市場全体では176億ドル(約2兆3000億円)で前年の200倍という勢いで拡大しました。NFTを購入した人も230万人に達し、前年の30倍となったといいます。

トークン経済の「ビッグバン」のような拡大ですが、2022年11月に起こった仮想通貨取引所FTXの破たんで、仮想通貨関連ビジネスには陰りが出ています。NFTも輝きを失い、市場予想も修正を余儀なくされているようです。

しかし一方で、NFTゲームには大きな可能性が開けています。NFTゲームは、プレイヤーが現実のお金を直接稼げることを実証し、新しい通貨モデルの到来を約束しました。

そして今、メタバースの時代がやって来ようとしています。

狭い独自の仮想世界の中で有効だった通貨モデルは、より大きなエコシステムの中で、成長してゆくと期待できます。

市場はますます拡大する可能性が高いと言えます。

法整備が進みゲームがしやすくなる

NFTゲームは、全く新しいモデルであるため、従来の制度が追いついていないという問題があります。

例えば、NFTは現金と同等の価値を持つため、その取引が資金決済法や金融商品取引法などの対象になる可能性があります。

また、運用の仕方によってはギャンブルとみなされ、賭博法に触れるおそれがあります。

こうしたことから、一般社団法人 日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は2021年に、「NFTビジネスに関するガイドライン」を発表して、NFTゲームの運用にあたっては個別具体的に検討するよう事業者にアドバイスしています。

一方で法制度側からの動きもあります。

与党自民党の「デジタル社会推進本部 NFT政策検討プロジェクトチーム」は2022年3月、「NFTホワイトペーパー(案) Web3.0時代を見据えたわが国のNFT戦略」を公表しました。

新たなデジタル経済圏をけん引していくための社会基盤やルールを早急に整備すべきとしています。

今後、NFTゲームにとっても環境が出来上がってゆくことが期待されます。

法整備が進み、ゲームの利便性も上がればNFTゲームのユーザー数も増えてゆくでしょう。

|まとめ

NFTゲームは、ブロックチェーンを利用することで、ゲームで得たデジタル資産を現実のお金に交換できるゲームです。仮想世界と現実の世界をつないだ新しいゲーム産業と市場を生み出しました。

プレイヤーは、その中で資産を増やし、お金を稼ぐことができます。ゲーム内で得たアイテムやキャラクターは、希少性などから非常に高い価値を持つことがあります。

急成長してきたNFTゲーム市場は、仮想通貨の下落などで、やや足踏み状態となっています。

しかし、メタバースという大きなインパクトが市場を活性化すると期待されており、関連の制度や法の整備も進められています。

NFTゲームは今後、利便性も高まり、ユーザーが増えていくことが予想されています。