こんにちは!メタバース相談室です。

近頃AR技術を使用したゲームやコンテンツが非常に多くなってきており、皆様にもAR機能は浸透してきたのではないでしょうか?

そんなAR機能ですが、まだまだ皆様が知らないような活用方法が隠されています。

「広告・プロモーションにARを活用する」と聞いてどのようなものなのかイメージすることは難しいでしょう。

今回はARとは何か、ARを使った広告・プロモーションについて解説していきたいと思います!

それでは早速見ていきましょう。

|AR(Augmented Reality)とは

ARとは英語の「Augmented Reality」(オーグメンテッド・リアリティ)の略称で、日本語では「拡張現実」と表現されます。

すべてが3DCGなどの仮想空間となるVRとは異なり、目の前に見えるリアルな現実の世界に仮想現実を重ね、目の前に空間やコンテンツを表示するのがARです。

ARは、専用のデバイスがなくてもスマートフォンやタブレットのカメラをかざすだけで見ることができるものも多く、だれでも気軽に体験できるのが特徴です。

皆様ご存じの『ポケモンGO』はまさにARを活用したゲームです。

ARを使うことで現実と非現実の融合を体験できるため、見る人に大きなインパクトを与えることができるだけでなく、これまでの動画や紙媒体とは異なるエンタメ性に富んだコンテンツ表現が可能になります。

そのように従来にない形で消費者へのアプローチできることに、スマートフォンの普及や4Gから5Gへの移行など通信環境が大幅に進化したなどの背景もあり、この10年でARを活用したプロモーション施策が多くみられるようになりました。

現在の私たちにとってのAR、Augmented Realityが生まれたのは1990年頭です。

それまで明確に線引きされていなかったVRからARが枝分かれします。

1990年代から徐々にARを一般活用する動きが加速します。

例えば、1998年、とあるアメリカのテレビ局がアメリカンフットボールの試合中継で、競技場の映像に黄色いラインをオーバーレイしました、このAR活動方法は多くの一般人の目に留まり、試合をより分かりやすくし、盛り上げるための仕組みとしてその後広く浸透していきます。

2000年代に入ってからも、ARの技術を活用した多彩なアプリが設計されています。

VRとの違い

「VR(Vertial Reality)」とは、現実世界とは全く異なる新しい世界をデジタル空間に創造する技術を指します。

自身はアバター姿になり、仮想空間上で様々な人と交流を行うといった、様々な可能性を秘めているのです。

VRは「VRゴーグル」といった専用の機器を利用することで、より没入感の高い体験が得られます。

メタバースという言葉とVRは混同されることも多いですが、基本的にVRは技術的な意味合いを指すことが一般的です。

つまり、VRを活用してメタバース空間を楽しむといった感覚が適切でしょう。

こうした内容から、現実世界に架空の存在を付与させるARとVRは、根本的に異なる技術となるのです。

ARについては、下記記事で詳しく解説しています。

AR(拡張現実)とは?活用シーンからVR、MRとの違いまでわかりやすく解説
AR(拡張現実)とは?活用シーンからVR、MRとの違いまでわかりやすく解説

|AR広告・プロモーションのメリット

では、ここからはARを広告やプロモーションに用いるメリットについて解説していきます。

コンバージョン率の向上

現実にデジタル情報を付与できるARは、実際には存在しない仮想のものがまるで実在するかのように見せることができます。

これを利用することで、皆さんも一度は経験したことがあるであろう、購入した後の「イメージに合わなかった」という問題を解決することができます。

「実店舗に行かなくても商品を見ること・試すことができる」ことにより、購買率の向上・返品率の減少が期待できます。

例として、IKEAの家具設置シミュレーション、200以上のメイクを試せるYouCamメイクなどが挙げられます。

SNSでの拡散が期待できる

SNSでは、ユーザーが興味をもった体験は積極的にシェアされます。

ARは様々なコンテンツをデジタル表示させたり、ゲーム性を持たせたりできる分、ユーザーの共感を得やすい特徴がありますので、SNSとは相性抜群です。

これまで話題となった事例として、アメリカのアパレルメーカー「Foot Locker」が実施したプロモーションイベント「The Hunt」が挙げられます。

これはNikeのエアジョーダンのPRとして行われ、街中のあらゆる場所に隠されたマーカーを探していくというイベントです。最後のマーカーを見つけた人には「新作のエアジョーダンを購入することができる権利」が与えられ、開始からわずか2時間で完売。

SNSでは無事にエアジョーダンを入手できた人たち、参加した人たちの感想が次々にシェアされ、話題を呼びました。

ブランドや商品の世界観を体験できる

AR広告を用いることで、ただ視聴するだけではなく、体験するという要素を加えることができます。

これにより、新規ファンの開拓にも大いに貢献できるでしょう。

例えば、中国のストリートファッションブランドHIPANDAは、日本の表参道でオープンした店舗でARを用いたプロモーションを実施しました。コンセプトキャラクターであるパンダが大量に出現し、ブランドの世界観を味わうことができました。

こういったプロモーションにより、店舗内の滞在時間の延長や購買意欲の向上にも結びつけることができます。

アクセスログを取ることができる

AR広告では、アクセスログを取ることも可能です。

ログを分析することで、どのようなユーザーが興味を持っているのか、どの商品が人気を集めているのか等を数値化することができます。これにより、新たなマーケティング対策を検討することができます。

また、AR広告は3DCGがほとんどのため、Web広告よりも多角的に顧客データを分析することが可能です。

|AR広告の種類

AR広告には様々な種類が存在していますが、一般的に以下の2つに分類されることが多くなります。

  • ロケーション型
  • ビジョンベース型

それぞれの特性を理解することで、AR広告をより適切に活用できるでしょう。

ロケーション型の「GPS」

ロケーション型とは、その名称の通り「場所」に連動させたAR広告が実現する手法です。

環境の変化に強く、広い範囲で様々な広告を展開したい場合や、マーカー設置が難しい場所での利用に向いています。

GPSを活用することで正確な位置情報が得られる上に、センサーによる端末の傾き、速度などの検知も可能。

非常に精密な広告表示が実現するというメリットを持っています。

ビジョンベース型

ビジョンベース型はカメラを通じて読み込んだマーカーを解析した上で、画面に表示させる手法です。

QRコードのように紙面や画面に表示された情報を読み込むため、一般的な広告に使用しやすいといえるでしょう。

マーカー型の場合、周辺の環境に依存することなく安定した表示が期待できます。

一方、マーカーレス型の場合は周辺オブジェクトを自動認識した上で、特定の広告を表示させられます。

それぞれの技術は影響しないため、併用することでより質の高いAR広告が作成できるでしょう。

AR開発に関する情報は以下の記事をご覧ください。

AR開発におすすめの学習本6選!必要な開発ツールやプログラミング言語も紹介
AR開発におすすめの学習本6選!必要な開発ツールやプログラミング言語も紹介

|AR広告・プロモーションの活用事例

AR広告・プロモーションのメリットを前章で説明させていただきましたが、パーソナライズ化ができたり、ダイナミックな表現ができたりと今までの2次元の広告ではできないことが再現可能であることがお判りいただけましたでしょうか。

次の章では、具体的にどのように活用されているのか紹介していきたいと思います。

FENDI

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000257.000003876.html

イタリアを代表するファッションブランドであるFENDIはARを使ったプロモーションを多く活用しています。

2022年のクリスマスシーズンに行われたイルミネーションツアーです。

表参道のイルミネーションをFENDIのラッピングをしたルーフトップバスで周遊するイベントですが、ここでAR機能が活用されました。

参加者にはARグラスが配られたり、ARカメラをかざしたりすることでイルミネーションに合わせて雪やFENDIのロゴが映し出される演出を見ることができます。

体験したことで何か特典を得られるというものではなく、体験自体が価値となるプロモーションの例です。

ドミノ・ピザ

出典:https://www.dominos.jp/topics/200811_w10c

大手宅配ピザチェーン店「ドミノ・ピザ」が、新商品「ワールド10チーズ・クワトロ」の発売に合わせてプロモーションARアプリを期間限定リリースしていました。

AR起動ページにアクセスすると、3Dモデルで制作された地球儀が出現し、新商品ピザ4種類に使われている世界各国のこだわりの10種類のプレミアムチーズに関する理解を深められるという、最先端の消費者体験を提供しました。

チーズのこだわりを訴求することで、同業他社よりも「ドミノブランド」に愛着を持てるようになり、長期的なファンベースを構築することができます。

ジャックダニエル

出典:https://ar-marketing.jp/jackdaniels/

アメリカのウイスキー製造メーカーであるジャックダニエルは、自社の歴史やウイスキーの製造方法を紹介するアプリをリリースしています。

このアプリでは、自社商品のラベルを読み込むと、歴史に関するエピソードを3D絵本で楽しむことができます。ARで目の前に現れるということで、より興味を持つことができる内容になっています。

昔からのファンは勿論ですが、新規ファンの獲得にも役立つアプリですね。

SnapChat

出典:https://zenn.dev/meson/articles/get-started-custom-landmarkers

アメリカの若年層に人気のSNS「Snap Chat」には「ランドマーカー」という機能が搭載されています。

これは、世界中にある名所にカメラをかざすと、名所が面白いARスポットに変わるという機能です。

例えば、アメリカのニューヨーク・マンハッタンにある「フラットアイアンビルディング」にカメラをかざすと、建物全体がピザの生地になってしまいます。

また、フィルタを変えるとビルがぐにゃぐにゃに曲がったり、ビルの周りをバルーンが飛び回ったりと、演出が変化します。

Warbyparker

出典:https://wired.jp/2019/02/18/warby-parker-ar-app/

アメリカのメガネブランドであるWarby Parkerは、iPhoneX以降に標準搭載された「顔面3Dマッピング機能」を利用して眼鏡を試着できるサービスを提供しています。

アプリで試着したいメガネを選び、カメラを起動して自分の顔を映すと、メガネがARで現れます。顔の向きを変えてもずれないので、実際にメガネをかけている状態を体験することができます。

尚、気に入ったメガネはそのままオンラインショップで購入できるため、わざわざ店舗にいく必要がありません。

ARでリアルに試着体験できるなら、「手に取って実物を見れない」という不安も払拭できそうですね。

資生堂

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002546.000005794.html

資生堂の化粧品をバーチャルに試すことができるアプリです。

顔を動かしたり表情を変えたりしてもリアルタイムにメイクがちゃんとついてきますので、いろいろな角度から色の具合を確認することができます。

気に入った商品はそのままECサイトの「ワタシプラス」で購入することができます。

TISSOT

出典:https://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1212/14/news006.html

こちらは「販売促進」という点でのプロモーションの事例です。

スイスの高級腕時計TISSOT(ティソ)の試着ができるアプリです。

TISSOの店舗の前で配られている紙のリストバンドを手にはめてそばにある端末に手をかざすと、画面上にTISSOTの腕時計をはめた自分の姿が映し出されます。

手を動かしても実際に手にはめているようにAR表示され、もちろん時計の種類も瞬時に変えることができます。

 TISSOTのこのプロモーションは3週間で85%も売上が増加したとのことです。

|まとめ

ARの広告について解説させていただきましたがいかがでしたでしょうか。

現在、ARは多くの場面で広告やプロモーションの面で利用されており、売上を増加させる施策として注目されています。

街中でもAR機能があったら試してみたくなってしまいますよね。

私も、買い物をする前に家具やメガネなど一度ARで試してから購入していますが、購入後のイメージが着いた状態なので、ギャップが無くて非常に助かっています。

広告やプロモーションで悩んでいる場合は、ぜひARを活用してみてはいかがでしょうか。