ゲームの腕前を競い合う「eスポーツ」が、新たなスポーツ競技として注目を集めているのをご存知ですか?

eスポーツについて「スポーツとは言えない」「単なる趣味の延長では?」という否定的な意見もある中、「いやいやスポーツだ」と確信を持って言える方も少ないでしょう。

しかし、コンピューターゲームは多くの人を熱狂させ、オリンピック競技として検討する動きもあります。

本記事では、eスポーツの定義、主な種目、国内外の大会、プロ選手のキャリアなど、詳しく解説します。

この記事を読めば、eスポーツが従来のスポーツに匹敵する経済効果を生み出す立派な競技であることがわかるはずです。

ゲームが生み出す新たなスポーツ文化と可能性について、一緒に探っていきましょう。

目次

|オリンピック競技としても期待されるeスポーツとは?

eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツの略で、コンピュータゲームを競技として行うスポーツのことです。

1対1の対戦から5対5のチーム戦まで、さまざまな形式で勝敗を競います。

近年、eスポーツは世界中で普及し、国際大会や大規模なトーナメントが開催されるようになりました。

優勝賞金が数百万ドルに上る大会もあり、eスポーツは世界的に注目を集めるスポーツの一つとなっています。

eスポーツの歴史

eスポーツは、1980年代に誕生しました。

当初は単純なコンピュータゲームとして人々の関心を集めましたが、徐々に競技としての認知が高まっていきます。

1990年代には国際的なeスポーツ大会が開催されるようになり、2000年代にはインターネットの普及によって世界中のプレイヤーが対戦できるようになりました。

2010年代には大規模なトーナメントを開催するようになり、プロプレイヤーやチームが登場します。

近年、eスポーツは国際的なスポーツとして認知されるようになり、世界中で支持されるようになっています。

現在では、eスポーツは大規模なスポーツイベントを開催するとともに、多くの大学や企業がeスポーツチームを作っています。

日本のeスポーツ元年

日本では2018年がeスポーツ元年とされています。

欧米や韓国では2000年代からeスポーツの機運が高まっていましたが、日本では2016年ごろまであまり認知されていませんでした。

しかし、2018年に一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が発足し、プロライセンスの発行や全国都道府県対抗eスポーツ選手権の開催など、競技としての基盤が整い始めました。

この2018年を境に、日本でもeスポーツが注目されるようになったのです。

eスポーツはスポーツか?従来のスポーツとの違い

eスポーツがスポーツかどうかについては、さまざまな議論があります。

従来のスポーツは、身体全体を使った動きや高い身体能力が勝敗を左右するのに対し、eスポーツは身体を動かすことはほとんどありません。

eスポーツでは視覚と手の連動性、瞬発力、戦略的思考が重要で、身体的な要素よりもメンタル面が勝敗に大きく影響します。

一方で、eスポーツも競技性やルール、技術の向上、エンターテインメント性などの点で、従来のスポーツと共通する部分が多くあります。

eスポーツがスポーツかという議論は、個々人のスポーツの捉え方に依存するため、現時点で明確に結論づけることはできません。

しかし、eスポーツ選手の大会に向かう姿勢や観客の期待は、伝統的なスポーツと遜色なく、新たなスポーツの形として着実にその地位を確立しつつあると言えます。

eスポーツのオリンピック競技化へ向けた動き

eスポーツはスポーツかという議論の裏には、eスポーツをオリンピックの正式種目にする動きがあるためです。

国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、2017年の五輪サミットで「本格的なeスポーツは、伝統的なスポーツに匹敵する」という趣旨の声明を発表し、eスポーツの正式種目採用に前向きな姿勢を示しました。

その背景には、若い世代のスポーツ離れが問題視されており、IOCは若年層のスポーツへの注目を集めたい考えがあります。

IOCはその姿勢を崩すことなく、2023年には「オリンピックeスポーツシリーズ」を開催し、大きな話題を呼びました。

第1回となるこの大会は、シンガポールで開催され、世界64の国と地域から100人以上の選手が参加し、多くのファンが熱狂しました。

こうしたIOCの動きにより、eスポーツのオリンピック競技化の機運が徐々に高まっているのです。

|eスポーツの現状と市場規模

eスポーツは、オリンピック競技化の期待とともに、競技人口や市場規模は年々拡大しています。

ここでは、eスポーツの現状を競技人口、市場規模、大会の賞金額と規模の観点から詳しく見ていきます。

eスポーツの競技人口

出典:https://jesu.or.jp/contents/news/news-231225/

世界のeスポーツ競技人口は約1億3000万人、日本国内では390万人いると言われています。

プレイヤー数ではなく、ファン数に至っては、約800万人いるとされ、年々増加する見込みです。

アジアや北米などでは高い人気を誇り、多くの大学や企業がeスポーツチームを作り、競技者を支援するようになっています。

特にアメリカは、約1千万人ものeスポーツ選手が世界大会に出場。

また、eスポーツ市場は過去数年間で急速に拡大しており、今後もさらに拡大すると予想されます。

これは、ゲーム業界の普及とともに、ゲーム技術のアップグレードによっても引き起こされているのです。

世界中の人々の関心を集めるスポーツイベントとしても活用されており、多くの大企業がスポンサーとして参加するようになっています。

eスポーツの市場規模

出典:https://jesu.or.jp/contents/news/news-231225/

日本のeスポーツ市場は急速に成長しており、2022年には推定125億円に達しました。

これは前年比27%増という驚異的な伸び率です。

コロナ禍でオンライン開催が定着したことに加え、オフライン開催も徐々に増加し、相乗効果で市場拡大に拍車がかかっています。

今後もこの傾向は続くと予想され、2025年には210億円を超える市場規模になると推定されます。

年平均成長率は20%を超える見通しで、eスポーツ業界の将来性の高さがうかがえます。

世界的にも拡大傾向にあり、ファミコンの登場以降世界のゲーム産業を牽引をしてきた日本もこれに追従していくでしょう。

eスポーツ大会の賞金額と規模

eスポーツ大会の賞金額は年々増加傾向にあり、世界規模の大会では数十億円もの賞金が用意されています。

例えば、Dota2の世界大会「The International」では総額約510億円、フォートナイトの「Fortnite Champion Series」では約260億円の賞金が提供されました。

日本国内でも大規模な大会が開催されており、「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE SEASON2」では総額3億円、「Shadowverse World Grand Prix 2021」では総額2億8000万円の賞金が用意されました。

また、2022年にさいたまスーパーアリーナで開催された『VALORANT』のeスポーツ大会では、2日間で観客動員26,000人を記録。

世界と比較すると、日本の賞金規模はまだ小さいものの、ポテンシャルは非常に高く着実に成長しています。

|eスポーツの魅力

eスポーツは年齢や性別を問わずに楽しめるという魅力があります。

リアルなスポーツとは異なり、身体的ハンデが生まれることはほとんどなく、ゲームスキルで勝敗が左右されます。

また、ゲームができる環境さえあれば、インターネットを通じて世界中からプレイや観戦することができ、お手軽で環境面の負担が少ないのが特徴です。

さらには大会やイベントも多く開催されており、観客や参加者が集まることで盛り上がる魅力もあります。

全世界どこからでもプレイできる

eスポーツの魅力の1つは、ゲームができる環境さえ整っていれば、世界中どこにいてもプレイ可能で、他のプレイヤーとも競い合えることです。

また、遠隔地からの観戦も可能で、リアルタイムに試合を楽しむことができます。

環境面でも優れており、自分のペースでトレーニングや対戦できるところが特長です。

さらに、外出することなくエンターテイメントを楽しむことができるため、リアルなスポーツには無い手軽さというメリットもあります。

性別や年齢、障害の有無に関わらず参加・観戦できる

eスポーツの魅力は、誰でも参加・観戦できる点にあります。

従来のスポーツでは、年齢や性別、体重、体格差など、生まれ持った身体的特徴が競技の優位性に大きく影響します。

しかし、eスポーツではゲームの腕前のみの勝負となるため、そうしたハンディキャップが少ないのが特徴です。

ゲームのルールとコントローラーの操作を理解すれば、老若男女問わず誰でも参加可能。

身体的に障害のある方とでも、平等に試合ができます。

観戦する際も、ネット環境さえあればどこからでも楽しめるため、多様な人々がeスポーツに触れる機会があります。

このようにeスポーツは、性別や年齢、障害の有無に関わらず、誰もが同じ土俵で繋がれるインクルーシブなスポーツであるのが大きな魅力です。

多様なジャンルから好みのゲームを選べる

​​eスポーツには、シューティングやレーシング、格闘ゲームなど多種多様なジャンルのゲームが存在しています。

プレイヤーは自分の好みや適性に合わせて競技を選ぶことができるため、多くの人が楽しめるのがeスポーツの魅力です。

怪我のリスクがない

eスポーツでは、身体的な接触がないため、怪我のリスクはほぼないと言っていいでしょう。

例えばサッカーやラグビーなどの場合、激しいタックルなどによって重篤な怪我を負い、選手生命を絶たれてしまうケースがあります。

一方、eスポーツでは激しい身体的動作を伴わないため、そうした心配がありません。

大怪我で夢半ばにして引退を余儀なくされる悲劇を避けられるのは、eスポーツならではのメリットと言えるでしょう。

|eスポーツの主な種目と人気タイトル

eスポーツにはさまざまな種目のゲームタイトルがあります。

FPSやRTSと呼ばれるシューティングゲームや、チーム対戦が魅力のMOBA、格闘ゲームやスポーツ、レーシング、パズルといった種目です。

また、スマートフォンの普及により拡大した、スマホゲームも種目含まれています。

各ゲームにはそれぞれ魅力や特色があり、プレイヤーたちは必要なスキルを駆使して競います。

ここでは、各種目別にゲームの内容や魅力、代表作についてお伝えします。

FPS/TPS

FPS(First Person Shooter)やTPS(Third Person Shooter)は主にシューティングゲームの一種です。

FPSはプレイヤーが主人公の視点(一人称視点)になっているタイプで、TPSは主人公の後方視点(三人称視点)のタイプとなります。

ゲーム中の世界や空間を自由に移動でき、ステルスや戦略を用いて、素手や様々な武器を使いながら敵を倒すアクションゲームのスタイルを指します。

対戦要素が強いことから、チーム戦でせんめつ戦や陣取り戦を行うものが多いです。

eスポーツ競技としては、FPSの「Call of Duty」やTPSの「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」が人気です。

RTS

RTS (Real-Time Strategy) は軍隊などの指揮官になって、俯瞰視点から戦場を大局的に見据え敵を撃破していく、リアルタイム型のシュミレーションゲームを指します。

プレイヤーはリアルタイムで様々なリソースを管理し、建物を建てて部隊を作り、戦略・戦術をもちいて敵を倒すことを目的とします。

戦略性が重要であり、素早い決断力と戦略の立て方が勝敗を左右することが多いです。

一般的にRTSはPCゲームとして人気があり、「StarCraft」や「WarCraft III」が代表例です。

eスポーツシーンでも大会が開催されており、競技人口や観戦者も多く幅広い年齢層から支持されています。

MOBA

MOBA (Multiplayer Online Battle Arena) は、プレイヤーが4〜5人のチームに分かれて、陣地を守りながら、相手チーム陣地の制圧を目指すゲームです。

RTS (Real-Time Strategy) から派生したゲームジャンルで、RTSは1対1での対戦がメインですが、MOBAはチーム対戦となります。

MOBAはプレイヤーがそれぞれ異なる特徴を持ったキャラクターを選択し、仲間と連携を図りながら勝利を目指すチームプレイが魅力の1つです。

高い戦略性と状況判断力、チームプレイが求められるMOBAは、世界中で最も人気があるジャンルであり、大規模なトーナメントやリーグも開催され、高額賞金が用意されます。

格闘ゲーム

格闘ゲームは、ビデオゲームに基づいた競技形式であり、プレイヤー同士が主にキャラクターを用いて1対1で対戦することが特徴です。

格闘ゲームは長い歴史を持ち、日本人が最も活躍するジャンルです。

スキルや策略などが重視される競技であり、観戦者にとっても非常にエンターテイメント性が高いと評価されています。

コミュニティ規模はFPSやMOBAに次ぐメジャーカテゴリで、格闘ゲームの世界大会「EVO」をはじめ、数多くの大会が国内外で開催されています。

最も有名な「ストリートファイター」シリーズや「鉄拳」、「グランブルーファンタジーヴァーサス」、「大乱闘スマッシュブラザーズ」などの国産の人気作があります。

スポーツ /レーシングゲーム

スポーツゲームは、実際に行われているスポーツのシミュレーションゲームです

サッカー、野球、バスケットボール、バレーボールなどがあり、プレイヤーは競技者として一人で複数の選手をコントロールし、対戦相手と勝敗を競います。

「ウイニングイレブン」や「実況パワフルプロ野球」などが人気です。

レーシングゲームは、自動車やバイクなどの乗り物を使ったレースをシミュレーションするゲームです。

プレイヤーは車両を操縦して他のドライバーと競い合い、リアルなレーシング体験を楽しめます。

「グランツーリスモ」や「WRC」、「マリオカート」などが人気作となっています。

近年ではVRの登場により、よりリアルなレーシング体験を楽しむことができます。

パズルゲーム

パズルゲームは、プレイヤーが数学的な技術や計算能力、頭の良さを競うゲームのことです。

パズルゲームの多くは、画面上のコマの配置を変えてコマを消すといった操作によって、スコアを競い合う仕組みになっています。

代表作としては、「Tetris」や「ぷよぷよ」、スマホゲームブームの火付け役となった「パズル&ドラゴンズ」などがあります。

これらのゲームはかんたんな操作と視覚的な魅力があり、ルールが明快で誰でも楽しめることから、幅広い年齢層に人気のあるジャンルです。

eスポーツにおいてもパズルゲームのトーナメントが開催され、世界中のトッププレイヤーたちが競い合っています。

音楽ゲーム

音楽ゲームは、曲のリズムに合わせて画面に表示されるボタンを押し、その精度に応じて得られる点数を競うゲームです。

プレイヤーは自分のタイミングとリズム感を使って高得点を狙い、視覚的にも面白い演出があるので、音楽との調和を楽しむことができます。

また、選択可能な曲の数が多いため、プレイヤーの好みに合った曲を選択することができます。

音楽ゲームは楽しさと同時にリズム感を養うこともできるため、音楽好きな人には特に魅力的です。

KONAMI社の音楽ゲームシリーズのブランド「BEMANI」は、「DanceDanceRevolution」や「ノスタルジア」などの人気作品を展開し、2021年にはプロリーグも設立しています。

|国内で開催されているeスポーツ大会

国内のeスポーツ大会は多数開催されており、規模も拡大しています。

主にゲームタイトルごとやジャンル別にカテゴライズされ、大会は年間を通じて開催されます。

競技者はプロゲーマーから一般のゲーマーまで多様なバックグラウンドを持つ方が参加。

プロアマ問わず多くのプレイヤーがしのぎを削り、観客は、他のプロスポーツと同様、その手に汗握る試合や演出を楽しみます。

ここでは、国内で行われている主要なeスポーツ大会を5つピックアップしてご紹介します。

それぞれの大会の特徴や規模、出場資格などを見ていきましょう。

全国都道府県対抗eスポーツ選手権

全国都道府県対抗eスポーツ選手権は、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が主催する、都道府県の代表選手が日本一を争う大会です。

2019年に第1回大会が開催され、年々規模が拡大し、今年で6回目を迎えます。

競技タイトルには「eFootball ウイニングイレブン」「パズドラ」「モンスターストライク」などがあり、競技によって参加資格(年齢)が異なります。

この大会は、eスポーツの普及や、各県のeスポーツ選手の活躍を促進することを目的として開催。

2023年は7万人ものエントリーがあり、eスポーツを通じた地域交流と競技の普及に貢献しています。

EVO JAPAN 2023

EVO JAPAN 2023は2023年3月31日〜4月2日に東京都で開催される格闘ゲームe スポーツ イベントです。

EVOはもともと、アメリカのラスベガスで毎年夏に開催されている、数十年の歴史を持った巨大な格闘ゲームイベントです。

日本で開催されるEVO Japanはその理念を受け継いだ、世界大会です。

「グランブルーファンタジーバーサス」や「ギルティギアストライブ」など、計7つのタイトルで競技が行われます。

会場では、試合の模様を大型スクリーンで観戦できるほか、ゲームメーカーのブースやステージイベントなども用意され、格闘ゲームファンの祭典として大いに盛り上がりを見せました。

EVOは、格闘ゲームジャンルにおける世界的な一大イベントとして知られています。

RAGE

RAGE(レイジ)は、株式会社CyberZとテレビ朝日、エイベックスが共同で主催する国内最大級のeスポーツイベントです。

2015年に初開催され、年に複数回開催されています。

「Shadowverse」や「 Apex Legends」といった人気タイトルの公式大会の運営をはじめ、一般参加型のイベントやプロリーグ、などのプロジェクトを実施しています。

RAGEは国内公式大会における最高同時接続者数41万人を記録。

観客動員数でも2日間で2万6千人超を記録し、eスポーツイベントにおける総動員数、総視聴数においても国内No.1となっています。

闘会議

闘会議は、株式会社ドワンゴが主催するeスポーツの大会です。

主に、「パズドラ」「大乱闘スマッシュブラザーズ」「鉄拳7」など格闘ゲームやスマホゲームの大会が行われます。

会場内にはフードコートはもちろん、有名ゲームが体験できるブースやコスプレが楽しめたりと、イベントが充実しています。

また、2019年の来場者数は8万人を超えを記録するほど注目を集める大会となりました。

その後、2020年は新型コロナウイルスの影響により中止となっていましたが、2021年はネット参加限定で開催されています。

東京eスポーツフェスタ eスポーツ競技大会

東京eスポーツフェスタ eスポーツ競技大会は、「一般社団法人日本eスポーツ連合」や東京都などが運営しています。

2020年1月に初めて開催され、今年で4回目となるイベントです。

プロ部門を除いて誰でも参加可能で、子どもから高齢者までだれもが楽しめるeスポーツの発展を目的とした大会となっています。

2022年1月28日から30日にかけて行われた3回目の大会の配信は、総視聴数が約14万回にものぼりました。

|さまざまな業界がeスポーツに参入する理由

近年、eスポーツ市場は急速に成長しており、多くの業界が参入する理由があります。

そのひとつとして、市場の拡大に伴いプレイヤーだけではなく観客数が増加しているという点です。

性別や年齢に関係なく誰もが参加でき、スマートフォンでプレイできるタイトルも多いので、若年層への発信力もあります。

また、eスポーツはインターネットを通じて世界中で視聴することができるため、広告効果も高いと考えられています。

さらに、オンライン上で開催されるため、場所や時間に制限されないというメリットがあります。

これらの要因から、さまざまな業界や企業がeスポーツへ参入し、今後も市場は拡大していくでしょう。

|eスポーツ選手としてのキャリアと将来性

eスポーツ選手のキャリアは、将来性があるのでしょうか。

ここでは、eスポーツ選手の収入や収入源、プロになるための道のりを詳しく見ていきます。

eスポーツを生業にした人生には、どんな未来があるのでしょうか。

eスポーツ選手の平均年収

プロeスポーツ選手の平均年収は、日本では400万円台と言われています。

ただし、これはあくまで平均であり、一部のトップ選手が押し上げている結果で個人差があります。

トップ選手になれば年収1億円を超えるケースもありますが、多くの選手はeスポーツの賞金だけで生計を立てるのは難しいのが現状です。

これはeスポーツに限ったことではなく、プロボクサーや格闘技選手などと同様であるといえます。

プロeスポーツ選手の収入は、野球やサッカーなどの人気スポーツは例外として、他のプロスポーツ並みと言えるでしょう。

eスポーツは発展途上のスポーツであり、今後は業界の発展とともに、賞金額も増える可能性も考えられます。

eスポーツ界のトッププレイヤーの年収

日本のeスポーツ界のトッププレイヤーの中には、大会賞金だけで1億円以上を稼ぐ選手もいます。

現在、日本人選手の賞金獲得額ランキング1位は「かきp選手」で、その金額は約1,228,551ドル(約1億8,400万円)に上ります。

かきp選手は、トレーディングカードゲーム「シャドウバース」の世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2021」で優勝し、1億5000万円という国内最高額の賞金を獲得しました。

しかし、世界的に見ると、日本のトッププレイヤーの賞金獲得額は、まだ差があるのが現状です。

世界ランキングトップ10の選手の平均獲得賞金は約8億円で、日本のトップ選手の約4倍に達します。

特に、世界では「Dota 2」の選手が高額賞金を獲得しており、上位選手の多くはヨーロッパを中心とする海外選手で占められています。

ただし、これらの金額はあくまで大会賞金のみで、実際の年収はスポンサー料や配信収益なども含めると、さらに跳ね上がるでしょう。

eスポーツ選手の主な収入源

eスポーツ選手の主な収入源は、大会賞金以外にも様々あります。

まず、スポンサー収入が大きな割合を占めます。

多くの選手やチームが企業やブランドとスポンサー契約を結んでいます。

次に、タイアップイベントでの収入があります。

選手を起用した動画制作やイベント出演など、企業のニーズに合わせた活動で収益を得ます。

また、所属チームからの給与や、ゲーム内アイテムの売上なども、安定した収入源となっています。

さらに、ゲーム配信などによる広告収入や投げ銭、グッズ販売、ファンクラブ運営なども、選手の収入を支えています。

このように、eスポーツ選手の収入は多岐に渡っており、大会賞金だけでなく、様々な収入源を確保することが重要になっています。

プロのeスポーツ選手になれる確率

プロのeスポーツ選手になれる確率は非常に低く、わずか0.008%です。

これはJeSUのプロライセンス登録者数322名(2024年時点)と、競技人口の約390万人から算出した数字です。

これは、プロ野球選手になれる確率0.1%よりもさらに厳しい競争率だと言えます。

しかし、eスポーツ業界は急速に成長しており、大会や賞金額の増加、スポンサーの参入などにより、プロ選手としてのキャリアが確立されつつあります。

また、プロ選手以外にも、ストリーマーやコーチ、解説者など、eスポーツに関連する職業も増えています。

プロ選手を目指しながら、これらの職業でキャリアを積んでいくことも可能でしょう。

|eスポーツ選手になる方法

eスポーツ選手になるのに決まった方法はなく、さまざまなルートが考えられます。

ここでは、大会で実績を積む、プロライセンスを取得する、プロチームに入る、専門学校で学ぶといった主なルートについて詳しく解説します。

あなたに合ったeスポーツ選手への道を見つけましょう。

大会やランキングで上位に入り知名度を上げる

eスポーツ選手になるための第一歩は、大会やランキングで良い成績を収めることです。

オンラインやオフラインの大会に積極的に参加し、上位入賞を目指しましょう。

特に、有名大会での活躍は、プロチームからの注目を集めるチャンスになります。

また、ゲームタイトルによってはランキングシステムがあり、上位にランクインすることで知名度を上げることができます。

大会実績とランキングを積み重ね、自分の名前を業界に知ってもらうことが重要です。

そうすることで、プロチームからのスカウトや、スポンサーからのオファーなどに繋がっていきます。

JeSU公認プロライセンスを取得する

eスポーツ選手になるのにライセンスが必ずしも必要なわけではありませんが、ライセンスを持っているとプロとしての活動がしやすくなります。

日本eスポーツ連合(JeSU)が発行するプロライセンスは、プロゲーマーとして認定された証となるものです。

ライセンスがあると、出場できる大会が増えたり、スポンサーやプロチームから声がかかりやすくなったり、さまざまなメリットがあります。

プロライセンスを取得するには、JeSUの定めるプロゲーマーの定義に誓約し、公認大会で優秀な成績を収め、指定の講習を受ける必要があります。

プロのゲーミングチームに入る

プロのゲーミングチームに入ることは、安定した収入を得ながらプロ選手としてのキャリアを築く上で重要な選択肢の一つです。

多くのプロチームでは、所属選手に給与が支給されるなど、eスポーツ活動に専念しやすい環境が整っています。

ただし、プロチームに入るためには、ある程度の実力が求められます。

チームによっては、「トライアウト」と呼ばれる選考会を開催しており、そこで合格することで入団の道が開けます。

ホームページなどで募集しているのでチェックしてみてください。

また、大会で優秀な成績を収め、注目を集めることでスカウトが来るケースもあります。

専門学校で学ぶ

専門学校で学ぶこともプロ選手を目指す手段の一つです。

専門学校では、ゲームの技術だけでなく、戦略や分析方法、メンタルマネジメントなど、プロ選手として必要なスキルを体系的に学ぶことができます。

また、学校内での大会や合同練習など、実践的な経験を積むこともできます。

さらに、学校を通じてプロチームとの接点を持てたり、業界関係者とのネットワークを築けたりするのも大きなメリットです。

専門学校で学びながら、大会での実績を積み重ねることで、プロ選手としてのキャリアへの道が開けてくるでしょう。

|日本はeスポーツ後進国?今後の課題を解説

インターネットの普及により、eスポーツ市場は世界的に拡大しています。

日本でも拡大していますが、アメリカや中国と比較すると市場規模や認知度はまだまだ小さいのが現状です。

大会における賞金も日本は海外と比べると少額です。

これらは、日本のテレビゲーム文化や法律の問題が関係しています。

ここでは、日本国内のeスポーツ市場が世界に出遅れている原因や世界の大会に比べて賞金額が少ない理由についてお伝えします。

国内での認知度があまり高くない

国内ではまだまだeスポーツに対する認知度が低く、海外に比べて観客の数が少ないという現状があります。

一部のゲームファンやゲーム関連者以外では、eスポーツの成長や魅力を認識していない人も多いと考えられます。

これは、eスポーツの歴史が短いことも一因であり、またメディアや教育機関などによる普及活動が不十分なことも影響しています。

認知度を上げるためにも発信力のあるインフルエンサーなどが、積極的に発信活動を行い、少しでも多くの人にeスポーツの魅力を知ってもらう必要があるでしょう。

しかし、eスポーツの大会開催やプロ選手の育成などが進んでいることもあり、今後認知度が高まっていくことが期待されます。

日本国内のeスポーツ市場は世界に出遅れている

日本国内のeスポーツ市場は、世界のeスポーツ産業と比べてまだまだ発展途上であり、世界に出遅れている状況が続いています。

世界的に高まる勢いに乗り、多くの国では大規模な大会やイベントが開催されており、大企業からスポンサーシップを受けています。

ソニーや任天堂など大手ゲーム企業を擁する日本は「ゲーム大国」とも呼ばれていますが、eスポーツではPCで行うゲームタイトルも数多くあり、日本のゲーム主流は家庭用ゲーム機であったことから、PCゲームの普及率がアメリカや中国と比べ少ないのが要因の1つです。

eスポーツ市場を牽引する企業や団体がPCゲーム市場の成長・育成に努めることが必要だと考えられます。

世界の大会に比べて賞金額が少ない

日本のeスポーツ大会の賞金金額は、世界に比べ低い傾向にあります。

2022年1月開催の「シャドウバース」の優勝金額は1億5千万円と日本開催のゲーム大会史上最高額となりました。

一方、世界では優勝賞金のみで20億円にも上るなど、国内の賞金額の低さが課題となっています。

日本の賞金額が低い理由としては、法律が関係しています。

日本では景品表示法の規制から、ゲームの大会賞金の最高額は10万円に限られると考えられてきました。

しかし、それでは日本のeスポーツ業界の発展に影響すると考えた日本eスポーツ連合は、景品表示法の規制対象にならない「仕事の報酬」として賞金を出すことを目指し、近年では高額賞金を出すeスポーツ大会が増えています。

|まとめ:eスポーツは新たなスポーツ文化の芽生え

いかがでしたか?

本記事では、eスポーツの定義や歴史、主要な大会、選手のキャリアなどを紹介してきました。

eスポーツは、従来のスポーツとは異なる特徴を持ちながら、競技性や戦略性、エンターテインメント性を備えた新たなスポーツ文化として成長を続けています。

市場規模も年々拡大しており、国内外で多くの大会が開催されるようになりました。

eスポーツ選手のキャリアは、賞金規模や収入面などをみても他のプロスポーツ選手に引けを取りません。

eスポーツは、伝統的なスポーツと共存しながら、スポーツ文化全体を豊かにする存在となるでしょう。

これからの盛り上がりに今後も注目です。

最後までご覧いただきありがとうございます。