AI(人工知能)とはどのような意味なのか?どんなことに使われているのか?知りたいとは思いませんか?
AIは、コンピュータが人間に似た知能を獲得することを目的とした技術の総称です。
近年、様々な分野で急速な普及を見せていますが、そもそもAIとは何の略であり、どのような仕組みに基づいているのか、まだまだ詳しいことを知らない人が多いかもしれません。
本記事では、AIの概要や歴史を解説し、ビジネスや日常生活での活用事例も紹介しています。
あなたは、この記事を読み終えた後、AIに対する知識を深め、その活用方法について知ることができます。
AIはこれからの世界で大きな役割を果たすことが予想されているので、AIについての知識を得たいと考えているのでしたら、ぜひ最後までご覧ください。
目次
|AIとは?簡単に解説!
「AI」とは、「アーティフィシャル・インテリジェンス(Artificial Intelligence)」の略称で、日本語では「人工知能」と表します。
1956年にアメリカのダートマス大学で開催されたダートマス会議で最初に使われました。この言葉は、コンピュータ科学者・認知科学者のジョン・マッカーシー教授によって提案されたものです。
AIとは、コンピュータが人間のように思考や学習することを可能にする技術を指します。大量のデータを分析することで、自律的に決定を下せるようになっています。
これにより、様々なタスクを自動化することができます。
日常生活からビジネスに至るまで、多様な分野で活用されており、未来に対する期待も高い技術です。
|AI(人工知能)の歴史
歴史的に見ると、AIの発展・拡大は3つの時期に分かれます。
最初に1956年から第一次のAIブームが起こり、その後1980年代から1990年代にかけて第二次のAIブームが起こりました。そして、現在に至っている第三次のAIブームは2000年代初頭から始まりました。
各時代に新しい進歩があり、AIの能力は次第に複雑化・高度化しています。
AIの歴史を知ることは、現代のAIを理解するうえでも大切なことです。
【1956年~1960年代】第一次 AIブーム
第一次AIブームの時代には、推論と探求のアルゴリズムが開発されました。
これにより、あるパラメータと目的を持つゲームのようなシステムで、AIは最適な方法で最終目的地に到達するために、多様な選択肢を選ぶことができるようになったのです。
この時代のAIは、パズルを解くこと、数学の定理を証明すること、チェスのようなゲームをプレイすることなど、さまざまなタスクに取り組むことができるようになりました。
しかし、この技術が活躍するのは、目標が明確に定義された環境下に限られており、より曖昧な目標や規則を必要とする実生活には適用できないことが明らかになりました。
当時流行していたパーセプトロンというアルゴリズムの弱点が明らかになったこともあり、第一次AIブームは1970年代に冬の時代を迎えました。
【1980年代〜1990年代】第二次 AIブーム
第二次AIブームは、知識表現の時代と呼ばれます。
このブームの中心はエキスパートシステムです。エキスパートシステムは、特定の分野の専門知識をコンピュータに取り込んで推論することで、コンピュータに専門家のような能力を持たせるものです。
第一次AIブームで解決できなかった課題を、エキスパートシステムが解決することが期待されました。
しかし、実際に運用してみると、エキスパートシステムは、すべての状況に適切に対応することが難しいという問題が明らかになります。
知識が膨大になりすぎ、知識の矛盾が生じたこと、曖昧な課題に対する選択が困難なこと、人間が多数の知識を記述する必要があることなどが原因です。
これらの問題により、第二次AIブームは終焉を迎え、再び冬の時代に突入します。
【2000年代〜現在】第三次 AIブーム
現在、私たちは第三次AIブームの時代に生きています。
このブームは、高性能なハードウェアの開発によってディープラーニングが可能になり、豊富なデータソースがインターネットの普及によって生まれたこと、マスメディアやSNSによって数多くのニュース発信されていることによって後押しされています。
これまでSF世界だけの話だったシンギュラリティや、AIが人間の生活を支配するという議論が、学者や企業などから広く聞かれるようになりました。
2012年には、ニューラルネットワークを用いたチームが画像認識のコンペティションで優勝したことや、Googleのチームによる猫の画像認識に関する論文の発表などがきっかけとなり、人々のAIに対する興味関心が高まったとされています。
|AIのアルゴリズムとは?代表例を解説
AIを利用するにあたっては、アルゴリズムの概念について理解することが重要です。
そこで、アルゴリズムの意味や重要性についてお話します。
アルゴリズムとは、コンピュータで何らかの計算を行う際の手順や方法を示す言葉です。
コンピュータは繰り返して簡単な選択肢を組み合わせて複雑なプログラムを構築することができますが、この選択肢こそがアルゴリズムです。
アルゴリズムが扱えるデータとしては数値、自然言語、音声、画像などが挙げられます。
AIのアルゴリズムは構造化されたデータを扱うため、音声や画像などは数値に変換してからアルゴリズムが正確に処理することができるようにする必要があります。
AIは、数値化されたデータをもとに、特徴の抽出やパターンの発見、モデルの構築を行い、自動的に認識処理をしているのです。
この章では代表的なアルゴリズムについて説明します。
ニューラルネットワーク
AIに関する学習において、重要な概念として「ニューラルネットワーク」があります。
機械学習の中には多くの手法がありますが、その一つがニューラルネットワークを使った手法です。
ニューラルネットワークは、人間の脳内に存在する神経細胞(ニューロン)をもとに、数学的なモデルである人工ニューロンによって作られています。
ニューラルネットワークにおける学習とは、人が望む結果(正解)が出力層から出るように、パラメータ(重みやバイアス)を調整する作業を意味します。
ニューラルネットワークの学習に用いられるアルゴリズムは誤差逆伝播法と呼ばれます。
さらに、ニューラルネットワークは「ディープラーニング」と強い関係があります。
現在、ディープラーニングは自動運転や新薬の開発などに欠かせない技術となっていますが、ディープラーニングにはニューラルネットワークが用いられているのです。
エキスパートシステム
エキスパートシステムは、人工知能の研究から生まれたコンピュータシステムで、専門家の意思決定能力を模倣するものです。
このシステムは、専門家のような知識に基づいた推論を通じて複雑な問題を解決するように設計されています。通常のプログラミングとは異なり、ソフトウェア開発者が設定した手順に従わずに動作します。
エキスパートシステムは、特定の分野の問題に対して、専門家のような答えをすることができるものです。
素人や初心者でも専門家と同じような問題解決能力を手にすることができるようになるために開発されました。
専門家と同じような意思決定手順を再現し、「AならC」といった形式の推論を通じて答えを導き出すものです。
この方法は、今日のオンラインショッピングにおけるレコメンド機能などで広く利用されています。
遺伝的アルゴリズム
遺伝的アルゴリズムは、1975年にミシガン大学のジョン・H・ホランドによって提案された、近似解を探索するアルゴリズムです。
このアルゴリズムは、コンピュータに遺伝学的なメカニズムを取り入れ、学習させることができます。
遺伝的アルゴリズムは、生物の進化において起こる「環境に適応した強い個体が生き残り、環境に適応できない弱い個体が淘汰される」という現象を参考にしています。
そのため、プログラム上で最優秀な個体を次世代に受け継ぐことができます。
遺伝的アルゴリズムの最大の特徴は、全検索が不可能と思われる問題に対して非常に有効であるという点です。
このアルゴリズムは、「答えのないものに対して最適な解を探す」人工知能アルゴリズムとして高い注目を集めています。
|AIの学習方法
本章では、AIにおける2つの学習方法である「機械学習(教師あり学習、教師なし学習、強化学習)」と「ディープラーニング(深層学習)」について具体的に説明します。
最近は、日常生活や仕事の場面で、AIがさまざまなタスク効率を向上させることが明らかになったことで、第三次AIブームが到来しています。
AIの学習方法について理解することで、AIを日常生活や仕事でどのように活用できるかのヒント得ることができるでしょう。
機械学習
機械学習は、AIの学習方法の一種であり、コンピュータ自身が学習して能力を向上させることを目的としています。
機械学習は、「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」の3つに分類されます。
訓練データを用いて自動的に学習し、学習結果を使って何らかのタスクをこなすため、人間が明示的な指示を与える必要はありません。
例えば、猫の画像データを多数与えて反復学習を行うと、AIが猫の本質的なパターンを自己発見して自律的に精度が向上します。
その結果、他の猫の画像でも猫であるかどうかを判断することができるようになったのです。
この技術は、人間がプログラミングした範囲を超えたタスクを実行することができるようになるため、ますます重要性が高まっています。
教師あり学習
教師あり学習とは、正解が与えられた学習データを使う機械学習の手法で、問題の解決に明確な正解・不正解が存在する場合に役立つ学習方法です。
教師あり学習では、トレーニングデータや教師データと呼ばれる正解データを使って学習を進めます。学習プロセスが、先生が生徒に学習を指導しているように見えるため「教師あり学習」と呼ばれるのです。
教師あり学習には、回帰や分類などの代表的なアルゴリズムがあり、回帰は株価の予測や気象予測に利用され、分類は植物や動物のカテゴリ分けに役立ちます。
他にも、電子メールのスパム判定や、住宅価格の予測、工業機械の故障予測、店舗の最適な人員配置など、教師あり学習はたくさんの場面で利用されているのです。
過去のデータが豊富な案件においては、特に教師あり学習が有効であると言えます。
教師なし学習
教師なし学習は、正解がない状態でデータから共通する特徴を持つグループを見つけたり、データを特徴づける情報を抽出したりする手法です。
教師なし学習を用いることで、データ内に存在する未知のパターンを見つけ出すことができます。
教師なし学習は、教師あり学習とは異なり、予測や判定の対象となる正解が存在しないため、回帰や分類の問題には対応できません。
しかし、正解・不正解のデータを用意する必要がないという特徴があり、教師なし学習の精度を高めることができればコストと時間を大幅に削減できるため、自動運転AI分野で注目されています。
教師なし学習は、例えば、新製品のターゲット市場を決める際に利用されることがあります。
このような場合、望ましいとされる結果に関するデータが存在しないため、教師なし学習を用いて未知のパターンを見つけ出し、ターゲット市場を決定することができます。
強化学習
強化学習とは、問題がある状況で解決方法を考える機械学習の一種です。
例えば、迷路を抜けるルートを学ぶために、いくつかのルールに従って進むことを試行錯誤しながら学ぶというようなイメージです。
学習するコンピュータは、自分で行動を決めて、その結果として環境から得られる報酬を使って学習します。
最終的に、コンピュータは報酬を最大化するための最適な方法を学びます。
強化学習によって学習されたAIプログラムは、囲碁やチェスなどのボードゲームやビデオゲームにおいて、人間のプレイヤーと勝負して勝利を収めることができました。
強化学習は古くから存在する技術ですが、近年の計算能力の進歩により、目覚ましい成果をもたらしています。
ディープラーニング(深層学習)
ディープラーニング(深層学習)は、多層化したニューラルネットワークを用いた機械学習の手法です。
ベースとなっているニューラルネットワークは「入力層」、「中間層(隠れ層)」、「出力層」という3階層から成り立っています。
さまざまな情報に対応するため「中間層(隠れ層)」を多層化したものがディープラーニングです。
ディープラーニングは、画像認識、音声認識、自然言語処理、異常検知などに使われています。
具体的には、ECサイトなどの流通分野、新薬発見などの医療分野、コンピュータウィルスを検知するセキュリティ分野、トレーディングシステムなどの金融分野で利用されています。
今後もたくさんの分野で、ディープラーニングが活用されていくでしょう。
|AIの活用事例
この章では、実際にAIが活用されている事例をご紹介します。
「自動車の自動運転」、「Google翻訳」、「スポーツ向け判定システム」、「お掃除ロボット」、「非接触検温」、「カンニング防止」。
これら6つの事例は、ニュースなどでも話題になっていますし、実際に生活や仕事の中で利用したことがあるものもあるのではないでしょうか?
それでは早速、私たちの身の回りにも活用されているAI製品を一緒に見ていきましょう。
自動車の自動運転
自動車の自動運転技術は、AIを活用することで交通事故の低減と安全性の向上を目指しています。
この技術は、画像認識や音声認識などの機能を利用して、通行人や対向車、信号などの情報を認識し、人間が見落とすことがある情報も把握することができるため、安全な運転環境を実現する可能性が高くなっているのです。
また、自動運転によってドライバーの疲労も回避できるため、安全で疲れない運転環境を提供することができます。
自動車の自動運転技術は、これからの安全な社会の実現に欠かせない存在です。
Google翻訳
Google翻訳は、AIを活用した翻訳サービスで、英語、中国語、スペイン語、日本語など、さまざまな言語の翻訳ができます。
また、画像解析技術を採用しているため、スマホで撮影した外国語の文章を翻訳することもできますし、音声認識にも対応しているため、自分が話す言葉や、相手が話す言葉を翻訳することもできるのです。
ディープラーニングを採用して学習を重ねているため、翻訳精度も日々向上しており、旅行先で外国語を理解する際や、仕事などで外国語の翻訳を必要とする場面では、Google翻訳を活用することで効率的なコミュニケーションを実現します。
スポーツ向け判定システム
富士通株式会社は、体操などのスポーツで競技進行を向上させるために「AI自動採点システム」を開発しました。
このシステムは選手の演技を認識し、技や点数を正確に計算することで、審判の採点をサポートすることができます。
人間の感覚ではなく、数値で判断することよって、判定までの時間を短縮し、スムーズな競技進行を実現することがメリットです。
AI自動採点システムは2020年の東京オリンピックでも採用されました。
お掃除ロボット
お掃除ロボットは、人々の生活で活用されているAIの代表格です。
内蔵されているセンサーを使用して、家具や柱などの障害物を避け、家具を傷つけないで部屋を掃除することができます。
お掃除ロボットは、掃除が終わると自動的に充電器まで戻るため、人間が外出している間に部屋の掃除をしてもらい、帰宅したときには部屋がきれいになっているという効率的な生活を提供しているのです。
これまで人間が掃除に使っていた時間を短縮できる生活家電として、とても人気があります。
非接触検温
非接触検温システムは、テーマパーク、オフィスや施設の受付、イベント会場、飲食店、病院やクリニックなどで広く採用されています。
SenseThunder(センスサンダー)は、ソフトバンク株式会社が開発したAI温度検知ソリューションです。
このシステムは、「サーモグラフィカメラ」と「AI顔認証」を組み合わせており、マスクをしていても温度検知と個人識別が可能です。
AI顔認識技術により、人の「額」の位置を特定し、わずか0.5秒で温度推定と個人の識別ができます。
また、健康管理だけでなく、勤怠・入退室管理など、日々の業務の効率化にも有益です。
「体表温・体温・室温」の3種類のビッグデータによるディープランニングにより、AIの認識や推定の精度を向上させることもできます。
カンニング防止
受験や資格試験などでの携帯電話やスマートフォンを使ったカンニングは深刻な問題となっています。
監視官が目視で受験者を監視することは限界があり、試験官を増員することも難しいため、株式会社ユーザーローカルは、AI技術を利用したカンニング自動検知システムを開発しました。
AI端末を設置することで、リアルタイムでカンニングの疑いがある受験者を検知できます。
このシステムの特徴は、受験者の姿勢、骨格、視線などのデータを収集し、ディープラーニングによって不正行為を自動検知できることです。
スマホ使用によるカンニングも検出することが可能で、大規模な設備が必要なく、エッジ端末とWebカメラを会場に設置するだけで、試験官の監視を支援します。
さらに、実際にはカンニングをしていない受験者にかけられた疑いを晴らす効果も期待できるため、公正な試験実施をサポートする新たな技術といえます。
|AIの将来性は?
株式会社ITRが実施した調査によると、2020年のAI主要8市場の総売上高は513億3,000万円で、前年比19.9%増という大きな成長を示しました。
企業の在宅勤務やDX推進により、業務効率化が進み、AIの活用が拡大し、多くのベンダーが躍進しています。
AI主要8市場の中で、2020年度に売上高が最も伸びたのは機械学習プラットフォーム市場で、前年度比44.0%増という大躍進です。
さまざまな製品の低価格化も進んでおり、今後も導入が拡大することが予測されています。
AI主要8市場のCAGR(年平均成長率)(2020~2025年度)は18.7%で、2025年には1,200億円に達するとの予測です。
このように、AI市場は将来性が高く、今後も成長が期待される分野といえます。
|AIとは人間の知能や行動をコンピュータによって再現する技術
本記事では、AIの概要や歴史をわかりやすく解説し、ビジネスや日常生活での具体的な活用例を紹介しました。
AI市場は今後も成長が続き、その価値はさらに高まるでしょう。
私たちは、AIによってもたらされる大きな変化の時代を生きており、日々の進歩に期待せざるを得ません。
この記事を通じて、AIの機能や活用方法について、少しでも理解を深めていただけたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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