リモートワークが普及し、オンライン環境でコミュニケーションの生産性を上げるために
「VR会議」に注目している方は多いのではないでしょうか。
VR会議はコミュニケーション手段として日々発展しています。
今回はVR会議に関心がある方に向けて、VR会議のメリット、デメリットや導入方法、代表的なサービスなどを紹介します。
この記事を読めば、ご自身の環境に合ったVR会議導入が可能になりますので是非最後までご覧下さい。
目次
|VR会議とは
VR会議とは、「VR(バーチャルリアリティ)技術」で仮想空間を利用してコミュニケーションを取る手段です。
従来のWeb会議との違いは、VR空間に自身を投影する「アバター」を通してコミュニケーションをとることです。
カメラで映された平面の映像では把握できなかった相手との距離感や、ボディーランゲージによる意思表示など、現実世界で人間が無意識のうちに察しているコミュニケーションがアバターを通すことでオンライン上でも読み取りやすくなります。
参加者はVRゴーグルやコントローラーなどのデバイスを装着することで、
さらにVR空間への没入感が深まり、実際に会議室にいるような感覚でコミュニケーションがとれるのです。
このようにVRを活用し、参加者と共有できる情報の質と量を改善することで従来のシステムよりもリモートワークの生産性を上げることができるので、VR会議は多くの企業から注目を集めるのと同時に日々進化し続けています。
|VR会議のメリット
VR会議のメリットは以下の4つです。
- イメージの共有がしやすい
- 会話のズレが起こりにくい
- 移動費用・時間のコスト削減
- リアルに近い臨場感を感じられる
リモートワーク以外でも活用できる部分もございますので是非ご覧ください。
イメージの共有がしやすい
従来の web会議やビデオ会議では資料のアップロードや画面操作の権限などがあり、
「一方通行」のコミュニケーションになりがちで、必要な情報の共有が困難になり非効率な会議を経験した方も多いでしょう。
VR会議では共有のVR空間に資料を投影したり、自分の発言やメモが同じ空間に表示できたりするだけでなく参加者のリアクションもアバターを通して全体に共有されるので、どの参加者がどのくらいの理解度なのかも感じながらすすめることができます。
また、アップロード出来る資料は3次元のデータも扱えるので商品の取り扱いや
製造工程の解説など、3Dビジュアルとアバターのアクションで表現する事で
より細かな情報を伝えることも可能です。
会話のズレが起こりにくい
VR空間ではアバターを通してコミュニケーションをするため「場の空気」を感じることができます。
従来のビデオ会議では複数人がディスカッションしていると発言がかぶってしまい、音声が途切れたり誰が発言しているか分かりにくかったりしますが、
VR会議ではアバターにリアルタイムで表情や動きを反映できるので、
誰がどんな感情で発言しているかが伝わりやすくいのが特徴です。
それにより、参加者が発言のタイミングなど「場の雰囲気」をつかめ、
会話のズレが起こりにくくなります。
また、VR会議では発言しやすく感じることもあります。
対面より物理的な距離があり、落ち着いた自分の空間で参加できるため
若手や新入社員でも参加しやすいのも特徴です。
移動費用・時間のコスト削減
これは従来のビデオ会議にも言えることですが、VR会議は3Dビジュアルやアバターのアクションなどを駆使して様々な表現方法が可能です。
イメージの共有がしやすいため、会話がメインの会議以外でも技能を習得するためのツールとしても役に立ちます。
例えば製造業であればVR空間で実際の現場を再現して作業オペレーションの確認などが行えたり、完成品のイメージをVR空間で共有する事で現実化しやすく商品開発の短縮化をしたりなど活用方法は様々です。
このようにVR空間を活用すれば会議以外のミーティングも場所を選ばず、国内外の拠点をつないで行うことができ、さらに移動費用の削減やタイムパフォーマンスも向上させることも出来るでしょう。
リアルに近い臨場感を感じられる
VRゴーグルを装着すると視界が360度覆われてVR空間への没入感が増します。
そのためリアルと変わらない会議のように周りの様子を感じる事が可能です。
発言者に注目したり、発言者以外の様子や共有資料に手を加えたりなど、オンラインでも現実世界のように俯瞰した視点やリアルタイムでの反応を示すことができます。
またアバターは自分の感情を表現するために、顔色を変えたりリアクションを設定できたりするので、よりコミュニケーションの臨場感を出す事が可能です。
コンサートのコールアンドレスポンスのように参加者同士で一体感をだしたり、表現で場を盛り上げたりする事で、より深いコミュニケーションがオンラインでも構築できます。
|VR会議のデメリット
VR会議のデメリットは以下の4つです。
- 初期費用がかかる
- 長時間VRゴーグルを装着する必要がある
- 現実世界の様子がわからない
- ネットの環境を強く受ける
現状の解決策や今後のVRデバイスの発展も含めて、順に解説していきます。
初期費用がかかる
完璧にVR会議を運用する為には専用のソフトウェアや、処理速度の速いパソコン、VR専用ゴーグルやコントローラーなどを準備する必要があり、1セット20〜30万円程が初期費用としての目安です。
数人が使う小規模な導入でも、100万円以上かかるでしょう。
初期費用を抑えてVR会議を導入するのであれば、最初はゴーグルやコントローラーのデバイスはなくても良いかもしれません。
PCの画面上でもVR空間は機能するので、会議体によってはそこまで没入感がなくても従来のビデオ会議よりシステム上スムーズに行うこともできます。
会議体や行う内容によって導入を調整し、徐々にデバイスを揃えていくのも良いでしょう。
長時間VRゴーグルを装着する必要がある
没入感を得てVR会議のポテンシャルを発揮する為には、長時間VRゴーグルを装着する必要があります。
現在のVRゴーグルはヘッドセットが大ぶりで重かったり、デバイスの大きさが自身に合わなかったりすると装着感も悪く、疲れも溜まります。
また、視界を全て覆うので閉塞感が苦手な方は不安を感じるかもしれません。
それらが操作に影響してストレスになったり、苦痛を感じる場合もあるでしょう。
導入の際には使用時間の設定や操作方法、ヘッドセットの調整方法など社内研修など行うと安心かもしれません。
また近年はデバイスの小型化も進んできており、ウェアラブルなデバイスもリリースされて、今後はより快適な使用環境になることは間違い無いでしょう。
現実世界の様子がわからない
VRゴーグルをすることで視界を全て覆い隠してしまいます。
また、音声を聞く為にヘッドホンをすると視覚と聴覚から入ってくる現実世界の情報が極端に減るので、VR空間にアクセスしている時は現実世界の様子が分からなくなる場合があります。
技術の発展により今後は触覚、嗅覚、味覚なども含めて五感でVR空間を感じる事が出来るかもしれません。
そして没入感が増すほど現実世界での様子が感じにくくなってしまうので誰かに声をかけられたり、近隣の火災やトラブルなどが起きた際に気づきにくくなってしまいます。
安全性を踏まえてデバイスも進化するとおもいますが、VRを導入する場合は使用するスケジュールや使用場所の環境を整え、参加者の安全も考えておくと安心です。
ネット環境の影響を強く受ける
VRは扱う情報量が多いためネット速度が遅い場所や、ネットワークの不安定な環境ではまだ利用が困難でしょう。
ネット環境が整っていないとVR会議の場合はアバターが動かなくなったり、使用したいデータが消えたりするため、不安定なネット環境ではポテンシャルを発揮しきれません。
しかしこの問題も、使用する環境や会議体によってソフトウェアを使い分ければある程度解消されます。
例えば定例の会議など会話主体のミーティングや扱うデータが軽いミーティングはスマートフォンでも体感できるVR空間を使用して補う事が出来ますし
現在は衛星を利用したネットサービスや5G回線の普及などweb3.0にシフトチェンジするにつれてネット環境も着実に良くなるでしょう。
|VR会議におすすめのサービス5選
ここまで読んで頂ければ、ご自身の組織で行いたいVR会議の導入イメージがついてきたかと存じます。
ここからは、VR会議におすすめのサービス5選とそれぞれの特徴をご紹介致しますので
是非最後までご覧くださいませ。
Horizon Workrooms
出展:https://www.meta.com/jp/work/workrooms/
Horizon Workroomsはメタバース事業に大きく舵を切った旧Facebook、Metaが開発したVR会議サービスです。
VR空間は無料で使用できます。
使用にはInstagramかFacebookのアカウントのどちらかが必要です。
Horizon WorkroomsはPCでも稼働させる事はできますが、VR空間の特徴を活かし生産性を上げるためには専用VRゴーグル、「Meta Quest 2」か「Meta Quest pro」が必要です。
VR空間での参加人数は16人、VR空間と現実世界をシームレスにつなぐ工夫が随所に見られます。
VR空間のデメリットを少なくし日本でも扱いやすいシステムでUXが高めのサービスです。
Spatial
出典:https://www.spatial.io/
Spatialは米国の企業が提供するメタバースプラットフォームです。
料金は基本無料で使用でき、数百人規模のスペースを開設したりするホスト向けの機能を使う場合は月額25ドルで使用できます。
デバイスはOculus Quest、Meta Quest 2、PCに接続できるタイプのヘッドセットであれば対応でき汎用性も高く、参加人数も同時にホストできる人数が50人と規模の大きい会議体にも使えそうです。
プラットフォーム自体はメタバース構築に力を入れており、NFTの活用などクリエイティブな使い方が出来るのも特徴です。
サービスがまだ日本向けにフォローされておらず、設定や操作方法はすべて英語のため翻訳して確認する必要があります。
VIVE Sync
出典:https://sync.vive.com/
VIVE Syncはビジネス向けに特化したプラットフォームです。
個人向け、企業向けプランがあり、無料で使用できるプランは参加人数が3名、ストレージが500MBまでなど
制限がありお試し程度の内容です。
有料プランでは、料金は1ユーザー当たり月額3,600円か年間27,500円かを選択し、
有料プランでは参加人数最大30名、ストレージは5GBになりホスト機能も充実しています。
VIVE専用デバイスが必要で、約6万円から12万円ほどのVRゴーグルを購入する必要があり、導入コストは他のサービスに比べて高い印象です。
しかしVR空間で共有できるファイルはエクセルやワードなどが使え、ビジネスシーンでは強みを発揮します。
Rumii
出典:https://www.dogheadsimulations.com/rumii
Rumiiはビジネスや教育現場に特化したサービスを展開しています。
無料版では最大3名の参加ですが、有料版は1つのミーティングで最大40名が参加可能です。
料金は1ユーザー月額14.99ドルで使用できますが、Rumiiも日本語のフォローがないので英語を翻訳しながら、設定や操作をしなければいけません。
VRゴーグルはOculus、HTC、Windows Mixed Reality各シリーズに対応しており、他にはWindowsOS、MacOS、Androidでも動作します。
動作環境として導入は比較的しやすく、ハーバード大学などで使用実績があり、コンテンツも作り込めるシステムはビジネス向けのVR会議としておすすめです。
NEUTRANS
出典:https://neutrans.space/
NEUTRANSは日本のスタートアップ企業が開発し、日本に馴染んだシステムは使いやすく、会議や研修、現場の教育など幅広く活用できるVRサービスを展開しています。
使用プランにはBusiness(部屋数5最大登録者1000名)
Professional(部屋数5最大登録者1000名)
Unlimited(部屋数・最大登録者・無制限)の3つがあり、
公式HPから使用したい状況を個別で問い合わせ、見積もりを依頼して料金が決まります。
使用できるデバイスはOculusシリーズ含めたVR機材の他にPC、スマートフォンなど幅広く対応しているので、使用環境の選択肢が増え遠隔での使いやすさに特化しているのも特徴です。
|まとめ
今回はVR会議のメリット・デメリットとおすすめのサービスをご紹介致しました。
従来のビデオ会議に比べ、VR会議はイメージの共有がしやすいため、会話のズレが起こりにくくなりリアルに近い臨場感を感じられます。
また、リモートワークの強みも生かし、移動費用・時間のコスト削減も可能です。
サービスによってVR環境の特徴も違いますので、利用する環境にあうサービスを見つけましょう。
VR会議によりコミュニケーションの手段も増えます。
リモートワークの生産性を上げるだけではなく、今後は対面の仕事でも活用され
VRが当たり前にビジネスシーンに浸透することでしょう。
今からVR技術への理解を深め、世界をリードする存在になりましょう。