2023年に入ってから、「ChatGPT」というワードが目立ってきました。
連日テレビやSNSなどのメディア上で、本格的なAI時代が訪れると大きな話題になっている「ChatGPT」ですが、詳しい内容を理解している人は意外と少ないかもしれません。
本記事はそんな「ChatGPT」に関する基本的な知識から、実際に利用するまでの流れについて解説する内容となっています。
一読いただければ、日常生活において「ChatGPT」を活用できるようになるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
|ChatGPTとは
OpenAIという米国企業が開発した「ChatGPT」は、まるで人間が書いたような自然な文章を作成できる人工知能ツールです。
2022年11月のリリースから5日でユーザー数は100万人を超え、2月現在では1億人を突破しています。
100万人突破までにかかった日数は歴代Webサービスと比較して最速であり、例えば「iPhone」でも74日、「Facebook」では310日を要しています。
この記録からも、「ChatGPT」に対する注目の高さがうかがえるかもしれません。
「ChatGPT」の文章生成には、対話型の言語モデルが採用されています。
LINEやSNSでのDMのようなチャット形式で、ユーザーの質問に対して「ChatGPT」は返答してくれるのです。
そして内容や文面は人間が書いたものと見分けがつかない程自然である上、AIならではの的確な答えが返ってきます。
また言語設定がないため、英語だけではなく世界中の言語で利用可能な点も大きな特徴といえるでしょう。
ChatGPTの料金は?
ChatGPTは、基本は無料で使用できますが、有料プランであるChatGPT Plusが提供されており、利用環境に応じて月額料金が異なります。
ブラウザ版を利用する場合、月額20ドルでChatGPT Plusの機能を利用できます。
また、アプリ版を使用する場合は、月額3,000円が必要となります。
有料プランでは、無料版以上の性能や機能を提供しており、混雑時でも快適な応答を得ることができます。
ChatGPT Plusの機能
ChatGPT Plusは、最新のChatGPTモデルである「GPT-4」を利用することができる有料プランです。
無料版のGPT-3.5と比較して、優れた性能を持ち、多くの人々から高い評価を得ています。
GPT-4は、画像とテキストの入力を受け取り、テキストを出力する大規模なマルチモーダルモデルとされており、このモデルは、さまざまな専門分野や学術基準で人間と同等のパフォーマンスを発揮することができるとされています。
|ChatGPT開発までの道のりと特徴
「ChatGPT」の開発には長い道のりを必要としました。
OpenAIが開発した2つのAIモデルがベースに存在しており、それらをアップデートすることで誕生しています。
開発までの道のりから、「ChatGPT」の特徴について詳しく確認してみましょう。
GPT-3
「ChatGPT」がリリースされる約2年前となる、2020年7月に開発されたAIが「GPT-3」です。
こちらは「Transformer」と呼ばれる、深層学習の手法を用いた言語モデルが採用されました。
「Transformer」では、人間が使用する言葉を単語別に出現確率で分けて表現するため、一見すると人間が書いたような自然な文章が作成できます。
さらに、570GBにものぼる膨大なテキストデータを学習セットとして利用、モデル設定されるパラメーターも1,750億個と膨大な数値でした。
しかし、ネット上のデータを利用した学習セットであったことから、文章の表現に不適切な内容が多く含まれることが欠点として現れてしまったのです。
InstructGPT
「GPT-3」の次に開発されたAIは、2022年1月にリリースされた「InstructGPT」です。
Instructとは「指示する」という意味であり、入力に基づいて指示や指導をAIに行うことを想定したモデルとなっています。
「GPT-3」の欠点であった不適切表現に対する問題を、人間の作業によってフィードバックすることで解決しました。
「InstructGPT」の回答に不適切な内容があれば、人間がラベル付けしたものをデータセットとして微調整をします。
そして「InstructGPT」が回答する様々な内容から、人間が最も良い返答内容をランク付けし、AIに対して人間が好む回答を学習させます。
このように細かな微調整、フィードバックを繰り返すことで、不適切な表現は抑制されていきました。
ChatGPT
前述した2つのAIを経て開発されたものが、現在話題となっている「ChatGPT」です。
基本的な学習方法については1つ前の「InstructGPT」と同様ですが、データセットを作成する部分のみ異なっています。
以前までは全てのラベルを人間が作成していましたが、「ChatGPT」では人間が一部だけ手を加えたものも同時に利用されます。
この仕組みによって細かい表現方法を修正でき、より自然な会話が可能な言語モデルが実現しました。
当然、不適切表現についても対応されており、本当に人間とチャットをしているような対話型に特化したモデルが完成したのです。
|ChatGPTでできること
「ChatGPT」はテキストでの会話を通して、色々なことができます。
こちらではその中でも、特にお伝えしたい以下3つについてそれぞれ詳しくお伝えしていきます。
- リアルな会話
- 関数やプログラミング言語を書ける
- 小説や脚本を書ける
リアルな会話
対話型の言語モデルである「ChatGPT」は、ここまでもお伝えしてきたように、まるで人間と話しているかのような会話が可能です。
友人や家族との些細な会話のような、リアルな会話を元にコミュニケーションをとることができます。
どのような話題、質問に対しても回答が可能であり、特に「〇〇ってどういう意味?」といった概念に関する返答を得意としています。
またメッセージのやり取りが長く続いたとしても、それまでの流れや文脈からどのように話が続いているかも読み取ってもらえるのです。
そのため1人で考えるのは難しい悩みなどを「ChatGPT」へ相談することで、本当に他人からアドバイスをもらっているかのような体験ができるでしょう。
関数やプログラミング言語を書ける
会話だけではなく、エクセルやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトにおける関数を書くこともできます。
「数値が100以上の時セルは青、100以下の場合は赤にしたい」など、関数に詳しい人へ尋ねるイメージで「ChatGPT」に質問すれば、的確な答えが返ってきます。
またGoogleスプレッドシートの場合、Chromeブラウザの拡張機能を利用すれば、GPT関数の自動入力も可能です。
さらにHTMLやPythonといった、習得に時間がかかるプログラミング言語についても、関数同様の質問方法でベースコードを記述してもらえます。
これまでは専門知識を持つ人がいなければ難しかった関数やプログラミングですが、「ChatGPT」へ質問するだけで即座に解決できるでしょう。
小説や脚本を書ける
前述した関数やプログラミング言語は答えが明確であるため、AIが高いレベルで対応できても驚きは少ないかもしれません。
しかし「ChatGPT」は会話、プログラミングだけではなく小説や脚本といった物語の作成にも対応しているのです。
例えば「江戸時代を舞台にした恋愛小説を書いて欲しい」といったように、ある程度のベースを提示するだけで、物語の大筋を提示してくれます。
これはインターネットに存在しているテキスト情報を元に、指定された条件に合うように組み合わせて作成されます。
まだ革新的な話が出てくることは期待できませんが、物語を創造するヒントには十分なるでしょう。
また、自分で考えた小説の内容を校正させるなど、編集者のような役割も担ってもらえるはずです。
|ChatGPTへの懸念点
完璧なように思われる「ChatGPT」ですが、以下のような懸念すべきポイントが残されています。
- 不正解な答えが返ってくる
- 不適切な表現がある
- サイバー攻撃の温床になりうる
理解した上で利用するためにも、確認しておきましょう。
不正確な答えが返ってくる
「ChatGPT」との会話の中で得られる情報は、全てが正確だとは限りません。
なぜならインターネット上の情報を元に回答が作成されるので、間違ったデータが使用されている可能性があるからです。
インターネット上の情報も一昔と比較して、精度は上がってきてはいますがまだまだ完全に信じるには難しい点も多いでしょう。
さらに新しすぎるキーワードやテーマに対しては、当然情報が無いこともあるため返答する術を持ちません。
このようなケースにおいて、「ChatGPT」は「分かりません」と答えるのではなく、一見すると正解であるかのような返答を作り上げることがあります。
人間でいうところの「知ったかぶり」のようですが、全ての情報を鵜呑みにすることなく最終的な根拠は自分で調べる姿勢が必要でしょう。
不適切な表現がある
「GPT-3」で問題となった不適切表現ですが、残念ながらまだ「ChatGPT」においても完璧とはいえない状態です。
「ChatGPT」はヘイトスピーチや差別表現といった発言はせず、ユーザーから誘導するような質問があった場合には返答を拒否するように設定されています。
しかし、この設定も100%とはいい切れないのです。
なぜならインターネット上の情報を元に、返答を作成するからです。
情報元によっては偏見、不適切とも取れる発言をする可能性がゼロではありません。
そのため複数の国籍や人種、文化をベースにした人々が在籍する企業、サービスなどへの導入は慎重になるべきでしょう。
ハルシネーション
「ChatGPT」に限らず文章生成AIは、あらかじめ学習した情報を基に回答を吐き出します。
しかし、回答の段階で似たような情報があった場合、誤った情報を出力することもあります。
また、学習した情報の中に回答がなかった場合、保有している情報を繋ぎ合わせて無理やり回答を出力することもあります。
これらをハルシネーションといいます。
そのような危険性があるため、「ChatGPT」が出力した回答の裏付けをとることが非常に重要になってきます。
しっかりと人間の目で情報が正しいかを判断したうえで使用するようにしましょう。
サイバー攻撃の温床になりうる
「ChatGPT」は様々なプログラミング言語を簡単に作成してしまいます。
適切に利用すれば大きなメリットがありますが、裏を返すと悪質なコードやフィッシングメールといった、ネット犯罪に利用されるプログラムも容易に作成できてしまうのです。
実際、コードの知識が無くても悪用できるソフトの生成が可能であることが判明しています。
これまで高い専門知識が必要だったプログラミング言語が、悪質な人々の手にも容易に渡ってしまうことは、危惧すべき事態だといえるでしょう。
インターネットを安心して利用するためにも、より一層の対策が必要な状況になっています。
強力なパスワード設定、二要素認証、最新のソフトウェアに保つ、ウイルス対策ソフトの導入など、基礎的な対応が一層求められるでしょう。
|ChatGPTの利用方法
「ChatGPT」ができることに加えて、注意点を理解したところで実際に利用方法について確認していきましょう。
ChatGPTログインページより新規登録
素晴らしい機能を持つ「ChatGPT」ですが、なんと利用は無料となっています。
まずはChatGPTのトップページより、「TRY CHATGPT」をクリックしましょう。
そして、新規利用ですので「Sign up」を選択、任意のログイン方法を選択して「Continue」へと進みます。
指示の通りご自身の「名前」、「電話番号」を入力し、SMSで届いた認証コードを入力しましょう。
そこで「ChatGPT」に関する説明文が表示されますので、確認次第「Next」をクリックすれば登録は完了となります。
注意点としては英語表記で進みますので、分からない時は翻訳ソフトを利用しながら進めていきましょう。
メッセージボックスに質問を入力
表示画面の下部にメッセージボックスがあり、そこに質問内容を入力するだけで「ChatGPT」から答えが返ってきます。
友人とSNS上でメッセージのやり取りをしている感覚で、様々な話題を展開できるでしょう。
明確なメッセージが欲しい場合は、質問内容をより具体的に記載することがポイントとなります。
試行錯誤しながら楽しんでみてください。
|ChatGPTの活用フィールド
ここまで紹介してきたように、「ChatGPT」は革新的なAIとして注目を浴び続けています。
それでは実際、我々の生活面においてどのように活用できるのでしょうか。
仕事面と私生活の2パターンでの活用方法を考えてみましょう。
仕事での活用
「ChatGPT」は幅広い業種において、汎用性高く活躍できるはずです。
中でも、答えが明確となりやすいIT業界におけるプログラミング、コーディングの現場では非常に強力な存在となるでしょう。
コード上でエラーが出た場合にも問題箇所を速やかに見つけ出し、対処方法を指示してもらえるかもしれません。
業界を問わない活用としては広報コンテンツやWebサイトの作成、カスタマーサービスの自動化なども考えられます。
他にも大勢でアイデアを持ち寄って実施していた企画会議や、社員研修などにも応用させられるかもしれません。
また従来のAIとは異なり、小説や脚本などの創造性も持ち合わせているため、利用方法によってはクリエイティブな現場でも活躍できるでしょう。
私生活での活用
仕事面では情報の正確性などに細心の注意を払う必要がありますが、私生活での利用であればある程度許容範囲を広げながら活用できるはずです。
例えば、今まではWeb検索から情報を探していた内容を、「ChatGPT」に質問するだけで気軽に答えを得られるでしょう。
料理のレシピが知りたい時や、DIYなど何かしらのものづくりをしたい時などに、手順の確認を友人に聞く感覚で相談できます。
また趣味で運営しているブログなど、Webサイトの作成にも力になってくれるはずです。
そして「ChatGPT」の返答は機械らしい冷たい雰囲気ではなく、メッセージの先に人間がいるかのような温かみを感じられます。
そのため人には言いづらい悩みなども、友人に話す感覚で相談できるでしょう。
|ChatGPTの今後:検索エンジンに代わる存在になる?
「ChatGPT」は、2023年に複数回のアップデートが予定されています。
情報精度の向上だけではなく回答途中でのキャンセルや、会話をクリップボードにコピーさせるといった、機能面でのアップデートも予定されているようです。
既に2023年2月7日にMicrosoft社は、「ChatGPT」を利用した検索エンジン「Bing」と、AIアシストを利用したブラウザである「Edge」を発表しています。
Microsoft社は「ChatGPT」に対して10億ドルという巨額な資金を投じて、現在のIT業界の勢力図を塗り替えようとしています。
そして、この動きに警戒心を持っている企業がGoogleです。
実際、Googleは「ChatGPT」に対抗すべく、「Bard」と呼ばれるAIチャットボットを2月6日に発表しています。
このように「ChatGPT」の登場によって、検索エンジンに代わる存在の競争が激化しているのです。
|まとめ
現在大きな注目を集めている「ChatGPT」について、基本的な情報からメリット、さらに注意点までを解説してきました。
まだ無料で利用できる「ChatGPT」ですが、実は1つの返答に対して数セントのコストが発生しています。
そのため、将来的には何かしらの形で収益化を図る必要があるでしょう。
無料で利用できる時期はもしかすると限られているかもしれません。
少しでも興味があり、最新のAI技術を体験したいと思う方はぜひ本記事の内容を参考に、「ChatGPT」を利用してみることをおすすめします。