今回はメタバース空間で使う自分だけの3Dモデルを作ってみたいと考えている人にとって、強い味方になるAdobeの3D制作ツールについての紹介になります。
AdobeといったらPhotoshopやPremiere Proなどの画像や動画の編集ツールとしての印象が強いですが、3Dの制作においても強力なツールを提供しています。
これから紹介していくAdobeの3D制作ツールを使いこなして、自分だけの3Dモデルでよりメタバースを楽しみましょう!
目次
|Adobe Substance 3D Modelerの基本情報
Substance 3D Collectionの一つであり、デスクトップでモデリングをするだけでなく、対応するヘッドセットを用いることでVRでの3Dのモデリングを行うことができるサービスです。
VR環境からでもモデリングができるということが最大の強みになっています。
VR機器を通して空間内に実際にモデルを粘土のように作り上げるようなことが可能です。
リリース当初はAdobeの公式サイトからの提供でMeta Questのみに対応していましたが、Steam版がローンチされたことにより対応デバイスが増加し、現在はRift, Meta Quest with Link, Meta Quest Pro with Link, Valve Index等も使用できるようになりました。
料金はAdobeの公式サイトからのサブスクリプションの加入で個人(月額6,028円)、グループでの利用の場合は(月額12,188円)となります。
このサブスクリプションには、Substance 3D Collectionの金額でありSubstance 3D Modeler以外のサービスも利用することができます。
Steam版での購入の場合は、買い切りで16,500円となります。
Steam版ではSubstance 3D Modeler以外のサービスは利用できませんが、毎月の追加費用はかかりません。
2023年末までのSteamでの無料アップデートを受けることができますが、AdobeのサブスクリプションプランのようにSubstance 3D Assetsプラットフォーム(旧Substance Source)へのアクセスは含まれません。
|Adobe Substance 3D Modeler
Substance 3D Modelerで実際にどのように3Dデータを作っていくのかを詳しく見ていきましょう。
VRヘッドセットを使ったバーチャルリアリティでも、マウスとキーボードを使ったデスクトップモードでも使用できるのが強みになっていますが、ユーザーは粘土のようなスカルプトとブール演算を組み合わせて3D形状を構築することができます。
ヘッドセットとデスクトップをシームレスに行き来することも可能であり、作りたいモデルに合わせて使い分けるといったことも可能です。
粘土のように3Dモデルを制作するスカルプトを更にVR空間で粘土細工の工程に近づけたような体感となります。
作成したモデルは、FBX、OBJ、USDフォーマットでAdobeの他のアプリケーションだけでなく、他のDCCアプリケーションやゲームエンジンにエクスポートして使用することができます。
VR空間で使うための3DモデルをVR空間で作るため、VR空間からのモデルの見栄えをより追求したものを生み出すことも可能です。
|Substance 3D Collectionとは
Substance 3D Modeler の紹介の際に、サブスクリプションで利用する場合はSubstance 3D Collection の1つとして利用できると話しましたが、次はSubstance 3D Collection で他にはどのようなことができるのかを解説していきたいと思います。
Substance 3D Collection は、簡潔に言うと3Dコンテンツ制作に必要な全てが揃ったエコシステムとなります。
Substance 3D Modeler だけでなく、Substance 3D Collection に含まれているサービスはCreative Cloudツールをはじめ、Adobeサービスともシームレスの連携が可能となっています。
3DCGに必要なあらゆる機能を網羅しており、またAdobeの公式サイト等での使い方紹介の動画なども充実していますので、初心者からプロまで使える3DCG制作ができるサービスとなっています。
それでは、Adobe Substance 3D Modeler以外のソフトウェアが具体的に何をすることができるのか、見ていきましょう。
Substance 3D Painter
3Dオブジェクトにテクスチャやマテリアルを適用するツールです。
ゲーム業界やメタバース空間で使われる多くのモデルがこのサービスを用いてテクスチャやマテリアルを作成しているので、知らず知らずのうちに一度はSubstance 3D Painterを用いた作品を目にしていると思います。
3Dモデルにリアルタイムにテクスチャを反映することができるため、細かい質感の調整を簡単にすることができます。
前身となるSubstance Painterからは機能強化のほか、プロでも使いやすいようにUI/UXの再設計も行われています。
Substance 3D Sampler
現実世界で取った写真やスナップ写真をその場で読み込み、Adobe Senseiの技術で高品質な3Dマテリアルに簡単に変換できます。
元の実物サーフェスと酷似させ、写真からシームレスにタイル化可能なマテリアルを作成することができます。
同じAdobeのサービスであるPhotoshopを用いて、制作したマテリアルのテクスチャを編集することも可能です。
一般的に使われているマテリアルだけでは、表現が難しいリアルなモデルを制作する際には強い味方となるサービスになります。
Substance 3D Designer
Substance 3D Designerでは、シームレスなマテリアルとパターン、画像フィルター、環境光だけでなく、3Dモデルも作成できます。
各アセットは無限にバリエーションを出力できます。
Substance 3D Samplerが現実の写真を基にマテリアルを作成していくのに対して、Substance 3D Designerでは様々な値を調整することで現実世界に存在しないものを表現したり、写真以上にリアルな質感を3Dモデルに持たせたりすることができます。
3Dモデルをより魅力的なものにするためのツールとなります。
Substance 3D Stager
直感的な操作でモデル、マテリアル、ライティングを組み合わせたシーンを簡単に構築し、魅力的なバーチャルフォトやレンダリングを作成が可能となっています。
簡単な操作で3Dオブジェクトをデジタル空間内に配置して、ライティングでの光の当たり方や物理演算、カメラの画角などの様々な要素から撮影環境を構築して、より魅力的なCG画像を生み出すことができるサービスとなります。
3Dモデルを作っても活用する場や方法がなければ、自分の中だけで終わってしまいます。
そういった3Dモデルの利用用途の一つとしてのサービスとなります。
|Substance 3D Collectionの活用シーン
Substance 3D Collectionは、建築、製造の設計やエンタメまで様々な分野のクリエイターに使用されています。
近年では、あらゆる分野でCGが多用される環境となっているため一見するとCGとは無関係に見える分野においても積極的な活用がなされていることも少なくありません。
プロダクトデザイン作成において、サンプルを作る必要もなくなるため、場所や資材といったものの使用を減らすことができ、制作後の変更も容易に行うことができます。
商品販売においても3Dで商品を視覚化できれば、ただ宣材写真を並べるだけに比べてユーザーは商品の細部まで見ることができ、商品の購入率をあげることも期待できます。
現状、一番多く使われている分野になるとやはりゲームや映画といったエンタメ業界のCG技術になりますが、デジタル空間の中を行き来するメタバースでは3Dモデルで全ての空間が構築されているため、Substance 3D Collectionは大いに役に立つサービスになるでしょう。
|まとめ
今回は、Substance 3D Collectionについて見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。
まだまだ多くの分野で使われるようになってきたとはいえ、すべての業界で当たり前のように使われるには、3Dモデルの制作難度の高さや時間といった観点から難しいといったこともあると思いますが、Substance 3D Collectionのような統括的なサービスやそれぞれのサービスの中にはAIの活用による機能もあるため、今後のSubstance 3D Collectionの発展によって、さらに短時間にハイクオリティなものを生み出すことができるようになる日もそう遠くないかもしれません。
その日に備えて、今でも使いこなせれば、ビジネスにおいて大きな武器になる3D制作について、Substance 3D Collectionを用いて始めてみてはいかがでしょうか。
それでは、次回の記事でお会いしましょう!