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|メタバースとは?
メタバースとは、メタバースの語源は、超越した様子を意味する「メタ(meta)」と宇宙を意味する「ユニバース(universe)」を組み合わせた造語です。
仮想空間の中でアバターと呼ばれる自分の分身でインターネットの世界に入り、遊んだり、会話をしたり、お買い物をしたり…と誰かとコミュニケーションをとることができます。
多くのサービスはお手持ちのスマートフォンやPCなどのマルチデバイスからアクセスが可能です。
VRゴーグルをお持ちであれば、より「没入感」を味わうことができます。
詳細は下記の記事をご覧ください。
尚、Youtubeでは「メタバースとは?」を3分で解説している記事もございます。
ぜひ併せてご覧ください。
|なぜ保険業界で活用されるのか
今、様々な業界でメタバースは活用されています。
その中でも、今回ご紹介する保険業界では積極的に活用が進められています。
では、なぜ保険業界での活用が注目されているのでしょうか。
1.営業活動の幅を広げるため
保険業界での営業といえば、皆さんはどういった姿を思い浮かべるでしょうか。
保険代理店での窓口営業、営業マンや生保レディといった保険外交員による自宅への訪問営業、職場に訪問する職域営業活動、加えて近年ではwebから保険を申し込む人も増えているため、メールや電話による営業も挙げられると思います。
2020年からの新型コロナウイルス感染拡大により、主に窓口営業と訪問営業に関しては大きく制限されてきました。
職域への出入りを禁じる職場や、コロナ不安から訪問を遠慮するご家庭も多く、これまで気軽に「会えていた」人となかなか「会えない」ことによる保険業界への打撃は大きいものだったのではないでしょうか。
実際にこういった背景から、各社が対面形式の面談に加えオンラインでの面談を取り入れ始めています。
そこで新たな営業活動として「メタバース」を活用する動きが出てきたのです。
メタバース上であれば実際に会っているかのようなコミュニケーションを取ることが可能です。
保険営業は「どれだけ顧客との接点を増やすことができるか」がポイントです。
なかなかお会いすることが叶わない顧客とも、メタバース上であれば接点を持ち続けることができますよね。
また、メタバースを活用することがより多いであろう若い年代の顧客との接点を持つこともできます。保険への理解があまりない層に対してもアプローチをすることができ、若い世代にとっても保険について考える良いきっかけを得ることができるでしょう。
さらに、現実では経験し得ない経験をさせることで保険へのニーズを高めることも期待されています。仮想空間だからこそ、地震や災害、病気になったときの様子を疑似体験することでリスクを体験することができます。
普段は想像できないことでもより身近に感じることができそうですね。
以上の観点から、保険会社や保険外交員の立場で言えば、メタバースの利用によって更なる営業活動の幅を広げることが期待できるといえます。
2.メタバースにおけるリスクへの保障を準備するため
メタバースが普及していく一方で、リスクへの懸念が必要になってきています。
なぜかというと、現実世界のような厳密な法律がメタバース上にはまだ存在していないからです。
例えば、知らない人とコミュニケーションを取る中で発生しうる名誉棄損や侮辱行為。
また、メタバース上でNFTなどを取引する上での商取引関連。
さらにセキュリティの問題等も考えられるでしょう。
法律が整備されていない現状において、こういったリスクから私たちの身を守るために「保障」を準備しておくことは大変重要なことです。
その「保障」として、メタバースに特化した「保険商品」の需要が上がると考えられています。
実際に販売が開始している保険商品もあり、今後もさらに販売が加速していくことでしょう。
|活用事例
ここからは実際にメタバースを導入した事例や、メタバースに関連した保険商品を販売した事例をご紹介していきます。
多数ご紹介しますので、気になるものや既にご利用・ご加入されている企業等があればぜひ詳細も調べてみてくださいね。
・日本生命
・第一生命
・明治安田生命
・楽天生命
・損保ジャパン
・三井住友海上火災保険
・東京海上日動
・あいおい
・ovice(オーヴィス)
では、順にご紹介していきます。
1.日本生命
日本生命においてメタバース自体の導入はまだされておりませんが、2022年春に職域営業においてメタバース活用ができないか実証実験を行っています。
対象職域の食堂前にタブレット端末を設置し、人が通り過ぎるたびに端末に表示されているバーチャル保険販売員「花ちゃん」が挨拶をします。
保険についての質問や相談を聞き出し、営業職員がアバターの姿で対応するという仕組みになっています。
コロナ渦で外部の出入りが制限され、なかなか職域に入ることができないという問題を解消すべく生み出された実証実験です。
目新しさもあったということですので、今後導入されることが期待できそうですね。
2.第一生命
第一生命では、メタバース上での大規模なバーチャル企業説明会を実施しています。
2021年、新卒向け大規模企業説明会DL-FESTAにメタバースプラットフォームXR CLOUDを導入し、メタバース上での企業説明会を開催しました。
参加人数は5,000名を想定。「1日で第一生命を丸わかり」をテーマとして、役員や人事部長による講演会や社員との座談会など、活発なコミュニケーションを取ることで企業理解を深めることができるイベントとなりました。
現在他企業も就職説明会にメタバースを導入している動きが出てきていますので、今後保険業界に限らずスタンダードになるでしょう。
3.明治安田生命
明治安田生命では、2022年7月にメタバースプラットフォームclusterを導入し「明治安田生命バーチャルスタジアム」を設置しました。
顧客の健康維持および改善を狙いとして、同社では2019年より「みんなの健活プロジェクト」を展開しています。その取組みの一つとして、バーチャル空間上での健康に関する〇×クイズや、保険について学ぶミニゲームを提供しています。
健康に関するイベントも開催しており、有名Vtuberや芸能人なども参加していることでSNSでも話題を呼んでいます。
また、Jリーグとタイトルパートナー契約を結んでいることから、メタバース内における試合観戦も実施しています。
以上、メタバースを生かして様々な取り組みをしていることからも「なかなか会えない顧客との接点をつくる」「若い世代を呼び込む」という点では優位性があるといえるでしょう。
4.損保ジャパン
2022年11月、損保ジャパンは三菱UFJ銀行・ANE NEOとの3社で、メタバース「ANA GranWhale」における取組みをスタートさせることを発表しています。
「ANA GranWhale」はメタバースを活用したうえで未来のライフスタイルを企画・提案するサービスです。
2022年度末にリリースされ、マーケットプレイスβ版がオープンしているようです。
損保ジャパンはこの中で保険や金融サービスを提供していく予定とのことです。
また、2023年2月28日、以下の企業と「ジャパン・メタバース経済圏」創出に向けた基本合意書を締結しています。
・株式会社ジェーシービー
・株式会社みずほフィナンシャルグループ
・株式会社三井住友フィナンシャルグループ
・株式会社三菱 UFJ フィナンシャル・グループ
・株式会社りそなホールディングス
・凸版印刷株式会社
・富士通株式会社
・三菱商事株式会社
・TBT Lab株式会社
JP GAMES株式会社が開発した「PEGASUS WORLD KIT」を用いた BtoB オープン・メタバース基盤「リュウグウコク(仮)」の構築、およびその中での「ジャパン・メタバース経済圏」の創出を目指すとのことです。
この「リュウグウコク(仮)」はRPG要素も取り入れたメタバース基盤で、ユーザーはRPGのようなファンタジーな世界を彷徨う中で多彩なコンテンツやサービスに触れることができます。
どちらの取組みも非常に興味深いので、ぜひ今後の動向もチェックしてみてくださいね。
https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/news/2022/20221108_1.pdf?la=ja-JP
https://www.hokende.com/news/blog/entry/2023/02/28/220000
5.三井住友海上火災保険
三井住友海上火災保険は、メタバースにおいて保険業界初の取組みをしたことで話題となりました。
2022年8月に開催された「バーチャルマーケット」に、保険業界初の出展をしたのです。
バーチャルマーケットは株式会社HIKKYが開催しており、「バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数」でギネス世界記録に認定されています。
気になるブースはというと、近未来的なデザインになっています。
入口では三井住友海上火災保険の公式キャラクターが3Dアバターでお出迎え。
2階建て構造となっており、1階ではシアターブースで昔話を用いて損害保険について解説。
2階では災害から人々を守る性質の損害保険をイメージしたタワーディフェンスゲームを設置。
武器を振り回して戦います。
ゲームをクリアすると同社が注力する宇宙事業にちなんで月面ワールドに移動することができ、宇宙での記念撮影や同社社員とのコミュニケーションや保険についての相談をすることができます。
6.楽天生命
楽天生命は、先ほどご紹介した三井住友海上と同じく「生命保険業界初」として2022年12月に開催された「バーチャルマーケット」に出展しました。
こちらも気になるブースはというと、「健康増進」をテーマに、フィットネスジムをモチーフとしたブースとなっています。
トレーニング機材やボクシングリングでミニゲームや保険の知識を学ぶことができます。
また、屋上ではCMでもお馴染みの「楽天カードマン」に扮したバーチャルマーケット公式キャラクターのVketちゃんがおり、記念撮影やコミュニケーションも行うことができます。
7.東京海上日動
2022年12月、東京海上日動は、JR東日本と株式会社HIKKYが開設した世界初のメタバースステーション「Virtual AKIBA World(バーチャルアキバワールド)」内に店舗を出店しました。
そこでは保険販売もでき、書類作成から契約まで全てメタバース内で完結するとのこと。
販売商品もWebから申込みができる商品と同じとのことで、店舗に行かなくても双方向のコミュニケーションを取りながら契約ができるということで話題となっています。
保険相談も気軽に予約できるということで、保険相談に対する心理的負担の軽減をねらいとしているとのことです。
また、楽しく保険を学べるようなカーレースのゲームも提供しているということです。
ぜひ皆様も訪れてみてはいかがでしょうか。
8.あいおいニッセイ同和損保
あいおいニッセイ同和損保は2023年2月より、企業向けに国内初となる「メタバース専用保険」の提供を開始しています。
現在、各企業でメタバースを用いたイベントが開催されています。
その中で起こり得るリスクを保険という形で保障するという、時代の流れに合わせた商品の販売に踏み切りました。
具体的な内容としては、
・サイバー攻撃で個人情報が流出するリスク
・メタバース上で発生する詐欺等のリスク
・メタバースイベントが中止となる等のリスク
の3点に備えているとのことです。
9.oVice
oViceは保険会社ではありませんが、「メタバース保険」を提供しているサービスとしてご紹介させていただきます。
2022年7月にoViceは「メタバース保険」の提供を開始しました。
これは、予測のできない災害やネットワーク障害の際に役に立つ保険です。
普段業務で使用しているチャットツールやzoomなどの会議ツールが災害やネットワーク障害の影響で使用できなくなった場合、連絡が取れず困りますよね。
その際、oViceを1か月間、スペース数やサイズ・利用人数の全てにおいて無制限で使うことが可能になります。
以下詳細と適用条件です。
不測の事態に備えておきたいという方は是非併せてご検討ください。
・申し込み対象:どなたでもお申込み可能 *oViceのユーザー以外の方もご利用可能です
・料金:月額980円(税抜き)
・提供内容:バーチャル空間「oVice」を、スペース数およびスペースサイズ無制限で提供
・適用条件:地震や豪雨、大雪などの自然災害発生時
24時間以上に上る見込みの公共交通機関の大幅な乱れ発生時
他社サービスの大規模トラブル発生時
上記等が発生し、当社が適用の判断をした場合
・oViceの利用可能期間:適用が決まってから1か月間
・申し込み方法:【2022年10月7日更新:お申し込みが当初設定の口数に到達したため、新規のお引き受けを終了致しております。個別にご相談がございましたら以下のフォームにてお問い合わせください。】
お問い合わせフォーム:https://ovice.zendesk.com/hc/ja/requests/new
|今後はどうなる?
さて、ここまで各社の活用事例やメタバースに関する保険の発売例などをご紹介してまいりました。
では、今後メタバースと保険業界はどのように関わりあっていくのでしょうか。
現在、続々と保険業界のメタバース進出が進んでいますので、今後はより多くの保険関連会社がメタバースを取り入れていくでしょう。
特に営業活動においては変化の時代を迎えています。
対面だけではなく、メタバース上での店舗出店による営業チャネルのデジタル化は必須であると考えられます。
バーチャルマーケットなどへのブース出展も含め、保険業界のメタバースへの進出は今後増えていくのではないでしょうか。
また、メタバース関連の保険商品もユーザーが増えることに比例して需要が高まると考えられますので、今後個人および企業向けの商品が続々と発売されるものと考えられます。
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/column/metaverse/vol06.html
|まとめ
今回はメタバース×保険業界についてご紹介しました。
保険業界でメタバース導入をすることによるメリットや必要性、実際の活用事例や保険商品についても本記事では取り上げております。
ぜひ活用を検討されている保険業界の皆様は、この記事を機に社内で検討されてみてはいかがでしょうか。
もしアイデアが湧いたり、「これは実現できるのか?」などと迷うことがあれば、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談くださいね。
また、保険業界に限ったことではありませんが、今後も時代の流れに合わせて、営業チャネルや商品は変化を求められ続けることでしょう。
決して乗り遅れることがないよう、ぜひチェックしていきましょう!